『青森競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:9月26日
 開設64周年記念「善知鳥杯争奪戦(G3)」が、青森競輪場を舞台に27日から4日間シリーズの幕を開ける。先のオールスターで久しぶりのG1制覇を遂げた武田豊樹。武田に流れ込み準Vの神山雄一郎をはじめ、SS班の金子貴志、新田祐大と強豪が“みちのく記念競輪”に集まった。佐藤友和、高橋陽介らが新田らと総力を結集し、他地区を迎え撃つシリーズは初日から目が離せない。前検日の26日は好天にも恵まれ、参加選手の多くがバンクで汗を流し感触を確かめ、明日からの激戦に備え各々が入念な調整を行った。
 本場では開催中の毎日、先着プレゼントを行っています。初日は1000人にスピードくじを配布し、抽選でオリジナル「タオル」を100人にプレゼント。また、初日には「烈車戦隊トッキュウジャー」ショー。“土日限定イベント”としてオレンジテント縁日、お子様先着プレゼントなども予定されています。青森競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
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 “みちのく記念競輪”開幕を告げるオープニングレースで名誉ある1番車に抜擢された金子幸央が、メンバー表を眺めて気合を入れる。
 「1レースの1番車は気持ちがいいですね。その期待に応えられるようにしたい。中川(貴徳)さんとは何回も連係があるし、明日(一次予選)はしっかりと2人で決められるようにしたい」
 森田康嗣は急な追加配分にも目を輝かせ、自転車を組み立てながらニッコリと笑う。
 「追加配分の知らせが来たのが2日前ですね。次の正規配分まではめちゃくちゃ空いていたんで、追加が来て欲しいと思っていたんですよ。だから、助かりました。強めに練習をやったら、その影響で頭が痛くなったりしたんで休んでいた。それからは疲れをしっかりと抜いてきました」

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 コンディションを崩し宇都宮F1を欠場した坂木田雄介が、そこから今シリーズに参戦。険しい表情で現状を明解する。
 「宇都宮を欠場して、1週間くらい熱が下がらなかった。そのあとは空いていたんで一生懸命練習をやったんですけど。年齢的なものなのか、S級に上がって一番っていうくらい悪い。それがレースに直結するかは、わからないけど…。なるべく自分の展開を作って、相手に力を出させないようにしないと」
 「自分でもこんなもんじゃないって思っているだろうし、そうじゃなきゃアカン」と、黒木誠一にハッパをかけられた神田絋輔が昇級3度目の記念で一次予選クリアに力を入れる。
 「着はあれですけど、感じは悪くない。動けているし、あとは勝負どころでの動きですね。S級にも慣れてきているし、課題は一次予選を通過することです」

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箱田優樹選手
箱田優樹選手
 夏場は落車の影響か、一息の戦績が続いた箱田優樹(写真)が上昇カーブを描いている。
 「(8月の)小田原記念の時は結構良くなっている状態でしたね。その前が…。そこから比べたら今はいいと思います。(前回の初日は車体故障で)スポークがほぼ取れてしまって、そのあとにパンクしてしまったんでしょうがない。明日はいつも通り先行で頑張ります」
 6月の落車からおよそ3カ月ぶりにカムバックを果たし、2場所を消化した三ツ石康洋だが大敗続き。まだまだ強気にはなれない現状を、こう打ち明ける。
 「自分では必死でわからないところもあるけど、(周りに言われて、落車の部分を)かばっているみたい。まだ、鎖骨には針金が入っているんで。復帰戦の一発目は重たいギアのペースの上げ下げができてなかったし。自分のフォームでモガけていなかった。もうちょっと回せるようになればいいんですけど」

