10-11ワールド・カップ第4戦マンチェスター大会
 
配信日:11月8日
 
 
■2月18日(金)開催初日 天候:曇り時々晴れ 気温6度


 いよいよ戦いの幕が切って落とされることとなった2010-11シーズンのワールド・カップ最終戦。この日は午前9時競技開始の終了予定時刻が午後10時半という長丁場。平日のしかも午前中からの開始ということもあって、観客席には空席が目立つが他会場と比べれば上々の入り、やはり盛り上がりも他会場とは違う。おそらく夜にはかなりの入りとなるだろう。
 その夜のメインとなる種目、初日の今日は男子スプリント。地元の英雄クリス・ホイが登場するこの男子スプリントの予選がこの大会の幕開けを告げることとなった。この種目には49人がエントリー、このうち本選に進めるのは16人と3分の1以下の狭き門。日本からはナショナル・チームからの新田祐大が5番目、シクロ・チャンネル・トーキョー(CCT)・チームからの柴崎淳が17番目、成田和也が22番目、北京では脚の痛みから振るわなかったものの、メルボルン、カリと連続4位、ここに乗り込む前もアジア選手権で中国のチャン兄弟を続けて下して金メダルを獲得した北津留翼がワールド・カップ・リーダーのシローの前、ホイの後ろの48番目、最後から2番目のスタートとなった。狭き門になんとか食い込んで本選出場を目指したかった日本勢だったが、新田は10秒492の26位、柴崎は10秒724の38位、成田は10秒943で43位と予選通過はならなかった。北津留はコーナーに置かれたパッドを4コーナーで踏んだことにより減速してしまい、10秒325と自身としては不満の残るタイムであったが、12位のタイムとなり予選を通過した。
   
   
コメント(北津留):「アジア選手権に行ったタイの終わりから腹の調子がおかしくて・・・その影響もあって、力が上手く入らないでバランス崩して内に入っちゃってタイムを落として・・・ちょっと腰が危ない感じもあるんで変な力を入れて腰を痛めないように気をつけないといけないですね。」
コメント(新田):「いつも前日はトラックに入んないんですけど、さすがに到着が遅くて自転車のセッティングも出来てなかったんで昨日は入ったんですけど・・・まあ、ハロンはあんなもんです・・・出ないんですよね・・・明日は1日トラック入んないで、最終日、チーム・スプリント、頑張ります。」
コメント(柴崎):「北京欠場となった落車の影響は無いってことはないんですけど・・・左っ側、結構打ったんで、あ、これは骨いっちゃったかな、と思ったくらいだったんで・・・でも骨折しなかったですし良かったです。でも、ハロンはなかなか結果が出ないですね。色々聞きながらやってるんですけど・・・突っ込む前の4コーナーでは9割から10割近く出さないと、って言われるんですけど、そんなことしたらすぐ終わっちゃいそうで・・・まだまだですね。」
 予選の200mフライング・タイム・トライアルを12位で通過した北津留の本選1回戦の相手はケイリン、スプリントでの成長も著しい5番目のタイムを出したオーストラリアのサンダーランド。内からのスタートとなった北津留、スタート後は先行、前に位置し後ろにサンダーランドを見る形となったが、2周目2コーナーで前に出たサンダーランドを後方外から追う形に。しかし4コーナー、ホーム・ストレッチに入ったところからサンダーランドの外を並走するところから一気に先行。前に北津留が出切った後、サンダーランドも食い下がるが結局は北津留が押し切り予選タイム上位を破って2回戦に進出。しかし、いつもはレース後に笑顔が見られる北津留だが体調不良からか、その笑顔が今回は見られない。
スプリント予選 新田
スプリント予選 新田
スプリント予選 柴崎
スプリント予選 柴崎

      
スプリント予選 成田
スプリント予選 成田
スプリント レヴィと対戦する北津留体調が良ければ・・・
スプリント レヴィと対戦する北津留
体調が良ければ・・・

   
 
 2回戦は予選を4位のタイムで通過し、秋に行われたヨーロッパ選手権のケイリンでの落車以来これが今シーズン初のワールド・カップとなるレヴィ(ドイツ)が対戦相手。1本目は外スタートとなり後方から。結局後方のままでホーム・ストレッチから踏み込んで加速していくも、コーナー部分でレヴィに合わされて1本目を落とすことに。内からのスタートとなった2本目は前からレースを進めていくもホームでレヴィに後方から先行され、結局その後も踏み切れず、2本連続で落とし、5-8位決定戦に回ることとなった。
 その5-8位決定戦、ムルダー(オランダ)、ダルメイダ(フランス)、チャン・レイ(中国)と骨っぽいメンバーとなったが、スタート良く先手を取った北津留、ホームからそのまま先行する体制となったもののそのまま後続の追撃を振り切り1着での入線。この大会での成績を5位として今シーズンのワールド・カップ、スプリントでの戦いを終えることとなった。今シーズンの4戦を戦い抜いてのワールド・カップ・ランキングはシローに続く2位であった。
 決勝は準決勝で同じような形、後方から攻めて最終2コーナーでは相手を捕らえる勢いで3コーナーでは完全に出切ってともに余裕のある勝ち方でレヴィを破ったシローと1本目はコーナーでの切れのある走りで差し切り、2本目は先行して直線追いすがられるも振り切って2本連取で予選2位のホイ(チーム・スカイ、イギリス)を破った同僚ケニー(チーム・スカイ、イギリス)の対戦となった。
 決勝の1本目は内側からケニー、外側からシローでのスタート。早めにペース・アップする展開となり、そのままケニーが先行するも、最終1コーナーではシローが早くも並びかけ、バック・ストレッチで交わしてしまうかと思われたところ、ケニーも内で踏ん張り、コーナー部分では完全に合わせる形になり、結果、差し返すような形で先着。まずはケニーが1本目先取。2本目は内側からシローがスタート。そのまま今度は先行したシローに対し3コーナーから加速、差し切りを狙ったケニーだったが直線届かず今度はシローが取り返す。1対1となった3本目も内側スタートがシロー。両者残り1周半のバック・ストレッチからスピードを上げ、ここもシローが先行する形に。やや仕掛けが遅いようにも見えたケニー、直線追いすがるもまたも届かず。1本目をケニーが制したもののその後2本を先行してものにしたシローがワールド・カップ・リーダーの意地を見せた。3位は1本目は先行して、2本目は差して2-0でレヴィを下したホイ。
 
