『函館競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:6月22日

 函館競輪場を舞台に開設69周年記念「五稜郭杯争奪戦(GIII)」が、6月22日に幕を開けた。今年は昼間開催で行われている今シリーズは、一次予選から激しいバトルが展開された。メインの特選では、古性優作がまくりで抜け出し幸先のいいスタートを切った。23日の2日目には、二次予選のA、Bに分かれて勝ち上がりが争われる。
 本場では、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。2日目には、ものまねママタレントの「みかん」のものまねライブ、「りんりん&暁月めぐみ」のライブ、エキストリームスライダー、競輪選手会ふれあいブース、特設グルメコーナー、けいりんカフェなどが予定されています。ぜひ、函館競輪場へ足をお運びください。

<1R>

池田勇人選手
池田勇人選手
 前団の様子をうかがっていた黒沢征治が、打鐘から仕掛けてラインの3車で出切る。最終バックで後続は一本棒。別線は仕掛けられず、番手の池田勇人(写真)が、きっちり交わして埼玉ワンツー。
 「これなら(別線は)来られないっていうはありました。あとはもうちょっと脚を使わないで(仕掛けて出て)いけるポイントがあったと思う。それでも心強いですね。(埼玉の後輩は)黒沢、森田(優弥)、植原(琢也)と出てきたんでやっとです。ただ、自分も粘られるのも覚悟していた。そこは乗り越えていかないと」
 積極策で池田とのワンツーにも、黒沢征治は二次予選を見据えて修正点をあげる。
 「ワンテンポ、ツーテンポくらい、(仕掛けが)遅くなってしまった。4番(原誠宏)の人が遅れて来て、それで見ちゃった。迷わず行くべきでした。そういうところですよね。(嶋津拓弥に)もっと踏まれたら、番手の人にやられてた。脚の感じは良かったけど、そういう組み立てですね」


<2R>

 打鐘で先頭に立った利根正明が、先行態勢を取る。7番手の山中秀将が打鐘の4コーナーから踏み込むと、海老根恵太は付け切れない。山中がひとりで前団をとらえて、柳詰正宏は切り替える。車間を詰めながら追い込んだ柳詰が、久々の1着で一次予選をクリアした。
 「(山中が)ひとりだったのは見えた。自分はうまく前と車間を詰められたと思う。ああいう展開になると、(山中は)タレてくれるイメージはあったけど、強い選手なので流しているかとも思った。利根君のおかげですよね。九州からああいう先行のできる選手がどんどん出てくれば、もっと盛り上がるんでしょうけどね」
 山中に離れた海老根恵太は、最終2コーナー手前からインを押し上げる。狭いコースを縫い、柳詰後位に取りついて流れ込んだ。
 「山中君があのタイミングで仕掛けるのはわかっていたのに離れてしまった。力不足です。(落車の怪我にしても)走る以上は大丈夫なわけですから」


<3R>

佐藤一伸選手
佐藤一伸選手
 赤板の1コーナーで押さえて出た高橋和也は、菅原裕太を突っ張りそのまま先行策。最終ホーム手前から単騎の佐藤佑一が仕掛けると、佐藤佑と別線の佐藤一伸(写真)が追いかける。佐藤佑は北野武史に阻まれ、その上をまくった佐藤一が前回途中欠場の悪い流れ断ち切って1着。
 「(勝てたのは)本当にたまたまです。最終的に9番手になっちゃって、仕掛けようとした時に(佐藤)佑一さんが仕掛けた。ちょうど自分とピタリと合った感じでした。それで佑一さんを追ってと思いました。あとは(佐藤佑が止まったんで)2コーナーから行きました。合わされたと思ったけど、3コーナーからもしっかり踏めた。自信になりました。(腰痛で前回を途中欠場したけど)治して練習した。それで結果もついてきたんで良かった」
 五十嵐力に当たられながらも、増原正人は4番手をキープして佐藤一のまくり追いかけるように踏んで伸びた。
 「函館バンクは応援してくれる人もいるし、すごく好きなバンク。第2の地元くらいの気持ちです。自分の位置をキープして、あとは内か外かでした。やり合っていたんで外だと。8番(佐藤一)が行ったんで、人任せになってしまった。ラッキーですね」


