3月3日から開催された松山競輪のナイターFII「スポーツ報知杯争奪戦」。A級3班戦（チャレンジ）には、近藤をはじめ徳田匠、松本憲斗、山本浩成と、119期の実力者がズラリ。本格デビュー9か月目ともなれば、同期が次々特別昇班していく。ライバルが1人減り、2人減ってもなお、楽な戦いにはならないのがチャレンジの面白いところだ。前場所の佐世保で完全Vを達成した近藤は「佐世保はいつもより手応えがあった」と、自信を持って迎える地元戦。連勝をさらに伸ばし、特別昇班へ弾みを付けたい思惑があった。

松山聖陵高校から自転車競技を始め、法大ではインカレ・スクラッチで優勝するなど、長距離系種目で活躍。「好きなことを職業に」とプロの門を叩き、橋本強（89期）に弟子入り。日本競輪選手養成所では2勝と苦戦したが、デビュー後は地脚を生かした先行で白星を重ねてきた。今回が3度目の地元バンク登場だが、過去2回は連勝で勝ち上がりながら決勝2着と、悔しい思いも。迎えた初日は強風。ライバルの山本（2R）、松本（3R）、徳田（4R）が主導権を取りながら、すべて番手の選手に差されるという自力型受難の流れだったが、5Rの近藤は赤板で突っ張ってから、しっかりペースに持ち込んで押し切り勝ち。地元の利もあっただろうが「ホームは向かい風だが、あまり感じなかった。流して流して、最後まで流し切りました」と、強心臓ぶりも見せた。

2日目・準決勝は伊藤嘉浩（岐阜）、瀬口匠（宮崎）を相手に打鐘5番手から一気の巻き返し。「流れで出たが（距離が）長かったですね。精いっぱい行きました」と、力を出し切って後続を完封し、山本、徳田の待つ決勝進出を決めた。しかもこの日は24歳の誕生日。勢いはさらに加速した。最終日の決勝は過去「近藤君には負けたことがない」と豪語する徳田の近畿3車と、近藤の四国3車、山本が単騎の構図。ここでも打鐘5番手から前団を叩いて出ると、番手の岡崎昭次（愛媛）が離れ、徳田が近藤後位にすっぽりはまる大ピンチ。それでも岡崎が意地で内をさばいて追い上げ、徳田を飛ばす好アシスト。1周半逃げ切った近藤が、過去2回の地元戦のリベンジを果たす完全Vで、特別昇班へ夢をつないだ。「地元でやっと優勝できました。出たとこ勝負のつもりだったが、打鐘で緩んでいたので行こうと。出た時点で全開でした。後ろは分からなかったが、しっかり駆けられた。親も見に来ていたのでよかった」と表情を緩めた。

近藤は続く小倉ミッドナイトでも完全Vを果たし、A級2班に特別昇班を果たした。「ダッシュがないので、持ち味を生かすために押さえ先行とか、いろいろやっている。先行に磨きをかけたいですね。周りの同期はどんどん上がっていくけど、焦りはない。慌ててもいいことないんで。落ち着きすぎくらいの気持ちでやっていきたい」。話のトーンは控えめだが「あこがれは愛知の近藤龍徳さん」と、目立ちたがりの一面も。いずれビッグレースでド派手な活躍を見せてくれそうだ。

松山競輪場より