2020 UCI Track Cycling World Championships展望
いよいよ東京オリンピックの枠取りを決定する最後の大一番、UCIトラックサイクリング世界選手権が2月26日からドイツ・ベルリンにてスタートします。
トラック種目すべての世界チャンピオンを決定する最重要な大会です。
今年はさらに東京オリンピックの出場権枠を決める最終の大会でもあります。
各国の力の入れようは通常より大きなものになっているのです。
その中で日本はまず出場権を確保することができるのか、またメダル獲得はあるのか?を展望していきましょう。
今回の世界選手権の出場選手からみていきましょう。発表されているのは以下の通りです。
男子競輪選手は、河端朋之、新田祐大、脇本雄太、深谷知広、雨谷一樹、橋本英也の6名、ガールズケイリン選手は小林優香、太田りゆの2名が出場します。
このほかに、ブリヂストンサイクリングの窪木一茂、近谷涼、今村駿介、沢田桂太郎、梶原悠未、中村妃智、古山稀絵の7選手も出場します。
オリンピック種目を先に記載すると
男女各種目
〇短距離
チームスプリント
スプリント
ケイリン
〇中距離
チームパーシュート
マディソン
オムニアム
の計12種目です。
この中で日本チームが出場権を取りにいく種目は
男子短距離
・チームスプリント
・ケイリン
・スプリント
女子短距離
・ケイリン
・スプリント
男子中距離
・オムニアム
女子中距離
・マディソン
・オムニアム
の以上です。
ここでは競輪選手がメインである種目を展望していきます。
チームスプリント
この種目の日本は42秒792(雨谷一樹、新田祐大、深谷知広)で2019年12月ワールドカップ ニュージーランド・ケンブリッジ大会を優勝しています。ではそのまま世界選での活躍はどうかとみていくと、とにかくぶっちぎりでオランダが速いですね。2019年11月ワールドカップ イギリス・グラスゴー大会ではオランダは42秒163で優勝し、その前のミンスク大会でも42秒204で優勝。ただいまぶっちぎりで強いところです。またイギリスもミンスク大会では42秒590で銀メダルを獲得していますし、フランスもグラスゴー大会で42秒813で銅メダルを獲得しています。今シーズンは今のところ42秒台を出している国はオランダ、イギリス、フランス、日本の4か国、その中でもオランダが頭抜けて強いところを見せています。日本がメダルを手堅く獲得をするためには、予選は43秒台前半以上で8位以内に入り、1回戦で42秒台をだし、メダル決定戦に進む事でしょう。
また、この種目はオリンピックの出場権もかかっており、オリンピックランキング7位の現状をキープしなくてはなりません。となると、確実に1回戦に進出することがまずは大事となってきます。1回戦は予選上位8位までが進出します。これに入り、逆転を許さない状態でメダルを狙えると一番いい形となります。一番悪い形は予選で失格することです。全くポイントが付与されないので結果次第ではオリンピックランキング上位8位から転落する可能性が大きくなります。
まずはチームスプリント予選の日本のスタートを応援してほしいです。
男子ケイリン
脇本雄太、河端朋之、新田祐大が出場予定。わかっているのは強いのはオランダ。だけど誰が勝つのかわからないのもケイリンです。確実に1-6位決勝まで勝ち上がることが前提ですが、世界選はハード。1回戦で勝ち上がれないと敗者復活戦を走り、2回戦、3回戦、決勝となります。確実に1回戦を勝ち上がって2回戦に行ってほしいですね。
とにかく今シーズンケイリンでメダルがない日本の3選手にはここでメダルを獲得してほしいですね。
男子スプリント
