月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
KEIRINグランプリ2019直前展望
2019年令和1年の最後を締めくくる大一番。KEIRINグランプリ2019がいよいよですね。
今年は皆様にとってどのような年でしたか?
良かった!という方は、気持ちよくKEIRINグランプリ2019を的中させて2020年を迎えましょう。
悪かったなと感じた方は、KEIRINグランプリ2019で厄払いをして、気持ちよく2020年を迎えましょう!
KEIRINグランプリで厄払いができるのかって? もちろんです!競輪界最高峰のレースには絶大なパワーがあります。大興奮で2019年を締めくくれば、2020年はいい年になるはず!
大いに楽しんで新年を迎えましょう!
注目選手

新田祐大 福島 90期
今回のメンバーの中でパワーだけを見れば一番なのではないかと思います。ワールドカップ・ニュージーランド、ブリスベンでの2大会連続チームスプリント金メダル獲得、さらにスプリント予選で9秒650をたたき出し銅メダルを獲得した脚は半端じゃありません。世界のトップの脚となりました。けん制が入って、前と相当離れることがなければ、捲れるはず。期待したいですね。

脇本雄太 福井 94期
競輪では躊躇せずなんでもできるタイプが強いのはわかっています。先行捲り、追い込みと臨機応変に立ち回れる感覚が重要です。脇本は競技では先行タイプから何でもできるタイプに移行しようとしているように見受けられます。競輪でも徹底先行だけと決めつけないほうが良いかもしれませんね。ワッキーは捲っても非常に強いですよ!

清水裕友 山口 105期
今一番警戒されているのが清水ではないかと思います。なんでもできる。なんでもうまい。これは何をしてくるのかわからないという事でもあります。戦法を読まれないのが清水の良いところでしょう。先行もイン粘りも捲りもあります。グランプリは粘ると獲れないという話もありますが、清水の全力戦を期待してみたいと思います。
さあ、グランプリシリーズが始まります。寺内大吉記念杯もなかなか面白いメンバーが揃っています。12月28日からの3日間ぜひ楽しんで、運気をアップして2020年を迎えましょう!

KEIRINグランプリ2019展望
令和元年の頂上決戦・KEIRINグランプリ2019が12月30日に立川競輪場に於いていよいよ号砲を迎える。日本選手権を完全優勝した脇本雄太を中心に推すが、競輪は久しぶりの実戦となるので過信はできない。スピード勝負なら新田祐大、中川誠一郎も負けてはおらず、競輪祭でワンツーを決めて勢いに乗る清水裕友と松浦悠士の20代コンビの一発も十分だ。単騎になりそうなレース巧者の平原康多や郡司浩平がどんな作戦で臨んでくるかにも注目したい。
世界クラスの豪脚で昨年のリベンジを

脇本雄太 福井 94期
脇本雄太は今年初出走の3月・ウィナーズカップでは準決は2着ながらも残り3走は1着の準パーフェクトで優勝、5月・日本選手権では史上7人目の完全優勝でダービー王に輝いた。ただ、6月・高松宮記念杯は決勝5着、8月・オールスターは準決4着敗退なのをどう見るか。競輪の出走もオールスター以来となるので、脇本自身も調子が掴みづらいところがややハンデとなるかもしれない。それでも、昨年は5着に終わったグランプリでリベンジを果たすために、立川の大観衆の前で、世界で鍛え抜かれた豪脚を十二分に発揮してくれるだろう。
清水裕友と中国ワンツーを決める

松浦悠士 広島 98期
松浦悠士は同地区のS級S班・清水裕友の活躍が大きな刺激となり、今年はGI優勝とグランプリ出場を目標に突っ走ってきた。2月・全日本選抜でGI初優出を決めると3月・ウィナーズカップ、5月・日本選手権と連続優出、7月・サマーナイトフェスティバル決勝では結果は6着ながら吉田拓矢と壮絶な主導権争いを演じ、ビッグ決勝で初めて存在感を示すことに成功した。そして迎えた11月・競輪祭決勝では準決同様に清水裕友の捲りを差してGI初制覇を達成、この勢いに乗ってグランプリでも清水とのワンツーを決める。
位置取り重視で自在に駆ける

