『函館競輪 スターライトクラウン(GIII)レポート』 3日目編

配信日:4月29日

 函館ナイター競輪20周年記念「スターライトクラウン」は28日に3日目が行われた。準決勝3個レースは山下渡、山本伸一、松岡孔明の3人が勝ち名乗り。人気を集めた南潤は2着で優出。29日の決勝戦でデビュー最速のGIII優勝記録の更新に挑む。ガールズの「スターライトティアラ」は準決勝2個レースが争われ、尾崎睦、奥井迪がともにシリーズ3連勝で完全Vに王手をかけた。
 最終日の29日はコカドケンタロウと中岡創一の大人気コンビのロッチが爆笑コントを披露します。さらに柳谷昂太郎(やなぎやこうたろう)くんの津軽三味線ステージ、はこだて観光大使で函館市のご当地アイドルとして活躍中のすずはらかのんさんのステージ、スピーチーズのLIVEなど場内イベントは満載。ぜひ函館競輪場でお楽しみください。

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尾崎睦選手
尾崎睦選手
 ガールズの準決勝は2個レース。最初のレースは5番手の梅川風子が打鐘の2センターから一気に仕掛けて主導権を取る。前受けからこの後位に収まった尾崎睦(写真)が粘る梅川を直線で力強く抜き去った。
 「引くか突っ張るか迷ったけど、勝ち上がりなので、そこは冷静にいこうと思い引きました。あれで(梅川が)来なかったら駆けていこうと思いました。連日、冷静に周りは見えているし、内容はともなく1着が取れているのはいいですね」
 梅川風子は3日連続の先行策。尾崎に交わされたが、21走連続の連対で決勝進出を決めた。
 「まくりに構えてもよかったけど、準決なので内容重視で叩いていこうと思いました。末は甘かったけど、行けるところでしっかり行けているし、いいと思います」
 初手から尾崎の後位にいた小坂知子が前を懸命に追って決勝への切符をつかんだ。
 「あれ以上ないっていうくらいいい位置回れましたね。流れがいいし、脚の感じはいいですね」

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奥井迪選手
奥井迪選手
 打鐘で後方から踏み上げてきた奥井迪(写真)を前受けの加瀬加奈子が突っ張って両者で激しく踏み合う。最終2コーナーで加瀬をねじ伏せた奥井がそのまま後続を振り切り、3連勝を飾った。
 「すんなり出るよりも内側の人にも脚を使わせようと。突っ張られたけど、2コーナー過ぎには出れるようにと思ってました。合わされてると思うと焦ってしまうので、自分が合わせているという気持ちで余裕はありました。長い距離では自分が勝てると思っているので。冷静に走れたと思います。最後1走なので、体調をどうレースに持っていけるか。結果というよりは自分のレースをしたいなって。やり合ってでも勝てないと上では戦えないので、しっかり力を出し切るレースをします」
 初手から加瀬の後位で様子を見ていた坂口楓華が好展開を生かして2着に食い込んだ。
 「考えた結果、こういうレースをしようと。自力では勝てない選手もいるので、こういうレースも必要かなって。どうなるか後ろで落ち着いて客観的に見れました。脚をためられて最後は伸びたけど、差せなかった。奥井さんを簡単に出させない加瀬さんもすごかったです」
 奥井に出られた加瀬加奈子だが、懸命に踏み続けて3着に踏ん張った。
 「要所、要所で合わせて踏もうと。若い選手にいろいろ言ったりしてるんで、こういうレースもしないと。(決勝も)しっかり力を出し切ります」

