月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
大坪功一(福岡81期)さん

競輪は日々進化している。
50年以上も歴史があればそれは当たり前なのだが、同時にトレーニング理論や栄養学などは競輪競走以上に進化している。
今、ほとんどのトップ選手が取り入れているウエイトトレーニングなどは僕がデビューした25年前にやっている選手は少数だったし、練習でモガく時に使用するギア倍数は競走ギアより圧倒的に軽めで回転力重視だった。
今や練習で5.00(60×12)のギア倍数を使用する事も珍しくない。
さらには男子選手が競輪競走で使用する事が出来ない(今の所)カーボンフレームの自転車に乗ってである。
なぜそういう仕様で練習するのかは割愛するが、
その全ては論理的だし、競技者を納得させるエビデンス(根拠)もある。

〝乗り込み〟と呼ばれる練習がある。
その名の通り5km、100km、時には150kmほども自転車で走り込む。
この練習は身体的にも精神的にもキツく、やり終わったあとの充実感ときたらどの練習にも敵わないほどのメニューだ。

それが今や『効率の悪い練習』と言う競輪選手も少なくないのだ。

筆者のジムに100期以降の選手が複数人居るが先日その中の1人に相談を受けた。
内容はこうだ。

『先輩(練習仲間)が乗り込め乗り込めと毎日のように言うんです。競輪って3分で終わる競技なのに2時間も3時間も掛けてやる練習の意味ってあるんでしょうか?僕はそんな意味の無い練習はしたくありません』

と。

結論を言うと乗り込みにも当然意味がある。
この選手は〝練習内容〟が競輪で強くなる要素だと思っているかもしれないがその練習に意味合いを持たせるのは〝意識〟だ。
どんな練習にも意味合いを持たせる事が出来る。
まだまだケツ(尻)の青い新人選手だからと思いつつも近年は乗り込み練習をするトップ選手はめっきり減っているのでその言葉が完全に間違っているわけでは無いだろう。

時代に常にフィットさせる事が長く活躍する大きな要素と言える。



筆者の同期に大坪功一(福岡81期)さんと言う選手が居るのだが、その大坪さんは40歳を超えてから競輪のキャリアハイを迎えた。

常識ではなかなか考えづらい事だ。

筆者はその事について本人に聞いた事がある。

すると答えは

『ピラティスにハマってからだ』

と。

筆者は思わず、

『あの…OL達が仕事帰りにやるやつですか?』

と聞き返してしまった。

『身体の使い方や柔軟性なんかが増したんだよね~』

と語るその口調は実に滑らかだ。

競輪が強くなる方法は人それぞれなので、ピラティスにハマった事が大坪さんにとって大きな意味合いがあったと言うのは100歩譲って理解出来る。

しかし筆者は大坪さんに言いたい言葉があった。


しかしそれをグッと堪えた。


言いたくてたまらなかったがグッと堪えた。


しかし…


しかし…



やっぱ我慢出来ん!



大坪さん!


アンタ………


最初は絶対ピラティスの先生狙いで通ってただけでしょーが!!!!!



ふぅ……



大坪さんこれからも頑張ってください。