<4R>

藤井栄二選手
藤井栄二選手
 後ろ攻めから上げた宿口陽一が中団の藤井栄二にフタをして、両者で激しく中団を取り合いながら打鐘を通過。正攻法の山本健也は最終ホーム手前まで誘導を使って駆けだす。外併走からのまくりとなった宿口だが、2コーナー発進で、山本をとらえた。
 「牛山(貴広)さんと山下(渡)さんとは久しぶりの連係だったので、3人で決めたかったけどたまたまです。あれが内に古性(優作)君だったら飛ばされていましたから。脚はいいと思う」
 最終2コーナーで牛山を退かした藤井栄二(写真)が、外を踏み込んで2着に食い込んだ。
 「ちょっと考え方が甘かった。意地になってしまいました。自分がしたいレースができなかった。僕が先行してって相手も考えていると思って、切ったところを叩きたかった。宿口さんがあそこでこだわるとは。ラインに迷惑を掛けたし、内容もなかった。明日(二次予選A)はしっかり考えて走りたい」


<5R>

 インを切った大矢崇弘が緩めると、岡崎智哉はその上を叩いて打鐘先行。後方へ置かれた小埜正義が最終2コーナーからまくり、その動きに合わせて、中団から大矢もまくるが、岡崎の番手で車間を空けてけん制した坂上樹大が4コーナーから踏み込んで突き抜けた。
 「スタートは取りに行った。雨だったので、前受けでいいかなと。勝てたけど、気持ち的な余裕がなくて、頑張ってくれた岡崎君を残せなかった。その部分ではホントに申し訳なかった」
 小埜正義は7番手まくりの苦しい展開となったが、最終2コーナーから我慢して外を踏み続けて2着に届いた。
 「大矢君が踏んでくれなかかったね…。引き切ったときには前が駆けていたのでキツかったです。1コーナー過ぎに踏んだつもりだけど、車が進んだのは2コーナーですね。飛ぶような掛かりじゃなかったので、なんとか2着に届いたけど、(車が)外に開いてしまった。練習仲間(成清貴之)が付いて、あのレース(内容)じゃダメですね」


<6R>

白戸淳太郎選手
白戸淳太郎選手
 市橋司優人が打鐘で主導権を握って、人気の神奈川トリオは後方。4番手の堀内昇が最終2コーナー手前から踏み込むと、桐山敬太郎もまくる。短くなった前団の隊列をのみ込んだ桐山を白戸淳太郎(写真)が追い込んで、1月以来の白星を挙げた。
 「(1着は)1月とかですかね、ずっとなかった。めちゃめちゃうれしいし、しかも(ラインで)ワンツースリーですから。自分は(桐山の)踏み出しさえ付いていければっていうのはあった。まぁ、(自分の1着もラインでの上位独占も)僕じゃなくて、桐山のおかげなんで(笑)」
 「ちょっと大事にいきすぎた」と、振り返ったのは桐山敬太郎。7番手まくりで力の違いをアピールするも反省を忘れない。
 「自分の仕掛けとしては情けなかったけど、ラインで決まったんで。普段だったら、あの(九州勢の)カマシに付いていってるんですけど、様子を見ちゃいました」


<7R>

 後ろ攻めの小川丈太が、正攻法の坂本貴史を押さえて打鐘で先頭に立つ。本郷雄三は動かず、あっさり中団を確保した坂本は最終2コーナーからまくり発進。2センターで小川をとらえた坂本を、最後は齋藤登志信が差し切った。
 「口が空いてしまったので、2日目からは別人になります。僕は全然、なにもしていない。坂本君のおかげです」
 坂本貴史が2着に入り北日本ワンツー。
 「中団を楽に取れたし、前と車間を空けてホームから全開で踏んで詰まったら仕掛けていこうと。ちょっと重たかったけど、勝ち上がれて良かった。風はとくに気にならなかったです。明日(二次予選A)はペダリングや体の使い方など修正できるところはしていきたい」


<8R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 打鐘で叩いた中島将尊がペースを緩めると、間髪入れずに佐々木豪がカマシ気味に仕掛けて主導権。追走の大川龍二に三宅達也まで出切って、中団に中島、佐藤雅春は7番手に置かれる。佐々木が掛かり良く逃げ、最後は大川がしっかり差し切った。
 「石丸寛之さんとかと中四国を引っ張ってきた三宅さんが前を任せてくれたので、緊張感はありました。簡単なレースに見えたかもしれないけどね。勝てたのは佐々木君が強かったことがすべてだけど、僕も前を抜けるように自分なりに考えて取り組んでいるつもり」
 文句なしのレース内容で2着に粘った佐々木豪(写真)は心地よい疲労だろうが、やや表情を歪めて少しだけ足を止めた。
 「筋肉痛がキツい。筋トレを多く取り入れているので。踏み直した時もケツが痛かった(笑)。でも、(中4日でも)ケアだけしていたら、3、4日目がキツくなってしまう。(前回から換えた)フレームはめちゃくちゃ硬いんで、コンディションが良くないと負けてしまいますね」


