2016年トラック世界選手権 3月4日(金) 大会第3日レポート |
|
配信日:2016年3月5日 |
2016年3月ニュース一覧に戻る |
男子スプリントで中川誠一郎(JPCU)は1回戦敗退に終わったものの、リオデジャネイロ五輪の出場枠の獲得を確実にした。ここまで日本は男女のチームスプリント、女子団体追抜で出場枠を逃しており、自転車トラック種目では第1号となった。中川は「スプリントで日本の枠をなんとか死守というか、守れてよかった」と安堵の表情を見せた。今大会の成績はリオデジャネイロ五輪ランキングに反映され、大会後に確定するランキングをもとに五輪出場枠が与えられる。 中川は予選で今季自己最高という10秒018を出して20位で突破した。「ロンドンに入ってから一番いい入り」と序盤で手応えをつかみ、バックストレートから一気に伸びた。今季はなかなか調子が上がらなかったというが、大一番で会心のレース。「今の状態ではベストの走りができた。9秒台は出したかったが、今季の成績からいえば贅沢はいえない」とうなずいた。 大会前の五輪ランキングではアジズル・ハスニ・アワン(マレーシア)に肉薄され、逆転を許す可能性もあった。そのライバルが予選敗退するのを尻目に、きっちりと1回戦へ進み、実質的にアジアの最後の1枠を巡る争いを制した。1回戦では地元英国選手に力負けしたものの「今回の目的の90パーセントぐらいは、日本の枠を守ることだったので、よかった」と話した。 一方で、上位陣は9秒台の好タイムを連発。世界との実力差をまざまざと見せつけられたのも事実だ。36歳のベテランは「以前は9秒台を出せれば戦えた感じがあったが、今はそれが普通。もう1ランク、スピードを上げないとまともに戦えない」と成長を誓った。 競技終了後、アワンは、中川に「おめでとう。あなた(中川)から刺激を受けて、私(アワン)は頑張ることができた」と祝福の声をかけた。スプリント種目で最後の1枠を争ったアジアを代表する2人のスプリンターは、互いの健闘を称えあい固い握手を交わした。 男子オムニアムでも五輪ランキングで日本を上回る可能性があったライバル国が出場せず、18カ国・地域に与えられるリオ五輪出場枠の獲得が確実となった。日本の窪木一茂(NIPPO VINI FANTINI)は前半の3種目を終えて17位。1種目目のスクラッチで16位と出遅れ、個人追抜は一緒に走った香港の選手に周回遅れにされて19位に沈んだ。この日、最後の種目となったエリミネーションでも見せ場をつくれず、中長距離担当の飯島コーチは「立て直して、本来のパフォーマンスを発揮して欲しい」と2日目の奮起に期待した。 男子ポイントレースでは橋本英也(鹿屋体大)が5位と健闘した。序盤に英国選手と抜けだし、集団を周回遅れにして20点を獲得。ポイント周回でも積極的に仕掛け、得点を重ねた。残り14周でほかの選手と接触し、落車して右肩を強打。その後復帰して完走はしたものの、レース後には病院に搬送された。飯島コーチは「うまくいけば3位は可能性があったので、そういう意味では残念」とアクシデントを悔やんだ。 女子500mタイムトライアルは、昨日の女子ケイリン予選で落車したアナスタシア・ボイノバ(ロシア)が出場した。世界記録保持者の実力を発揮し、出場選手の中で唯一32秒台を記録し32秒959で優勝した。
【選手のコメント】 中川誠一郎 「やってきたことを出すだけなので、緊張はしなかった。チーム(スプリント)では枠を取れなかったので、何とかスプリントの枠だけは守りたいという気持ちで臨んだ」 |