自転車競技

2014UCIトラックサイクリング世界選手権
 2014UCIトラックサイクリング世界選手権が、2月26日から3月2日の5日間にかけて、コロンビア・カリで開催された。
 日本勢は、中川誠一郎、渡邉一成、脇本雄太、河端朋之、橋本英也(鹿屋体育大学)、前田佳代乃(京都自転車連盟)、小林優香(日本競輪学校)、石井貴子(日本競輪学校)、塚越さくら(鹿屋体育大学)の9名が出場した。

2月26日

 初日は、男女チームスプリント、女子スクラッチレース、男子団体追い抜きが行われた。日本はチームスプリントに出場。
【男子チームスプリント】
 男子チームスプリントは、河端、渡邉、中川で走り、44秒938で11位に終わった。
河端(1走目)
「タイムが悪かったですね。練習の時の方がタイムが出ていたので、そう考えると悔しい結果になってしまいました。一走目がよかったけど、二走目がちょっとすべってしまった感じで、納得いくタイムじゃないので、また次に向けて頑張ります」
渡邉(2走目)
「やはりチームなので、調整が難しかったですし、この形状のバンクで風もある中、ちょっと思うような走りが皆できなかったと思います」
中川(3走目)
「ちょっとコーナーで失敗しました。追走した時に自分の感覚よりタイトだったので、きりすぎて膨らんじゃいましたね。1人で走った時はコーナーはタイトだとは思ったけど、追走で走ると走りづらかったです。一回、バック入れてからだったので、全然踏めませんでした」

日本チーム
 優勝は、ニュージーランド(42秒840)、決勝戦でドイツ(42秒885)に勝った。

優勝はニュージーランド
【女子チームスプリント】
 女子チームスプリントは、日本競輪学校生の2人が出場。1走は石井、2走は小林で臨んだ。結果は35秒584で10位。
石井(1走目)
「結果から言うと、自分のタイムが20秒2は出ましたが、19秒台で走るのが目標だったので、そこには及びませんでした。…(世界は)本当に甘くないと実感しました…。明確な目標と差が分かったことは、ここに来て本当によかったです。今すぐ帰って練習したいです。世界との差がわかったので、どうしたらそこにたどりつくのか考え直したいなって思いました。監督に『毎回自己新を出していくことが大事なんだ』と言われたので、小さな一歩ですが、これを次につなげていきたいです」
小林(2走目)
「スタートする時に、前にフライングしたチームがいて、そこを意識してしまったせいで、スタートの思いっ切りがなくて、少し迷ってしまった部分が敗因だと思います…。悔しいです…。でも、もうこれ以上下になることはないので、ここから、もっと上を目指していきたいです。今回、上位のチームを見られるので、勉強して自分のものにしていきたいです。自分の目標であるオリンピックに向け、タイム的にまだまだだと実感したので、もっともっと上を目指していきたいです」

スタート前

日本チーム
ジャパントラックカップに続き、2回目の競技大会が世界選手権となった2人。レース後に悔しさをにじませた2人の姿があった。2人とも、この悔しさをバネに再挑戦を誓っていた。
 優勝は、32秒440を出したドイツ。4月から来日しガールズケイリンを走るミリアム・ベルテと、クリスチナ・フォーゲルのペアが強さを見せた。2位は33秒239で中国だった。

優勝はドイツ
【女子スクラッチレース10km】
20名が出場した女子スクラッチレース10km。ベルギーのケリー・ドゥルツが残り6周でアタック。後ろを千切ってそのまま逃げ切り、優勝した。

女子スクラッチ

ケリー・ドゥルツ選手優勝(ベルギー)
【男子団体追抜き】
予選ではデンマークが2番時計の4分00秒176。2番時計がオーストラリアで4分01秒516で1-2位決勝進出。3-4位決勝にはロシア4分01秒615、ニュージーランド4分02秒056で進出。
決勝でオーストラリアがデンマークを下し優勝。2位はデンマーク、3位にニュージーランドとなった。

