シドニーレポート No.12 伴 達朗 記者
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26/09/2000 女子個人ロードレース 沖美穂41位 |
シドニー・オリンピックの開催も今日で12日目を迎えた。自転車競技は、トラック12種目、マウンテンバイク2種目の競技を終え、今日からロード競技4種目が行われる。 男女個人ロードレースは、オリンピックパークから東へおよそ26km、市の中心部に程近いセンテニアル・パークと呼ばれる広大な公園から、ブロンテ・ビーチを臨む海岸線に設定された、1周17.1kmの周回コースがその舞台となる。 今日行われる女子はこのコースを7周回、明日の男子は14周回でレースが行われる。総距離にして女子119.7km、男子239.4kmとなっている。 出場する日本選手は、女子・沖美穂,男子・阿部良之の2選手。日本は30日に行われるタイムトライアルにはエントリーがないため、この個人ロードレースがオリンピック自転車競技最後の日本選手出場種目となる。 沖、阿部の2選手は9月22日にシドニー入り、2日間のコース試走を含め最終調整につとめてきた。
日本チームのコーチをつとめる高橋松吉氏によると、 とのこと。大きな登り下りがあるブロンテ・ビーチ沿いの道では、風がレース展開に影響を及ぼすことが予想される。また、風が強ければ、カーブが多い公園の中の平坦道も、風向きの影響で集団の中切れを生みやすくなる。選手個々が持つスピードと体力、そして風に対する計算が勝敗の行方を左右する。 午前10時のスタート時間が近づく。今日のシドニーは、朝から厚い雲に覆われ、午後には雨の予報も出されている。またオリンピック開幕時の肌寒さが戻り、午前9時現在で気温16.7度、湿度81%。時折、南からの冷たい風も吹きつける。 スタート10分前。紹介アナウンスとともに、57名の出場選手が続々とスタート位置につく。沖の位置は最後列中ほど。チームメカニックの藤原氏から声をかけられ緊張気味の顔がほころぶ。 午前10時、上空の中継ヘリコプター数機が、けたたましい音をたてて飛び交う中、女子個人ロードレースがスタートした。 レース序盤は目立った動きもなく集団走行が続く。風の影響か、仕掛け所となるブロンテ・ビーチ前後の登りでも、各選手様子見の状況が続く。沖も集団の中盤から後方に位置取り、機を待つ。3周目に入ったあたりでポツポツと降り出した雨は、4周目に入ると強風を伴い雨脚を強めてきた。それと同時にレースが動き出した。 4週目・5周目とアタックの数が増え、周回ペースが上がる。そして6周目、周回前半からスイス,リトアニア,オーストラリアなどの効果的なアタックが繰り返され、これまでひとかたまりだった集団が崩れだす。しかし、決定的な展開はまだ生まれない。残り1周のホームは、一時的に収束した30名ほどの集団で通過する。 この周回沖はコース前半の長い下りでタイヤをスリップさせて転倒。その影響で集団から1分17秒遅れてホームを通過した。 最終周回、激しい主導権争いが繰り広げられる。最初の登りでフィンランドがアタック。これにスペインがついて逃げの態勢に入るが、やがて吸収。ブロンテ・ビーチを過ぎた下りで、今度はドイツがアタックをかけるが、これもやがて吸収。その後一時は小さなアタックから12名のトップグループが出来るが、残り5km付近で吸収。再び30名ほどの集団でゴールを目指すこととなった。 そしてゴール前の直線勝負。最初に仕掛けたのはリトアニアのジリウテ。その後ろにオランダのメルヘルス、ゼイラートと続く。メルヘルスはゴール手前およそ100mで先頭を取りきってエース・ゼイラートを引っ張る。そして、メルヘルスのスピードが落ちたところでゼイラートが抜け出し、栄光のゴールラインを駆け抜けた。 ゼイラートは、トラック種目・3km個人追抜きに続き、2つ目の金メダルを手に入れた。6周目の転倒で遅れをとった沖は、結局ゼイラートと6分9秒差の41位という成績だった。
沖美穂選手のコメント T.BAN |
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