山田英明 佐賀 S級1班
グランプリへ再アタック
3月28日に終了した第5回「ウィナーズカップ」。雨や強風で高配当が続出し、波乱のシリーズとなったが、実力者はやはりしっかり勝ち上がってきた。そこには昨年、最後までグランプリ出場権を争った山田の名前もあった。
勝負の3日目、準決勝10R。目標の北津留翼が動けず、最終バック9番手の大ピンチ。3コーナーから切り替えて内を進み、鈴木裕の落車を避けてさらに踏む。最後は木暮安由とのハンドルの投げ合いを微差制して3着に突っ込み、ファイナルへの扉をこじ開けた。「絶体絶命だったが、どうにか突っ込めた。最終ホームの判断が難しくて…。自分で行くべきかとも思ったが、北津留君も調子いいし、信頼していたので我慢した。3コーナーではどうやっても3着が精いっぱいの展開だったが、行けるところまで行こうと。3着は悔しいが、できる限りのことはできた」と胸を張った。
昨年5回あった(日本選手権は中止)G1のうち、3度決勝に乗った。ビッグ初制覇が見えた9月の伊東「共同通信社杯」。痛恨の1着失格で、3000万円以上の賞金をフイにした。「あれがなければ…と言われるのが嫌だったし、何とかグランプリに出たかったんですけどね。もちろん今年もグランプリが目標だし、昨年以上の自分を出せれば。応援してくれる人もいるし、自分もこのまま終わりたくない」。昨年末は腰痛などで調子を崩し、心機一転と臨んでいる今年も2月の川崎「全日本選抜」準決勝で失格を取られた。それでも体調の良化とともに成績も上昇。「(川崎の失格は)勝負した結果なので仕方ない。ここへ来て、よかった頃の感触を取り戻した」と自信を見せている。
佐賀では113期の橋本瑠偉、山口敦也、117期の青柳靖起らがS級に上がり、若手が育ってきた。「3、4年後には九州も変わると思う。後輩にアドバイスを求められたりもするが、自分がしっかりしていないと説得力もないので。自分が若手に刺激を与えて、九州全体が盛り上がっていったらいい」。その時は山田も不惑の声を聞く年齢になるが、トップランナーの座は譲らない覚悟だ。
「ウィナーズカップ」決勝は単騎での戦い。松浦悠士―清水裕友(優勝)を終始追う形になったが、結果は4着。それでも戦える手応えをつかんで「バックで仕掛けようと思ったが、外は伸びないなと思った。松浦君―清水君の3番手からは(優勝は)厳しいですよね。でも脚にアタリも出てきたし、今度は九州の若手と一緒に(決勝に)乗りたい」と、笑顔で振り返る。初タイトル、そしてグランプリへ―。山田の逆襲が始まった。
松阪競輪場より