優勝はオーストラリア


2月27日

 2日目は、500mタイムトライアル、女子団体追い抜き、男子スクラッチレース、男子個人追い抜き、そして、男子ケイリンが行われた。
【女子500mタイムトライアル】
500mタイムトライアルには前田が出場、35秒499(15位)。優勝はドイツのベルテ、初日のチームスプリントに続き、2個目の金メダル獲得となった。
【男子ケイリン】
男子ケイリンには、渡邉と脇本が出場。
 1回戦1ヒート目を走った脇本だが、接触し、落車してしまった。
 2ヒート目を走った渡邉は、後方から捲りにいくも、行き切れず。
 敗者復活戦は、日本人2人とも同じ4ヒートになった。初手の位置取りは、シェーン・パーキンスが前を取り、渡邉が4番手、脇本が最後方の5番手から。残り2周過ぎ、渡邉が先頭に上がり、脇本も続いて前に出ようとするが、パーキンスがそれを阻む。そのまま渡邉が先行するが4着となり、残念ながら2人は敗者復活戦で終わってしまった。

脇本選手

渡邉選手
渡邉
「一回戦目は何かできたんじゃないかなと思います。誘導が退避するのがけっこう遅くて、これで大丈夫かなと半信半疑で、少し踏み遅れました。あそこを、ルール上で大丈夫というところでしっかり踏んでいればよかったのですが悔しいですね。敗者復活は脇本が来るだろうっていう固定概念が強すぎて、頼りすぎちゃったかなと思います。どのペースで逃げれば相手に来られないか、いまいち身体にしみついていなかったですね。この風なのでもう少し焦らずに、もっとペースで駆けていればよかったです。
 10回もやってきて、大した成績もあげられず、ちょっと悔しいですね。もっともっとナショナルチームを価値のあるものにしていきたいと思っていますし、その中でいい意味で目の上のたんこぶになって、若手から刺激をもらって、自分も更なる向上していきたいとは常日頃思っています」
 優勝は、フランスのフランソワ・ペルビス。短期登録で来日し、競輪でもおなじみだ。1回戦は番手を上手く取って、きっちり捲って1着。2回戦は捲り追い込んで1着。決勝は逃げ切り1着と、完全優勝を決めた。

フランソワ・ぺルビス選手(フランス)

表彰台
【男子スクラッチレース15km】
イワン・コバレフ(ロシア)、マーティン・アーヴイン(アイルランド)、チャンキンロ(香港)が1ラップアップし、この3人でのメダル争いとなった。
結果、イワン・コバレフが先着し優勝、2位がマーティン・アーヴイン、3位チャンキンロとなった。

優勝はイワン・コバレフ選手(ロシア)
【男子個人追抜き4km】
1-2位決勝に進んだのはアレキサンダー・エドモンソン(オーストラリア)4分21秒003、ステファン・クイング(スイス)4分21秒203、そして3-4位決勝に進んだのがマーク・ライアン(ニュージーランド)4分21秒865、リャン・ムレン(アイルランド)4分22秒419。
1-2位決勝ではアレキサンダー・エドモンソンがステファン・クイングを僅差で破り優勝した。3位はマーク・ライアンとなった。

優勝のアレキサンダー・エドモンソン選手(オーストラリア)

表彰台
【女子団体追抜き4km】
予選は危なげなくイギリスが4分28秒597で1位通過、2位がカナダで4分30秒721、3位はオーストラリア4分31秒504、4位通過がポーランド4分37秒786となった。1-2位決勝でもイギリスが安定した走りで優勝となった。2位カナダ、3位オーストラリアとなった。

優勝のイギリスチーム


2月28日

 3日目は、1㎞タイムトライアル、女子個人追い抜き、男子ポイントレース、女子スプリントの予選から4分の1決勝、男子オムニアム3種目が行われた。
【男子1kmタイムトライアル】
 1㎞タイムトライアルには、中川が参戦。結果は1分3秒110で15位。レース後に中川は「後半が全然だめでした。チームスプリントよりはまだましだったんですけど、入れないですね。体調も万全じゃなく、この不安定な状況で、難しいですけど…。でも、力のある人はしっかりタイムを出してくるので、すごいと思いました。最後の1周が最近の課題ですけど、今回は体調の調子がモロに出てしまった感じです。自分もプロだし、しっかりここに合わせて来なければいけないところなんですけど、僕のミスですね」