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坂本貴史選手
坂本貴史選手
 昨年の地元記念以来、一年ぶりの地元戦に坂本貴史(写真)は平常心。気負うことなく一次予選のメンバーをにらみ、最終日を見据える。
 「(地元でも)いつも通り、どこでもしっかりと走りたい。相手も強いですけど、自分たちも3車になるし。ラインでしっかり決められるように積極的にいきたい。(最終日は)決勝まで行って、新田(祐大)さん、(佐藤)友和さん、(高橋)陽介さんたちと一緒に走って力を出し切りたいと思います」
 追加配分で地元地区の記念を迎える有坂直樹は、リラックスムードで検車場で存在感を見せる。
 「(坂本)貴史は変にスイッチが入ると2周くらい(逃げて)行っちゃうから、熱くならないで冷静に走ってくれればいいですね。自分はこの追加がなければ3週間くらい空いていたんで、追加が来たあとは焦って3日くらい練習した。とりあえずは明日ですね」

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 2場所前のオールスターでは8899着と惨敗に終わった小嶋敬二だが、前回の函館F1では119着。変わり身を見せただけに、今シリーズも期待が膨らむ。
 「(函館の)決勝もまくれると思った。3コーナーで滑ってしまって、バランスを崩した。それがなければ…。函館のあとは川口(輝明)さんと1日練習をさせてもらった。良くなっていると思います」
 武藤龍生は前回の別府F1の初日予選で今期2勝目。一次予選は自在戦でアピールする。
 「動けるうちは動いていかないと。前回も自分で動いての結果なんで。出せるうちは出さないと、(機動力が)なくなっちゃうんで。ここは動く人が多いから難しいけど。後手を踏まないように。自分で前々に踏んでいきたい」

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 櫻井正孝は2場所前の落車が尾を引いて、前回の宇都宮F1を912着も感触は芳しくなかった様子。新車を組み立てながら振り返る。
 「豊橋記念の落車で、擦過傷から傷口にばい菌が入ってしまって…。言い訳になるけど、宇都宮は動きが悪くて、力を出し切れなかった。怪我は治ったけど、あとはバランスとかがどうですかね。今回は新車なんですけど。バンクでは乗れなかったし、まだセッティングとかも出ていない。ぶっつけ本番みたいになるけど、なんとかいい感じでセッティングを出したい」
 練習中に落車に見舞われた新井秀明だが、同県の松岡孔明とのセットに明るい表情でヤル気をみなぎらせる。
 「地区プロの(競技の)練習をしていて、落車してしまいました。4日前くらいですかね。骨は大丈夫だし、明日は目標(松岡)がいいから大丈夫でしょ(笑)」

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 城幸弘と同県での同乗となった志村太賀は、舞台が33バンクから400に変わり上積みが見込めそうだ。
 「ギアを4.50にしてから前がいると緊張してしまいますね。脚にこないから、このギアがいい感じがする。33バンクだと立ち遅れるけど、400なら直線が長いし大丈夫だと思います。オールスターが終わってから軽く練習して、疲れもないですよ」
 松尾信太郎は前回の富山F1で今期初優出。S級での手応えを感じながら、7月の函館以来の記念を迎える。
 「S級に上がったばっかりの時は、S級のスピードについていけない部分もあった。それが最近になってやっと余裕が出てきた。前(目標)が掛かってくれるから、自分としてはS級の方がいいんですけど。見てしまって、ワンテンポ遅れてしまうところもあるんで、そこら辺しっかりと」

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野原雅也選手
野原雅也選手
 弱冠20歳。徹底先行で鳴らす野原雅也(写真)は、課題を見つけながら成長を続ける。
 「S級になってからやっぱり練習の質も量も増えました。一年前よりも確実に脚は上がっていると思います。でも、全体的にまだ弱いし、最後のゴール前も弱い」
 山中秀将は前回の別府F1を419着で、久しぶりにファイナル進出。今回はその足固めとなる重要なシリーズ。
 「前回はなんとなく自分でも手応えをつかめるようなものがあった。でも単発ではしょうがないし、これを安定して出さないと。別府の前に3週間くらい空いて、自分でも納得の練習とケアができたんで。それでレースでも余裕があった」

