第37回共同通信社杯競輪(GII)直前展望
東京オリンピックも終了し、フルスペックの競輪が戻ってきましたね。
それにしても、オリンピック組は強いです。
中でも脇本雄太のパワー、スピードが異次元になっているのが感じられて、オリンピックは別物ということを実感しました。
そして新田祐大も向日町記念では失格はしてしまいましたが、パワー、スピードは脇本に負けていません。失格してしまった事を取り返すという意味でも、今回の共同通信社杯は異次元の競輪を見せて欲しいですね。
そして、迎え撃つ松浦悠士、清水裕友の中国勢の動向も気になるところです。
また、高松宮記念杯を優勝した宿口陽一も気になるところです。オールスター競輪では二次予選でここだけ7着となり準決勝進出はなりませんでしたが、動きは抜群でした。
そして、話題沸騰中の山口拳矢を筆頭に石原颯、松岡辰泰が出場します。
是非、注目してください!
脇本雄太 福井 94期
オリンピック直後のオールスター競輪、向日町記念と圧巻のレースを見せつけている脇本が今回の優勝候補筆頭に上げられます。本当にこれ以上に書くことがない只今無敵の競輪選手でしょう。今開催はどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかに期待しましょう。It's Wakky time!
新田祐大 福島 90期
向日町記念の初日の失格は痛恨のミスでしたね。記事では失格は取り上げないのですが、レース映像から少し気持ち的に焦りが出ていたことを感じましたが、その時捲っていくスピードは目を見張るものがありました。脇本に対抗できる筆頭は新田でしょう。超絶な捲るスピードを見せてほしいですね。
郡司浩平 神奈川 99期
8月は病気欠場が続いていましたが、復帰の松阪記念では好発進を決めています。オリンピック組に対抗できるのは郡司がまず先陣を切るはず。タイミングのいいスピードのある捲り追い込みで優勝を狙ってくるでしょう。
宿口陽一 埼玉 91期
高松宮記念杯を優勝してから一気に進化した感のある宿口。抜群のタイミング、動きで大活躍中です。今回も自分で動いて、チャンスを積極的につかんできそうです。チャンスがなさそうな時に車券に絡んできてくれる期待をもって見たいですね。
第37回共同通信社杯競輪(GII)展望
第37回共同通信社杯競輪が岐阜競輪場で開催される。格付けはGIIながらS級S班9名が揃い踏みのうえに、「若手の登竜門」と呼ばれる大会にふさわしく次代のエースを目指す若手選手が多数出場予定で激戦必至だ。いよいよ佳境に入ってきたグランプリ出場権を懸けた賞金争いからも目が離せない。
古性優作が脇本雄太と再び好連係を決める
共同通信社杯は比較的若い選手たちに出場枠が確保されているのが特徴で、「若手の登竜門」と位置付けされている。18年の大会ではビッグレース初優出の清水裕友が準優勝、19年の大会では郡司浩平が2度目のGII制覇、昨年の大会では脇本雄太、新田祐大らを不発に終わらせる山崎賢人の大逃げに乗った中本匠栄が優勝とヤングパワーの活躍が続いており、今大会も脇本と新田の2人を中心にレースは進んでいくだろうが、躍進著しい山口拳矢、眞杉匠、町田太我らの次代を担うホープたちの大暴れに期待してみたい。
古性優作 大阪 100期
古性優作がついに念願のGI制覇を成し遂げた。3年前のオールスター決勝で脇本雄太との連結を外して6着に敗れた古性は、ただ脇本の後輪だけを見て走っていては勝ちきれないことを痛感、自分も脇本と対等に戦える自力脚を養うことを目標に鍛錬を積み重ねてきた。先のオールスターのシャイニングスター賞でも深谷知広の逃げを捲って村上義弘とワンツーと強さを見せつけ、そして決勝では脇本のハイスピード先行を見事に差し切ってみせた。もちろん今大会も近畿勢と好連係を決めてタイトルホルダーの貫禄をたっぷりと見せつけてくれるだろう。
脇本雄太 福井 94期
脇本雄太は東京五輪終了後の翌日にオールスター入りの強行スケジュールで、常人には想像し得ない疲労がたまっていたのか8か月ぶりの競輪競走となったドリームレースは9着に終わった。しかし、一次予選2は逃げて2着、二次予選は逃げ切りと1走ごとに競輪の感触を取り戻し、準決では眞杉匠のメイチ先行で7番手、実質的には10番手ぐらいに車間が空いて絶体絶命と思われたが、そこから上がり11秒1の驚異の捲りで1着に届き世界レベルの豪脚をまざまざと見せつけた。当然ながら今大会も脇本が優勝候補の筆頭となるだろう。
新田祐大 福島 90期
