月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
真夏の祭典オールスター競輪(GI)が終了し、中四国ラインを足掛かりに脇本雄太(福井94期)とのサイドバイサイドのバトルを制した松浦悠士(広島98期)がGI2勝目となる優勝を遂げた。
これで今年の獲得賞金は1億円を超え、年末に行われるKEIRINグランプリ2020での獲得賞金2億円越えも現実味を帯びてきたと言える。
松浦選手にとっては、
あとは中四国から1人でも多くのレーサーをGPに送り込めるかが焦点になってくるだろう。
さぁ名古屋オールスター競輪を軽く振り返ってみる。
連日35℃を超える気温に参加選手はかなりデリケートなコンディショニングが求められた5日間となった。
つんざくような紫外線は、通常ならば皮膚を通しパフォーマンスにある程度の悪影響を及ぼすはずなのだが、とにかく今シリーズはハイスピードバトルと化した。
上がりタイム(ラスト200mのタイム)は10秒台が連発、
中には10.4と言うレースもあったのだから完全に新しい競輪が始まったと言えるだろう。
スピード無き者は淘汰される。
そしてそんななか圧倒的な存在感を発揮し続けたのはやはり脇本選手だ。
ドリームレースを単騎で逃げ切る選手など僕が競輪に携わっている間は絶対に現れないと思っていた。
今1番GIタイトルに近い男と言えば郡司浩平(神奈川99期)である。
その郡司選手がサラ足(脚力を消耗していない状態)で脇本選手を1周半追走し、差し切る事が出来なかったのだ。
僕はレース後、郡司選手から発せられるコメント動画を注意深く見ていた。
『先行の番手でも差せなかった……』
画面に映る郡司選手は疲弊しきった顔で落胆し、自信を失っていた。
コメントの本質を僕なりに読み解くと、
(1周半すんなり番手を回って差せないのに捲くれる訳が無いだろ…)と語っているようにも思えた。
今GI勝利に1番近い男、郡司浩平の心をへし折ったのだ。
それだけ脇本雄太の脚力は暴力的で破壊的だった。
そして決勝……
その暴君脇本に対し中四国ラインは全員の力を集結させた総力戦を取った。
ご存知の通り結果は歴史的名勝負と言って良い結末を迎える。
原田研太朗(徳島98期)、松浦悠士と言うトップレーサーが脇本雄太に対し選択したレースはなんと二段駆け。
そう、もうそれしか無いのだ。
脇本選手に勝つには。
そして中四国ラインは勝利をモノにしたのである。
原田選手、松浦選手、柏野智典選手は脇本選手に勝つ方法を日本中に示した。
競輪と言うスポーツは常に進化し、
そして変化する。
絶対王者は未だ存在しない。
日本トップクラスのスピードレーサー複数人が力を集結し立ち向かわなければ対抗出来ない脇本雄太のようなレーサーが居る限り、ライバル選手達のモチベーションはMAXのまま保たれるだろう。
2020年も残すところGIレースはあと2つ。
脇本選手がバンクを支配し続けるのか……
新たなニューヒーローが出現するのか……
僕は期待に胸膨らませ待とうと思う。
PS:松浦選手優勝おめでとう。
今だけは大好きなボートレースとスイーツを堪能してください。