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橋本優己 岐阜 117期
10年後に
 橋本自身が少し驚くほどの順調な歩みだ。この1月から初めてのS級。チャレンジとA級1・2班戦をデビューからわずか3期で通過してみせた。S級デビュー戦となった正月の高松FIは(6)(1)(4)着と勝ち上がれなかったが、2日目にはS級初勝利も挙げてみせた。「S級には3年目で上がればいいと思っていた。これほどA級で勝てるとは思ってなかったし、もっと苦労すると覚悟していた」
 父であり師匠でもある大祐(80期)も今後の課題を挙げながらも一定の評価をする。「僕のアドバイスをしっかりと聞いた上で自分流にアレンジする。だからこちらも教えがいがある。ただ、S級では全ての面でもう2、3ランク上げないといけない。特性の地脚を生かして、もっと早いところで仕掛けてほしいね」
 本当の勝負はここからだ。S級で自力選手として勝ち残っていくには、まだまだ力を付けていかなくてはならない。その点、橋本は競輪という世界を、父を通じて見てきただけに、その厳しさを分かっている。そのため、しっかりと自己分析し、将来計画も明確に描いている。「10年かけて自力を上げていくプランを持っています。10年後に選手として完成させたい」
 そして、もう一つ意識しているのが戦法。現在のトップ選手の多くが逃げ、まくりはもちろん、自在に動ける点にも着目している。「何でもできるタイプになりたいですね。S級はヨコもできないと勝てない。だからヨコに動く練習もしているんですよ」。その理想は松浦悠士、郡司浩平、古性優作、清水裕友らである。
 練習環境は申し分ない。デビュー最速でビッグレース優勝を果たした山口拳矢の存在は最高の目標になっている。「トップのレベルがどんなものか分かる。それに拳矢さんがいることで高いレベルの練習もできる。恵まれていますね」と感謝する。拳矢の背中を追えばS級の厳しい壁もきっと乗り越えていけるだろう。
 目標は高くて現実的だ。「GIを走りたい」が一番なのは確かだが、S級1年目でも狙いやすいGIIに照準を定めている。「2022年は翌年のビッグレースに出る権利を取るための1年にしたい。例えば、1着を数多く取れば出られるウィナーズカップですね」。どんな飛躍を見せてくれるのか。中部期待の若手だ。


大垣競輪場より