『弥彦競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:7月9日
 弥彦競輪場で開設75周年記念「ふるさとカップ(GIII)」が、7月10日から始まる。3年ぶりの開催となる弥彦記念に、S級S班3人をはじめ豪華なメンバーが集まった。さらには渡部幸訓、坂井洋、佐々木悠葵、浅井康太、取鳥雄吾、石原颯ら実力者が名を連ねて、4日間のシリーズは初日から目が離せない。前検日の7月9日は、弥彦の気温も上昇したが、汗を流して感触を確かめる選手も多く、選手それぞれが入念な調整を行った。
 記念開催中は毎日、オリジナルグッズなどを1000人に先着来場プレゼント、伊藤克信さんらによる公開予想会などが予定されています。また、7月10日の初日は、「イケメン四銃士」のライブステージ、「Rafvery」のライブステージなどもあります。弥彦競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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阿部将大選手
阿部将大選手
 前回の玉野FIを373着の阿部将大(写真)は、準決でまくり不発のシンガリ負け。小森貴大に大きく振られたとはいえ、現状をこうコメントする。
 「(前回の)玉野は腰が悪いわりによく走れた。玉野の前に久々のウエートトレーニングで腰に違和感があったんですけど、(今回は)練習もできている。ウエートトレーニングも違和感なくできている。あとはレースで走ってどうかなって感じです。ただ、脚的には(一番良かった)あの時の感じにはない。前のような感じで練習を組めてないので、いまのリズムでどうやって練習をしていくかまだ手探りです」
 直近の2場所は、ともに白星スタート。FIシリーズで成績をまとめている蕗澤鴻太郎は、近況に手ごたえをつかんでいる。
 「練習をやりすぎてしまって、5月の青森くらいで腰が痛くなってしまった。それで良くなかったけど、徐々に良くなってきていると思います。練習のタイムとかがもう少し良くなってくれば、自信をもって走れると思う」


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 ホームの平塚FIシリーズを314着で終えた嶋津拓弥は、そこから2週間以上空いたローテーション。
 「(平塚のあとは)普通に練習して、あとは疲れがって感じですね。悪くはないけど、特別にいいってわけじゃない。でも、悪い時期は脱しました。(優勝した5月の高松の)調子が維持できていればいいんですけど。(前回のあとは)久々に空いた。それまでは結構、詰まっていたんで、あとは(練習の成果が)出てくれれば」
 長島大介は、前回の高松宮記念杯を95818着。4走目は菊池岳仁の番手から勝ち星をつかんでいるものの、大きい着順も目につく。
 「高松宮記念杯は、脚自体は悪くなかったんですけどね。でも、高松宮記念杯はいつも成績が良くないイメージです。終わってからはしっかりと練習もできましたし、調整もできたので悪くないと思います。弥彦は優勝もありますし走りやすいイメージですね」


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治田知也選手
治田知也選手
 今年2月に3場所連続の完全Vの特進でS級にステージを上げた治田知也(写真)にとっては、初めての地元記念。それだけに自然と力が入りそうだ。
 「(前回の)立川は初日が不甲斐なかった。けど、残りの2日間でしっかりと先行して(1、3着に)残れているんで状態は悪くない。A級の時は自在っぽい戦い方をしていた。でも、S級ではしっかり動けているので悪くない。熊本、立川と連戦だけど、疲労を抜いて調整程度でもバンクでも練習した。やれることはやってきた。しっかりと自分のレースをして、ラインで決められるように。地元(の看板を)背負っているからには、しっかりと戦いたい」
 S級初場所の前回の名古屋FIが537着だった堀川敬太郎は、成績以上に冷静に走れたようで、9車立ての今シリーズであっと言わせるシーンがあるかもしれない。
 「(前回は)周りが見えてはいたけど、ビビっちゃったのもある。いつも通りのレースをすれば良かったけど、仕掛けを見てしまった。9車立ては初めてだけど、先輩たちからいろいろ聞いてきたんで持ち味が出せれば。(前回でも)まったく勝負ができないっていうのはなかった。(自分は)地脚なんでダッシュがないから、ピッチが上がった方がいい」


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 S級初場所の前回がいきなりの9車立てだった佐藤壮志は、追加の今シリーズが中2日ながらも再び記念の配分。続けての9車立てのアドバンテージで、一次予選をクリアしたい。
 「(前回の小松島記念は)やっぱり全体的に、まだまだ足りないなって感じました。3日目と最終日はなんとか確定板には入れましたけど、初日、2日目はまったく太刀打ちできませんでした。でも、またこうやって9車立てを走らせてもらえる。9車立てに慣れていきたいですし、対応していけるように頑張りたい」
 前回の高松宮記念杯の2走目に落車に見舞われた椎木尾拓哉は、その後に3走を走りぬいて最終日には2着に入った。
 「(前回の)岸和田で落車した怪我は大丈夫です。(久留米記念で南修二が優勝したが)すごいですよね。自分も一緒に練習をさせてもらうようになって、いい刺激をもらっていますし、少しでも近づけるように。高松宮記念杯が終わってからは、また岸和田に行って練習しました。南さんや古性(優作)君はいなかったんですけど、いい練習ができました」


