『青森競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:9月21日

 青森競輪場で開催されている開設75周年みちのく記念競輪「善知鳥杯争奪戦(GIII)」は9月21日に2日目が行われた。二次予選メインの12レースでは地元のS班、新山響平がラインワンツースリーで白星を挙げる完璧なレースで地元ファンの声援に応えた。その他、共同通信社杯を制した南修二や地元地区の守澤太志ら実力者が白星で準決勝に駒を進めた。
 記念シリーズは開催中の毎日、青森競輪フェスタとして各日先着500名様にお菓子のプレゼント。キッチンカーのサービスやサイクルタイムトライアルも予定されています。さらに22日には元ガールズケイリン選手の野原美咲さんトークショー、神山雄一郎さんトークショーがあります。青森競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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佐々木悠葵選手
佐々木悠葵選手
 8番手から動いた土生敦弘を、前受けの阿部将大が赤板過ぎに突っ張る。周回中に3番手の佐々木悠葵(写真)は、前の攻防は気にせずに車間を切り、後方の小堀敢太を警戒する。土生が3番手に降りて、小堀は打鐘手前から進撃する。小堀が打鐘4コーナーで阿部を叩くが、北日本勢を追いかけるようにして最終ホーム手前で持ち出した佐々木が、すかさずまくり返す。小堀を2コーナーでまくり切った佐々木は、残りの半周も末良く踏み切って、1着でゴールした。
 「(前中団の)あの位置しか取れなかったんで、しょうがなくあの位置でした。実走の練習ができていないんで、自転車の体感みたいなものがないなって思いました。(踏み出しは)ローラー練習で確認しながらやれたんで、そこは大丈夫。フレームを戻したので、良いと思います」
 末木浩二は、佐々木の加速に車間が空いてしまう。最終2コーナーでは坂本貴史のけん制を受けるが、意地で乗り越えてなんとか佐々木とのワンツーを成就させた。
 「初手はできるだけ前の方が欲しくて、あとは佐々木君が行けるタイミングでと思ってました。行くタイミングも分かってたし、踏み出しは気を付けていたのに口が空いちゃった。ヤバいと思ったけど、なんとかワンツーで良かった。(坂本貴に)口が空いたところを見られたし、持ってくるだろうなと思った。そこを失速せずに乗り越えられたのが良かった」


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阿部力也選手
阿部力也選手
 磯島成介が赤板過ぎに切って、山根将太が2コーナー過ぎに押さえる。森田優弥は、打鐘で4番手の磯島の外に追い上げてから、2センターで仕掛ける。阿部力也(写真)は、最終ホーム過ぎに関東勢の後ろにスイッチする。森田が1センターで山根をまくり切ったが、阿部は2センターから外を踏み込む。直線で痛烈に伸びた阿部が大外を強襲して1着。シビアともとれる立ち回りから、二次予選を突破した。
 「スタートはみんな早くて取れずに迷惑をかけた。正直、(切り替えは)早いよなって思った。ついていけば磯島君も仕掛けてくれると思うけど、負けられないっていう焦りが出た。磯島君が行ってくれて、行き切れば良いけど、1回、脚を使っていたし。風が強くてみんな消耗していて自分だけが伸びた。脚が溜まってはいなかった」
 荒澤貴史は、切り替えた阿部に踏み遅れるも、リカバリーして3コーナーでドッキング。2着に続いて勝ち上がりを決めた。
 「阿部君のスイッチに付いていけなかった。前に磯島君がいて、彼にタテへ踏んでもらって、どこまで(届く)かと思ったら、結果的に阿部君に付け直すことができた。あそこからは4コーナーの下りだし、離れるとかはないので。疲れがとれないけど、そのなかでできることをやれれば」


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河端朋之選手
河端朋之選手
 スタートを取ったのは中四国勢だが、周回中に上昇した北日本勢が誘導後位に入って、北日本勢が前受けとなる。7番手となった根田空史が押さえに動くが、山崎歩夢は赤板過ぎに突っ張って出させない。根田は4番手に降りて、河端朋之(写真)は7番手に下げ切る。山崎が一旦ペースに入れると、河端は打鐘3コーナーからカマしていく。山崎は反応して踏み上げるが、スピードの違う河端が最終ホームで叩き切って主導権を奪う。久米良は、永澤剛にさばかれて離れてしまい、河端の後ろは大きく車間が空く。追いかけた山崎も車間が詰まらず、河端が独走態勢。セーフティーリードを保ったままゴールした河端は、2着に9車身差を付ける圧勝劇だった。
 「(周回中は)北が来たら入れてもいいかなって思って(中団に下げた)。(山崎が)突っ張るか、根田君が切ってもその上を叩きに行ければいいかなって思っていたので。根田君も、和田さんも、締めて削りにきたので、う回しないとなって。そのあとはタイミングを逃さず行けたと思います。山崎君も赤板で突っ張って脚を使っていたと思いますし、ペースに入れられる前に出切ってしまおうと思って(仕掛けた)。バックがかなりきつかったですね。(後続との)差があったのでわかりづらいかもですけど、いつもよりタレていたと思います」
 永澤剛は、最終ホームで久米をさばいて山崎に河端を追いかけさせる。まくってきた根田も3コーナーでブロックして止め、山崎を追い込んで2着。
 「気合が入りすぎてしまって危なかったです。根田君のところは引っかかってしまって。下手でしたね。センスがなかったです。河端さんのスピードがやばかったです」


