『青森競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月23日

 青森競輪場を舞台に開設67周年みちのく記念「善知鳥杯争奪戦(GIII)」が、9月23日に幕を開けた。初日は一次予選から見応えのバトルが展開され、地元の箱田優樹の1着でスタンドも沸いた。メーンの特選では、成田和也、新田祐大がワンツーを飾り、順調なスタートを切った。24日の2日目には初日特選を勝ち上がった9選手によって優秀「八甲田賞」がメーンに行われる。
 本場では24日の2日目に、「オリジナルもりんちゃんブロックメモ」を先着500人にプレゼント。「仮面ライダービルド」のショー、なりきりアイドル「松森聖菜」のショー、「GMU」のミニライブなどが予定されています。青森競輪場では、開催中の毎日、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<1R>

藤田昌宏選手
藤田昌宏選手
 中団の亀井久幸が先に切った上を、竹内翼が押さえて中四国ラインが主導権を握る。7番手の上原龍を警戒しながら赤板の2コーナーで先頭に立った竹内は、冷静にペースで駆けて別線を完封。亀井のまくりを止めた藤田昌宏(写真)が、番手からきっちり追い込んで1着。
 「(竹内は)ペースですよね、(最終)1センターから踏み込んだし、自分も追走しやすかった。ジャン過ぎくらいから上原君が来たらブロックしようと思ってたけど、竹内君がいい気を出してました。先行屋が先行をして、番手が止めて、3番手が締める。競輪としては完ぺき。それで3人で決まったんで、なによりです」
 「展開が向いた」との竹内翼は、力を出し切る先行策でラインを上位独占に導き汗をぬぐう。
 「上原さんが7番手で、それがすべてです。(亀井が)1回切ってくれたのもよかった。あとは上原さんのカマシに気をつけていた。あそこから駆けたんで、本当はもっと粘らないといけない。思いのほか、直線が長かった。カーボンの自転車でスピードを上げる練習をやってきたのも良かったし、練習方法としては間違ってないと思う」


<2R>

 丹波孝佑が主導権を握って、中団が須永優太と矢野昌彦でもつれる。番手の松尾透は須永のまくりを張りながら、最終3コーナーからまくり気味に踏んで勝ち切った。
 「丹波君がいいところで駆けてくれましたね。バックで2番(須永)が来たのはわかりました。(逃げる丹波が)あのスピードだと矢野さんや2番に行かれてしまうので、踏ませてもらいました。余裕はあったし、タテも出ているので状態はだいぶ良くなっています」
 中団争いを制した須永優太が、松尾に合わされながらもまくりで2着。
 「(位置の取り合いで)外に浮くような展開にだけはしたくなかったけど、組み立てが甘かったですね。前(丹波)も出させる気はなかったんでしょうね。行けるところがなかったです。最後、外を踏めたのはたまたまです」


<3R>

金子哲大選手
金子哲大選手
 赤板の1コーナーでじわりと押さえて出た金子哲大が、先行態勢を取って後続は一本棒。打鐘の2センターからスイッチを入れて、金子はペースを上げて逃げる。番手で願ってもない展開になった石川裕二が、余裕をもって追い込んで今期初勝利を挙げた。
 「自分はなにもしてない。前と後ろのおかげです。金子がきっちり駆けてくれて、誰も来なかった。(1着は)すげぇ、久々。1着が取れたんで良かったけど、今年はまだ2、3勝しかしてないですよ」
 レースをつくって関東での上位独占をメイクした金子哲大(写真)だが、直線半ばで失速し3着がいっぱい。
 「展開は良かったと思うけど、自分に余裕がなかった。駆けないで、駆けないでってやって(別線に)来られるよりも、2センターくらいからケツを上げてペースに入れた方がと。練習では(500バンクの)大宮でも踏み直せているんですけど、最後はいっぱいでした。やっぱり練習とは違いますね」


<4R>

 赤板前から動いた北村信明が誘導後位に収まると、日当泰之は中団外併走から打鐘を合図にスパートして先頭に立つ。松山桂輔は北村と中団外併走からまくって行ったが、車は進まず。番手絶好の鹿内翔がゴール前で日当をとらえた。
 「日当君は絶対に行くと思っていたので、そこは焦りはなかった。(日当は)中団併走を誘って、うまく駆けてくれましたね。(地元記念の)緊張で頭がいっぱいだったけど、ここは何度も練習で走っているので踏む場所はわかっていた。初の地元記念、初1着。これで少し気楽になるかな」
 2着の日当泰之だが、冷静にレースの流れをつくった。
 「重くて最後はいっぱいでした。ペースで踏んで鹿内さんに残してもらった感じ。久々に長い距離を踏んでキツかったけど、アタリは付きました」
 北村信明は中団の内でかぶる苦しい展開だったが、最後はこん身のハンドル投げで3着に食い込んだ。
 「(打鐘の)2センターで来るならハコ勝負のつもりだったが、早めに来たので出させて中団と思ったら松山(桂輔)さんが来ていて…。(最終)バックでは仕掛けられたけど、松山さんが邪魔だった。脚は余裕があったのに、後ろには迷惑をかけてしまった」