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 堀江省吾にとっては、気持ちの入る地元記念の今シリーズ。レース内容を意識して、脚力アップにも務めて、まずは初日に全力投球。
 「今回が初めての地元記念ですね。もうあっ旋が入った時からここに向けて練習の強度を上げたり、レースでも積極的な組み立てを増やすように頑張ってきた。脚力的には上がっていると思います。(初日は)枠的にも力を出し切れれば戦えると思うので、出し惜しみせずに頑張りたい」
 新車を投入した前回の小松島記念を2638着。松本秀之介は上積みを求めつつも、小松島記念では好感触を得ている。
 「前回の小松島からフレームを新しくしました。5月、6月と感じが良くなかったけど、前回は感触自体は先月までよりも良かったです。フレームを小さくしてパイプも変えたので、ハンドルとサドルの距離感がハマっていないので、もう少しいじってハマる位置を探しながら調整していければ」


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昼田達哉選手
昼田達哉選手
 前回の久留米記念ではシリーズ後半で2着2回の昼田達哉(写真)は、いまひとつの感触。しかしながら、今シリーズは、変わり身に期待できる状態にありそうだ。
 「(前回のあと)マッサージにいった。それで原因がわかった気がした。上半身と下半身が連動してない。それがあったんで、(体を)ほぐしていい方向にいってくれれば。昨日、一昨日の(練習が)いいころの感じになっている」
 佐藤博紀は、前回の小松島記念が1278着。一、二次予選をクリアして準決に進出した。初日に区切りの通算300勝を遂げたものの、慎重にコメントする。
 「初日、2日目は確定板に入れたけど、自分としてはそんなにいいわけじゃない。結構、疲れもたまっている。ただ、中2日なんで、その分レース勘はいいのかと。300勝は(周りに)言われて気がついた。そんな感じなんで、(初日も)いつも通りに走ります」


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 88334着の高松宮記念杯が一息だった山崎芳仁は、その後にコンディションを崩して川崎FIを欠場。まずは気心知れた同県との後輩とのタッグで、シリーズをスタートさせる。
 「前回の川崎は、風邪を引いてしまって休みました。高松宮記念杯も良くなかったですし、体をしっかり整えようと思って調整してきました。練習は休んだあとにしっかりやりました。(高橋)晋也はいつも頑張ってくれますし、いいレースをしてくれる。信頼して任せたい」
 直近の3場所で4勝。コンスタントに勝ち星を重ねている岩谷拓磨は、様々な課題と向き合いながらの近況を振り返る。
 「調子は悪くないと思うんですけど、最近は急に番手回りのレースが増えてきて難しいですね。(6月の)富山もそうでしたし、前回の最終日も難しかった。自力の時よりも考えることもやることも増える」


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 6月のレインボーカップファイナルで2着に入りS級にカムバックを果たした橋本智昭は、その後のFIシリーズ3場所で5勝の固め打ち。対応力を高めて、好成績を収めている。
 「フレームとかポジションを若干、変えた。基本的にはタテなんですけど、思った以上に(流れに応じて)走れている。ポジションを変更した効果が出ている。ポジションを変えたのは、A級の後半からですね。あとは9車立てでいろいろ気づきもあると思うので、そういうところで収穫があれば」
 前回の平FIを176着から月森亮輔は、中2日で今シリーズが追加配分。そのなかで、最善のコンディションづくりをしてきた。
 「できることはやってきました。(近況は成績がいいけど、自分が踏む)距離が短くなっている。でも、(初日も)タイミングがあれば、先行もって思っています」


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渡部幸訓選手
渡部幸訓選手
 昨年10月の当所の寬仁親王牌では決勝にコマを進めている渡部幸訓(写真)は、前回の久留米記念を5618着。いまひとつだった流れを相性のいいこのバンクで変えたい。
 「前回の久留米は、感覚自体は悪くなかった。けど、最終日は外を張る意識が強すぎて、内への意識が薄れていました。自分の甘い部分が出てしまいましたね。そういうレースをなくしていかないと。弥彦は去年の寬仁親王牌で決勝にも乗れましたし好きなバンク。カントの感じも直線の感じも、走りやすくて好きですね」
 富山GIII、青森FIと直近の7走で5勝を挙げている櫻井祐太郎だけに、一次予選のここではラインの渡部と人気を集めそうだ。
 「(前回は)体の感じも良かったし、自分のレースもできたんで良かった。(決勝は)北日本で別ってこともなかなかないし、(競技で)世界で戦っている選手(小原佑太)とやれたのはいい経験になった。まだまだ上との脚力差があるので、そこを埋めていかないと。(前回から)少し空いたんでまとまった練習ができて、いい練習になりました」


