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永禮美瑠 愛知 L級1班
愛知ガールズ
稲川翔、古性優作、黒田淳、西岡拓朗、佐伯辰哉…。この名前を見ればピンとくる人は多いだろう。そう、BMX出身の競輪選手。その出身者としてガールズケイリンでも活躍を期待できる新人が現れた。まだ20歳、愛知の永禮だ。
「BMXは3歳からやっていました。ただ競輪の自転車も岐阜の児玉利文選手が父の友人ということもあって乗せてもらっていた。だからいつかはガールズに転向することを考えていたんですよ」。
BMXのトップクラスの選手だった。最大の目標は2020年に開催されるはずだった東京五輪、その前のステップとして目指していた18年のユース五輪の出場を果たしたことで、ひと区切りとした。「養成所の試験準備と同時期。3カ月ぐらいは両方やっていました。ただガールズの選手になるのなら年齢的に早い方がいいというアドバイスがありましたし、BMXは実力も練習環境も私より上の選手が一人いた。それで決断したわけです」。
ガールズデビュー時は安定しなかった。BMXトップライダーという実績があればいきなり決勝に乗っても不思議ではなかったが、ルーキーリーグ後の最初の3場所は予選を突破できなかった。「慌ててしまった。でも今は落ち着いているし、内容も意識して走っている」。
本来の実力こそ出し切れば大敗するはずがない。すでに完全Vを飾り、11月の伊東ではかつてのGP女王・梶田舞に決勝で差されはしたが11(2)着と積極策で結果を残した。BMXの経験、乗り方はガールズでもベースとなり、戦っていく上での支えになっている。「BMXでは空中で体をぶつけ合っていたぐらい。だから人がいても全然怖くない。横にいると思わず反応してしまうぐらいなので、養成所ではよく怒られていました。でもこれは私のアドバンテージですから」。
男子のルールで戦わせてあげたい、そう思わせるほどのたくましさだ。
ただ、今は力を付ける時期。基本スタイルは「自分でレースを組み立てて、臨機応変に何でもできるようにする」。4つの決まり手の数が同じ数字で並ぶことを理想とする。「意識してできています。課題は踏める距離を伸ばすこと。自転車の出はいいので伸びも欲しいですね。結果として先行もするが、それも決まるようになれば自信になる」。
トップ選手と戦うことが成長するために大事なことだと知っている。「完全Vした時も直前がオールガールズで上位選手のスピードを体感できたのが大きかった。トップ選手と走れる経験を無駄にはできない。今は大目標を掲げずに、目の前のひとつひとつを戦っていきたい」。長澤彩の移籍で寂しくなった愛知のガールズに、明るい将来をもたらしてくれそうな逸材だ。


大垣競輪場より