デュッセルドルフ通信 2006年9月12日
外国人にこんな強力な競輪サポーターが???

シングルスピードのバイクパーツ。シンプルな美しさがあります。
 こんにちは! 2016年のオリンピック、日本からは東京が立候補することに決まりましたね。1964年以来52年ぶり2回目の開催に向け、がんばって欲しいですね。お手並み拝見です。
 さて9月になってトラック競技本格シーズンの足音近づいているのが聞こえます。8月の終わりにはトラックのフランス選手権が行われ、ケイリン、スプリントの両方で伸び盛りの若手ケビン・シローがブルガンやトゥルナン、ボージュのゴールデントリオを押さえて1位だったという情報が入ってきています。本格的シーズンを前にまだ、調整中というところもあったと思いますが、シローはじめ昨シーズンから1kmTTなどで好タイムを出してきているフランソワ・ペルビスなど、どんどん厚くなるフランスの選手層には舌を巻きます。
 一方、オランダのテオ・ボスからは「日本から帰って少し休んだけど、今は来るべきシーズンに向けてとてもハードに練習しているよ」という頼もしい・・・というか恐ろしいメールが届きました。みんな本番モードを意識している雰囲気です。今から楽しみ!

 ところで、先日私のところに得体の知れないメールが舞い込みました。表題「Keirin questions」送信者「Keirin」ん~。どうしようかなぁ・・・最近ジャンクメールが多いんですよねぇ。「本物ロレックスよりロレックスっぽい!専門家も間違うコピー登場!」(んなわけないやろ!)とか、「今度いつ会えますか?マキより」(わかってても開けちゃいそう)とか「100% guarantee! skyrocketing stock !(百パーセント保証!爆騰株)」(長塚選手からのメールならソッコーで開けるけど!)なんてメールが毎日どっさり来るもんだから、仕分けが大変。一応、ウイルススキャンはしているものの、なんか開けるのを躊躇しちゃうんですよねぇ。でも、もし重要なことだったら困るし、とりあえず開けてみました。

 “Konichiwah”とはじまったそのメール。以下英文で私の名前は云々~という自己紹介のあと、日本の競輪について教えてほしいと、箇条書きでかなりマニアックな質問!例えばKEIRINグランプリの出場資格の話とか、びっくりしたのは「昔の競輪の映像を見たが誘導がいない。これはどういう形態のレースで、いつはじまったのか?今の形態になったのはいつか?」「KazukoTanakaという女性を知っているか?女子競輪があった時代の強いレーサーと聞いたが、彼女に関する情報が欲しい」(ん~。名前は知ってるけど、ちょっと昔過ぎて・・・すぴRitSの情報じゃダメ?)などなど、私でも自転車振興会の広報に確認しなくては答えられないような質問が続々・・・こんな質問正直言ってUCIからもされたことないんです。日本人ならまだしもドイツ人。しかも個人でこんな質問をしてくるなんてタダモノではないな?と思いつつ、日本のトラック競技にただならぬ関心をよせてくれているヨーロッパ人に私の知っている限りの情報は提供しようと思ったのでした。


ミニコミ誌。「自転車店一番」って、ナンバーワンサイクリングショップって意味かな?
 彼(あとから二人でやっていることがわかったので彼ら)の正体はドイツの首都ベルリンでカフェを開いている人でした。メッセンジャーやコアな自転車乗り達が集まるクールなカフェらしいです。その名も「KEIRIN」。ホームページもあって、これがまた英語ではあるもののドイツ人が作ったとは思えないコンテンツ!

 これは面白い!是非、そのうち取材しよう!と思っていましたが、メール交換をしているうちに私も行こうと思っていた自転車の見本市に彼らも行くということが判明!それなら、現地で会おうよ!ということになりました。


ゲーリー(右)とモー(左)。競輪に魅せられた外国人です。
 会ってみると、とても愉快なドイツ人、ゲーリーとモーの二人組。「ハジメマシテ。ワタシ、モーです。モーさんです。モーさん、モーさん、おすもーさん」という、きっとどこかの日本人が教えただろうと思われるベタなダジャレ入りの自己紹介で、挨拶してきました。

「車なんてダセぇ」という意味のステッカーが閉じこんでありました。
 彼らによると、ベルリンでもやはりトラックレーサー人気は盛り上がっているらしく、イケてる自転車乗りは、やはりシングルスピードバイク(トラックレーサーのように変速機なしで単一ギアで走る自転車)だと力説していました。そして、シングルスピードの自転車部品のニーズが相当あり、今度新しく会社を作って専門店をやることにしたんだそうです。

 その名も・・・「ユードウイン(誘導員)」パチパチパチ!ワァー!ヒューヒュー!!・・・ってかっこいいのかそれ?イケてるのかそれ?しかも見せられたロゴは紫色にオレンジ色のライン。そのうち、サイクリングウェア専門店「コーナー審判」とか作りそうな勢いですよ。


杉野社長と商談をする2人
 でも、日本の競輪にこんなに入れ込んでくれるなんてうれしいですね。彼らは手作りでコミュニケーション誌みたいなものも発行しています。そのなかには環境のデータを実際に示して車に乗るのをやめてもっと自転車に乗ろうというスローガンやトラックサイクリングのあるライフスタイルを提案するメッセージがいっぱい。見本市会場ではSuginoやMKSといったトラック競技用の部品に強いメーカーを訪れ、早速商売の話をしていました。ギアやクランクなど、トラックレーサーたちにも非常に信頼の厚い商品を作り続けるSuginoの杉野社長にお話をうかがったところ「最近はトラックバイク人気を肌で感じるようになった」とのこと。こうやってすそ野が広がれば、また強い選手もどんどん出てくることでしょう。

 カフェ「KEIRIN」とトラック部品の「YUHDOIN」については、今後、実際お店に行って取材をしてみたいと思っています。ゲーリーとモーの2人は年末には「KEIRINグランプリを見に日本にいくかもしれない」と言っていました。日本トラック競技の大切な宣教師ですから、もし年末、京王閣競輪場でメッセンジャーバッグを背負った二人の外国人を見つけたら、是非激励してあげてくださいね!

カフェ「KEIRIN」のHPはこちらhttp://www.keirinberlin.de/

 
 
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