2021UCIトラック自転車競技世界選手権ルーベ大会レポート
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バンク
今回のトラック世界選手権は、東京オリンピック2020が終了し、直後の世界選手権となりました。
なぜ、この時期に変えたのかよくわかりませんが(4年に1回、自転車競技の世界選手権を10月にほとんど行うという理由で変えたようです)、2020年のトラック自転車競技世界選手権から1年半近く空いての開催となりました。
また開催場所も変わり、トルクメニスタンのアシガバードから、フランスのルーベに変更されました。とにかく新型コロナウイルスのパンデミックが、ここまで広がるとは思って無かったですね。
さて、今回のルーベ大会は、東京オリンピックが終わって一区切りついての世界選手権でした。
通常であれば、オリンピックに出場した各国の選手はほとんど出場せず、次世代の選手たちによる世界選手権となる場合が多かったのですが、パリオリンピックに向けて後3年しかないという事もありオリンピックに出場した選手たちも多く出場してきました。
日本をみると、新田祐大、脇本雄太が競技の引退をし、次世代の山崎賢人、寺崎浩平、小原佑太、梅川風子、佐藤水菜が出場となりました。また、橋本英也、窪木一茂、今村駿介、太田りゆ、梶原悠未、鈴木奈央が引き続きパリ大会での活躍を目指し、今回の世界選手権に参加しました。
また、コーチの陣営も変わり、ブノア・ベトゥがナショナルチームの統括ディレクター、ジェイソン・ニブレットが短距離ヘッドコーチ、クレイグ・グリフィンが中距離ヘッドコーチの体制に。
短距離は実質ジェイソン・ニブレットが指揮することになりました。
この体制で臨んだ2021UCIトラック自転車競技世界選手権の模様をレポートします。
今回の大会はコロナ禍もあり取材に制限がかなりあった大会となりました。
通常なら行ける選手のピットにも行けず、話も聞けない。とはいえ、ミックスゾーンを活用した取材で何とか選手、コーチに話を聞ける状態でした。
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集合写真
1日目
女子チームパーシュート予選からスタート。男子チームパーシュート予選後に、日本勢は、女子チームスプリント、男子チームスプリント、女子スクラッチレースに出場。
女子チームスプリント
梅川風子、太田りゆ、佐藤水菜の3名で出場し、予選は49秒176、6位で予選通過。トップタイムはドイツで46秒511、2位はロシア自転車競技連盟47秒031、3位カナダの48秒362。
1回戦ではカナダと対戦し、タイム的には負けたのですが、カナダに違反があり降格し日本が勝ち上がって3-4位決勝へ。
3-4位決勝はイギリスと対戦し、48秒612で0.5秒負けて4位となり表彰台は逃しました。
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日本チーム
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表彰
優勝 ドイツ 46秒064
2位 ロシア自転車競技連盟 46秒718
3位 イギリス 48秒059
今回の特筆すべきポイントは、は2人制から3人制になったのでドイツの出した記録は世界新記録。また日本の出したタイムも日本新記録となります。
男子チームスプリント
小原佑太、寺崎浩平、山崎賢人で臨み、予選は44秒414で8位となり1回戦へ。1回戦では予選1位のオランダと対戦し敗退となりました。
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日本チーム
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表彰
優勝 オランダ 41秒979
2位 フランス 42秒550
3位 ドイツ 43秒141
※オランダは全くスキがない体制で臨んできていました。
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表彰
優勝 FIDANZA Martina イタリア
2位 van der DUIN Maike オランダ
3位 VALENTE Jennifer アメリカ
2日目
男子ケイリンに、松井宏祐、山崎賢人が出場。松井は1回戦。積極的に動いてオランダのフォグランドの後ろに入って2着で2回戦進出。山崎はペーサー退避後、若干、内を空けたところにドイツに入り込まれ、並走する形で前に出ようとしたが出られず、後方に。巻き返せず、5着で敗者復活戦へ。敗者復活戦では後方から残り1周で前に出て逃げ切り2回戦へ進出を決めた。
2回戦。松井は先行勝負に出たが、オランダのラブレイセン、トリニダード・トバゴのポール、フランスのイレルに前に出られ、4着で7-12位決勝へ。山崎は先行するフォグランドの後ろを取り合う形となりましたが、3番手に引いて3着でゴール。1-6位決勝に進出となりました。
7-12位決勝の松井はゴール前の2センターで落車し棄権。11位となりました。1-6位決勝の山崎は、最外からのスタートで、ペーサー退避の残り3周から終始前に出られず、仕掛けられず5位になりました。
優勝 LAVREYSEN Harri オランダ
