6年ぶりの弥彦記念。注目のオープニングレースは逃げた及川裕奨の番手を回っていた平沼由充がゴール前で差して白星をつかんだ。 「久々にワンツーが決まりましたね。及川君が落ち着いてマイペースで仕掛けてくれた。今日の展開は最高ですね。及川君は逃げると強いし、最後もタレなかった。自分も気持ちと脚に余裕があったので、けん制もできたし、差すことができました」 2着には逃げた及川裕奨が粘り込んだ。 「今日は逃げさせてもらった感じ。もっと打鐘のところで踏まされるかと思ったけど、良い具合に車が流れて出切れたし、巧くペースを作ることができました。最終ホームも良い感じに脚を回せたので、ラストスパートまで余力を残せて良かったです」 懸命にまくり上げた野口大誠は、3着に食い込んで勝ち上がりを決めた。 「もうちょっと何かできれば良かった。踏み出しの車の出は良かったけど、及川さんがかかっていったのでキツかった。でも次につながるレースはできたので、また明日頑張ります」 |
![]() 田中誠選手 |
永井清史が打鐘で踏み上げて前に出ると、前受けの田中誠(写真)は飛び付きを決行。すると、隊列が短くなったところを斎藤友幸がカマしてハナに立つ。しかし、加藤圭一が踏み出しで離れ永井が番手にハマる展開に。永井は2センターから踏み込むが、永井後位を取り切った田中がその後ろから差し脚を伸ばして1着。 「(飛び付きは)作戦のうちのひとつでした。永井がきたらどうするか。でも、来るのも遅かったですし、有賀(高士)さんも遅れていたので、(飛び付きは)決定でしょ(笑)。(その後は)頑張ればバックからまくっていけたけど、予想外のカマシに合ってしまって。永井も車間を切っていたので、まくったら合わせられると思って。後ろには悪いですけど、一旦様子を見させてもらいました」 2着の永井清史は「フタをして駆けたのは作戦通りです。あとは田中がどうするかなと。車の出も悪かったです」と冷静にレースを振り返った。 タイミング良くカマした齋藤友幸が3着。攻める気持ちが結果に結びついた。 「相手が永井ですから。ちゅうちょしたら勝てる相手じゃないですよ。隊列も短くなっていましたし、いかないと。持ち味を出せたと思います。(機動型全員が同級生で)感慨深かったですね」 |
---|
![]() 志村龍己選手 |
後ろ攻めから押さえた伊原克彦に対し、前受けの佐藤健太は誘導員を残して車を下げる。佐藤は3番手で止まったが、外併走になっても志村龍己が位置にこだわったため長い併走に。これで伊原のペースになると、番手絶好の濱口高彰がゴール前で逆転した。 「ビックリしました(笑)。前を取って、8番手に引いてカマシの作戦だったから。(後ろでモツれた2人が)僕の内まで来てどうするんかなと思ったけどね。僕は付いてるだけで、何もしてません」 2着に粘った伊原克彦だが、レース後は不満げ。 「あれならもうちょい残らないと。(濱口に)ズバッと行かれたんでね。最近先行してないから半信半疑だった。もうちょい自信を持てればね。でも悪くはないです」 志村龍己(写真)は意地で3番手を取り切った。 「あそこで斬ったら自在選手じゃない。あそこで戦うのが勝負だと思ったし、こだわってやろうと思ってました。取り切ってからも余裕はあったけど、(伊原は)ゆっくり駆けたので伸びていってましたね」 |
---|
後ろ攻めの土屋壮登が赤板で上昇し、前受けの竹山陵太を押さえると、松田大がすかさず反応して打鐘で土屋を叩く。先頭に立った松田が別線の動きを警戒しながら、徐々にペースを上げると、最終ホームは土屋が中団、竹山は後方に置かれて隊列は一本棒。人気に推されていた土屋は中団で車間を空けながら、最終バックで仕掛けると、土岐幹多のけん制を乗り越えて力強く前団を飲み込んだ。 「本当は予選だし、突っ張りたかったけど、鐘の所で引いてしまったし、そういう気持ちになれなかった。自分の調子が悪いですね。上のクラスなら自分が松田君の立場だと思うから先行しないといけないけど、人気になっていたし、組み立てが難しかった」 土屋マークの柴田洋輔が最終3コーナーで土岐にさばかれると、後方からまくり上げた竹山陵太が2着に食い込んだ。 「2着までこれて良かった。でも弱いですね。打鐘で仕掛けるタイミングがあったけど、体が反応しなかった。あそこで仕掛けられればもっと良かったんだけどね」 逃げた松田大は力及ばず9着に沈んだ。 「脚がないですね。出切ってから抜群にかかっている感じはしなかった。一番強い人が中団を取っていたし…。自分ではあれ以上のことはできないです」 |