<5R>

 後ろ攻めの野口大誠が打鐘前から押さえて先制するが、すかさず加賀山淳も巻き返して両者で激しい踏み合いに。戦局を冷静に見ていた藤田勝也は最終2コーナーまくり。前団を一気にとらえると、番手の神田紘輔がゴール寸前で差し切りを決めた。
 「展開がある程度向いてくれましたね。最後なかなか(藤田が)タレてこなくて抜くのに時間がかかったけど、感じは悪くないですね。なによりラインで決めることができて良かったです。しっかり差せていたし余裕もありました」
 踏み合いをまくった藤田勝也が2着。落車からの復帰戦を冷静に自己分析する。
 「野口がフタをして加賀山さんを意識していたのでこれは行くなと思ったので出させました。ただ、思った以上に野口が強かったし、内に差して外に持ち出すのが遅かったです。少し判断が遅かったです。落車明けの一戦で重かったし、最後もタレているので落車の影響があるのかも」


<6R>

上田隼選手
上田隼選手
 吉本卓仁を押さえ込んで橋本智昭が主導権。吉本が中団に下げると、追い上げた上田隼(写真)が最終ホームで新井秀明をキメながらインを進出して3番手を奪取する。逃げる橋本の後ろで車間を切った小橋秀幸が一瞬、空けたインを上田が突いてコースをこじ開け勝ち星をもぎ取った。
 「とにかく強気でと。あとは外から自力含みでと思っていました。やることをやれているし、その時の判断、判断ができている。(小橋が)そのまま踏んでくれれば良かったけど、踏まなかったんでああなりました。記念で(持ち味が)出たのはいいアピールになる」
 最終4コーナーで上田に当たられた小橋秀幸は、態勢を崩しながらも懸命に追い込み2着。
 「吉本君が来ているけど、伸びてないなと思った。もうひと振りしようと思ったら(上田が内から)来ていた。もう4着以内に入らないとって、前に踏んだ。楽だし、踏んだ感じはいいです」
 目標の吉本が上田に弾かれて、新井秀明は上田の後ろに入りしぶとく追い込み3着。
 「(吉本を)迎え入れようとしたら、(上田に)入られてしまった。最後は8番(橋本)の内を行ったらアウトだと思って、バックを踏んでからだった。なんとかっていう感じですね」


<7R>

 中団から先に動いて切った齋藤友幸を山下一輝が打鐘で叩いて主導権を握る。前受けから7番手まで下げた箱田優樹は、最終バックからまくり上げる。徐々に前団との距離を縮めた箱田が直線でイエローライン付近を鋭く伸びて、激戦を制した。
 「常に焦りはあって最終バックで合わされた時はダメかと思った。引くところは引く、突っ張る時は突っ張るというメリハリをつけないとダメですね。脚は1着なので、ただ緊張がすごかった。脚よりも気持ちの問題なので気持ちを強く持って走りたい」
 地元コンビの後位を回った明田春喜が、最終バック最後方の展開から2着に突っ込んだ。
 「たまたまですよ。空いてなくても、どうせ飛ぶくらいなら突っ込もうと。そしたらきれいに空いてくれた。今は体重を絞っている中で、気持ちがまた入ってきている時に結果が出て良かった」


<8R>

山崎光展選手
山崎光展選手
 中島将尊が赤板の2コーナーで久米康平を押さえて主導権。別線を警戒しながら徐々に踏み込む中島に対し、7番手まで下げた久米は打鐘の4コーナーから一気に巻き返す。福島武士は離れて若松孝之が久米を追っていく。3番手から合わせて踏み込んだ山崎光展(写真)が若松を飛ばしてスイッチすると、久米をゴール寸前でとらえて金星。3連単38万円台の大穴配当を演出した。
 「まさか1着を取れるとは思わなかったです。組み立て的には前々に踏んで、久米君が先行なら番手(狙い)も考えていました。体がうまく反応してくれましたね。S級に復帰して初めての勝利でうれしいです」
 ロングまくりの久米康平は、直線で末が甘くなり2着。人気に応えられなかった。
 「若松さんが車間を空けていて出切れると思ったので、ホーム戦目がけて仕掛けていきました。ただ、自分勝手なタイミングで行ったので後ろも付きづらいかなと思いました。中2日であまりモガけていなかったぶん、力を出し切ることができて良かったです。いつも初日が一番重いので、2日目はもっと良くなると思います」
 先行した中島を利した兵藤一也が3着に入った。
 「中島君が頑張ってくれましたね。7番(久米)はいいスピードというよりかは、外を走っていたし、6番(山崎)も来ていたので止めようがなかったです。それでも着にからめたのは全部前のおかげです」