2位 HOOGLAND Jeffrey オランダ
3位 IAKOVLEV Mikhail ロシア自転車競技連盟
女子スプリント
太田りゆ、梅川風子が出場。予選は太田が10秒791で10位、梅川が11秒016の17位スタートで本戦へ。1/16決勝は太田が勝って1/8決勝進出、梅川はメキシコのベルドゥーゴに負け敗退。1/8決勝の太田はオランダのブロスペニクスに負け敗退。太田10位、梅川19位となりました。
優勝 HINZE Emma ドイツ
2位 FRIEDRICH Lea Sophie ドイツ
3位 MITCHELL Kelsey カナダ
※決勝は3日目に行われました。
男子スクラッチレースに窪木一茂が出場。レースは所々でアタックがかかるがラップするものはなく終盤まで集団で進み、フィニシュに向かってスピードが上がる中、窪木は残り3周で格好の3番手をキープ。しかし残り1周の2コーナー過ぎで後ろから行かれ、惜しくも5位でフィニッシュ。メダル獲得はならなかった。
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窪木一茂
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表彰
優勝 GRONDIN Donavanフランス
2位 DENS Tuu ベルギー
3位 BRITTON Rhys イギリス
女子エリミネーションは梶原悠未が出場。13位。
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表彰
優勝 PATERNOSTER Letizia イタリア
2位 KOPECKY Lotte ベルギー
3位 VALENTE Jennifer アメリカ
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イタリアチーム
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表彰
優勝 イタリア 3分47秒192
2位 フランス 3分49秒168
3位 イギリス 3分51秒205
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ドイツチーム
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表彰
優勝 ドイツ 4分8秒752
2位 イタリア 4分13秒690
3位 イギリス 4分17秒359
3日目
男子1㎞タイムトライアル
小原佑太が出場。予選1分0秒898で7位となり本戦へ。本戦ではタイムを落とし1分01秒385で8位となりました。
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小原佑太
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表彰
優勝 HOOGLAND Jeffrey オランダ 58秒413
2位 PAUL Nicholas トリニダード・トバゴ 59秒791
3位 EILERS Joachim ドイツ 1分0秒008
男子インディビジュアルパーシュート
今村駿介が出場。予選で4分14秒751の日本新記録を出したが9位で予選敗退。
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今村駿介
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表彰
優勝 LAMBIE Ashton アメリカ 4分3秒237
2位 MILAN Jonathan イタリア 4分5秒785
3位 GANNA Filippo イタリア 4分6秒402
※イタリアチームはこの日自転車を盗まれ、本来の自転車では出場せず。のちにルーマニアで見つかる。
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表彰
優勝 THOMAS Benjamin フランス 94pt
2位 de KETELE Kenny ベルギー 84pt
3位 HOPPEZAK Vincent オランダ 35pt
女子オムニアム
梶原悠未が出場。48Pt 15位。
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表彰
優勝 ARCHIBALD Katie イギリス 137pt
2位 KOPECKY Lotte ベルギー 119pt
3位 BALSAMO Elisa イタリア 116pt
4日目
男子スプリント
寺崎浩平、山崎賢人が出場。
予選、寺崎が9秒979で19位、山崎が9秒835で14位スタート。1/16決勝で寺崎と山崎が当たり、山崎が勝ち上がり1/8決勝へ進出し寺崎は敗退。1/8決勝で山崎はロシアのイアコブレフと対戦し敗退となった。
優勝 LAVREYSEN Harrie オランダ
2位 HOOGLAND Jeffrey オランダ
3位 VIGIER Sebastien フランス
※決勝は5日目に行われました。
男子オムニアム
橋本英也が出場。予選(ポイントレース)が行われ6位で本戦へ。
