月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
2020年12月30日、競輪界は衝撃の結末を迎えた。
我が業界最大にして最高の祭典、競輪グランプリ2020にて優勝したのはなんと伏兵中の伏兵、和田健太郎(千葉87期)だった。
〝伏兵中の伏兵〟と言うのはちょっと失礼な言い方だったかもしれないが、僕は勝利者インタビューを担当していて直接感じ取ったのだが、和田選手自身まさか勝てるとは思っていなかったと思う。僕も様々な媒体に展開予想と狙い目を出させてもらったが、周りの解説者、新聞記者を含め和田選手を本命に推した人は間違いなく誰も居なかった。
堅実なマーク技術と確かな仕事っぷりの〝縁の下の力持ち〟タイプの選手だが2021年は誰もが憧れるチャンピオンジャージを着て競輪界のキングとして君臨する。これも競輪の面白さ、奥深さであろう。
さあ2021年の話にしよう。
ここ数年競輪界のスタイルや流れの変化、そして何よりシンプルにスピード化が進んできたが今年はさらに拍車がかかっていき〝スピード無きレーサー〟は淘汰されていくだろう。
これも時代の流れか…
そしてそんな中、僕が2021年注目するのはこの選手だ。
鷲田幸司(福井92期)である。そう、先ほど僕が言った〝スピード無き選手〟の代表格である(笑)
しかも御歳35歳になるベテラン選手だ。僕が競輪界に身を置いて20年以上が経つ。
その間『強く速い』選手は絶え間無く出てくるが、〝面白い〟選手はまったく出てこなかった。
そう、我が業界で面白い人間は絶滅危惧種なのだ。競輪界での貢献と言う意味は、何も競走成績に限ったことでは無い。鷲田の本質をついた歯に衣着せぬ言動。
思わず引き込まれてしまうSNS。常にファンを喜ばせようとするエンタメ力。
レースでは自力選手のダッシュによく離れて野次られてはいるが、いちど自転車を降りると、
(鷲田のTwitterいつ更新されるのかな?)と注目せずにはいられないスターなのだ。
強いだけの選手が多い中、
〝人を笑顔にさせる事が出来る〟と言う能力は偉大なのだ。
2021年、そんな競輪界の絶滅危惧種
鷲田〝イリオモテヤマネコ〟幸司から目を離す事は出来ない。