『青森競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月26日

 大阪・関西万博協賛・青森競輪開設74周年「みちのく記念競輪(GIII)」善知鳥杯争奪戦が9月26日に始まった。初日メインの特選レースは、新山響平の逃げを力強くまくって眞杉匠が勝利。一次予選では開幕レースでいきなり3連単9万円台の高配当が飛び出したほかは、概ね順当に実力者が勝ち上がっていった。2日目の27日は二次予選7個レースで準決への勝ち上がりを競う。
 記念シリーズは、週末に様々なイベントが予定されているほか、開催中の毎日、先着500名様にファンサービス(27日はラグノオ旅さちをプレゼント)、キッズ広場が予定されています。青森競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 薦田将伍、大矢崇弘の順で切ったところを、長田龍拳が打鐘で叩く。前受けから下げた真鍋顕汰がすかさず巻き返して、最終1コーナー過ぎに中部ラインが3車で出切る。真鍋と間合いを取った上田国広は、4コーナーから前に踏み込むと、ゴール前で抜け出した。
 「前中団が理想でしたけど、誰も出なかったので前からになりましたね。長田君がそんなに踏んでいる感じではなかったので、真鍋君の踏み出しもそんなにキツくなかった。流れの中でいってくれましたね。大矢君が浮いているのが見えて、僕らに良い展開になりましたね。自分の技量不足で真鍋君を残せなかった。もう少し引きつければラインで決まったかも。引き続き状態は悪くない」
 真鍋に叩かれた長田龍拳は、4番手で態勢を立て直す。二の脚で3コーナーから外に持ち出すと、上田に微差まで迫って2着でゴール。
 「真鍋さんが、躊躇せずに来たら出させても良いかなと。なので、ほぼほぼ作戦通り。あそこ(打鐘過ぎ)は多少踏んでおかないと大矢さんも来ちゃうので。踏んで出させたらあの位置が取れるかなと。岡村(潤)さんが(大矢を)止めてくれて、コースが見えた気がして踏めた。まくりに苦手意識があったけど、結構出たと思う。レース中も落ち着けている。流れも悪くない。このまま残り3日間も頑張りたい。勝てるように気持ちを入れて頑張りたい」


<2R>

松岡辰泰選手
松岡辰泰選手
 後ろ攻めから橋本壮史が動き出すと、中団の松岡辰泰(写真)が合わせるように踏み込んでけん制。前受けの邊見光輝も合わせて踏んで、先頭をキープする。一旦下げた橋本は、2コーナーから再度仕掛けてカマシを狙うが、反応した邊見がペースを上げて先行態勢に。出切れなかった橋本は外併走で苦しい形になり、松岡は6番手で態勢を整える。3コーナーから持ち出した松岡が、邊見マークから踏み込んだ後藤悠との伸び比べを制した。
 「(邊見ラインと関東勢の)どっちが前でも中団で、流れを見ながら行こうと思っていました。(橋本が)切るなら先に切って、切らないなら中団でって感じで。でも、ちょっとけん制が甘かったですね。あそこで行かれていたら厳しかったと思います。前(の邊見)も踏んでくれたので展開が向きました。橋本さんが浮いていたので、外を行くか内へ行くかで見てしまって(仕掛けが)遅くなった感じですね。瞬間的な力が入っていない感じなので修正したい」
 目標にした邊見光輝の先行で流れが向いた後藤悠が地元記念の一次予選を2着で突破。
 「車番が悪かったので、前か後ろからっていう感じで。前なら、切って、切ってでカマシかなって思っていたんですけど。(結果的に邊見が突っ張る展開となったが)橋本君の巻き返しが早かったので、もっとうまくアシストできれば良かったんですけど。橋本君と邊見君でやり合っていたので、申しわけなかったんですけど、残せなかったです」


<3R>

 周回中に後ろ攻めとなった上杉嘉槻が上昇して、5番手の石原颯にフタをする。赤板2センターから踏み上げた上杉は、抵抗する望月一成を打鐘で叩いて先頭へ。7番手に置かれた石原は、打鐘2センターから巻き返す。スピードに乗った石原は、最終1コーナー過ぎには主導権を奪取。中四国ライン3番手の國村洋は離れて、番手の田中勇二以降は大きく車間が空く。4コーナーを回って力強く踏み直した石原は、田中と1車身差を保ったまま押し切った。
 「後ろ攻めは嫌だったんで、切った上を行こうかなと思ってた。五十嵐(綾)君が先に切りそうだったし、その辺を見ながら。(上杉にフタされて)なんでと思ったけど、(打鐘過ぎに)緩んだんで、仕掛けやすくなった。上杉さんが流してたので、行けるかなと。(青森は初出走だったが)特に。普通のバンクかな。レース前にちょっと脚が張ってたので、ケアしたい」
 踏み出しに車間が空いた田中勇二だったが、けん命に追いかけると、付け直して2着をキープ。
 「フタされたらどうするかは考えてなくて、(石原が)どうするかなと。でも、(上杉が)切りにいくのが遅くて、(望月と)良い感じに踏み合ってくれた。(石原が仕掛けに)いくだろうなと分かってたけど、千切れましたね。20日近く空いたんですけど、風邪を引いてろくに練習できなかった。状態としては厳しいけど、恵まれました」