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吉澤純平選手
吉澤純平選手
 前回の地元F1シリーズ133着だった吉澤純平(写真)。決勝は先まくりをビノクロフに飲み込まれて3着に沈んだ。
 「決勝はたまたま3番手が空いていたんで、一回そこに入りました。そこからかぶる前に行こうって思ってたんで、あわなかったけど(ビノクロフは)強かったです。(師匠の武田豊樹とは)準決とかで一緒に走れたらいいですね」
 和田圭は、初連係となる吉澤の追走にまずは専念。松阪、別府とここ2場所のF1での戦績をまとめて調子もまずまず。
 「欲張ってもしょうがないから、まずは離れないように(吉澤に)付いていきたい。(吉澤は)強いですからね。自分は絶好調っていう感じではないけど、悪くないと思います」

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新田祐大選手
新田祐大選手
 オールスター後は練習中にアクシデントに見舞われた藤木裕だが、一戦、一戦に集中する。
 「追い込んで練習をしようとしたら、その初日に落車してしまった。街道でですね。そこから小倉(竜二)さんたちと合宿して、モガけることはモガけたけど、(調子が)いいのか悪いのかは…。小倉さんみたいなすごい人が来てくれて、自分は得るものしかなかった。いい刺激になった。オールスターが終わってからは、自分がやっていかないといけないことが明確にわかってきたし。それをやっていくしかない」
 初日特選は藤木に委ねる中村一将が、番手戦で全力投球を誓う。
 「同地区だったら任せたい気持ちだし、それは数年前からずっと同じですから。あとは自分ができることをしっかりと。オールスターは1走目を除けば、手応えはあった。自分としては数字ほど焦ってもないし、悲観もしてない」
 オールスターのあとは、違反訓練を経て今シリーズに臨む新田祐大(写真)。状態も下降線を辿る心配もなさそう。
 「違反訓練があったけど、状態に悪い部分はない。むしろフレッシュな状態でいいんじゃないですか。一戦、一戦ちゃんと成績を残すことが、毎開催の目標だし、自分が望んでいる部分」

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大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 大塚健一郎(写真)は前回の岐阜記念のファイナルで落車。賞金枠でのグランプリ出場のボーダーにいるだけに満身創痍も気力でカバー。
 「背中を打ったんですけど、落ち方からまた骨盤をやっちゃったかなって思った。奇跡的に大丈夫だった。(グランプリ出場の賞金争いは)関係ないって言ったらウソになるし、こういう経験もしたことがない。この重圧によって最後が良かれ、悪かれ自分が成長できると思う。とにかく自分らしく走るだけ。そこだけは曲げられないんで」
 オールスターでは無傷の決勝進出も、ファイナルは7着に敗れた金子貴志
 「調子は悪くないと思います。これが終わってからまた高地トレーニングに行く予定ですけど。競輪祭までにしっかりとやれることをやって悔いの残らないようにしたい」
 山内卓也は久々の金子との連係に胸を躍らせる。
 「金子さんとは久しぶりになりますね。しっかりと付いていけるように。普通に練習してきたし、ここは涼しいから自分としてもいいんじゃないですか」

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武田豊樹選手
武田豊樹選手
 オールスターのワンツーコンビが初日特選のメーン。およそ2年ぶりのタイトル奪取となった武田豊樹(写真)は、違反訓練から中3日での今シリーズ。
 「オールスターから中1日で罰則訓練に行っていた。練習も限られた時間でちょっとですけどできた。オールスターが終わって体調を崩したし、きついけど、目の前の一戦、一戦を頑張るだけです」
 神山雄一郎はオールスターの準Vで賞金ランクをグッとアップ。グランプリ出場が見えてきた。
 「今年はダービーに出られなかったし、グランプリに出られるとは思ってなかった。でも、オールスターが終わって視界に入ってきたし、テンションは高まりますね。ここまで来たらグランプリには出たい」
 前回の函館F1の決勝は後方に置かれながらも黒田淳は、まくり強襲の準V。感触は悪くなさそうだ。
 「決勝は予想外の展開でああなってしまった。自分の調子は悪くないし、普通だと思います。どこを走っても相手は強いし、当たって砕けるだけです(笑)。精いっぱい走って、いつか特選で3着までに入って勝ち上がりたい」
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