18連勝でS級に特進を果たし、S級初優勝も果たした寺崎浩平選手(福井・117期)。菊池岳仁選手(長野・117期)も連勝は止まってしまったが、一生懸命に先行しています。そんな彼らを市田佳寿浩さんはどんな風に見ているのでしょうか?
そして、初めてガールズケイリンコレクションに出場する弟子の柳原真緒選手(福井・114期)にどんな走りを期待しているのか話してもらいました。
自分たちの走りたいように走って、経験を積み、そして競輪道をいってほしいですね
-寺崎浩平選手の18連勝S級特進を見て、いかがでしたか?
「競走の内容の変化もしてきているし、色んな先輩たちの取り組みとか考えて、18連勝までやってきたという感じでした。
力的にはそれだけのものを持っているという評価はデビュー前からしていましたけど、18連勝に向かって勝つために、とことん集中していたように思えます。中には途中でつまずくこともあるとは思いますが、段々いい意味で絶対に勝ちたいというレースになってきたし、お客さんもそう望んでいることでもあります。『この選手の走りを見たい』と思わせるスター性、これはもちろん菊池(岳仁)選手にもあります。そこは早期卒業の制度によって後押しされている部分もありますが、2人とも勝っても負けても、この制度はよかったと思います。
寺崎選手のことを言うと、よくS級ではどうだろうと聞かれます。もちろんS級では番手の選手は皆ついていくと思います。予選は、まだ(A級と)同じくらいのメンバーだったりもするので、まだちょっと評価しづらいですが、準決、決勝となると他地区の本命とあたるので、先行でいってもラインとしての機能が果たされるので、前に踏むことだけに集中できる。そうするとチャレンジ戦やA級戦で行われてきたような自分で全てやらなきゃいけないというようなことはないと思います。もちろんS級ですでに活躍している本命級の選手たちと戦うわけですから、全力で力を注がないと負けます。
あとは後ろのライン戦ですからね。もちろんチャレンジ戦でも最初はやろうとしていましたけど、力が違い過ぎるから、弱いなっていう評価になったわけですよね。今、真価が問われているけど、対戦相手とともに凌駕していく、これは菊池選手も一緒で、勝って凌駕する場合と負けて凌駕する場合の2パターンありますが、見ていてわかると思いますけど強いです。すでにS級で走って決勝にいける(だけの力がある)2人。取り組み方、考え方で少し出遅れただけの菊池選手ですが、それでも先行で頑張っています。S級にいって力を試そうと考えたのが寺崎選手という感じですね。
もちろん菊池選手のように先行するのもありだと思いますね。相手も菊池選手に出られたくないから先に仕掛けるわけだけど、それでも菊池選手は巻き返しにいっています。S級ではそういうレースが当たり前ですからね。タイミングが合わなければ、逃がしてもくれないですから。だから、皆が苦労するのだから。菊池選手も勉強しているし、寺崎選手もそれは十分にわかっている感じだと思います」
-菊池選手についてはいかがですか?
「早期卒業という取り組みで、連勝を重ねてほしいと周りは思っていますが、彼らにこれをやっちゃいけないということはないはず、どんどん先行して、自分を試していってほしいです。どんどん先行して、自分を試して、修正していくを繰り返す。なんら皆と変わらないですよ。ただちょっと皆より早くデビューしただけで、強くなるので心配しなくて大丈夫だと思います。やっぱりあの豪快な走りを見ていたら買いたくなるし、応援したくなりますよ。あの走りで負けても誰も文句言えないですからね。だからこそ集中して勝ってきたと僕は分析します」
-2人の競走センスはどうですか?
「正直、寺崎選手にはありますけど菊池選手は、まだですね。菊池選手は経験をもとに自分の能力を照らし合わせきれていないだけだと思います。早くS級で先行してトップスピードを体感として取り入れることだと思います。
自転車の使い方も、寺崎選手の方が上です。それは大学に行って、自分で自転車の勉強をした時間が比例していると思います」
-これからどう磨かれていくかですね。
「そこが面白いですよね!人が『こうやって走ってくれ』って言うからってそういう風に走るわけじゃない、本人がやりたいように走るだけですから。アドバイスするなら、自分のやりたいように、行きたいように走りなさい。迷ったりしたら、正直に強さだけ求めてやればいいですよ。今は決して人のためにとかは、いらないですね。自分で先輩たちとコミュニケーションを取りながら、自分の中の競輪道を行ってほしいと思います。」
-弟子の柳原真緒選手がガールズケイリンコレクションを走りますが、どんな走りを期待したいですか?
「やっぱり先輩たちは状況判断やレースセンスが優れているので、あの子はそういう意味では一歩も二歩も遅れていると思います。ちょっと淡泊すぎるといえば淡泊だし、経験値がないといえば経験値がないですから、フィジカル的なものは、追いつきつつあるとは思いますが、昨年の後半に鎖骨を折ったのが少し遠回りになりましたね。でも、よく乗れたなというか、こんなに早く乗れると思ってなかったです。努力はしているので、デビューして3年で乗れたらいいなとは話はしていたけど、ここで乗れましたからね。あとは自分の力を出せるかどうかですね。皆、なかなか力を出せずに終わるものですからね(苦笑)。そりゃそうですよ、歴代のチャンピオンがそろっている中で簡単には勝てないですよね。けど、順番に自分を積み重ねていって、ガールズグランプリに乗ることを目標に経験値を増やしていって頑張ってほしいと思います」
PROFILE
市田 佳寿浩 (いちだ かずひろ)
福井 76期 2018年12月13日に引退
【通算成績】
2010年寬仁親王牌優勝・2010年西王座戦優勝・2006年サマーナイトフェスティバル優勝
GIII優勝14回 通算優勝数65回
1着451回 2着278回 3着184回
勝率26.8% 2連対率43.4% 3連対率54.3%