2016年トラック世界選手権 3月5日(土) 大会第4日レポート

配信日:2016年3月6日
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 女子スプリントに出場した日本の前田佳代乃(京都府連盟)と石井貴子(JPCU)はともに予選落ちした。女子短距離陣はチームスプリント、ケイリンに続いて同種目でもリオデジャネイロ五輪出場枠を逃し、同五輪への切符を一枚も手にできなかった。ロンドン五輪で代表だった前田は「リオ五輪が一番の目標だった。それを逃したのは責任を感じる。自分がこの4年間、女子の短距離を引っ張っていかなければいけない立場だったけど…」と、第一人者として責任を一身に背負った。
 予選で前田は11秒564で31位、石井は11秒801で33位となり、上位24人が進出する1回戦へ進めなかった。前田は「どうしてこうなっちゃったんだろうというのは、すごくある。難しい」と苦悩は深く、石井は「きのうまでコンディションがよかった。ベストに近い走りができると思っていたけど、力みすぎた。大失敗」と悔やんだ。
 10秒760をマークして予選を首位通過したオーストラリア選手には2人とも1秒前後の差をつけられ、世界トップレベルとの差をまざまざと見せつけられた。石井は「客観的に見れば、世界が加速していくなかで、日本は取り残されている」と危機感を口にした。
 1回戦から2回戦までが行われ準々決勝進出者16人が決定した。16人の中には、本大会の女子ケイリンで優勝したクリスチナ・フォーゲル(ドイツ)がいる。
 女子オムニアムでは、リオデジャネイロ五輪出場枠の基準となる五輪ランキングで日本を上回る可能性があった国の選手が出なかったため、日本の枠獲得が確実となった。日本の塚越さくら(鹿屋体大大学院)は前半の3種目を終えて18点で20位だった。1種目目のスクラッチで19位と出遅れ、個人追抜では一緒に走ったニュージーランド選手に周回遅れにされ、19位と沈んだ。エリミネーションでも5番目に脱落するなど、見せ場をつくれなかった。明日行われる残り3種目で、一つでも順位を上げることが期待される。
 女子ポイントレースには同種目で前回大会銀メダルの上野みなみ(鹿屋体大大学院)が登場。10周ごとに設定されているポイント周回での得点を捨て、集団を周回遅れにすることで得られる大量得点を狙ったが、ライバルのマークもあり、逃げが決まらなかった。終盤には落車のアクシデントもあり、上野は「悔しい。そんなに甘くないなと感じた」と言葉を絞り出した。
 男子オムニアムの窪木一茂(NIPPO VINI FANTINI)は前半3種目の出遅れを後半でも挽回できず、16位に終わった。最終種目のポイントレースでは同種目で4位となる47点を挙げて気を吐いたが、上位との差を挽回できなかった。リオデジャネイロ五輪への出場の可能性がある窪木は「残念な結果だった。納得はしていない。ちょっと悔いはある」と唇を震わせた。
 男子スプリント決勝では、予選首位のタイムを記録したマシュー・グレッツァー(オーストラリア)と、ロンドン五輪スプリント金メダリストのジェイソン・ケニー(イギリス)が対戦した。
 1本目をグレッツァーが、2本目をケニーがとり、むかえた3本目。グレッツァーが主導権をとり最終周回ホームストレートを通過するが、ケニーが追い上げ、バックストレートから内側はグレッツァー、外側はケニーが並走して力勝負となる。最後は、地元の大声援を受けたケニーが4コーナーから伸びて優勝した。
 3-4位決定戦では、短期登録選手として日本の競輪に出場したデニス・ドミトリエフ(ロシア)とダミアン・ジリンスキー(ポーランド)が対戦。ドミトリエフが2本先取し銅メダルを獲得した。

ポイントレースを走る上野
ポイントレースを走る上野
エリミネーションを走る塚越
エリミネーションを走る塚越
積極的に逃げる窪木
積極的に逃げる窪木
優勝したケ二ー
優勝したケ二ー
左から2位グレッツァー、1位ケ二ー、3位ドミトリエフ
左から2位グレッツァー、1位ケ二ー、3位ドミトリエフ

【選手のコメント】
石井貴子
「枠取りがまた始まる2年後まで世界と戦えるレベルまで実力を上げないと」

前田佳代乃
「ここが区切りになる。練習環境も含めて、考えて追い求めていきたい」

窪木一茂
「体重も落ちていたので、スピードに乗れなかったし、パワーも落ちていた。気持ちを切り替えてポイントレースに臨もうと思っていた」

上野みなみ
「4種目も走らせてもらい、そのチャンスを一つもものにできなくて悔しい」