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谷和也選手
谷和也選手
 4月末の平FIでS級初優勝を遂げた谷和也(写真)は、その後も好調をキープして競走得点もアップ。前回の地元、岸和田FIでも連勝で優出を果たした。
 「(前回のあとも)しっかりと練習ができたんで、調子も悪くなく今回も来られていると思います。すごく周りのみなさんには点数が上がったとか言ってくださるけど、裏開催みたいなところで積み上げていった。それだけで内容としても、まだまだです。(自分の走りは)先行にしろまくりにしろ、自分の力を最大限に出し切ること。そのなかで着がついてきたらいいなって」
 前回の高松宮記念杯では動きがいまひとつのように見えた三谷竜生は、谷とタッグを組む一次予選に気を引き締める。
 「前回は、思っているより調子が良くなかった。うまくかみ合わなかった。自転車は換えてないので、体の部分が思うような調整がいかなかった。(そのあとは)しっかりと練習ができたので、問題はないのかと。前回よりは大丈夫ですかね。(谷は以前に)僕と連係した時より勢いがあるので、しっかりと付いていきたい」


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末木浩二選手
末木浩二選手
 前回の高松宮記念杯では一次予選1でいきなり落車に見舞われた末木浩二(写真)だったが、その後はあれよあれよで、ビッグ初優出までたどり着いた。単騎となった決勝では、寺崎浩平がつくり出したペースに脱帽の表情でこう振り返った。
 「高松宮記念杯では1走目に落車して、痛みがずっとあった。それで大事を取って(立川FIを)欠場しました。(決勝に乗った高松宮記念杯は)開催を通して、すごい不思議なくらいうまくかみ合った。こんなことはもうないんじゃないかっていう感じだった。(決勝は)残り2周のスピードが、いままで経験したことがないくらいのスピードだった。そのなかで先行している選手は、やっぱり違うなって感じた。あれ以上の選手たちと走ることはほぼないと思うので、あのスピードを経験できたのは良かった。(前回のあとは落車の)痛みを取ることを優先して治した。いつも通りの練習ができた。落車の影響を感じないくらいに戻ったと思います」
 佐々木悠葵は、前回の高松宮記念杯で3度の確定板入り。そこから2週間以上空いたローテーションで、上積みもありそうだ。
 「体調的にも問題はないし、前回よりはいいと思います。体を変えている感じで、セッティングの方はまったくいじってない。ここ(弥彦)は重たいので苦手な感じですね」


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脇本雄太選手
脇本雄太選手
 2月の全日本選抜でグランプリスラムを達成した脇本雄太(写真)は、前回の高松宮記念杯を5連勝の完全V。今年2度目のGI優勝も、まだまだ進化の途中だ。
 「(前回は)いろいろ自分のなかで試したいこともあった。それが実行できたけど、納得ができていないところもある。でも、収穫もあった。決勝に関しては、もっとなにかできたんじゃないかと。そこは(優勝したからといって)喜ばずに次につなげたい。高松宮記念杯が終わったあとは、疲れが抜けなくて2、3日休んでから練習した。(現状では)持病の腰痛がない状態だけど、体力的に練習の質が落ちているなって思います」
 S級S班に復帰した前回の小松島記念が3171着。冷静にシリーズを分析しながら、松浦悠士は中2日で今シリーズを迎える。
 「(前回は)初日は良かったと思ったけど、最終日に自力を出した時にあれっていう感じだった。自分がイメージしている進みではなかった。スピードをもらって、ただキープしただけみたいになった。それで最終日の感じは良くなかった。(中2日で)1日だけローラーに乗ってきた。移動疲れとかはあるけど、競走を走るうえでの疲れとかはない」
 初日特選は単騎になった新山響平が、フレーム変更を考えているようで新たな色が出るのか興味深い。
 「(高松宮記念杯は)弱気なレースがあったので、そこは反省ですね。連日、体も自転車も重い感じがあった。なんとかしたかったんですけど、改善できなかった。(腰痛で久留米記念を欠場して)腰の感じをみながら、(練習では)徐々に負荷を上げてやってきた。徐々に戻っている感じです。宮城の和田圭さんにお借りして、違う自転車を持ってきた。メーカーも違うので、どっちを使うかって感じですね」