市田佳寿浩さんらしい切り口で競輪を語ってもらう不死鳥ノート。
今回は早期卒業の寺崎浩平選手(福井・117期)と菊池岳仁選手(長野・117期)について話していただきました。
彼らには勢いのまま突き進んでほしいですね!
-早期卒業の寺崎選手と菊池選手のデビュー戦を見た感想はいかがでしたか?
「まずは同県の寺崎君からですが、いたって冷静で、今まで自分がアマチュアから見てきた寺崎浩平がそのままレースに出ていました。しっかり勝ちを意識した走りだったなという評価です。これは菊池君にも言えるんですけど、早期卒業で非常に注目されていたと思いますが、そういった中で、走り方、見せ方などファンの皆さんの目にはどう映ったかということで興味深かったかと思います。けど、そういったプレッシャーの中でも冷静な勝ちを意識したレースができていたのではないかと見ています。でも、寺崎君に関しては、本当のところもっともっと強いんですよね。初戦はああいう勝ちを意識した走りになりましたけど、能力的には非常に高いものがあって、まぁ、そうじゃないと早期卒業できないんですけど、だから、非常に能力は高いと、これからA級1、2班、S級にあがっていくうえで、彼の能力は、レベルに応じて走れていくのではないかと思います。これから2戦、3戦としていくうえで真価を発揮していくことでしょう。
菊池君に関して言えば、菊池君も高校の時から少し知っているんですけど、寺崎君とは対照的に1戦目から全力疾走でしたね。これは対照的というか、菊池君は競技歴も少ないですし、養成所でいくら練習していたとはいえ、注目を浴びてのデビューでしたから、非常にプレッシャーを感じる中での2周先行でした。チャレンジ戦とはいえ、なかなかできることではないですよね。これも素晴らしいレースだったと思います。菊池君も能力的に素晴らしいものがありますから、S級に見慣れているファンの方からすれば『こんなものか』と評価している人も多いと思うんですけども、養成所のレースじゃなく本番のレースで、しかも結果を求められての中でと考えれば、2人とも評価できるんじゃないかと思います」
-2人のレースを見て、メンタルやダッシュなど どこを特に注目しましたか?
「メンタルは、寺崎君は今までの競技歴もありますから、競技のケイリンもやってきた経験もありますし、1戦目ではありますけど充分に通用するものを持っていると思いました。菊池君の方はメンタル的にはまだまだ若さが出ていないという印象でしたね。
印象的だったところは、菊池君の方は技術的には荒いなりに2周しっかり踏み切ってくる、ゴール前でもたれることなく踏み上げていたし、力をしっかり出していましたね。寺崎君の1戦目を見る限り能力の半分も出ていない感じでした。もっともっと能力は上です。菊池君も1戦目でこれですから、2戦目、3戦目、そして上で戦っていく中でムダなものをそぎ落とされて、きれいにスピードを発揮できる、そういう選手になっていくと思います。まだまだ走りは若いと感じました」
-市田さんから見て、寺崎選手はどんな人物でしょうか?
「非常に探究心、向上心のある、言葉は悪いですが自転車バカですね(笑)。自転車の好きな好青年です! なんでも気になることは調べますし、その時の目が輝いているんです。それは菊池君も一緒なんですけど。寺崎君は地元にいた時から知っていますけど、そういったことに時間を惜しまない選手ですね」
-それは一流選手になる素質は十分にあるということですね。
「そうですね。これも変に誤解を与えるような言い方ですが、一流の選手はどこかが変なんですよね(笑)」
-一線を突き抜ける感じですね。
「やっぱり違うんですよね(笑)。寺崎君は最初からどこか違う感じはしました。逆に、それをどういう風に感じられるかは難しいというか、トップアスリートになれば誰も通るというか、賛否両論あっていいと思いますが、なんというか自転車バカです!(笑)。面白い子ですね!」
-早期卒業のシステムに関しては、いかがですか?
「我々の時代は競輪学校でしたが、10か月、1年間学ぶということもあったんですけど、近年、報奨金制度もあり、早期卒業もできました。競輪界が何を求めているかというとスター選手候補を欲しているわけなんですよね。私の時代は、デビューすれば西には吉岡稔真さんがいて、東には神山雄一郎さんがいて、上を見れば鈴木誠さんらがいて、その時代をリードするスター選手がいました。そういった選手たちの候補生になってほしいといえる取り組みで、注目度はバツグンですからね。そういう意味では2人のプレッシャーは半端ないですけども、その中でレースの見せ方、見え方、内容、選手としての資質、そういったものも問われるのかなっていう気はします」
-2人にはかなりプレッシャーは大きいわけですね。
「でも、それは選手としては考えなくていいかなとも思います。自分も在校ナンバー1で卒業して注目されましたけど、でも、そういった注目される程度で見せ方や内容などがこなせないようなら、S級やGIでは勝てませんからね。けど、それはそこを走ってきたからこそそう思うんであって、当事者はそんなことは考えられませんから。そこはもう追い風に乗って、能力はあるんだから勢いに任せてやるだけと、そういう風に思いますね。選手として、勝ちを意識するのは当たり前だし、勝たなきゃいけないものですから。これで2戦目、3戦目をどう戦っていくのか、どう評価されるのかは楽しみですね。求められているのは、この時代のスター候補生なので、見せ方、資質、色んなことが歴代のスターの先輩に追いつけるように、追い越せるように、そして、S級S班の中に入ってほしい。それがファンサイド、関係者サイドからの目線であります。本人たちにはぶれることなく突き進んでほしいですね!」