月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
自転車競技
競輪選手の日本チャンピオンが続出!
第88回全日本自転車競技選手権大会トラックレース
自転車トラック競技の各種目の日本チャンピオンを決める全日本自転車競技選手権大会が9月14日~16日、日本競輪選手養成所にあるJKA250トラックで行われました。

この大会では、特に東京オリンピックに向けて、どれぐらい強化できているのかを図る意味もあり、東京オリンピックでメダルを目指す選手たちにとっては、ただ、勝つことを求められていたのではなく、いかに強く勝てるかがポイントだったと思います。
当然、短距離種目に関しては、ナショナルチームが負けるわけにいかなかった大会となりました。
また、競輪選手ではありませんが、中距離ナショナルチームの窪木一茂が4km個人追い抜きで日本新記録をだすなど、東京オリンピックに向けて強化が進んでいることは実感できた大会となりました。

出場したナショナルチームの結果ですが、
今回の大会では、
新田祐大が男子ケイリンで優勝。
河端朋之が男子スプリントで優勝。
橋本英也が男子スクラッチで優勝。
橋本英也・窪木一茂ペアが男子マディソンで優勝。
橋本英也が、チームブリヂストンレーシングで、4km団体追い抜き日本新記録、アジア新記録を出して優勝しました。

また、小林優香が女子ケイリン、女子スプリントで優勝と太田りゆがケイリン、スプリントともに2位と競輪選手が大活躍となりました。
中距離ナショナルチームの鈴木奈央も、女子マディソンでは吉川美穂とペアを組んで2位に入りました。

以上が主な結果ですが、日を追ってレポートを展開していきましょう。

【9月14日】
◆男子スプリント
14日、この日の主な種目は、男子スプリントでした。
予選を通過したのは、
1位 河端朋之 9秒725 大会新
2位 深谷知広 9秒819 大会新
3位 新田祐大 9秒862
4位 脇本雄太 9秒950
5位 新山響平 9秒986
6位 雨谷一樹 10秒012
7位 小原佑太 10秒093
8位 高橋晋也 10秒124
の8選手でした。

全員が強化指定選手の競輪選手です。
1/4決勝を勝ち上がったのは、河端、深谷、新田、脇本の4選手。すべて2本先取で勝ち上がりました。
1/2決勝は河端VS脇本、新田VS深谷となり、河端、新田が1-2位決定戦へ進出、脇本、深谷が3-4位決定戦という結果となりました。
1-2位決勝は河端が2本先取し優勝、新田が2位、3-4位は深谷が2本先取し3位となりました。

1-2位決勝1

1-2位決勝2


表彰
1位 河端朋之
2位 新田祐大
3位 深谷知広

優勝した河端は、「久しぶりに勝てて良かったです。今回はここに向けての調整もなく臨みましたが、その中でもジャパントラックカップよりも、200m予選は良いタイムを出せ、対戦でもいい走りができたので、しっかり力がついているなと感じています。レースの判断だったり、相手に合わせすぎることなく自分でレースを支配するというような気持ちでレースが出来ました」と言っています。
予選の200mのタイムを2019年ポーランドの世界選で比較をすれば、今回の河端のタイムは予選6位通過となるタイムでした。オリンピック予選の2019-2020シーズンに入ってくれば、さらにタイムは上がってくるとは思いますが、コンスタントにこのタイムが出てくると、ワールドカップ、世界選でスプリントでのメダルも見えてきたと思えるところです。
東京オリンピックの国内選考にはケイリンを優先するとありますが、スプリントでメダルが狙えてきているという事は、これらが変わる可能性も見えてきたという事です。今シーズンの河端選手の成績に注目していきたいと思います。
◆女子スプリント
女子スプリントは
1位 太田りゆ 11秒013大会新
2位 小林優香 11秒198大会新
3位 山口真未 11秒760
4位 尾方真生 11秒907
の4名が1/2決勝に進出。
1/2決勝は太田、小林が勝ち上がり1-2位決勝へ、山口、尾方が3-4位決勝へ進出という結果に。