新田祐大もドリームレースは4着、シャイニングスター賞は6着に終わったが、一次予選2は逃げ切り、準決も逃げて2着で守澤太志とワンツーを決め地元戦でしっかりと決勝進出を決めた。決勝は5着に終わったが、勝負どころでタイミングよく追い上げて4番手を確保とさすがの走りを見せており、新田ラインの守澤太志が3着に突っ込んでいる。やはり新田と脇本の2人がいるとレースもハイレベルとなり、面白さも倍増だ。今大会も新田と脇本の2人が圧倒的なパフォーマンスを披露してシリーズを大いに盛り上げてくれるだろう。
山口拳矢が地元で2度目のGII優出を決める
山口拳矢 岐阜 117期
岐阜競輪場でのビッグレース開催は10年ぶりとなるが、地元戦での活躍が期待されるのが山口拳矢だ。山口はオールスターでは準決で惜しくも4着と敗れたが、一次予選1では最終4角7番手から大外を追い込んで1着、いわき平のバンクレコードにあとコンマ1秒まで迫る10秒6の素晴らしい上がりタイムを叩き出している。二次予選も2着だったが3番手からの追い込みで個人上がりタイムが11秒0、最終日特別優秀は山崎賢人の逃げを4番手から捲って11秒1をマークしており、7月のサマーナイトフェステイバルに続いてのGII優出が期待できる。
浅井康太 三重 90期
中部のエース・浅井康太はオールスターでは準決まで勝ち上がったが、準決では山口拳矢との連結がうまくいかず5着に敗れている。浅井と山口も自在型なので仕掛けのタイミングがうまく噛み合わないのが難点だが、それさえ乗り越えられれば中部復興も決して夢ではないはずだ。浅井は一次予選2では寺崎浩平の逃げを目標に2着、二次予選は6番手からの直線強襲で2着と調子は悪くなく、柴崎淳も一次予選2では9番手からの大捲りを決めて1着、上がりタイムは11秒2と復活の手応えをつかんでおり、地元地区での中部勢の奮起に期待したい。
眞杉匠 栃木 113期
関東では眞杉匠が徹底先行で存在感を示した。オールスターは今年から6日制となったが、眞杉は5走全てで主導権取りと驚異的なタフネスぶりを見せつけている。一次予選2では5着ながら平原康多の1着に貢献、二次予選では守澤太志-成田和也を連れて自身も3着に粘り込むと同時に北日本コンビの勝ち上がりに貢献、準決では脇本雄太を相手に大逃げを打って平原を決勝へ送り込んだ。5月の日本選手権ではやはり先行一本でGI初優出を決めており、今大会も関東勢を引き連れての徹底先行で勝ち上がっていく。
平原康多 埼玉 87期
平原康多は落車が続いて肉体的にも精神的にもかなりのダメージを受けている印象だったが、オールスターではファン投票1位に応える走りでしっかりと決勝進出を果たした。もちろん眞杉匠という好目標に恵まれたおかげもあるが、与えられたチャンスをしっかりものにできるのは一流選手の為せる技といっていい。日本選手権でも眞杉との好連係から優出しており、今大会も関東連係をきっちり決めてくるだろう。6月の高松宮記念杯でGI初制覇を決めた宿口陽一もオールスターでは準決で敗れたが、4勝をマークと引き続き好調で侮れない存在だ。
中国コンビの巻き返しに期待
清水裕友 山口 105期
脇本雄太と新田祐大が不在の今年前半の競輪界を引っ張ってきたのはまちがいなく清水裕友と松浦悠士の中国コンビだが、オールスターでは清水がまさかの二次予選敗退、松浦が準決敗退に終わった。清水はドリームレースこそは1着だったが、その後は9、4、9、8着とどこかの歯車が大きく狂ってしまった印象だ。それでもデビューからこれまでが順調すぎただけに、初めてぶつかった大きな壁を乗り越えられればさらなるパワーアップを遂げて戻ってきてくれるはずで、3年前の大会で準優勝して大きく羽ばたくきっかけとなった共同通信社杯での復活劇を期待したい。
松浦悠士 広島 98期
松浦悠士もドリームレースは絶好の3番手を確保も捲りきれずに8着、準決も8番手から早めに巻き返すも山口拳矢に合わされて6着と精彩を欠いていた。それでも一次予選2は同県の後輩・町田太我の逃げに乗って1着、最終日特別優秀は野原雅也の逃げを4番手から捲って1着と2勝しているのでそれほど重症ではなさそうだ。7月のサマーナイトフェステイバルの準決も太田竜馬の逃げに乗って1着と、中四国には頼もしい後輩たちが揃っているのも好材料で、今大会では必ずや強い松浦の走りが見られるだろう。
中川誠一郎 熊本 85期