<9R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 東矢昇太が主導権を握り、離れ気味の高田真幸のところに藤木裕が飛び付いて3番手がもつれる。小松崎大地(写真)は最終ホームから反撃。3コーナーで逃げる東矢をとらえて、ラインを上位独占に導いての1着。
 「(九州ラインに)付いていってすぐに(仕掛けよう)と思ったけど、高田さんが離れてて、タイミングを逃してしまった。そこで行けてれば良かった。無理やりいく形になりましたね。(後ろは)絶対に付いてきてくれてるって信じてた。(自分として)まだまだですけど、勝ち上がりながら、課題をクリアしていきたい」
 3月のウィナーズカップ以来、およそ3カ月ぶりの実戦になった菊地圭尚は、2着スタートの地元記念に汗をぬぐう。
 「格好悪いですけど、ひと安心ですね。道中も我を失うこともなかったし、思ったよりもやれたかなっていうのがある。ジャンでカマすタイミングがあったけど、(小松崎)大地がそこで落ち着いたからまくりかと思った。そしたら無理やり行ってくれた。自分はそこで口が空きました。なんとか、あとの3日間のうちに1着を取って、お客さんの前に行きたい」


<10R>

 前受けからサッと7番手まで下げた新山響平が、打鐘から巻き返して主導権を奪う。人気の北日本勢が出切って、番手で願ってもない展開になった守澤太志が、計ったように差し切った。
 「一番いい時に新山が仕掛けてくれた。自分は付いていて楽でした。(ラインで)ワンツースリーを決められたので良かった。新山は一番良かったころに比べたらまだまだだけど、誰も仕掛けてくる感じではなかった」
 危なげない先行策で別線を完封した新山響平は、内容のある2着。
 「久しぶりに予選スタートだったので緊張した。デビューした時のような感覚でした。仕掛けは詰まったところで行けたし、(ラインの)3人で出切れるなって思った。ただ、体は疲れがあるのか、あんまり良くないです」


<11R>

 藤根俊貴を警戒しながら北川大五郎がペースを上げるが、最終ホーム手前で藤根がねじ伏せて先行策に出る。番手をソツなく追走した和田圭が、後続との間合いを計り追い込んだ。
 「(レースは)見たまんまですよ。(藤根が)あれだけ先行してくれたから勝てただけ。新山(響平)よりも駆け方は優しいかも(笑)。自分は道中で余裕はあったかな」
 初の記念シリーズにも気後れすることなく、藤根俊貴は持ち前の力をアピールした。
 「小松崎(大地)さん、新山(響平)さんが自分より前にいいレースをしてたので、プレッシャーがハンパなかった。前回の予選で変なレースをしたんで、今日(初日)は後方で構えるようなレースはしないって決めていました」


<12R>

古性優作選手
古性優作選手
 清水裕友が赤板の2コーナーで押さえて出ると、そのままペースを落とさずに駆ける。渡邉雄太は7番手に置かれ、隊列は一本棒で最終ホームを通過する。清水がスピードに乗って逃げるが、古性優作(写真)が4番手からまくっりを打って前団に襲い掛かる。清水を3コーナー過ぎにとらえて1着の古性が、息を整えて振り返る。
 「誘導が思ったより早くて、ミスしました。後ろ攻めだったからそう感じたのか、キツかったですね。それでも南(修二)さん、村上(義弘)さんに付いてもらってるんで、ホンマにいっぱいだったけど(仕掛けて)行かなきゃと。(まくりが)最低限、出て良かった。あとはレース(VTR)を見て、(自分の感覚と)重ね合わせます」
 清水に付けた園田匠は、外の南を張りながら追い込み2着。
 「(清水は)気を遣ってくれて、すごく頑張ってくれた。自分の脚は問題ないけど、清水君がどれくらい踏んで、自分がどのくらい車間を空けていいのかっていうのがあった。それが(今回で)ある程度、わかったんで、次はしっかりワンツーできるようにしたい」
 渡邉のまくりにかぶった村上義弘は、直線の入り口で渡邉を外に弾いて踏み込んだ。
 「(古性)優作と(南)修二の動きを見ながらでした。最後は自分でコースをつくるしかなかった。優作も伸びてたんでね。優作は自分で動かして、自分で全部やってくれた」