ワールドカップ第2戦マンチェスター大会レポート
 
配信日:12月12日
 
 
■12月11日(3日目) 天候 快晴 気温7℃ 観客数3000人

 大会最終日の今日、日本が出場する種目はチームスプリントとインターナショナルケイリンイベント。
まず、午前中にインターナショナルケイリンイベントの予選が行われた。
インターナショナルケイリンイベントが行われるのはこれが2回目、少しずつ定着してきているのか、日本の競輪の勝負服を着て来場している観客の姿もあった。昨日まで客観的にレースを見てきたケイリンチームも今日は別人のように引き締まった顔に変わっている。
競輪ユニフォームで観戦
<競輪ユニフォームで観戦>



 今回から、エンターテイメント性を増すため、出走メンバーおよびコースはすべて発走直前のくじ引きによって決められる。
「メンバー決まってすぐ走るんじゃ、こりゃ作戦もクソもないなぁ」日本人選手から苦笑いが漏れる。
第1ヒートはイギリスのクレイグ・マクリーンとロス・エドガー、スペインのホセ・アントニオ・ビラヌエバ、チェコのイバン・ブルバ
、ウクライナのアンドレイ・ビノクロフ、スロバキアのジャロスラフ・ヤラベックに日本の金子貴志という組み合わせ。金子は発走直後から5番手で周回していたが、ペーサーの後ろを走っていたマクリーンがペーサー退避と同時に一気にスパートし逃げ体制に。金子は猛烈なスピードアップに5番手のまま追走するのが精一杯。5着で敗者復活戦にまわることとなった。

出走の抽選をするUCI会長、パット・マックェイド
<出走の抽選をするUCI会長、パット・マックェイド>


 第2ヒートは日本人のいないヒートとなった。
プランスのミカエル・ブルガンとアルノー・トゥルナン、スイスのセドリック・ストーラー、スペインのホセ・アントニオ・エスクレド、オランダのテアン・ムルダー、オーストラリアのライアン・ベイリー、マレーシアのジョサイア・ヌグ。ペーサー退避を待っていた5番手エスクレドが絶妙のタイミングで前へ出るがその上をトゥルナンが必死にもがいてトップに立つ。最終4コーナー過ぎで力尽きたトゥルナンは冷静に後ろにつけていたエスクレドに差される形で1着を譲った。



 第3ヒートには稲村成浩、渡邉晴智、荒井崇博と、なんと日本人が3人。後の4人はオランダ、テオ・ボス、イギリス、クリス・ホイ、ドイツのヤン・ファンアイデン、オーストラリアのシェーン・ケリーというメンバー。
日本は稲村・荒井・渡邉と3人並んでペーサーのすぐ後ろを周回、ペーサー退避のタイミングでホイが前に出てくる。日本人ラインはホイを一度前に出して踏み直しを図ろうとするが、その外をボスが一気にダッシュ。ホイの後ろを走っていたケリーも反応し、ボスを追走。ボスが1着、ケリーが2着となった。日本人ラインは一瞬の遅れで残された形となり、荒井が4着、稲村が6着、渡邉が7着となって、敗復まわり。

チームスプリント発走前
<チームスプリント発走前>


 続く敗者復活戦は1組目の渡邉晴智が4着敗退。2組目に出走した荒井は、ペーサーの後ろの位置を取るためフランスのトゥルナンと並走しに行くとトゥルナンからけん制され、これに応じて外から押し込んだところ、報復を予想していなかったトゥルナンは大幅に内に押し込まれる形となり、結果として荒井は失格となってしまった。
3組目は稲村と金子が同乗。他の選手はビノクロフ、ブルバ、ヌグ。コースの関係で後方からのスタートとなったが、金子・稲村が車を上げると、前方を走っていたヌグが車を引き日本人ラインを迎え入れる。ペーサー退避直前、ウクライナのビノクロフがたたみかけるように前に出るが、金子が突っ張る。稲村を引っ張ったかたちになった金子は力尽きて後退するも、稲村が金子の勢いを無にせず堂々の一着。2回戦に駒を進めることになった。

出走を待つ日本ケイリンチーム。なぜかそのなかにフランス、トゥルナン。
<出走を待つ日本ケイリンチーム。
なぜかそのなかにフランス、トゥルナン。>

 2回戦、稲村はペーサーの後ろにつけ、上位を狙うが最終的には6着となり7-12位決定戦にまわることとなった。その7-12位決定戦の出走はエスクレド、ホイ、ケリー、エドガー、ファンアイデン、稲村という面々。稲村はペーサーの後ろにつけたホイの後ろにつけて周回。エスクレドがいつものようにペーサー退避直前に前にかぶせて稲村は3番手で、残り2周目をまわる。最終コーナーで他のライダーが外へ行ったため、稲村は内をつこうとするが、外側のほうが勢いがあり、5着。2年連続で日本人選手最高位は11位となった。

7-12位決定戦を前にチーム全員で作戦会議
ケイリンイベント7-12位決定戦
<7-12位決定戦を前にチーム全員で作戦会議>
<ケイリンイベント7-12位決定戦>


 決勝メンバーはテオ・ボス、テアン・ムルダー、ミカエル・ブルガン、クレイグ・マクリーン、ジョサイア・ヌグ、ライアン・ベイリー。
ボスが早いうちから前に出て粘るが、やはりこれだけのメンバーになると逃げ切ることはできず、よい位置をキープしていたブルガン、マクリーンが差して1着、2着。ボスは3着に残った。
ミカエル・ブルガンは昨年に引き続き、2度目の優勝。「TWO TIMES CHAMPION!」と声をかけられ、笑みがこぼれた。

ケイリンイベント表彰台
<ケイリンイベント表彰台>

 11位になった稲村のコメント「みんなのアシストのおかげでなんとか上に行けました。スタートが外枠ばかりでちょっと不利でした。250mバンクの感覚を忘れていたので何度も走ればもっといけると思います。距離の短いバンクはちょっとしたタイミングで1度失敗するともう巻き返しがきかない難しさがありますね。でも、日本の競輪とまた違った緊張感があって楽しかったです。もしまた呼んでもらえれば是非参加したいです」

  一方、ワールドカップ本戦、チームスプリントは濱田・成田・及川で挑んだが、記録は46″794で16チーム中9位。この種目を得意とする日本としては不満足な結果に終わった 。

チームスプリント
<チームスプリント>


 今回はモスクワ大会に比べると休んでいた強豪が出てきて、全般的に力負けの印象が強い。日本の競輪と国際大会という二足のわらじを履く日本チーム。確かに国際大会は競輪とはおよそ違う競技といってよい。
国際大会用の練習をしたくても、本番さながらの練習ができるバンクは日本にはほとんどない。しかし国際大会で成績をあげることがチームの使命。このようなジレンマをかかえながらも国際大会は次から次へとやって来る。

 思うにまず必要なのは、エンジンのパワーアップ。力で負けては土俵に上れない。パワーアップは必ず日本の競輪でも役立つはず。テオ・ボスは日本の競輪でも強い。


 
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