『青森競輪開設74周年記念（GIII）レポート』　2日目編

　後ろ攻めから動いた堀江省吾が、赤板過ぎに先頭へ。五十嵐綾が踏みながら関東勢を出させて3番手を確保し、石原颯は7番手でタイミングを取る。前との車間を詰めた石原は、打鐘で一気にスパート。流し気味の堀江を叩いて、中四国ライン3車がきれいに出切って最終周回に入る。6番手から仕掛けた五十嵐と、それに合わせて踏み上げた堀江が迫ったが、石原の掛かりが良く、2番手の大川龍二（写真）に並ぶまでにも至らない。力強く逃げた石原を、大川がゴール前で差し切った。
　「（石原は）ダッシュ良い選手なんで、（踏み出しで車間が空いた）そこのところは、ちょっとしたことなんですけど、しっかりしないといけなかった。抜群に強いんで、全部任せて、まくりが来れば仕事してと思ったけど、来なかったんで。昨日（初日）と状態は変わらずですけど、今日はシンプルな展開だった。昨日を反省しないといけないし、せっかく経験できたので、改善していきたい。南（修二）さんと、山崎（芳仁）さんと、風呂で話す機会があって、風呂よりも熱いお話を聞かせていただいた。向上心を持って、取り組んでいきたい」
　石原颯は、初日に続いてパワーを発揮。中四国ライン上位独占の立役者だ。
　「後ろ攻めじゃなければいいかなと思ってました。みんな踏みながら出て行く感じだったんで、車間が空いちゃった。そこを詰めながら行きました。流すところで流して、踏むところで踏んで、良かったと思います。差されたんで、最後だけ踏み直せればよかった」

　嵯峨昇喜郎が赤板過ぎに切って、長田龍拳がその上を押さえて先頭へ。志田龍星は、2コーナーで内に差し込んで、仕掛けの態勢を整えるのが遅れて、長田の先行となる。最終ホームから巻き返した志田を、佐々木眞也が2コーナーで大きく外に張ってブロックするが、志田はブロックを避けて3コーナー手前で南関勢をまくり切る。マークした南修二（写真）が、最後は差し切った。
　「スタートは外枠だったので、出てみて取れた所でと。（志田が）内に差してしまった所があったけど、脚力でカバーしてくれた。（佐々木のけん制を志田が）乗り越える感じだったので、自分は千切れないように、佐々木君に飛び付かれないように気を付けていた。最後は何とかです。状態は変わらず。疲労回復したい」
　まくりでリカバリーした志田龍星だが、組み立てには反省点を残した。
　「スタートは後ろより前でした。内に差しちゃってツーテンポぐらい遅れた。情けない。気持ち的に弱かった。佐々木さんのブロックをもらう準備をして、しのげればと。仕掛けるのが遅かったし弱かった。めっちゃ緊張した。自転車は良い感じなので体を整えたい」

　6番手から動いた後藤悠が切って、阿部将大が押さえる。その上を叩いた真鍋顕汰が、2コーナーで先頭に立って先行態勢を取る。打鐘3コーナーで、8番手から踏み上げた鈴木薫が、4番手の阿部に絡む。阿部は鈴木をどかして、2コーナーから発進。東口善朋が、阿部をブロックしながら前に踏み込み、4コーナーは両者で激しくぶつかり合って混戦。大坪功一（写真）が、阿部マークから外を突き抜けた。
　「（スタートは）本当は東口君の後ろが良かったんですけど、自分がミスってしまって。でも、全然、安心して任せていました。（阿部が）いつもの感じなら伸びていくので、交わせないんですけどね。あれっていう感じで。感触は悪くないですね。刺激が入って、日に日に良くなると思うので」
　尾形鉄馬は、最終バックで9番手。目標の後藤悠は3コーナーで外に浮いて不発だったが、内に切り替えてコースを探し、鋭く伸びて2着まで車を押し上げた。
　「全部、後藤君に任せていました。車番が悪かったので、取れた位置からで。後藤君が仕掛けてくれたので、みんな外に膨らんで自分のコースができたと思うので、後藤君のおかげです。無我夢中でした。なんとか届いて良かったです」

　赤板で押さえた稲毛健太を、森田優弥（写真）が切る。森田は、梶原海斗の巻き返しを出させて踏んで、3番手を確保する。高橋晋也が追い上げるが、内で踏み勝った森田が3番手をキープ。森田は、最終2コーナーからまくり上げると、松岡辰泰のけん制をこらえて一気に先頭へ。食い下がる宿口陽一を振り切った森田が、1着でゴールした。
　「どんな展開も考えてたんで、（初手はどこでも）大丈夫でした。昨日（初日）、眞杉（匠）にアドバイスをもらって、セッティングを出したんですけど、まだ煮詰めたい。昨日は追走の部分でニュートラルに入らない感じだった。だいぶ変えたんで、慣れもあるんですけど、この方向性で行こうかなと」
　宿口陽一が続いて埼玉ワンツー。ただ、宿口が交わしたところの2車単が一番人気だっただけに、悔しさもこみ上げる。
　「本当は前からが良かったけど、みんな早すぎて取れなかった。（森田が）脚を使って良い位置を取ってくれた。いつも通りレースがうまかったですね。付く余裕はあったけど、抜けるかと言われたら無理だった。一番人気だったんで抜きたかったんですけど。もうちょっと詰め寄らないと、明日（3日目）以降も難しいんで」