清水裕友 山口 105期
清水裕友は5月・日本選手権の決勝では最後は脇本雄太の捲りに屈したものの4番手からの先捲りで準優勝、6月・高松宮記念杯は決勝4着、10月・寬仁親王牌は決勝3着、11月・競輪祭は準優勝と惜しくもGI初優勝には手が届かなかったが、年間を通してS級S班の名に恥じない活躍を見せた。競輪祭ではイン粘りから平原康多を飛ばして吉田拓矢の番手を奪い、番手捲りで松浦悠士とワンツーを決めており、グランプリでも展開次第では一気のカマシ先行も考えられるが、まずは自在に動いての位置取り重視でレースを組み立ててくるだろう。
積極的な仕掛けで一発を狙う

中川誠一郎 熊本 85期
中川誠一郎は2月・全日本選抜の決勝では単騎戦ながらも打鐘過ぎの4角から一気にカマシ、最終1角で前団を飲み込むとそのまま逃げ切って2度目のGI制覇を成し遂げた。6月・高松宮記念杯決勝では逃げる脇本雄太の番手から捲ってきた新田祐大に合わせて抜け出して今年2度目のGI制覇と、不惑の歳を迎えても元五輪日本代表のパワーは健在だ。11月・競輪祭はまさかの予選敗退だったが、最終日には上がりタイム11秒3の捲りで快勝と調子は問題なく、単騎戦になりそうなグランプリも全日本選抜のときと同様の積極的な仕掛けで一発を狙う。
43歳のベテランが直線強襲に賭ける

佐藤慎太郎 福島 78期
佐藤慎太郎は2月・全日本選抜の決勝は4番手からインを突いて準優勝、3月・ウィナーズカップが決勝7着、7月・サマーナイトフェスティバルが決勝4着、8月・オールスターの決勝は北日本ラインの4番手から中を突いて準優勝、9月・共同通信社杯も準優勝と賞金を積み重ね、13年ぶり5回目のグランプリ出場を決めた。43歳と9選手の中では最年長だが、今年の佐藤の走りは実に若々しい。新田祐大という好目標がいる上に直線が長い立川が舞台だけに、ゴール前では内へ外へと切り込んでの直線強襲で初優勝が十分に狙えるだろう。
脇本雄太を目標に鋭脚を披露する

村上博幸 京都 86期
村上博幸は10月・寬仁親王牌の決勝では赤板2角からカマした三谷竜生の先行に乗り、5年ぶり2度目のGI制覇を達成した。今年は7月・サマーナイトフェスティバルでも渡邉雄太の捲りを番手から差して優勝と、4月に40歳の大台に乗りながらも年間を通して安定した成績を残してきた。10年のグランプリでは兄・村上義弘の仕掛けに乗り、最後の直線で大外を鋭く伸びてグランプリ初出場で初優勝の快挙を成し遂げており、立川は村上にとっては相性抜群のバンクだ。今年も脇本雄太を目標に鋭脚を披露してくれるだろう。
平原らしい巧者ぶりで勝機を掴む

平原康多 埼玉 87期
平原康多は今年無冠に終わったが、GIでは6月・高松宮記念杯、8月・オールスター、11月・競輪祭で決勝進出、落車などの影響でなかなか調子が上がらない中でもさすがの安定感を示して7年連続10回目のグランプリ出場を決めた。平原はこの2年余りスピード競輪に対応すべく試行錯誤を繰り返してきたが、それが裏目とは言わないまでも「平原らしさ」が失われていた印象が強い。それでも競輪祭の勝ち上がり戦を見るとかなり修正できている感じで、単騎戦になりそうなグランプリでも平原らしい巧者ぶりを発揮してくれるだろう。
死力を尽くしての大捲りに期待

郡司浩平 神奈川 99期
郡司浩平は6月・高松宮記念杯で落車して2か月の欠場を余儀なくされたが、復帰戦となった8月・オールスターでは決勝7着、次場所の小田原記念を優勝と快進撃を続け、9月・共同通信社杯の決勝では逃げる山崎賢人ラインの3番手を確保すると最終2角過ぎから捲り、ぴったり追走の平原康多を振り切って2度目のGII優勝を達成した。残念ながら11月・競輪祭でまたもや落車に見舞われて途中欠場となり体調面に不安が残るが、初出場のグランプリでも好位置を確保してからの死力を尽くしての大捲りを期待したい。
勝負どころの位置取りがカギ