1-2位決勝は太田りゆが1本先取しましたが、残り2本は小林がとり優勝を決めました。

東京オリンピック代表の座を争う2人の対決は、接戦に持ち込んだ太田の成長を感じることができたレースでしたが、さすがは小林で、太田の弱点をしっかり見極め、レースを運んだところに大きな成長を感じることができました。
予選タイムに関していえば、やはり10秒台を出してさらなる成長をここで見せてほしかったと思います。

1-2位決勝1

1-2位決勝2


表彰
小林
「とりあえず今日勝てたことはホッとしました。アジア選手権に向けてハードなトレーニングの最中で、この大会もトレーニングの一環で臨んだ大会なので、コンディション的には良くない状態でしたが、最後は気持ちで乗り切れたと思います。スプリントで日本チャンピオンになれたのは初めてですし、これを次のアジアチャンピオンとして、ワールドカップ、世界選に向けられるように頑張りたいと思います」
◆男子スクラッチ
橋本英也が出場し、中距離ナショナル代表のパワーを見せつけたレースになりました。積極的にせめて、堂々の1位は見事でした。

レース

表彰

1位 橋本英也
2位 安彦統賀
3位 草場啓吾

橋本
「レースは前々で走って、展開を自分の思うとおりに持っていったのが勝因だと思います。ここはメンバー的にも負けられないなと思ったので優勝できてよかったです」
◆女子マディソン
この種目には鈴木奈央が吉川美穂とペアを組んで出場しました。
しかし、国内最強の中距離選手である梶原悠未と中村妃智ペアには届かず2位の結果となりました。

鈴木奈央・吉川美穂ペア

表彰

1位 強化A 梶原悠未・中村妃智 63点
2位 Live GARDEN Bici Stelle 鈴木奈央・吉川美穂 29点
◆男子4km個人追い抜き
橋本英也が出場し、自身の記録を更新するも窪木一茂が予選は絶好調で日本記録を大幅に更新の4分15秒889、さらに決勝でも勝ち優勝しました。
橋本は予選4位、3-4位決勝は勝って3位となりました。

橋本英也

表彰

1位 窪木一茂
2位 近谷涼
3位 橋本英也

【9月15日】
◆男子ケイリン
二日目は男子ケイリン、女子ケイリンが行われました。
男子ケイリンは、国内のトップを決めるにふさわしい選手が揃ったと思います。
また日本競輪選手養成所からも出場し見ごたえのあるレースとなりました。

競輪選手の出場は
河端朋之、新田祐大、脇本雄太、深谷知広、雨谷一樹、松井宏祐、新山響平、小原佑太、高橋晋也。
養成所から寺崎浩平、長田龍拳、町田太我、貴志修己です。

やはり強化選手は強いですね。2回戦までしっかり全員が勝ち上がりました。
2回戦は当然激戦となりましたが、その中でも新田、脇本、河端はしっかり1-6位戦に進出してきます。
そして、迎えた1-6位決勝。
メンバーは、新田祐大、脇本雄太、松井宏祐、河端朋之、中野慎嗣(早稲田大学・強化指定B)、新山響平。
周回はペーサーの後ろから松井、新田、中野、新山、河端、脇本。残り2周で新山が前に上がる。しかし、残り1周半前に新田が前に出て先行。その後ろに中野、河端と続きそのままゴールし、新田が優勝、2位中野、3位河端となりました。

