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全日本選抜競輪直前展望
2022年のGI開幕を告げる全日本選抜競輪が、取手競輪場で始まります。
KEIRINグランプリ2022の出場権を今年初めて手にする選手が確定するということもありますが、直前展望としてはこのポイントではなく、注目すべき選手が多数いることが今大会を盛り上げてくれると思います。
注目選手

佐藤慎太郎 福島 78期
ここにきて追い込み最強となってきました。その競走スタイルが、昔のかなり強かった追い込み選手と似てきていますよね。地区ではなく他地区でも番手についてしっかり結果を残す。これですよね。佐藤の前を回る選手の信頼がなければ今年に入って4開催走っている記念競輪の決勝に全て乗り、静岡記念ではさらに、伸びて優勝を飾っています。今や最強の45歳と進化した肉体に是非注目したいですね。そしてGIを優勝すると史上最高年齢での優勝となります。是非達成して欲しいです。

吉田拓矢 茨城 107期
やっと関東から大型の若手先行選手となったのが吉田。昨年の競輪祭を優勝してから貫禄が見えてきました。関東の筆頭に立つのもありますが、地元開催のGIですから、ここに懸ける気持ちは強いと思います。この強い気持ちで優勝を目指すはず。是非注目してください。

原田研太朗 徳島 98期
16連勝を記録した原田。連続優勝で数えると5連続優勝と絶好調です。全日本選抜前の小倉FIで連勝はストップしましたが、全日本選抜でも大注目です。
2022年は原ケンの年に是非して欲しいと思います。

新田祐大 福島 90期
今年はGI優勝を狙ってくるだろうと思います。そしてその始めが取手全日本選抜。見せてくれるでしょうパワー全開のスピード競輪を。ガシガシペダルを踏んでバックストレッチをぶっ飛んでいく競走スタイルは見るものを奮い立たせる何かがあると思います。是非ご観戦ください。
第37回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)展望
 第37回全日本選抜競輪が5年ぶり2度目となる取手競輪場で開催される。S級S班3人が揃った平原康多率いる関東勢が中心だが、新田祐大と新山響平を擁する北日本勢の機動力も強力だ。もちろんグランプリ覇者の古性優作のビッグ連覇も十分で、近況勢いのある中四国の若手を足がかりに復活を狙う松浦悠士と清水裕友の2人も侮れない。
平原康多が鉄壁の関東連係から優勝を狙う

平原康多 埼玉 87期
 平原康多は一昨年のグランプリでは脇本雄太の番手を選択し番手絶好の展開となったが、最終4角で清水裕友をブロックして内を空けてしまい5着に終わった。昨年のグランプリも関東3番手ながら吉田拓矢の先行で絶好の展開かと思われたが、先捲りの古性優作に切り替えることなく2着に終わった。ラインの結束力をなによりも大事にする平原らしい走りだったが、それが足枷になっているのも事実だ。平原は5年前の取手の全日本選抜では近畿ラインを分断して優勝しており、今回も鬼となって勝ちにこだわられるかどうかが勝敗の分かれ目になるだろう。

吉田拓矢 茨城 107期
 吉田拓矢は初出場のグランプリでしっかり主導権を取りきり自分の務めを果たした。赤板で前にいた郡司浩平が清水裕友を突っ張り、清水が後退し始めた瞬間を逃さずに仕掛けた走りはグランプリレーサーにふさわしい堂々たるものだった。昨年はGIで優勝が1回、準優勝が1回と誰もが認めるトップレーサーへと成長を遂げ、今年1月の立川記念も新田祐大、清水裕友、浅井康太らを下して優勝している。このタイミングでGIが地元バンクで開催されるのはまさに幸運としかいいようがなく、2度目のGI制覇が十分に期待できるだろう。

郡司浩平 神奈川 99期
 郡司浩平はグランプリでは関東ラインの分断か誰もこなければ北日本2人を連れての先行を考えていたはずで、赤板で清水裕友を突っ張って先頭位置を死守したのは作戦どおりだったが、想定より早く、ひと呼吸置く間もなく吉田拓矢が飛んできたために引かざるを得なくなってしまったのが一番の敗因だ。昨年の全日本選抜では深谷知広の先行に乗って2度目のGI制覇とラインの力で勝利したが、日本選手権決勝は佐藤慎太郎と連係、競輪祭決勝は単騎戦と南関東のラインで戦えずに終わっているだけに、今回は仲間たちと一緒に勝ち上がれる走りを目指してくるだろう。

