■Pickup Rookie
南円佳(鹿児島)15411
 南円佳(写真)が泥臭く這い上がろうとしている。116期勢の中でも注目の存在だった。競輪学校時代は、適性入校ながらメキメキと頭角を現し、在校成績は第4位。先行回数、先行での勝ち星はトップの数字を残した。ところがデビュー後は思わぬ苦戦の連続。デビュー戦で3日間着外に沈むと、初勝利は4場所目の8月弥彦FIの最終日一般戦まで待たねばならなかった。
 「デビュー2場所目で落車したりして、ここまでは思うような走りができていないですね。9月の武雄が終わってから練習していたら腰も痛めてしまって…」
 しかし、そのまま低空飛行を続けることはなかった。持ち前の先行パワーは影をひそめたままだが、“色んな走りを模索しています”と、現状でできることをと精一杯戦い抜く。前々に攻めていって引かない自力自在戦でしぶとく着をまとめ、目下3場所で優参中。10月青森FIIミッドナイトでは22着で決勝に勝ち上がった。
 「(青森の)予選はしっかり仕掛けられていないので、内容的にはダメ。やっぱり後ろにいては厳しいし、強い人より少しでも前にいないと勝負にならないですね。腰の具合は良くなってきました」
 タテ脚のキレはさすがに非凡。トップ選手を目指して一歩ずつ着実に階段を上がっていく。

佐藤礼文(茨城)15337
 8月松阪FIIミッドナイトの決勝で番手回りにハッスルし過ぎて失格を喫したのは悔やまれるが、佐藤礼文(写真)はここまで順調に好成績を残している。9月防府FIIモーニングでは2度目のVを3連勝で飾った。
 「普段の練習は同級生の横山尚則君とか、伊早坂駿一君、吉田昌司君とも練習しています。引きずられてばかりだけど、いい環境で練習できているのは間違いないですね。でも、ここまでの成績は正直デキ過ぎです。防府は初の完全優勝だったから嬉しかったけど、(前を任せた)齋木(翔多)君のおかげですから」
 謙虚に現状を話す。
 「脚があるとは自分では全く思わない。脚がない分、色々な展開を想定してレースの中で何とか落ち着いて対応できてるって感じです。最近の課題は末脚と先行する意識。まだ徐々に上げていくとかそういう踏み方ができないので、先行は嫌々駆けることが多くて、余計に最後、タレていると思う」
 28歳と決して若くない。恵まれた環境で底力アップを目指しつつ、持ち味のダッシュを生かし、考えて、工夫して勝てる走りを追求していく。次走は“短走路は苦手意識があったんですが、優勝2回とも33なんです”という26日からの小田原FIIだ。

福田 滉(栃木)15342
 福田滉(写真)は、父の篤司(66期・引退)、兄の拓也(100期)を始め、祖父、伯父、従兄弟と多数の競輪選手を輩出してきた福田一家の出身。期待を背負って選手生活をスタートさせたが、病気でいきなり初戦を棒に振り、改めてのデビューとなった7月函館FIIナイターでは初日に落車。これが響いたか、ここまで決勝進出はなしと苦戦を強いられている。しかし、“前を向くしかないですから”と本人は明るく話す。
 「競輪の血は他の人よりいっぱい入っていると思うけど、結果が出ない(苦笑)。逃げると全然、未がもたないですね。逃げるよりもまくりの方が好きだし、それで1着が取れだしているので、少しそこに甘えている部分もあるのかな…」
 ここ3場所は予選を突破。同期勢を始め、チャレンジトップクラスと対戦する準決勝が壁になっているが、兆しは見えている。9月宇都宮FIIは初の地元戦だったが、予選で初めての逃げ切り勝ちを収めた。
 「レースをしていくごとに強くなっていると実感できる。(同期の上位には)歯が立たないけど、自分のペースで頑張っていければ」
 長所のダッシュ力はキラリと光る。システム障害で出走予定だった10月武雄FIIモーニングが中止となり、26日からの小田原FIIは1カ月ぶりの実戦。まずはその走りに注目だ。

情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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