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藤井侑吾 愛知 A級1班
着実に力を付けてきた。
養成所は5位の成績でゴールデンキャップも獲得した藤井が、A級戦とはいえ圧倒的なパワーとスピードを発揮して1着を量産するようになった。
「僕は地脚タイプ。今はどんな対戦相手でも最後まで頑張り通せるようになった。だからほとんどが3着以内。確定板を外した回数は少ないと思います。そこについては胸を張って言いたいですね」。
稼いだ賞金はほとんど仕事のために使う。休日もロードで風を切るなど自転車漬けの実直な男がアピールした。
デビュー後に落車して鎖骨骨折。力はあるのに、いきなりつまずいて出世が遅れた。養成所で互角の存在だった同期はすでにS級で活躍。在所6位だった佐々木悠葵は2月17日の高知でS級初優勝を成し遂げた。
「彼の特進を一度止めたのは僕。対戦成績は1勝1敗なんですよ」。
この事実からも、S級でも即通用する器とみていい。しかし、藤井に焦りはない。高橋晋也、坂井洋は同じ学年とあって、たまにそのレースぶりを見るというが、慌てたところで何か得るものはないと達観している。
「僕はもうちょっとA級で脚を付けていきます。S級に一度上がったら、A級に下がりたくはないので。だから9連勝の特進は全く意識していません」。
それでも周囲は黙っていない。S級上位で戦える新鋭が山口拳矢ぐらいしか現れていない中部地区だけに「早く上がってきてくれ」とS級の先輩から声をかけられることもしばしば。
水谷良和とのS級での師弟連係だって早く実現させたい。
「トップスピードがもっと欲しいのは事実ですが、やはり僕の武器は地脚。そこをもっと磨いていきたい。体を動かすのが好きでなった競輪選手。努力次第で報われる仕事だから選手になってよかったと思っています」。
全ては来期の初S級に向けて、さらなる地力強化あるのみ。ビッグレースで苦戦が続く中部を引っ張って戦う日は近い。


名古屋競輪場より