深谷知広 静岡 96期
 深谷知広は昨年の競輪祭は二次予選Aで敗れたが、12月の伊東温泉記念決勝では新田祐大との捲り合戦となり、優勝こそならなかったが新田1着、深谷2着と新田に引けを取らないスピードを改めて見せつけた。さらに次場所の佐世保記念決勝では新山響平相手に打鐘先行を敢行して和田健太郎の優勝に貢献している。深谷もまたオールスターの決勝は南関東が1人だけで単騎戦を強いられた9着に終わっているだけに、今回の勝ち上がり戦では郡司浩平とともに南関東ラインを力強く引っ張っていくだろう。
グランプリ覇者の古性優作が近畿勢を引っ張る

古性優作 大阪 100期
 古性優作は単騎戦でグランプリ初制覇を成し遂げた。打鐘で関東ラインを追って4番手の位置を確保できた時点で勝敗が決したと言っていいほどの理想の展開だった。もちろん単騎の古性がすんなり関東ラインを追走できたのも、郡司浩平が古性との争いを避けて5番手に引いたのも、タテにもヨコにも強い古性がこれまでの戦いの中で積み上げてきた実績のおかげである。昨年のオールスターでは脇本雄太の番手でGI初優勝とラインの力も実感しており、今回は不在の脇本の代わりに古性が近畿勢を引っ張っていくだろう。

寺崎浩平 福井 117期
 寺崎浩平はヤンググランプリでは大事を取りすぎたのか終始9番手の最悪の展開となったが、それでも最後は3着に突っ込んできており潜在能力はやはり高い。直前の伊東温泉記念の準決では先行して2着に粘り村田雅一とワンツー決着と調子もいい。その走りがビッグレースでもできれば今年はきっと大化けしてくれるだろう。今回の近畿は機動力不足が否めないだけに寺崎の責任は重大だ。そのブレッシャーに押し潰されるようならそれまでの選手としか言いようがないが、スピードは抜群なだけに今回はきっと大活躍してくれるはずだ。

新田祐大 福島 90期
 新田祐大はグランプリ出場のラストチャンスだった競輪祭は準決で敗れたが、12月の松山記念は準優勝、次場所の伊東温泉記念は深谷知広との捲り合戦を制して優勝とさすがに強い。全日本選抜は18年の四日市大会以来の出場となるが、四日市大会では2段駆けの近畿ラインを単騎で捲って優勝している。その前年の取手大会では決勝は3着だったが、冬場の重いバンクで誰もが12秒台前後の上がりタイムで苦しんでいる中、新田だけは11秒0や11秒2をマークしており、今回も快速捲りでグランプリ一番乗りを狙ってくる。

新山響平 青森 107期
 新山響平は競輪祭決勝で逃げて2着と大健闘だったが、同期の吉田拓矢に先を越された悔しさを滲ませていたのが印象的だった。タイミングがちょっと違えば新山の逃げ切り優勝もあったのだから、その思いはなおさらだろう。しかし、共同通信社杯、寛仁親王牌、競輪祭と3大会連続の優出は本格化の印だし、今最もタイトル近い男の1人であることは誰もが認めるところだ。競輪祭のあとも12月の佐世保記念では準決を1着で突破して優出と好調を維持しており、今回も北日本勢の援護を受けて突っ走ってくれるだろう。
松浦悠士がラインの力で完全復活を目指す

松浦悠士 広島 98期
 松浦悠士と清水裕友の中国コンビはグランプリでは清水が前回りとなったが、勝負どころで郡司浩平に突っ張られて下がってしまい、打鐘では最悪の8番手と現在の2人の調子と力を反映する結果となってしまった。それでも中国地区には取鳥雄吾や町田太我といった頼もしい後輩たちがいるのでやはり軽視はできない。松浦と清水は一時的に調子落ちになっているが、昨年前半までは2人で競輪界を席巻してきた実力者だけに後輩たちとの連係から勝ち星を重ねていけば近いうちにきっと完全復活を果たしてくれるだろう。

町田太我 広島 117期
 町田太我はヤンググランプリでは迷うことなく先行勝負に出るも北日本コンビに番手に入られて6着に終わったが、先行意欲の高さを全国にしっかりとアピールできた。直前の広島記念では準決が松浦悠士を連れて逃げてワンツー、決勝もおなじくワンツーで松浦を優勝に導いている。取鳥雄吾も競輪祭では優出こそならなかったが、郡司浩平、古性優作らを相手に松浦悠士を連れて逃げて松浦の1着突破に貢献している。一次予選2では平原康多の猛追を振り切っての堂々の逃げ切りも披露しており、今度こそのGI初優出が期待できるだろう。