決勝戦となったシローVSケニー
決勝戦となったシローVSケニー
今シーズン、ワールド・カップ3勝目のシロー
今シーズン、ワールド・カップ
3勝目のシロー

   
 
 初日、2日目で争われるのが男子オムニアム。この種目には今シーズン2度目のワールド・カップ出場となるお馴染みの盛一大が登場。人数多く36人がエントリーしたこの種目、2ヒート、それぞれ18名ずつに分かれて、それぞれ上位12名が本選出場となる予選がポイント・レース、60周15km、10周ごとの6つのスプリントで行われ、盛はヒート1への出場。
その予選、序盤から盛が動く。残り54周となったところで第1スプリントを狙いにいったのか、単独で集団を飛び出す。これをイナラン(トルコ)が追い2人での逃げとなった後、アーチボルド(ニュージーランド)ら3選手もこの2人を追う。そんな展開で迎えた第1スプリントは盛とイナランの争いとなったがイナランが先着、盛はここで3ポイント獲得となる。その後後ろから追いついた3名に更に1名を加えた6人での逃げとなるが、第2スプリント目指してスピードを上げた集団に残り40周で吸収されることとなる。その第2スプリント後、ラタイチェク(ポーランド)、ウラン・アローヤヴェ(コロンビア)ら前に出た4選手が逃げを打ち、周回遅れの選手が出てくる中、この逃げにコカール(フランス)、アーヴァイン(アイルランド)が加わっての6人が残り30週の時点でラップ。そんな中、盛は特段の動きをみせることなく、また道中もやや苦しそうな表情が続くことに。12位、予選通過ぎりぎりの状態で迎えた、最終スプリント、盛はスプリント争いに加わろうとするもののノー・ポイントの5番手で最終ゴール。この最終スプリントまで0ポイントだったジン・ロン(マックス・サクセス・プロ・サイクリング、中国)に1位通過を許してしまったため、なんと予選通過ならずという結果となってしまった。

コメント(盛):「んー。今日は何も言いません。(アジア選手権の疲れが残ってましたか?の問いに)んー、見てのとおりです。今日は何も言いません。ご覧のとおりです。」
 男子オムニアム、初日を終わっての成績はフライング・ラップ、ポイント・レースで1位を獲得、3種目を終えて合計6ポイントのワールド・カップ初戦、メルボルン大会の覇者、アーチボルド(ニュージーランド)が1位、2位に今大会での躍進目覚しい、エリミネイションを制し9ポイントのヴィヴィアーニ(イタリア)、3位にゲーム系の2種目をまとめたラタイチェック(ポーランド)が16ポイント、今シーズンのジュニア・チャンピオンのコカール(フランス)が21ポイントで4位、アジア選手権2連覇のチョ・ホソンが24ポイントで5位となっている。
盛らしくないのは本人が一番分かっている・・・
盛らしくないのは
本人が一番分かっている・・・


      
 
女子スプリント陣は充実メンバー
女子スプリント陣は充実メンバーまるで世界選手権のような雰囲気だった女子団体追抜
まるで世界選手権のような雰囲気だった女子団体追抜
ここマンチェスターのみの男子個人追抜
ここマンチェスターのみの男子個人追抜
 夜のセッションから行われたのが女子チーム・スプリント。中川、加瀬の順で挑むこの2人もアジア選手権からの連戦。21チームがエントリーしたここは、各国ほぼベスト・メンバーで勢揃いしている感があり非常に厳しいところ。日本チームは3組目、アジア選手権では3-4位決定戦に進めなかったが、この世界の舞台で更に経験を積んでいって欲しい。日本は3組目でトラック・チーム、NAVチームとの対戦。第1走者の中川のやや後方からスタートする形をとった加瀬。スタート後やや中川から離れる形となったが相手のNAVチームに先着し、タイムは36秒772、先着はしたものの他とのタイム差はあり、21チーム中18位の結果となった。
 決勝は予選1位の中国と2位のオーストラリアの対戦。前半はリードを奪った中国だったが第2走目のメアーズ(オーストラリア)が、予選には出ずに決勝だけにエントリーしたグオ・シャン(中国)との差をひっくり返し、予選のタイム33秒372から33秒017へタイムを伸ばしての優勝となった。

 女子団体追抜は予選1位のイギリスと2位でワールド・カップ・リーダーのニュージーランドが0.026秒差と好タイムな中での僅差の勝負となっており、好勝負が期待された中、ホーヴェンナゲル、ローゼル、ストーレイのイギリス・チームが予選の結果どおりニュージーランドに終始リード、3分19秒757で1.071秒差をつけて下して金メダルを獲得した。

 もう一つ行なわれた唯一ここマンチェスターのみで行なわれる男子個人追抜きは優勝を狙って突っ込んで入っていった予選2位、地元イギリスのトーマスが序盤はリードを広げていったものの、後半疲れが出たのか徐々にタイム差を詰められて、結局逆転を許し、デニス(オーストラリア)が4分15秒614で優勝した。
      
   
   
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