 優勝はペルビス、59秒385で、昨年に続き1㎞タイムトライアルを連覇した。今シーズン、ワールドカップで世界記録(56秒303)を出していたペルビス、世界選でも表彰台の真ん中に立った。

中川選手

優勝のぺルビス選手(フランス)
【女子個人追抜き3km】
1-2位決勝に進出したのはサラ・ハマー(アメリカ)3分29秒711、ジョアンナ・ローセル(イギリス)3分30秒610、3-4位決勝に進出したのがアミー・キュア(オーストラリア)3分30秒895、ジェンナ・ソロベイ(ウクライナ)3分33秒244。1-2位決勝で実力を発揮したジョアンナ・ローセルが優勝を決めた。2位サラ・ハマー、3位はアミー・キュアとなった。

表彰台
【男子ポイントレース】
地元の大声援を背にエドウィン・アビラ バンガス(コロンビア)が快調に飛ばしただ一人3ラップアップし70ポイントで優勝を決めた。2位のトーマス・スクリー(ニュージーランド)66ポイント、3位はエロイ・テルエル ロビラ。

地元優勝のエドウィン・アビラ・バンガス選手

表彰台
【女子スプリント1日目】
前田佳代乃が出場し、予選11秒330で19位で予選通過。1/16決勝でジェシカ・バーニッシュ(イギリス)と対戦し敗退。トップタイムは、クリスティナ・フォーゲルの10秒946。 この日は5-8位戦まで行われた。


3月1日

 4日目は、男子スプリント予選から4分の1決勝、女子ポイントレース、女子スプリント2分の1決勝から決勝、女子オムニアム3種目、男子オムニアム残り3種目が行われた。
【男子スプリント】
 男子スプリントに中川、河端が出場。予選で河端は10秒302で27位で予選敗退、中川は10秒161で22位となんとか予選突破した。
 河端は「何も言えないですね。前半100mは5秒05くらいだったんで、そのまま行けば10秒フラットくらいだったんですけど、でも、大きく減速してしまいました。でも、5秒05くらいでも24位くらいでギリギリだったので、タイムを見る限り、9秒9が10人近くいるので、そこにいないと戦えない位置なので。個人でもパワー的なトレーニングはできるとは思うけど、それを自転車にいかに伝えることが重要だと思うので、個人だけではなく組織的にもっとやっていきたいですね。」

河端選手


 中川は、16分の1決勝で、ロベルト・フェルステマン(ドイツ)と対戦、上手く先行したが、 フェルステマンに追い込まれてしまった。中川は「世界は9秒台なので、そこを出していけるようにしないと話にならないですね。1回戦も、僕も9秒台を出せていれば、いい勝負だったと思うんですけど、やはり、そこをあげていかないとレースで勝てても、そこで負けちゃいますものね。やばいですね。前の日本へのイメージは強豪というのがあったんですけど、今は下の方になっているイメージですからね…。それでも、やっぱりついていかないといけないですからね。今回は、ちょっとコンディションを整え切れなかったのは反省ですし、9秒台が必須条件になったので、そこを考えてやっていきたいです」

中川選手


【男子オムニアム】
 オムニアムは、フライングラップ、ポイントレース、エリミネーション、個人追い抜き、スクラッチ、1㎞タイムトライアル(女子は500mタイムトライアル)の6種目で争われる。 男子オムニアムには橋本が参戦、結果を述べれば フライングラップ(250mのタイム計測)13位、ポイント4位、エリミネーション4位、個人追い抜き15位、スクラッチは最後に落車し16位、1㎞タイムトライアル16位で総合12位。
橋本は「1日目は自分の得意な種目で、2種目で4位を取って、5位で終わってすごくいい滑り出しだったんですけども、2日目の個人追抜きが自分のベストパフォーマンスにほど遠くて、スクラッチも逃げさせてもらえないというレースでしたね。世界選だと逃げさせてもらえなくて、前半逃げた分で体力を使っている分で、最後は動けなかったというか、ささいなミスで落車もしてしまったんですけど、でも、いい経験ができたと思います。世界選は、ワールドカップと雰囲気も違うし、どの国も順位を一つでもあげようと勝ちにきているので、その辺の気迫とか感じられました。フィジカルをあげて、フライングラップ、1㎞TT、4㎞TTとタイム強化を確実に行わないと入賞もできないので、そこの強化を重点に、レース系もフィジカルの強化によって手札が増えるので、そうして、オリンピックに向けて準備していきたいと思います」

