2016年トラック世界選手権 3月3日(木) 大会第2日レポート

配信日:2016年3月4日
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 4000メートル女子団体追抜予選に塚越さくら、上野みなみ(ともに鹿屋体大大学院)、梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸高)、中村妃智(日体大)のメンバーで臨んだ日本は、4分38秒394で最下位の13位に終わり、リオデジャネイロ五輪の出場枠獲得を逃した。予選をトップ通過した米国には20秒以上の差をつけられ、世界との差をまざまざと見せつけられた。
 1月のアジア選手権でマークした日本記録の4分34秒752の更新を目指したが、目標より4秒近く遅い低調な結果だった。最初の1000メートルこそ全体の10番目のタイムで通過したが、その後はペースを保てなかった。上野は「タイムを一定に保って走るのが課題。いつもは残り1キロをいかにキープするかだったが、今回は最初に突っ込んだ分、ペースダウンが早かった」と悔やんだ。直前に梶原がインフルエンザにかかって練習に参加できない時期もあり、チームとしての調整は万全だったとは言い難い。塚越は「なかなか4人で合わせる機会がなく、そういうところも大きかった。団体種目はいつもトレーニングを一緒にやっていかないと、難しいと実感した」と反省した。
 昨季からワールドカップ(W杯)に派遣するなど、東京五輪を見据えて強化を進めている種目で、今後のチームとしても成長が期待される。18歳の梶原は「どんどんタイムを縮めて、世界でも通用するチームになりたい。東京五輪には団体追抜でも出場したい」と力を込め、中村は「五輪は4年後だけど、2年後にはまた予選が始まる。そのときまでには、世界と戦えるようにならないと」と奮起を誓った。
 女子ケイリンは前田佳代乃(京都府連盟)が出場し、1回戦、敗者復活戦とも敗れた。1回戦はペースメーカーが退避した直後に仕掛けて一度はトップに出たが、すぐに抜き返されて6人中5位に沈んだ。敗者復活戦は最後尾から抜け出せず、4人中最下位。どちらも大外からのスタートで、最初の位置取りで苦戦した。前田は「今は位置を狙ったり、自分にいいように展開させるレースしかできない。自分の足が足りない。動けたり、レースを読めたりするようになった分、余計に物足りなく感じる」と、もどかしそうだった。
 決勝には、2013年9月に短期登録選手としてガールズケイリンに参戦したイギリスのレベッカ・ジェームスが出場した。地元大観衆の大声援を浴びたレベッカ・ジェームスは3位となり、1位のクリスチナ・フォーゲル(ドイツ)、2位のアンナ・メアーズ(オーストラリア)とともに表彰台に上った。
 上野は女子スクラッチにも出場し、11位だった。序盤で飛び出して逃げるなど積極的なレースを見せたが、終盤は足が持たなかった。上野は「ちゃんと回りを見て、出るところで前に出られたらよかった。自分が少し気をつけるだけでもっと順位をあげられたと思うし、いいレースになったはず」と悔しがった。第4日の5日には前回大会で銀メダルを獲得したポイントレースに出場の見通し。「昨年の成績がまぐれとならないように、しっかり気持ち切り替えてチャンスをつかみたい」と意気込んだ。
 また、1000メートルタイムトライアルには、世界選手権短距離種目で5度のチャンピオンに輝き、日本の国際競輪で活躍したオランダのテオ・ボスが出場し、1分00秒461のタイムで銀メダルを獲得した。2009年からロード競技に転向していたテオ・ボスは、今シーズンの第3戦となる香港で開催されたワールドカップからトラック競技の国際舞台に復帰している。

女子団体追抜
女子団体追抜
前田佳代乃
前田佳代乃
右:レベッカ・ジェームス
右:レベッカ・ジェームス
上野みなみ
上野みなみ
テオ・ボス
テオ・ボス

【選手のコメント】
塚越さくら
「失うものはないから攻めていこうと狙っていったが、後半からペースが落ちた」

梶原悠未
「日本記録の更新と予選突破を狙っていた。正直、悔しい気持ちでいっぱい」

中村妃智
「昨年は補欠で来て、自分が走りたいという気持ちが強かった。今回は出場できて、うれしい」