<4R>

 赤板過ぎに山本奨を突っ張った木村弘の主導権。長島大介は、7番手から打鐘で踏み上げるが、山本と白戸淳太郎で3番手を取り合った動きのあおりを受けて、仕掛けを自重し7番手に戻る。立て直した長島は最終バックから、再度仕掛けて前団をまくり上げる。長島マークの宿口陽一は、まくりに勢いをもらって外を伸び、1着スタートを決めた。
 「いつも長島君は頑張ってくれるので、信頼して付いていった。長島君はどこからでも巻き返しできるから不安はない。ただ、ジャン過ぎに長島君がやめて、苦しいなと。でも、力上位なので力でいってくれましたね。後ろの土屋(壮登)君のことも考えて、最後は気持ち早めに踏んだ。イメージ通りの進みですね。現段階でベストのセッティングなので、あとは体の方を合わせていきたい」
 一旦は仕掛けを躊躇した長島大介だが、結局は力で別線をねじ伏せた。
 「前か中団、スタートはどこでも良かった。木村君が思った以上にやる気で見ちゃいました。かなりバックを踏んでしまって離れて、前の動きを見ながらになった。レースの作り方が失敗。セッティングが変でしたね。サドル周りです。最近、ずっと気になっているので少しずつ調整していく」


<5R>

雨谷一樹選手
雨谷一樹選手
 赤板で、岩谷拓磨がジワリと押さえて、山根慶太が打鐘で叩く。下げた堀江省吾はすかさず巻き返して、最終ホーム過ぎに山根をねじ伏せる。雨谷一樹(写真)は、岩谷の仕掛けを確認しながら前と間合いを取る。ギリギリまで引きつけてから4コーナーで踏んだ雨谷が、ゴール前で抜け出した。
 「堀江君のおかげで1着が取れました。(堀江の仕掛けが)かなり長い距離になったんですけど、なんとか3人でワンツースリーが決まって良かったです。岩谷君のことを見ながら余裕もありました。前々回で新車に変えたんですけど、(今回から)戻していつも通りの感じで、全体的に余裕がありました」
 関東ライン3番手の柴田洋輔はしっかりと内を締めて追走。4コーナーで、雨谷と堀江の間のコースを踏んで2着に入った。
 「雨谷君がいたので、(外枠でも)前か、中団は取れると思っていました。めちゃくちゃきつかったですね。ジャンから4コーナーで、雨谷君も車間を空けていて、自分の苦手な部分なのできつかったです。(最後は)内に来る人がいっぱいいたので、外を踏んだらまずいと思って内へ行ったんですけど。自分の中でちょっと早いかなって思ったんですけど、そんなことはなかったですね」


<6R>

佐々木眞也選手
佐々木眞也選手
 前受けの新村穣が早めに車を引いて、赤板で切った太田竜馬が誘導後位に入る。福元啓太はその上を押さえて、誘導を降ろして先頭へ。7番手に下げた新村は、打鐘4コーナーの山降ろしで仕掛ける。椎木尾のけん制を楽々乗り越えた新村が最終バック手前で先頭に出切る。番手から追い込んだ佐々木眞也(写真)が、ゴール前で新村を差し切った。
 「新村さんにお任せで、自分は余裕があったので、ワンツーが決まって良かったです。共同は、勝ち上がりで連対ができなかったし、甘さがあった。終わってから、父(龍也・57期引退)にアドバイスをもらいました。レースに対する気持ちの面で、もっと厳しくならないとだめだと。レースに対する姿勢がまだ中途半端だと言われました。前でやる準備もできていますし、状態も問題ないです」
 新村穣は、残り1周からのスパートで力を誇示。納得の仕上がりに胸を張った。
 「福元君も、太田君も、前の方が欲しいかなと思ったんで、自分が前を取って他の人の選択肢を潰したかった。本当はもう少しペースが早くなるかなと思ったんですけど、のんびり出られてしまった。本当はジャン目掛けての先行が良かった。(佐々木)眞也君を信頼してたんで、流すことなく踏んだ結果、ワンツーが決まって良かった。20日間しっかり練習してて、ここ1年で一番車の進みが良い」


