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北津留翼 福岡 S級1班
7車立ての利を活かし復活の予感
北津留翼の近況成績がなかなか充実している。11月別府では完全Vを達成。初日特選は宮本隼輔(山口・113期)との2分戦となったが勝負どころでは車を下げず、突っ張り切って宮本を封じた。準決は「恵まれました」と言うものの、落ち着き払った6番手、2角まくりで快勝した。決勝は初日に戦った宮本と伸び盛りの若手、大石剣士(静岡・109期)が相手の3分戦となったが、動じることなく若手両者のやる気を逆手に取って上がり10秒9の快速まくりを決めた。「あれも自分の力じゃないですね。展開です」と言うも、力の抜けたすんなりとした踏み出しは余裕を感じさせた。
成績上昇のきっかけは7車立てレースが合っているからだろう。新型コロナウイルス感染拡大防止のために採用された当制度は7月から実施されている。現時点ではGIIIは9車立てに戻されたがFIシリーズは引き続き7車のままだ。
「7車は車を下げるまでの時間が短いし、前もそこまで早く駆けなくてワンテンポ行くタイミングが違う。あとは車間もあまり切られないし2分戦が多いのもいい。パッと行けるタイミングが来るんです」
得意な戦法は位置取りにこだわらぬカマシやまくり。7車なら後手に回っても慌てることが少なく、自分のタイミングから仕掛けられる。心の余裕から踏む距離も長くなり、気が付けば前受けからの突っ張り先行、鐘前からのロング駆けなど、これまで以上に戦法の幅が増した。
高校時代から自転車に親しみ、ナショナルチームに在籍し、2008年には北京オリンピックに出場するなど自転車競技の第一人者として活躍してきた北津留にとって、競技に近い7車の特性がマッチするのは当然のことだった。
それならば、9車ならボロが出るのか?との疑問が浮かんだが、10月京王閣記念は1、2、⑧、2着、11月四日市記念では決勝に進出し2、2、③、⑦着と十分すぎる活躍を見せた。本人は「9車のレースの時はぜんぶ流れ込み。運一本ですよ」と一笑に付すも、踏む所ではしっかりと仕掛けていた。リズムが良い時は7車だろうが9車だろうが関係ない事を立証した。
11月「競輪祭」は誘導で参加していたが、本来ならばそこにいる選手ではない。2021年は再び、大舞台で輝いてみせる。


別府競輪場より