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山口拳矢 岐阜 S級2班
S級上位との力の差を実感。一戦ごとに修正を施す

昨年9月にS級へ昇級すると12月の伊東でS級初優勝を達成した。FIシリーズだけで言えば、ここまで合計6Vを挙げており、ビッグ戦線は別としてこのクラスでは上位のパワーを示している。「FIやGIIIの予選とかがは同じぐらいの気持ちで走れますけど、その上になるとちょっときつい。GI、IIなんか初日からが勝負ですし、ずっと気持ちが張っていて抜けるところがないから(笑)」と場数を踏み、本人も段々と慣れてきたようだ。
7月の久留米ナイターFIは2、1、3着と活躍した。優勝こそ逃したが初日予選は躊躇のない鐘先行で近藤龍徳とワンツーを決め、2日目は落ち着き払った2角まくりで上がりタイムは「10秒7」とけたたましいスピードを計時した。「7車だから下げてもいいという考えもありました。9車だったらまた違う組み立てになっていた」と冷静な分析が出来ており、その場に応じた作戦を組めるのは脚と心に余裕があるからできる芸当だ。
決勝は出足よくまくったが門田凌の先行に車が進まず。門田が強かったといえばそれまでだが、それよりも門田の番手を回っていた小倉竜二の存在が大きかった。
「見られている感じがして…。小倉さんを乗り越えなければって意識しすぎて遅れてしまった…」と小倉がかもし出すS級最高峰のテクニックに完全に物怖じしたようだ。
「上位の選手との脚が違いすぎる。こっちが脚を使って位置取りに行っても相手は簡単にいい位置を取ったりしますから。そこから平気で仕掛けるし。気持ちだけで通用するほど甘くない。番手選手の技術もそうです」とまだまだ高いレベルには至っていないと自覚している。
それでも、久留米の後のいわき平「オールスター競輪」では内容のあるレース運びで準決勝まで勝ち上がった。初日の1着は「差し」の決まり手で「10秒6」を記録。これは山崎芳仁が持ついわき平のバンクレコード「10秒5」に迫るものだった。圧巻だったのは最終日。諸橋愛の数度にわたる激しい牽制を耐え凌ぎ、さらりと外併走まくって制した。久留米の課題を持ち帰り、修正能力の高さと抜群のレースセンスをこれでもかと発揮したように見えた。これからの飛躍がますます楽しみだ。


久留米競輪場より