<7R>

 早めに動き出した林敬宏が、赤板で嵯峨昇喜郎を押さえる。林を青柳靖起が叩いて、7番手に下げた嵯峨は、2センターから仕掛ける。嵯峨は、最終ホームで中団の林をキメて、2コーナーでもう一度踏み上げるが、2番手外で失速。青柳が主導権を守り切って、塚本大樹が番手有利に差し切った。
 「練習できているおかげか楽でしたね。(落車の影響は)スタートで出たけど、体は問題なく走れた。調子が上がっているなかで落車して心配だったけど、調子良いままでした。車輪も新しいものに交換したけど、それも以前のものより良いですね。S級初1着もたしかここ(青森)ですし、相性は良いと思う」
 青柳靖起は持ち前のパワーを発揮。先行で地元勢を不発に追いやった。
 「スタートで後ろになると思って、1回切って中団と思っていたけど、塚本さんがスタートで中団を取ってくれたので、先行かなと。どっちが押さえても、叩いてと思っていた。林さんが切ったあとに、結構、流したので叩いてペースでいけた。ダッシュに自信があるから、来た所を合わせるのが得意。ペースがハマりましたね。走るのが好きなので、中2日は問題じゃないです」


<8R>

内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
 関根健太郎が赤板過ぎに切って、受けた高橋晋也は3番手に下げる。片折亮太は、高橋を内に封じてから打鐘で踏み上げて一度先頭に出るが、内から盛り返した関根が主導権を握る。前の攻防を見極めた高橋晋は、最終1コーナーからの仕掛け。あっという間に前をのみ込んだ高橋晋がバック手前で先頭に立ち、そのまま押し切った。
 「(スタートで高橋)広大さんは中団が欲しそうだったので。(打鐘付近は)落ち着いていました。ずっと隊列が短かったので。前が駆けてから踏もうと思ったぐらい、正直どこからでもって感じでした。隊列が短くなっていたので、すごく楽に行けました。踏んだ瞬間にラインで決まると思いました。(前回の共同杯は)動けていたと思うので、あとは単純に脚が足りないなって思って練習してきました。疲れが残っている感じだったので抜けるように」
 内藤宣彦(写真)が高橋晋を巧追走。2着に続いて勝ち上がりを決めた。
 「強かったですね。(高橋)晋也と昨日(前検日に)2人でもがいたんですけど、晋也がいい頃の感じで、もしかしたら離れてしまうかもって不安だったんですけど。すごい勢いで行ったので、絶対に離れると思いました。晋也が仕上がっている感じですね。この形なら抜けないなって感じですね。抜かないといけなかったとは思うんですけど。今日は自転車が少し重く感じたので脚回り(のセッティング)を修正したい」


<9R>

岡本総選手
岡本総選手
 安倍大成が、赤板で梶原海斗を突っ張る。梶原が7番手に戻ると、中団の志田龍星は、前と車間を切りながら中バンクに上がって、梶原をけん制。打鐘4コーナーからの山降ろしで仕掛けた志田は、抵抗する安倍を力ずくで叩き切る。梶原がまくってくるが、岡本総(写真)が最小限の動きでけん制して勢いが止まる。返す刀で追い込んだ岡本が、志田を差し切った。
 「前か、中団が理想だったけど、中団が取れたらラッキーだなと思ったら取れたんで。(志田は梶原が)切ったら(その上を)行くだろうし、(安倍が)突っ張ったら展開が向くし、中団が取れたんで良い展開になったと思う。ここかなと思ったタイミングで行ってくれて良かった。磯田(旭)さんのところだけ、位置を取られないようにしっかりとと思って付いてました。脚的に余裕はありましたし、体の感じは問題ないです」
 力の違いを見せた志田龍星が2着。ライン3番手の水谷良和まで連れ込んで、上位独占を決めた。
 「中団が一番考えてなかったんですけど、後ろ以外が良かったんで。展開が良かったです。(梶原よりも)先に仕掛けたいなと。被ってもあれなんで。めちゃくちゃ感じが悪かった。余裕はあったんですけど、思ったように進んでなかった。セッティングを変えたんで、ローラーに乗ってもう少し慣らしたい。ステムを短くして、扱いやすくしました」