<9R>

 打鐘手前で出た巴直也が緩めると、間髪入れずに川口聖二が巻き返して主導権を握る。岩見潤は付け切れず、2車で中部ラインが出切る。3番手からまくり追い込む巴をけん制した坂上樹大が、番手からきっちりチャンスをモノにした。
 「(川口)聖二の場合は前を取らされちゃうんで、厳しいところもありますよね。聖二は3着だし、岩見さんとも決められなかった。そこがまだまだです。自分の状態はいいと思います」
 3番手からまくり追い込み気味に仕掛けた巴に乗って、加藤圭一が追い込み2着。
 「あのコースもセオリー通りです。道中も余裕があったし、伸びていると思います」
 構えることなく敢然と逃げた川口聖二は、内容の濃い走りも3着に複雑な表情を浮かべる。
 「(巴が)出させてくれる感じだったし、冷静には走れている。そのあと巴さんが車間を切ってまくり追い込みに来るんだろうと思ったら、変な風に踏んじゃった。それでバックからゴールまでの踏み上がりもイマイチだった。雨で重かった。でも、バックからもっと掛かってもいい。引っ掛かりが悪かった。(シューズの)サンの位置なのか、なにか変えてみようと思います」


<10R>

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 先行態勢を取った新山響平の後ろで山田久徳が粘りもつれる。踏み込むタイミングうかがっていた松谷秀幸(写真)は、打鐘の3コーナーから仕掛けて新山の番手に追い上げる。新山の番手を奪取した松谷が追い込み抜け出した。
 「(山田が粘るのは)全然考えてなかった。あとはあそこしかないと思って踏みました。想定外の展開ではあったけど、変わりなく判断ができてる感じがします。(渡邉)晴智さんとワンツーが決まってうれしいですね」
 メモリアルの400勝はお預けも、渡邉晴智がきっちり流れ込んだ。
 「組み立ては全部任せていて、(松谷が)先行するとも言っていたので、そういった気持ちがいい結果につがったのかな。自分は踏んだけど抜けませんでした。400勝は持ち越しですね」
 単騎の園田匠は、最終バックから外を踏み、直線に入って鋭い伸びで3着。
 「うまく体が反応してくれましたね。前回はフレームとセッティングがかみ合っていなかったけど、開催前に(北津留)翼のアドバイスでセッティングを変えてみたら感触が良かったし伸びている感じがしました」


<11R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 7番手まで下げた深谷知広(写真)は、坂本貴史の仕掛け乗って打鐘の4コーナーで主導権を奪取。坂本のまくりは、稲川翔がブロック。リズム良く駆けた深谷が、逃げ切った。
 「粘られたのは反省ですね。だけど、いいペースで踏めていましたね。少し不安はあったけど、踏んだ感じは悪くなかったです」
 坂本のまくりをブロックして深谷に置いていかれた稲川翔は、2着キープまで。
 「自分の走り方を間違えました。いつもだったらいろいろ(レース中)考えることがあるけど、深谷に関してはべつですね。レースは見えているし余裕があったけど、深谷が強かったです」
 前々に踏んでからまくり上げた坂本貴史が、3着で2日目の優出にコマを進めた。
 「深谷が後方まで引くとは思わなかった。ああなったんで深谷が出ていくタイミングで、自分も出ていこうと思った。あとは守澤(太志)さんが付いているので、ダメでも行かなきゃいけないと思い仕掛けていきました。レースのなかで対応はできていたと思います」


<12R>

成田和也選手
成田和也選手
 赤板の2コーナーで小嶋敬二がハナに立つと、中部コンビを追った新田祐大がその上をスピードに乗せて出て先行策。新田は後続を引きつけて、一度ペースを落としてから再度踏み上げる。和田真久留の反撃は3番手までで、逃げる新田との車間を空けてから追い込んだ成田和也(写真)が差し切った。
 「新田が強かったです。自分は余裕があって車間を空けたっていうより、(新田と)ワンツーを決めなきゃっていう車間です。抜けないかなと思ったけど、抜けたんで良かった。和田君をうまく(最終)2コーナーで合わせられたかなと思います」
 和田をギリギリまで引きつけてから持ち前のダッシュで合わせた新田祐大は、貫禄のワンツーも疲労困ぱいの様子。
 「疲れはマックスです。キツかったです。それでもあのくらいは長い距離じゃないです。自分のタイムも悪くないと。(開催中は)練習ができないんで、トレーニングの感覚をふまえて走っていかないと。そういう課題を持ちながら、残りの3日間も自分でしっかりと組み立てていきたい。レースを組み立てていくなかで、(初日は)あのタイミングしかなかった。いいタイミングで行けたと思います」
 8番手に置かれた和田真久留が、打鐘の4コーナーから巻き返す。新田に合わせられると、小嶋から3番手を奪って流れ込んだ。
 「踏み込んだ感じは(先頭まで)行けるかと思ったけど…。新田さんもスッと持ち出していたし厳しかった。それで3番手に行くしかなかった。一番強い人(新田)を逃がして最悪にしちゃった。もうワンテンポ早く行かないとダメだけど、自分の感触は悪くない」