決勝は、新田が非常に積極的なレース運びで、まさしく力と技でもぎ取った日本チャンピオンらしい勝ち方でした。世界ランキング1位の実力を見せつけたレースでした。

残り1周

ゴール


表彰
1位 新田祐大
2位 中野慎嗣
3位 河端朋之

新田
「僕が自転車競技を始めた時に日本で一番の称号なので、いくつになってもほしいなと感じました。レース内容としては、今回は課題をもって挑もうと思っていて、積極的に攻めていって戦いたいというのがおそらくレースに出ていたのではないかと思います。決勝は世界ランク15位に入っているのが僕を含めて3人いたので、世界のトップで走る気持ちで走りました。この後気が抜けないレースが3月までオリンピック予選として始まるんですけど、まず第一歩としてチームの中でもいいアピールができたかなと思います。一番は見ていただいているファンの方々に、安心してオリンピックに向けて応援できる環境にあることを見てもらえたと思います」
◆女子ケイリン
出場選手が少なく予選はなく、6名で優勝を争うこととなった女子ケイリンは、小林優香、太田りゆ、山口真未(強化指定B)、小泉夢菜(早稲田大学)、下条未悠(日本競輪選手養成所)、尾方真生(日本競輪選手養成所)が出場した。
レースはペーサーの後ろから下条、山口、小泉、小林、太田、尾方。

残り2周半過ぎに小泉が飛び出して、先行。そして残り1周半から小林が大きく離れた4番手から一気に捲り上げて残り半周で小泉を捉えそのまま押し切って優勝。2位は小林をマークした太田。3位に小泉が入った。

やはり小林の強さが際立ちました。マークした太田に差されないパワー、スピードがありますね。世界のレースでもスピード、パワーを見せつけてほしいですね。

残り1周

ゴール


表彰
1位 小林優香
2位 太田りゆ
3位 小泉夢菜

小林
「昨日より集中力を高めて臨めました。緊張感はありましたが、いい緊張を保って、落ち着いていましたし、落ち着いて走れたと思います。ここに向けてはしっかり準備できましたし、何よりコントロールができたのが良かったです。この後はアジア選があるのでしっかり2連覇を目指したいと思います」
◆男子マディソン
男子マディソンは、7チームが出場し、橋本英也がチームメイトの窪木一茂とペアを組んで挑みました。
窪木も前日に個人追い抜きで日本新記録を更新し、絶好調であることはわかっていましたが、見事に3ラップアップ得点は127点とぶっちぎりの強さを見せつけました。

橋本英也・窪木一茂ペア

表彰

1位 チームブリヂストンレーシングB 橋本英也・窪木一茂
2位 チームブリヂストンレーシングA 近谷涼・今村駿介
3位 愛三工業レーシングA 渡邉翔太郎・草場啓吾

【9月16日】
◆男子チームスプリント
ドリームシーカーチーム・雨谷一樹、新田祐大、深谷知広で臨んだ男子チームスプリント。予選は44秒156と大会新記録とはなったが、全く物足りない結果となりました。
しかし、決勝では43秒799とタイムを上げてフィニッシュ。世界的に見れば、43秒台前半以上にならなければ、非常に厳しいと言わざるを得ないタイムでした。
アジア選で結果を残してほしいですね。

スタート

レース


表彰
1位 ドリームシーカー
2位 明治大学 45秒381
3位 鹿屋体育大学 46秒576
◆男子チームパーシュート
見事ですね。男子チームパーシュートは日本新記録・アジア新記録となりました。
返す返すも、前シーズンにこれができなかったのだろうか…と思います。
本当に、コーチの重要性が分かるものですね。
予選から橋本を含むチーム・ブリヂストンレーシングはぶっちぎりの3分57秒893で1位通過。決勝でさらに上がってくるかが見どころでした。
そして決勝では3分57秒488で日本新記録、アジア新記録を達成。
仕上がりの良さを見せました。
世界のトップで戦うには、あと数秒縮めていかなくてはなりませんが、さらに縮めることを期待したいと思います。

スタート

レース


表彰
1位 チームブリヂストンレーシング 橋本英也、窪木一茂、近谷涼、今村駿介
2位 日本大学
3位 岐阜県
いよいよ次は、アジア選手権です。これが一つの勝負どころです。
アジアで勝てなければ世界で勝てません。
是非応援してください!