<10R>

 鈴木薫が赤板過ぎに押さえて、矢口大樹が切る。その上を叩いた大川剛が、打鐘手前で先頭へ。才迫開は8番手で構えて、大川が徐々にペースを上げる。大川のペース駆けかと思われたが、6番手で最終1センターから仕掛けた鈴木の勢いが良い。山崎芳仁のけん制を乗り越えた鈴木が、大川をまくり切って1着。人気の北日本勢を撃破した。
 「後ろからの考えがなくて。後ろだと仕掛けのタイミングがまずくなると思っていた。なので、スタートで前を取りにいったけど、車番が悪くて取れなかった。バックに入ってからでは厳しいと思ったので、早めに仕掛けました。3コーナーで山崎さんと(スピードが)合っちゃうかなと思ったけど、我慢できたので悪くない。レース勘が戻ってきている」
 鈴木には上を行かれた山崎芳仁は、岡田泰地を外に弾いて追走を阻む。直線で前に踏み込んで2着は確保した。
 「(大川が)ペースで駆けてくれたので、まくられないと思った。鈴木君が来てけん制したけど、直前で乗り越えられると思ってスイッチした。もしかしたら、大川君が最初流し過ぎて後ろは楽だったのかも。冷静にレースを見られている」


<11R>

永澤剛選手
永澤剛選手
 後ろ攻めの原田亮太が、赤板過ぎに吉田拓矢を切る。周回中に中団の稲毛健太は、南関勢の動きには反応せず、7番手で構える。原田の先行で、吉田は労せずして4番手のポジションを確保する。最終2コーナーからまくった吉田は、スピードの違いで南関勢を飲み込んでバックで先頭へ。ピタリと追走した永澤剛(写真)が、ゴール前で吉田を差し切った。
 「(落車明けで)不安でした。(スタートは)稲毛君が早くてドキドキしたんですけど。こんな展開いいのかなって。原田君もカカっていました。ブロックをもらわないように気を付けていました。抜けるとは思っていなかったんですけど。落車してすぐだったので。まさか抜けるとは。(落車の影響は)めちゃくちゃあります。恵まれました。やっぱり乗りづらいっていうのはあるので」
 吉田拓矢は、脚を使わずに4番手だっただけに、押し切りたかったところ。
 「切って、切ってになるかなって思っていたので、まさかすんなり中団が取れるとは思っていなかったですね。ちょっと車間を空けすぎちゃって。もう少し詰めていければ良かったですね。原田君もいい感じに駆けていたので、まくりになるなって。振り切れれば良かったんですけど、力不足ですね。ちょっともがいている感じがしっくりこなかったので修正したい。(具体的には)サドルですね」


<12R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 先頭の眞杉匠(写真)が誘導と車間を切ってタイミングを取るが、新山響平がダッシュを効かせて叩いて、赤板過ぎに先頭へ。下げた眞杉が4番手を確保し、6番手となった阿部将大は、打鐘2センターから巻き返す。眞杉は、外の大川龍二を弾いて阿部にスイッチ。阿部の勢いが鈍ったとみるや、その上をまくり上げる。新山をねじ伏せた眞杉が、4コーナーで先頭に立って、そのまま押し切った。
 「切りに来たところを突っ張ろうと思ってました。でも、新山さんの勢いがすごすぎて、駄目でした。下手でしたね。ジャンくらいで詰まってたんで、そこで仕掛けないと駄目でした。阿部さんよりも先に仕掛けないと。ワンテンポ遅れてるんで、組み立ては良くないです。自転車は良くなったと思うんで、明日(2日目)は早め早めで仕掛けられるようにします」
 森田優弥は、前のあおりを受けながらも眞杉に続いた。
 「眞杉君が前を取ったので、突っ張ると思って集中して走っていた。阿部さんが仕掛けてきた所でけん制とかをしたかったけど、眞杉君も仕掛けるタイミングだと思って(けん制せずに)付いていった。反応は悪くないけど、要らない動きが所々であったので修正したい」
 新山を交わした守澤太志が3着。
 「スタートで、前が眞杉君だったので、切ってからと思っていたけど、切る所でもうきつかった。見ていた以上に(離れそうで)危なげではありました。自分は新山君に任せて、しっかりと付いていこうと。ホームで阿部君がきたのがわかったけど、次に確認したときはいなくて、その後に阿部君と眞杉君が一緒にきた。阿部君のスピードを見誤ってしまった。もっとスピードが良いと思った。新山君の後ろはいつも感触が悪い(笑)。気になる箇所があったので修正したい。セッティングをオールスターのに戻したけど、そこから微調整です」