　赤板で切った青柳靖起を、新村穣が2コーナー過ぎに勢いよく叩く。新村が打鐘2センターで中バンクに上がると、中団の青柳は吸い込まれるように内に進出。この動きで隊列が短くなったところを、吉田が4コーナーから仕掛ける。吉田が最終1コーナー過ぎに叩き切り、雨谷一樹（写真）が追走。ゴール前で吉田を差し切った雨谷が、通算200勝を決めた。
　「200勝は意識していなかったです。忘れていました。結果、（ラインで）ワンツースリーで良かった。吉田君が好きに走ってもらって離れないようにと。吉田君のいったタイミングがよくて出切ってからは自分も余裕があった。ラインで決まって良かった。和田（健太郎）さんが入ってきたのがわかって、空けちゃったのかなと。あれ、と思ったけど、最後は踏み負けないようにと。感触は初日より良い。今シリーズは良い状態。このままキープして臨みたい」
　新村が叩かれると、和田健太郎は、関東勢の後ろにスイッチ。内を突いて2着で入線したが、最終2センターで土屋壮登を内から抜いてしまい失格。繰り上がりで吉田拓矢が2着だった。
　「力勝負でいこうと思っていたので、力勝負ができて良かった。状態は良くない。セッティングを変えたのが悪い方向に。余裕がなくて、一体感がない。もう一度、セッティングを出す。もう1回、加速できる雰囲気なのに踏み方がわからなくなる雰囲気。セッティングでどうにかなるので、いじります。体の反応は良いので、マッチできるように」

　後ろ攻めから片折亮太が早めに動きだし、中団の新山響平に青板バックでフタをする。併走を嫌った新山は、サッと7番手まで車を下げる。片折が、中団から赤板目掛けて踏み上げて太田竜馬を叩くと、新山はその上を仕掛けて2コーナーで前に出る。太田は7番手で構えて、隊列は一本棒のまま、新山ペースで最終周回。徐々にペースを上げた新山を前にして、別線は不発。番手で絶好の展開を迎えた永澤剛（写真）が、新山を差し切った。
　「（新山が）切るところは超緊張しました。もうガクブルでした。自分のデキがどうとかじゃなく、前が超強いので。もう（駆けているのが新山）響平なので、誰も来れないなって感じで。一応、誰か来たら持って行けるように準備はしましたけど。まじで超強かったです。なんで抜けたんだろう。右の足首も痛いですし。よくわからないけど抜けるんです」
　新山響平が2着に逃げ粘る。ライン3番手の内藤宣彦まで3着に連れ込んで、地元支部で上位を独占した。
　「（片折にフタされて）中団から突っ張るか迷ったんですけど、まだ2周半あったので、引いてもチャンスはくるかなって。（片折が中団からすぐに仕掛けて）自分に展開が向いたので良かったです。ペースに入れたんですけど、思いのほかいっぱいで末を欠いてしまいました。シューズのサンをめいっぱい浅くしたんですけど、重く感じたので、戻して微調整したい」

　眞杉匠（写真）が誘導と距離を取って、別線の出方を見極めるが、林敬宏が赤板目掛けて勢いよく切ると、眞杉は車を下げる。中部勢を、岩谷拓磨が叩きにいくが、林が突っ張って踏み合いになる。眞杉はこのチャンスを逃さず、打鐘3コーナーからカマす。眞杉が最終ホームで前を叩き切り、ライン3車で出切った時点で、別線にはノーチャンス。番手から迫る守澤も振り切った眞杉が、連勝ゴールを決めた。
　「普通に押さえてくるんだったら、突っ張ってと思ったんですけど、下手くそでした。思ったよりも誘導と詰まっちゃって、昨日（初日）と同じような感じになった。前が踏み合ってくれたし、詰まったら行こうと思ってたんで。仕掛け所は逃さずにいけたけど、理想は突っ張りだった。もっと新山（響平）さんを見て勉強します。なんか重かった。セッティングはいじってないんですけど、なんか重かった」
　守澤太志が、眞杉に迫って2着。打鐘で若干車間が空いたが、問題なくリカバリーした。
　「普通に切って、切ってなら、そんなにスピードは上がらないと思って、余裕を持ってたら千切れかけた。追いつけない感じじゃなかったんで、なんとか立て直して。（眞杉が）強いっすね。最後もしっかり踏み返してるし、展開を作るのも上手。連日、前が強過ぎて感じが悪いけど、前が強過ぎるだけなんで、僕自身は大丈夫です。夏と違ってバンクが重いんで、秋仕様に微調整します」