シドニーレポート No.10
伴 達朗 記者

23/09/2000

マウンテンバイクXC女子 南部博子26位

 シドニー・オリンピック自転車競技は、一昨日トラック競技を終了。
 今日から2日間にわたって、マウンテンバイク競技が開催される。開催地は、メインスタジアムがあるオリンピック・パークから西へおよそ18km、フェアフィールド・シティ・ファームと呼ばれる丘陵地帯の牧場に造られた特設コースだ。
 小高い丘の斜面にレイアウトされたコースは1周6.9km。競技は、このコースを、今日行われる女子は5周、明日行われる男子は7周してそのタイムを競い合う。また、最初の周回のみ、スタートループと呼ばれる1周1.2kmの小さな周回コースが加えられ、総距離にして女子35.7km、男子49.5kmを走ることになる。

 日本からの出場選手は鈴木雷太、南部博子の2名。ともに今月17日にシドニー入りして最終調整につとめてきた。  昨日2人にレース前の心境を聞いた。

-鈴木雷太―
「6月の選考会以降、オリンピックに合わせて調整してきた。コンディションはベストに近い。コースも自分に合っている。ポイントは後半のスタミナだと思う。25位以内を目指したい。」

―南部博子―
「オリンピック出場が決まったのが1ヶ月ほど前で急なことだったけど、その時の調子をここまで維持するように調整してきた。体調はいい。コース前半にテクニックを要する部分があるので最後までそこで集中力が途切れないようにしたい。目標順位は設定していません。ベストを尽くしゴール後に後悔しないようなレースがしたいです。」

また、日本チームの三浦恭資コーチは、
「このコースは、前半は細かなテクニックを、後半は大胆なスピードを要するコース。日本選手は、このコースのようなスピードが出やすい乾いた路面にあまりなれていないので、外国選手のスピードについていけるかがポイント。」  と語った。

マウンテンバイク・クロスカントリー女子。出場選手は30名。注目は、今年の世界チャンピオン・スペインのマルガリータ・フリャナ,アトランタ・オリンピックのチャンピオン・イタリアのパオラ・ペッツォ,そして、カナダの実力者・アリソン・サイダーなど。

 午後1時のレース開始を前に、今年のUCIポイント・ランキング上位者から順に一人ずつ出場選手が紹介される。また、スタートもその順番で、1列8名ずつ中央から順に位置につく。26番目に紹介された南部のスタート位置は後方4列目の中ほど。

午後1時、気温21.8、湿度58%、快晴。大勢の観客が見守る中レーススタート。巻き上がる砂塵の中、30名の選手が最初のスタートループを回る。本コースに入れば、コースは狭くなり、抜きどころも少なくなる。スタート直後は、集団の中で、いかにいいポジションをとるかが最初のポイントとなる。またスタートが後方の選手は、ここで引き離されると、順位を上げていくのがより困難となる。1.2kmのスタートループを終わって、トップはUCIポイントランキングトップのスイス・ブラッター、続いてスペイン・フリャナ、そして、イタリア・ペッツォ。しかしまだそれほどの差はなく、後続選手も含めてほぼ集団で1周6.9kmの本コースへと入った。

 周回コース前半は、選手たちが口をそろえて「テクニカル」と評する難所が続く。細かなアップダウンがあるまばらな樹林帯を、縫うようにたどるコース。赤く乾いた路面には所々大小の岩が露出する。時折、スタート・ゴール地点に設けられた観戦用の大きなスクリーンに、ハンドル操作を誤り転倒する選手が映し出される。 前半の難所を乗り切ると、今度は、直線的に緩やかなアップダウンをたどる中盤。そして、若干のアップダウンと長い下りが特徴的な後半へと続く。中盤から後半にかけては、スピード,そしてそのスピードをコントロールするパワーが必要になってくる。 1周目のトップは、スイスのブラッター。ラップタイムは23分18秒28。2位は5秒遅れでフリャナ。3位・16秒遅れてイタリア・ペッツォ。南部はトップのブラッターから3分10秒遅れて28位で2周目に入った。

 レースが動き出したのは3周目以降。まず、それまでトップのブラッターを、2番手のフリャナが3周目中盤の直線的な長い登りで捕らえトップに立つ。
 そして、4周目。一時は4番手に順位を落としていた3位ペッツォが、やはり中盤の長い登りでスパートをかけ、前のブラッターを抜いて順位を上げる。ペッツォはここが勝負どころと見たのか、そのままハイスピードでトップを行くフリャナに追いつく。後半・岩がちの斜面の細い下り。前のフリャナが安全圏でコースをとったところを、ペッツォが一気に直下降でフリャナの脇をすり抜ける。不意をつかれ、バランスを崩して転倒するフリャナ。ペッツォもアオリをくって転倒しかかるが、すぐに体勢を立て直し再びスパート。立ち直りに時間がかかったフリャナは、後ろのブラッターにも抜かれて3位に後退。結局、レースはこの局面で勝敗が決定し、イタリアのパオラ・ペッツォが最終周回を力強いストロークで逃げ切り、2位ブラッターに27秒の差をつけて、オリンピック2連覇を果たした。

 健闘が期待された南部は、3周目を終わったところで24位まで順位を上げたが、4周目中盤で痛恨のパンク。その修理のために順位を落とし、結局トップから16分49秒遅れの26位でゴールした。

南部博子選手のコメント
「自分の持てる力を出し切ろうと思ってレースに臨みました。1周目はスピードについて行けずつらかったけど、2周目後半あたりでペースをつかみ、これで行けると思いました。  それからは、抜きつ抜かれつ自分でもいいレースをしていると思っていましたが、やはり4周目半ばでのパンクが痛かった。  他の選手が、何ヶ月も前からこのオリンピックのために調整をしてきている中、準備期間が1ヶ月しかなく、しかもパンクを抱えての16分遅れは自分ではよくやったと思います。悔いはありません。  今日この舞台で走れたことは、私の貴重な宝物です。」

T.BAN



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