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山下渡選手
山下渡選手

鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 後ろ攻めから動いた鈴木庸之が赤板で先頭に立つ。前受けから後方まで下げた箱田優樹を見ながら最終ホーム前からペースを上げる。最後方から内に切り込んだ上野真吾にすくわれた鈴木だが、バックでその後位に収まると、まくり上げてきた湊聖二をブロックして追い込む。最後は上野と鈴木の間を割った山下渡(写真)が激戦を制した。
 「上野君が切り込んできて番手勝負だと思ったけど、そのまますくっていったので自分は鈴木君のマークを外さないように集中していました。最後は外もかぶっていたし、無理に外を踏んで中を割られるのが嫌だったので内を踏みました。セッティングを調整したので一番感じがよかった」
 内をすくわれても冷静に対処した鈴木庸之(写真)が関東ラインを上位独占に導いた。
 「とりあえず早めに押さえてから考えようと。あの位置で箱田君が来なかったからそのまま駆けました。上野君にすくわれたけど1車だと分かって入って態勢を整えました。あとは湊さんのまくりを止めてから抜け出そうと。全てイメージ通りに走れましたね」
 関東ライン3番手を回った真崎新太郎がしぶとく3着に入り、検車場に引き揚げて来るなり喜びを前面に押し出す。
 「やった。やったね。マジでうれしい(笑)。内を空けてしまってヤバいと思ったけど、そのあとはカバーできた。山下さんが内を空けなかったし、室井(健一)さんに降りられる前にと思って少し早いけど外を踏みました」

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山本伸一選手
山本伸一選手

柴田洋輔選手
柴田洋輔選手
 赤板の1コーナーで押さえて出た根本哲吏が別線の動きを見ながらペースを緩める。3番手に収まっていた大矢崇弘は打鐘の3コーナーから一気に前を叩いて出る。そこをすかさず山本伸一(写真)が反撃。その後位は初手から競り合いで中野彰人、小岩大介の2人とも付いていけない。東京勢をバックで抜き去った山本が後続を引き離して圧勝した。
 「動くべきところで動けているし、自分のレースはできましたね。ただ、しっかりラインで決めることができなかったのは残念です。日に日に調子は上がっているし、手応えはここ最近の中では一番いいほうですね」
 大矢の先行に乗った柴田洋輔(写真)が直線で追い込んで2着に。
 「作戦的には(車番が)ヨーロッパなので自分達のやれることはやろうと。ただ、あそこで(大矢が)行ってくれるとは。バックで1車しか来てなかったので、何とか(大矢が)残ってくれという思いで前に踏んでいきました。東京で1人は勝ち上がらないといけないという気持ちだったが、2車勝ち上がれてうれしいです」
 まくられながらも諦めずに踏んだ大矢崇弘が3着でGIII初優出を決めた。
 「迷ったけど、根本さんが流していたので叩きに行きました。けっこう踏んでいたのに(山本に)あっさり行かれてしまうとは。(GIIIで)初めての準決で、決勝に乗れているし感触はいいと思います」
 大矢に叩かれた根本哲吏は巻き返せずに終わって勝ち上がり失敗。
 「大矢君の動きが気になってペースを緩めていたところを行かれてしまいました。その後は巻き返せる感じはあったけど、中野(彰人)が外にいてかぶってしまって…」

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松岡孔明選手
松岡孔明選手

南潤選手
南潤選手
 南潤の後位を巡って岩本和也と浦川尊明で初手から激しい競り合いが繰り広げられた。後ろ攻めの南は赤板の1コーナーから一気に踏み上げて主導権を握る。岩本を内に押し込んだ浦川がこれを追いかけるが、前受けの松岡孔明(写真)も飛び付く。さらに坂上樹大が追い上げて南の後位は大渋滞となったが、最内の松岡が最終ホームで番手を奪取。ハイペースで駆ける南を松岡が鋭く差し切った。
 「後ろからだと2周半から行かないと突っ張られると思って、前からにしました。引いて中団からまくろうと思っていたんですが、(南の)後ろが離れ気味だったので、もう引けなかったですね。南はバックからまたかかっていったし、強かったです。自分の状態は問題ないです」
 長い距離を踏み切った南潤(写真)は2着。人気に応えられなかったが、オール連対で決勝進出を果たした。
 「打鐘から全力で行きました。ドンから競りで松岡さんも飛び付く感じで踏んでたから、たぶん離れてるだろうなって。あとは自分のペースでいったけど脚がなかったですね。(決勝は)いいレースができれば。(デビュー最速のGIII優勝記録の更新は)展開によりますね。そんなにうまくはいかないと思います。行くべきところでしっかり行きます」
 3番手以下は前の2人にバックから離されていく。後方8番手からまくり上げた小林則之が3着に入った。
 「1本棒で前の隊列が整うような感じだったので、無理くり行きました。あの展開で(自分か望月永悟の)どっちかは(決勝に)乗れると思いました。(腰痛で)3日しか練習できてなかったのに決勝に乗れるなんて。競輪は分かんないものですね」