深谷知広のパワーを見せつけてくれるかどうかにかかっています。というか、予選でどの順位に入るかが大問題です。シードされるトップ4に入れるかどうかで大きく変わってくるでしょう。入ればメダルに大きく近づくことができるでしょうし、入らないと難しくなると思います。ここでも立ちはだかるのはまずはオランダ勢。そしてフランスのステファン・ビジエでしょう。深谷が最低でも9秒5前半をだしてトップ4に入れば面白くなると思います。また、新田も9秒6台を切ってくると上位入賞もあるはず。予選のタイムは見逃せません。トップタイムは9秒4を切ってきそうですが。
男子オムニアム
橋本英也が出場します。現状でいえば、8位入賞を目指しながら、メダル圏が確保できる状態でポイントレースに臨めるかどうかがポイントになってきます。とにかく一番のネックはエリミネーション。本人が言っていますが、エリミネーションで上位に残っていければ相当上位に入るはずです。が、結構、ここで簡単にエリミネートされてしまうことが多いのですよね。しっかりと世界選で走って上位入賞をしてもらいたいですね。特に世界選という事もありビッグネームが出場してきます。イタリアのエリア・ビビアーニ(リオオリンピック金メダリスト)やオーストラリアのキャメロン・メーヤーはなかでも日本になじみ深い選手たちです。橋本がビッグネーム相手に良いレースをすることに期待したいですね。
女子ケイリン
小林優香、太田りゆが出場します。小林はワールドカップ・香港大会で銅メダルを獲得し、強いところを見せています。太田も相当強くなってきました。あとは思い切ってレースができるかどうかだけでしょう。現状No.1は香港のリーワイジー。それにステファニー・モートン(オーストラリア)、マチルダ・グロ(フランス)、ロリーヌ・ファンリーセン(オランダ)とガールズケイリンで活躍している選手たちが続きます。そして韓国のリ・ヘイジンとそのかなりの強豪がそろっています。これらを打ち破ってメダル獲得をしてほしいです。
女子スプリント
小林優香、太田りゆが出場。正直に言って、タイムは出てもなかなか勝ち上がれないのがスプリントでしょう。パワーでは負けていないと思いますが良くて入賞でしょう。しかし、深谷知広の例がありいきなりブレイクする可能性も無きにしも非ず、でしょう。とにかく一つでも上を目指して頑張ってほしい種目です。
番外編
男子チームパーシュート
チームブリヂストンサイクリングで挑む世界選ですが、オリンピックの出場権には届かないけれど、その実力を見せてほしいですね。3分55秒台をぜひ出していただきたい。そして、日本は弱くないところを見せてほしいです。優勝候補はデンマークでしょう。3分50秒を切ってくるかどうか。期待したいですね。
女子マディソン
梶原悠未、中村妃智が出場予定。とにかく東京オリンピック出場権確保を懸けた一戦になります。オリンピックランキング現在11位。オリンピックポイントは6140ポイントでもう少しランキングを上げておきたいところです。現状は何とか周回遅れにならずに行けてるところでしょう。しっかり集団について行って、できればポイントも獲得してできるだけ上位でフィニッシュしてほしいですね。
まずいのは周回遅れになって除外されること。そうなるとオリンピックポイントがほとんど入らなくなるので逆転される可能性も出てきます。何とか頑張ってほしい種目です。
女子オムニアム
梶原悠未が出場。いま日本のトラック選手で一番、二番を争う安定した選手です。目指すはメダルのみ。それも金メダルです。以前は走り方に注文をつけたかったところがありましたが、今は非常に良くなったと思います。あとはパワーとスタミナで押し切ってほしいですね。メダル獲得の期待大。
女子スクラッチ
古山稀絵が出場。アジア選手権で優勝し権利を獲得しました。世界のレベルは高いのでそこにどれくらい食らいついていけるかがポイントでしょう。しっかり食らいついて上位フィニッシュに期待したいです。
その他の種目もありますが、日本人選手が出場しないので割愛します。また、今回の世界選手権で出場権のあった女子チームパーシュートは東京オリンピックの出場権獲得は難しいという判断で出場が見送られたようです。