竹元健竜 福岡 A級2班
まもなく実力開花
7月からA級2班となった竹元だが、リズムに乗り切れず苦しい日々を過ごしていた。そんな竹元に転機が訪れる。「7月に田中誠さんと話す機会があったのですが、『練習で俺を振り切って逃げ切るようになったら、おそらくA級では敵なし状態になるんじゃないかな。練習しても結果が出ないと苦しいけど、答えがあるって気持ち的に楽じゃない。練習で俺を振り切ればいいのだから』と言われ、田中誠さんと練習するようになった」と言う。
当時、田中誠をリーダーに集まった練習グループは『田中誠再生工場』と呼ばれ、昨年勝ち星がなかった高尾剛文(66期)が今年は7勝を挙げ(11月末現在)、那須久幸(71期)が7月佐世保で優勝、澤亀浩司(60期)が11月和歌山準決で1着など、ベテラン勢が見事復活という結果をもたらした。「誠が言い出した練習メニューを誠自身が必死にやるからね。自分らは、誠に引っ張られて練習している感じだよ」と澤亀。強くなれるという噂が噂を呼んで、最近は若手選手も田中誠の練習グループに参加するようになっている。
「どんな練習をしたら成果が出るのか個別にいろいろ試しているという意味で誠さん本人は『田中誠再生工場』を改め『田中誠人体実験工場』と言っていますよ」と、内村舞織(112期)。練習内容はハードを極め「誠さんと練習する前日の夜から、どんな練習をするのか怖くて眠れないくらいなんです」と竹元。佐賀県北東部の東背振での街道練習中心だが「昇り、降りを使ったインターバル訓練は本当にきつい。散々、街道練習した後に、さらに個人的に指名されての車誘導、バンクに戻っての周回練習が待っていますから。きついし、眠いし、緊張感も半端ない」と、ゲンナリとした表情で語る。「でも、言い出した誠さんが、最後まで練習しているし、誠さん自身が(9月)久留米で優勝と結果を出している。その誠さんの決めたメニューに澤亀さんなどベテラン選手が食らいついていく。そんな姿を見て、今までの自分の気持ちの弱さ、甘さを痛感しています。自分も頑張らなきゃという気持ちになりますよ」。
結果はジワリと出てきている。11月の佐世保初日はA級2班に特昇して勢いに乗る小笠原光(岩手、117期)と対戦。激しい先行争いを演じ、自らは7着に沈むも、人気の小笠原が4着となり3連単で60万円を超える波乱を演出した。最終日は前団のもつれを5番手から2角まくり。マーク立石拓也(福岡、72期)の1着取りに貢献。自身も2着に粘り込んだ。個人上がりタイムが11秒6。現在の競走得点、80点以上のパワーを秘めているのは明らかだ。年末から年明けにかけての今が狙いごろかも。
佐世保競輪場より