男子オムニアム表彰台
【女子オムニアム】1日目
塚越さくらが出場。塚越はフライングラップ(250mのタイム計測)14秒808 11位、ポイントレース17位、エリミネーション14位となった。
【女子ポイントレース】
アミー・キュア(オーストラリア)が38ポイントで優勝。2位はステファニー・ポル(ドイツ)35ポイント、ジャスミン・グレーサー(カナダ)となった。

優勝はアミ―・キュア選手(オーストラリア)

駆け引きが続く
【女子スプリント】
圧勝といって良いぐらいクリスティナ・フォーゲルが強く優勝となった。2位はゾンティアンシ(中国)、3位リンジンホン(中国)。

優勝はクリスティナ・フォーゲル選手

表彰台


3月2日

 最終日は、男子スプリント2分の1決勝と決勝、男子マディソン、女子オムニアム残り3種目、女子ケイリンが行われた。
【女子ケイリン】
 女子ケイリンには前田が参加。1回戦は5位、敗者復活戦4位と残念ながら、ここで敗退が決まった。
 女子ケイリン優勝はクリスティナ・フォーゲル。チームスプリント、スプリントとケイリンと3冠を飾った。

優勝はクリスティナ・フォーゲル選手

表彰台
【女子オムニアム】
 女子オムニアムに出場した塚越は、フライングラップ11位、ポイント17位、エリミネーション14位、個人追い抜き16位、スクラッチは最後に落車し16位、500mタイムトライアル14位で総合17位と苦しい成績に終わった。レースを振り返り、塚越は「ワールドカップも走らせてもらったんですけど、世界選だと皆の走り方も違って、勝ちにいく走りっていう感じで、いつもと全然レースの内容も違ったし、雰囲気が違いました。ワールドカップのポイントレースではいつも千切れてしまっていたので、今回はラップされてしまったけど、でも、集団で走れたので、そこは自分の中では良かったと思っているんですけど、でも、ポイントレースは、ポイントを取らないと順位はつかないので、これからはポイントを取れるように、もっと走れるようになりたいですし、スクラッチもレース系は位置取り争いも下手くそなので、もっと勉強して、教わったりして、もっと上手くなっていきたいです。弱すぎるので、タイム差とか、レースでもついていけなかったりすると落ち込むんですけど、でも、同じ舞台で走ってみたい気持ちはあるので、上を目指して頑張ってみたいと思います」

塚越選手

表彰台
【男子スプリント】
男子スプリントの表彰台は、優勝がペルビス、2位がシュテファン・ボティシャー(ドイツ)、3位にデニス・ドミトリエフ(ロシア)と4月からの短期登録に参加する3選手で飾られた。中でもペルビスは、1㎞タイムトライアル、スプリント、ケイリンの個人競技3種目制覇の偉業を成し遂げた。
【男子マディソン】
ラップ判定の問題で、1位とコールされたベルギーが5位となり、スペインが優勝となった。2位はチェコ、3位にスイスとなった。

優勝のスペイン

表彰台
【総評】
今回の世界選手権は、ジャッジのトラブルが多く目立った。特に男子オムニアムのエリミネーションでは明らかにコロンビアがエリミネートの対象となったのに、ベルギーとコールされたあげく、罰金を課せられた。男子マディソンでもベルギーが優勝とコールされたが、ラップ認定がされていないと判定され5位となった。その他もジャッジについては色々と疑問がでる判定があったと思う。次の世界選ではこのような問題が出ないようにしていただきたいと感じた。