新田祐大 福島 90期
新田祐大は8月・オールスター決勝では菅田壱道-新田-渡邉一成-佐藤慎太郎の北日本4車で結束、菅田の思い切りのいい先行に乗り、最終バックでは一度は捲ってきた平原康多に前に出られたが、自慢のダッシュ力で平原とのもがき合いを制して優勝した。昨年のグランプリは最後尾の9番手から大外を捲り追い込むも3着、今年6月の高松宮記念杯決勝も8番手から捲って脇本雄太の先行を捕らえるが、脇本の番手から出た中川誠一郎に合わされて2着と位置取りが新田の唯一の弱点で、今年はそこをどう克服してくるかが見どころになるだろう。
思い出のレース
KEIRINグランプリ2018
脇本雄太の番手から三谷竜生が初優勝
新田祐大が前受け、2番手に平原康多-武田豊樹の関東コンビ、単騎の浅井康太、清水裕友が続き、脇本雄太-三谷竜生-村上義弘-村上博幸の近畿ラインが後攻めで周回を重ねる。青板4コーナーから清水が後方の動きを警戒しながら上昇、赤板1センターで誘導員を降ろして先頭に立つとすかさず脇本がスパート、一気に清水を叩いて打鐘とともに主導権を握る。近畿4車がきれいに出切り、清水が5番手、平原が6番手、浅井が8番手、新田が9番手の一列棒状で最終ホームを通過する。脇本の掛かりがよく後方からの反撃はなく、最終バック手前からようやく清水が捲るが三谷のブロックを受けて後退、平原は内へ切り込もうとするが村上義弘と接触して両者が落車してしまう。同時に8番手から捲ってきた浅井が前団に迫ってくるが、番手絶好の三谷が直線鋭く抜け出して先頭でゴールイン、浅井が2着、落車を避けて大外を伸びた新田が3着に入る。


バンクの特徴
直線が長いので捲りのラインが断然有利
インを突いての直線一気の強襲も有効だ
立川は周長が400mの標準的なバンクだが、直線距離は全国でも有数の長さを誇っているのが一番の特徴だ。年末のグランプリシリーズに向けて9月から2か月かけて補修が行われ、ガタやヒビなどのない走りやすい走路となっている。ただ、ウォークトップを塗り直したばかりなので印象的には重い。
16年に開催されたグランプリシリーズの決まり手を見てみると、全33レースのうち1着は逃げが5回、捲りが15回、差しが13回、2着は逃げが3回、捲りが8回、差しが9回、マークが13回となっている。
直線が長いのでやはり捲りが優勢で、逃げは苦しく、先手ラインの選手が1着を取った回数も全体の3分の1以下の10回のみだ。
捲りは400バンクの定石どおりに最終2角からの仕掛けで十分だが、3角から上バンクにコースを取り、カントを使って外を追い込んでいくとよく伸びるので、捲りのラインを追った選手が先捲りの選手の上をさらに捲りきってしまうケースもよく見られる。
そのため、脚力互角の捲り選手が複数人いるレースでは仕掛けのタイミングが難しく、捲り選手たちが牽制しあっているうちに逃げが決まってしまうケースもある。
16年のグランプリでは稲垣裕之-村上義弘の近畿コンビの2段駆け作戦が濃厚で、4番手に浅井康太、5番手に平原康多、7番手に新田祐大、9番手に中川誠一郎の隊列だったが、打鐘を過ぎて最終ホームを通過しても誰も動くに動けず、最終バックからようやく平原が捲っていくが番手捲りの村上に合わされてしまい、村上がそのまま先頭でゴールインと単調なレース展開となってしまった。
追い込みは3、4番手で脚を溜めていた選手が直線一気に突き抜けて好配当というケースがよく見られる。コーナーのカーブが急なために前団の選手たちが外に膨らみやすく、インを突いての強襲も有効だ。16年のヤンググランプリでは6番手からインを突いた渡邉雄太が優勝、3番手から伸びた小笹隼人が2着、5番手から大外を追い込んだ鈴木竜士が3着で3連単は40万の高配当になっている。

周長は400m、最大カントは31度13分06秒、見なし直線距離は58.0m。先行は後方待機から打鐘過ぎの4コーナーでカントを使って山降ろし気味にカマし、最終ホーム過ぎに前団を交わしていく勢いで仕掛けるのが理想だが、直線が長いので2度、3度と踏み直しが効くスピードタイプでないと粘り込めない。冬場から春頃まではバック向かい風強い日が多く、風の強い日はインが重くなるので競りは外側でも不利はない。