北津留翼 福岡 90期
 九州ではやはり北津留翼に期待したい。昨年の競輪祭の二次予選Aでは深谷知広相手に先行し、平原康多の捲りも振り切っての逃げ切り。さらに準決では4番手から先捲りの新田祐大を7番手からの捲りで捕えて園田匠とワンツーを決めている。通算4度目となるGI決勝では経験値の差が出て大敗したが、7車立てのFIだけではなく9車立てのレースでもしっかり戦えることを証明してみせた。12月の伊東温泉記念でも準決で深谷知広を下して1着を取っており、今回も切れ味鋭い先行・捲りで勝ち上がっていくだろう。

浅井康太 三重 90期
 今回の108名の出場予定選手を地区別に見ると最多は北日本の21名だが、最少の中部は6名しかおらず、今回も苦しい戦いを余儀なくされそうだ。それでもエース格の浅井康太は近況上り調子で、本来の強さが戻ってきている。昨年の競輪祭は準決で敗れたが、直前の四日市記念は準優勝、年明けの立川記念も準優勝と健闘している。立川記念の決勝は8番手の展開となったが、最終ホーム過ぎからすかさず仕掛けて番手捲りの新田祐大の後位に収まり、ゴール前で交わして2着と動きもよく、今回も浅井らしい一瞬のチャンスを逃さない自在な走りで活躍してくれるだろう。
思い出のレース
2017年 第32回大会 平原康多
平原康多が4年ぶり2度目の全日本選抜制覇
 平原康多-武田豊樹-諸橋愛-神山拓弥の関東4車が前受け、単騎の新田祐大と浅井康太が続き、7番手に三谷竜生-稲垣裕之の近畿コンビ、最後尾に単騎の和田健太郎で周回を重ねる。青板3コーナーから三谷が上昇、平原を抑え込むようにして並びかける。そのまま打鐘前まで進み、三谷が誘導を降ろして主導権を握る。平原はいったん下がりかけるが、近畿コンビに和田と浅井が続いているのを確認してイン粘りに出る。三谷は最終ホームからスパート、平原と稲垣の番手の取り合いはなかなか決着がつかず、9番手にいた新田が前団のもつれを見て反撃を開始する。最終1コーナーで平原が稲垣を捌いて番手を取り切るが、その横を新田が猛スピードで通り抜けバックで捲り切ってしまう。すかさず平原が新田を追い、武田が続き、その後ろに2コーナーから踏み上げてきた浅井が迫る。そのままの並びで最後の直線に入り、ゴール前で平原が新田を交わして優勝、武田が2着、外を踏んだ浅井は届かず新田が3着に入る。
バンクの特徴
冬場はバック向かい風が多くバンクも重い
 周長は400m、最大カントは31度30分25秒、見なし直線距離は54.8m。直線の長さもカントも標準的で、走路もクセがなくて走りやすく、どんな戦法でも力を発揮できるので力勝負の決着になりやすいバンクだ。
 ただ利根川が近いので冬場は冷たい風の吹く日が多くバンクは重くなる。17年2月に開催された第32回全日本選抜競輪の2日目には終日風速6mの強い風が吹いていた。そんな悪条件の中でも12Rのスタールビー賞では地元の武田豊樹が平原康多の捲りを差して11秒0の上がりタイムをマークしているが、その他のレースはすべて11秒台後半か12秒台のタイムで決まっている。
 ちなみに第32回大会の決まり手を見てみると、全47レース(1回の2着同着を含む)のうち1着は逃げが7回、捲りが14回、差しが26回、2着は逃げが5回、捲りが12回、差しが15回、マークが16回となっている。
 一見すると400バンクの平均的な決まり手のように思えるが、先手ラインの選手が1着を取った回数がほぼ半数の23回もあり、GIの大会では異例中の異例といっていいほど先行選手が健闘していた。
 風はバック向かい風の日が多く、セオリーどおりなら先行不利、捲り有利となるはずだが、冬場の取手はバンクが重くカントもきつくはないので、捲りはバックまでに先手ラインを捕えきれず、自身も向かい風を受けてスピードが鈍り先手ラインにまんまと押し切られてしまうというパターンが多い。
 捲りは400バンクでは最終2角からの仕掛けがセオリーだが、冬場の取手ではぎりぎりまで我慢して3角過ぎからの遅めの捲り追い込みに賭けたほうがいい。
 逆に先行は最終バックに入る前に叩き返されないように早め早めに仕掛け、バックを一列棒状で通過できれば簡単には捲られない。
 直線はとくに伸びるコースはなく、番手追走の追い込み選手が差し切るのが精一杯で、3番手、4番手からの直線強襲というのは少ない。ただ前団がゴチャついて空いたインに切り込んだ選手が伸びて1着や2着というケースが何度か見られた。

取手バンク