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後藤大輝選手
後藤大輝選手
 赤板過ぎに、堀内俊介が後藤大輝(写真)を押さえる。堀内ラインを追った嵯峨昇喜郎は、前を切らずに4番手外で後藤と併走する。中団にこだわる素振りを見せた後藤だが、最終的には車を下げて、打鐘では7番手に下げ切る。打鐘4コーナーからペースを上げて先行し、4番手を確保した嵯峨は、車間を切ってタイミングを計る。後藤が最終2コーナーからまくると、嵯峨も合わせてまくり出る。嵯峨は、3コーナーの登りで勢いが鈍り、後藤はその上を行く。4コーナーで前をまくり切った後藤が、先頭でゴールした。
 「緩かったら突っ張りも考えてたけど、強引に押さえにきたんで、立て直してから行こうと。(中団併走するか)迷っちゃったけど、躊躇せずに引けばまた変わったのかなと思う。簡単に引いたら今後のレースに影響しちゃうし、(粘るか引くかの)考えが半々だった。たまたま展開が向いただけで、ラインを生かしたレースはできなかった。納得した練習が出来なかったんで、不安は多い。間の日程を休んだ分、初日のレースで刺激を入れられた」
 嵯峨に乗った星野洋輝は、2センターで外の荒井崇博を弾く。返す刀で前に踏み込んで2着に突っ込んだ。
 「(後藤)大輝が引いてくれればラッキーで、粘るなら外併走から位置を見て駆けちゃうと思ってた。引いてくれたんで、展開は良かったですね。(嵯峨)昇喜郎さんが、石塚さんのところを避けてまくっていく感じで、俺は内に差しちゃった。それで、大輝のところに行けずに、荒井さんのところに行くしかなかった。荒井さんに勝てたので良かったですね」


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南修二選手
南修二選手
 前受けの菊池岳仁が、真鍋智寛の上昇を赤板過ぎに突っ張る。真鍋が下げると、岸田剛は2コーナーから勢いよく踏み上げて菊池を叩く。菊池が4番手を確保し、真鍋は7番手で構えて、岸田が隊列を一本棒にして最終周回に入る。南修二(写真)は、1センターから車間を切って備える。菊池がバック手前からまくると、南は車間を詰めながら3コーナーでけん制。4コーナーでももう一振りし、ギリギリまで引き付けた南が、直線で追い込んで抜け出した。
 「岸田君の仕掛けのタイミングは良かったと思う。バックの風が強くて先行選手はきつかったかなと思う。もう少しうまくできたら(岸田との勝ち上がりも)何とかなったかなと思う」
 菊池は南の再三のけん制で失速し、中のコースを踏んだ吉澤純平も伸びない。関東ライン3番手から外のコースを踏んだ久木原洋が、2着まで車を伸ばした。
 「自分はくらいついて追走しようと。離れないようにだけと考えてた。菊池君がきついところでいってくれてチャンスが出た。結構、伸びた。バンクが重いと聞いていたけど、軽く感じた。状態は良いと思う。赤板で連結を外してしまったので、そこはしっかりとやりたい」


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守澤太志選手
守澤太志選手
 緒方将樹が赤板過ぎに切り、南潤が2コーナーで押さえて先頭へ下げ切った郡司浩平は、打鐘過ぎに車間が詰まった勢いのままに仕掛けて前団に襲い掛かる。南が合わせてペースを上げて抵抗し、郡司は徐々に加速して迫っていく。最終2コーナーで南に並んだ郡司は、コーナーの下りでさらに加速して近畿勢をねじ伏せる。緒方は、郡司ライン追走からバック過ぎに持ち出すが、前を脅かすまでには至らない。最後は、郡司をマークした守澤太志(写真)が差し切った。
 「郡司君は詰まって無理やり行ったと思う。力で行ってくれた。南君のダッシュが良くて、合わされ気味かなって思ったんですけど、うまく対応して行ってくれました。昨日(初日)の感じも良かったですし、キープできていると思います。こんな成績なのにたくさん声援をいただいて。やっぱり地元はいいなって感じですね」
 ロングスパートで別線をねじ伏せた郡司浩平。ラインでの上位独占をメイクした。
 「このメンバーと、バンクコンディションと、自分の体の状態をみてレース運びを考えました。ジャンで駆けていなかったら行くつもりだった。行き切るまできつかったんですけど、行き切ってからはラインで決まるかなっていう感じでした。ちょっと悩みながら行った感じなので、決め打ちで踏み込めなかったんですけど。前回よりは出力を出せていると思います」


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新山響平選手
新山響平選手
 前受けの新山響平(写真)が誘導と車間を切って突っ張る態勢を取る。8番手の皿屋豊は、中バンクに上がって勢いを付けると、赤板目掛けてスピード良く新山を押さえて先頭に立つ。だが、後続の動きがなく、新山がすっぽりと3番手に収まる。皿屋がペースを落とすと、新山は後ろの巻き返しが来る前に打鐘目掛けて叩きに行く。叩かれた皿屋は4番手に下がるが、川越勇星が追い上げて中団は併走になる。ペースをつかんだ新山がレースを支配。新山は最後まで失速せず、逃げ切りで二次予選を突破した。
 「本当は突っ張りたかったですけど、皿屋さんにうまく切られちゃった。勢いよく切られたけど、あの勢いだと下げやすかったですね。立て直して、後ろが来る前に仕掛けられた。バックが向かい風だったし、緩むところではあったんで、ジャン目掛けていきました。ダッシュも良い感じに掛かってたし、きれいに回せたと思う。最後も変な力を入れたくなくて、踏み直さずにきれいに回せました。今回は体が特別軽いですね」
 佐藤友和、櫻井正孝が新山に続いて北日本勢で上位独占。佐藤は新山に迫ったが、差し切るまではいかなかった。
 「(踏み出しには)思ったよりも楽に付けられましたね。離れずに付けたと思う。(新山は)やっぱり強いですよね。あのタイミングで踏み込んで抜けると思ったんですけど。前が強かっただけで、昨日(初日)と変わらず良いです」