これも一種の五輪効果なのか、かつての仲間である脇本雄太と新田祐大の走りに刺激を受けたかのように42歳の中川誠一郎が復活、オールスターでは19年10月の寛仁親王牌以来のGI優出を決めた。一次予選1は眞杉匠の逃げを4番手から捲って上がりタイムは11秒1、二次予選では清水裕友、山口拳矢らを相手に逃げ切り、準決は最後に脇本雄太に交わされたものの5番手から捲って2着とその強さは本物だ。3年後に熊本競輪場が再開されるまでトップクラスを維持し続けることが中川の一番の目標であり、今大会も年齢を感じさせない若々しい走りを見せてくれるだろう。
郡司浩平 神奈川 99期
南関東はエースの郡司浩平が病気欠場しており体調面が気がかりだが、オールスターでは南関東からの優出が深谷知広ひとりと今年前半の勢いを失いかけているので、今大会は郡司が南関東をしっかりまとめて反撃を狙ってくるだろう。和田健太郎も今年はチャンピオンユニフォームのプレッシャーに押し潰されて低迷していたが、オールスターでは準決進出と復調気配だ。侮れないのが千葉の重戦車の野口裕史で、19年9月の岐阜記念では準決で敗れたものの3走で逃げ切っており、今大会も好相性のバンクでの活躍が期待できる。
思い出のレース
2015年 第31回大会 神山雄一郎
神山雄一郎が6度目の共同通信社杯優勝
新田祐大-山崎芳仁-大槻寛徳が前受け、中団に山田久徳-稲垣裕之-神山雄一郎、後方に原田研太朗-渡部哲男-萩原孝之で周回を重ねる。青板ホーム過ぎから原田が上昇すると山田も合わせて動き、残り2周半から早くも両者のもがき合いとなる。主導権争いは原田を突っ張りきった山田に軍配が上がり原田は4番手に下がるが、そこへ新田が内をすくってきて4番手を奪う。そのとき山崎が新田から離れてしまい、新田の後ろは原田-渡部-山崎-大槻となったところで打鐘を迎える。打鐘とともに山田はさらにペースを上げ、山崎も必死に追い上げて最終ホームで新田とドッキングするが、最終1コーナーから早くも稲垣が番手捲りを打つ。同時に新田も捲って稲垣に襲いかかる。新田は3コーナーで稲垣に並び、両者の激しいもがき合いとなるが、4コーナーで稲垣が新田を牽制すると神山が空いた内を突き、そのまま鋭く伸びて優勝、新田が2着、稲垣が3着に入る。
表彰
決勝ゴール
バンクの特徴
岐阜は400バンクとしては直線が長く、カントもきつめだが、走路はこれといったクセがなく、先行、捲り、追い込みとどんな戦法でも力を発揮できるバンクとなっている。
ただ、走路の中央に大きな池があるためにバンクはやや重く、タイムが出にくい。
19年9月の記念開催でのベストタイムは11秒0で、3日目の準決で岩本俊介の逃げを捲った山崎賢人をさらに捲った浅井康太がマークしたものだ。しかし、4日間とも天候に恵まれて風も穏やかだったが、全48レース(ブロックセブン1個レースを含む)のうち上がりタイムが11秒台前半のレースは12回だけで、ほとんどのレースが11秒7や11秒8の11秒台後半のタイムで決まっている。直線が長くカントもきつめだがスピードに乗りにくいので、選手の脚力差がダイレクトに結果に反映されるバンクといえる。
そのためかほとんどのレースは力どおりの順当な決着が多く、あっと驚くような大荒れのレースは少ない。
ちなみに19年の記念開催の決まり手を見てみると、1着は逃げが11回、捲りが20回、差しが17回、2着は逃げが5回、捲りが9回、差しが16回、マークが18回となっている。
ここで注目したいのは、直線が長めなのに差しの1着があまり多くないことだ。レース全体のスピードが上がりにくいので、前の選手にスピードをもらっての直線強襲がむずかしいようだ。それでも直線では中バンクに伸びるコースがあり、3日目11Rの準決では南修二が最終4角6番手から中割りを決めて頭に突き抜けている。
記念開催で逃げ切りが11回というのもかなり珍しい。とりわけ素晴らしい走りを見せたのが千葉の重戦車・野口裕史で、4日間とも主導権を取りきって3回逃げ切っている。
そして決勝戦では太田竜馬が打鐘から仕掛けて主導権を取りきり、浅井康太や小松崎大地の反撃を許さずに逃げ切り、上がりタイムも11秒4と完勝している。
周長は400m、最大カントは32度15分07秒、見なし直線距離は59.3m。年間を通してバック追い風、ホーム向かい風の日が多く、風のある日は逃げが有利となるのでタイミングよく仕掛けられれば簡単には捲られない。ただホーム側のスタンドの影響で1日のうちでも風向きが複雑に変わることがある。捲りはやはり早めの仕掛けが肝心で最終3角までに捲りきってしまうのがベストだが、遅めの捲り追い込みでもイエローライン上にコースを取っていけばよく伸びる。
岐阜バンク