第一種目のスクラッチは7位でまずまずの滑り出し。第2種目のテンポレースでは、残り14周で落車しましたが再乗しレースに復帰。ポイントは取れませんでしたが周回遅れにならず12位。エリミネーションは5位でフィニシュし、トータル78ポイントを獲得し、8位で最終種目のポイントレースに出場。しかしポイントは取れず、順位を一つ落とし9位でフィニッシュとなった。
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橋本英也
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表彰
優勝 HAYTER Ethan イギリス 180pt
2位 GATE Aaron ニュージーランド 124pt
3位 VIVIANI Elia イタリア 121pt
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表彰
優勝 BRENNAUER Lisa ドイツ 3分18秒258
2位 BRAUSSE Franziska ドイツ 3分22秒980
3位 KROEGER Mieke ドイツ 3分20秒903
※タイムは決勝のもの。
女子マディソン
予選が行われた女子マディソン。決勝は男子並みにハイスピードバトルとなった。
オリンピック種目でもあるマディソンはこのハイスピードについていき更にメダルを狙える選手を育成しなければならない。
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オランダ
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表彰
優勝 オランダ PIETERS Amy WILD Kirsten 35pt
2位 フランス COPPONI Clara le NET Marie 30pt
3位 イギリス ARCHIBALD Katie EVANS Neah 24pt
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表彰
優勝 FRIEDRICH Lea Sophie ドイツ 33秒057
2位 VOINOVA Anastasiia ロシア自転車競技連盟 33秒163
3位 SHMELEVA Daria ロシア自転車競技連盟 33秒164
※タイムは決勝のものです。
5日目
女子ケイリン
佐藤水菜が出場。
1回戦。佐藤は周回中5番手から。残り3周、オランダのBRASPENNINCX Shanneの上昇に合わせて後ろから追走しそのままゴールし2着で2回戦へ進出。2回戦は6番手からのスタートで、残り3周過ぎ後方から上昇し、先頭を伺うが出られず、カナダのMITCHELL Kelseyが先行した段階でうまく3番手に入り、後方を牽制しながらゴールし3着で1-6位決勝へ進出をきめました。
1-6位決勝は、2番手からのスタートとなり、周回を重ね、残り3周でペーサー退避。集団のペースが上がらず先頭にいたFRIEDRICH Lea Sophieが残り2周からペースを上げ佐藤はそのまま2番手キープ。残り1周で佐藤が前を抜きにかかるが、抜けず。そのタイミングが、後方を牽制する形になって、番手をキープ。ゴール前に抜きにかかるが抜けず2着で銀メダル獲得となった。
優勝 FRIEDRICH Lea Sophie ドイツ
2位 佐藤水菜
3位 TYSHCHENKO Yana ロシア自転車競技連盟
男子エリミネーションレース
橋本英也が出場。
男子オムニアムの落車の影響か、普段の橋本ではないレースで5番目にエリミネートされてしまい18位となった。
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橋本英也
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表彰
優勝 VIVIANI Elia イタリア
2位 LEITAO Iur ポーランド
3位 ROSTOVTSEV Sergei ロシア自転車競技連盟
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表彰
優勝 KOPECKY Lotte ベルギー 76pt
2位 ARCHIBALD Katie イギリス 72pt
3位 WILD Kirsten オランダ 60Pt
男子マディソン
ポイント周回でしっかりポイントを積み重ねていったデンマークが、優勝となった。イタリア、ベルギー、イギリス4位、フランス5位の攻防戦が非常に見どころがあってエキサイティングなレースでした。オリンピック種目でもあるマディソンに日本も出場しハイレベルなレースに対応していかないと中距離全体のレベルアップにはならないでしょう。
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デンマーク
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表彰
優勝 デンマーク HANSEN Lasse Norman MORKOV Michael 68pt
2位 イタリア CONSONNI Simone SCARTEZZINI Michele 64pt
3位 ベルギー de KETELE Kenny GHYS Robbe 62pt