打鐘で前に出た佐藤幸治を岡崎智哉が最終ホームで強引に叩いて先行策。そのまま一本棒で最終バックを通過すると、4番手を確保した佐藤が2センターからまくり追い込み。朝日勇のけん制も凌ぎ、1着でゴール線を駆け抜けた。 「今日は後方にならないように心がけていましたし、誰もこなかったら駆けようと思っていました。(岡崎が)ダッシュがあるのも分かっていて、(最終ホームは)きつかったですね。でも、いかれてからは良い感じで立て直していけました。昇級後初の1着です。A級での勉強が生きていますね。明日も勝ち上がれるように」 開口一番、「疲れました」と話すのは朝日勇。佐藤を止められなかったが、合わせてタテに踏み2着に入った。 「止まらないし、前に踏ませてもらいました。ああなった以上、1着を取りたかったですね。でも、あそこで仕掛ける岡崎君の心が強い。あそこで行かないと、次にいくタイミングも遅くなるし。(中22日だったが)気持ちは楽に走れました。でも、歳ですから明日はどうなるか(笑)。今日は岡崎君のおかげです」 |
![]() 北川紋部選手 |
後ろ攻めから動いた畑段嵐士に対して、中団から下げた菅原裕太は7番手から仕掛けて打鐘過ぎ4コーナーで先頭に立つ。そこをすかさずホームから畑段がまくると、バックで菅原をひと飲み。続いた北川紋部(写真)が直線鋭く抜け出した。 「よかったです。(畑段が)どんな走りするのかヒヤヒヤしてたけど、予選はあのくらい行かないとアイツも上がない。ここで行って欲しいなってところで全部行ってくれましたよ。調子がいいのかな?僕も」 まくった畑段嵐士は2着に粘り、初めて記念の一次予選を突破した。 「初日落車しなかったのも初めてなので。前に加賀山(淳)さん、上原(龍)さんとの3分戦があって、今日も同じようなメンバーだった。そのレースは自分が叩いて上原さんがまくり追い込み。今日も菅原君だけ叩いて、上原さんの仕掛けを北川さんが振ってくれればと思ってた。仕掛けた感じは悪くないです」 上原龍の仕掛けに乗った中川貴徳が外を回して3着に突っ込んだ。 「前より余裕ができたんで。(1カ月欠場する前は)A級に落ちるくらいヤバかったけど、自転車を戻したり色々変えたらよくなった。今日は上原君が前々に攻めてくれてよかった。最後もキツいところを行ってくれたんでね」 |
---|
鈴木雄一朗が赤板前から早めに上昇して、人気の坂本周輝を押さえると、単騎の古城英之は関東ラインを追走して、坂本は5番手となり打鐘を迎える。鈴木が徐々にペースを上げて最終ホームを通過すると、車間を空けてタイミングを計っていた坂本が最終2コーナーから仕掛ける。出脚良いまくりで3コーナー付近で逃げる鈴木を捕えると、ラインで上位独占。ゴール線を先頭で駆け抜けた。 「前々に動いて良い位置を取れたし、良かった。内藤さんに落ち着いていけと言われていたし、ラインで決まりましたね。バンクが重かったので脚の感じはイマイチかな。内容もまだまだです」 番手の内藤宣彦がきっちり続いて見事ワンツー。 「キツかった。風があって脚が溜まらなかった。坂本が5番手になった時点でいつ仕掛けても決まるなって思っていたし、焦るなよと思っていた。レース前は突っ張るって言っていたけど、あれで良いんじゃないかな」 逃げた鈴木雄一朗は力を出し切って清々しい表情を見せた。 「相手が強かったし、力負け。最近の中では風を切った距離が一番長かったです。現状の力がこれってことでしょうね。合わせるぐらいで踏みたかったけど、まくられたので相手が強かった」 |
G戦デビューの取鳥雄吾が圧巻の走りで白星を飾った。前受けから一旦車を後方に下げるも、打鐘過ぎから踏み込んで五日市誠を叩く。そのまま別線をクギ付けにする完璧な内容で、中四国ラインを上位独占に導いた。 「今日は取れた位置から頑張りますと2人(濱田浩司、三ツ石康洋)には言っていました。(打鐘の)3コーナーで突っ掛って危なかったですね。良い勢いで踏んだのでバック過ぎまでは流す感じで。出切るまではアップアップしていたけど、出切ってからは冷静に走れました。緊張も無かったです」 4コーナーをハコで回った濱田浩司だが交わせずの2着。検車場に引き揚げてくると、取鳥の強さに舌を巻く。 「(取鳥に)付いたこともないし、分からないところもあったので、とりあえず付いていくことを考えて。バック向かい風なのに踏み込んでいってこれは誰も来れないと。後ろは休める感じではなかったですね。最後は抜いたと思ったけど、踏み直されました。まだ余裕を持っている感じでしたね。次は良い勝負をしたい」 五日市誠は5着。組み立てに失敗して勝ち上がりを逃した。 「飛び付きたかったです。でも、ああいう流れの中での飛び付きは得意じゃないんですよ。もうちょっと踏んで濱田さんのところで粘れればよかったけど。トップスピードの違いで出られてしまいました。でも、ここ最近の中では早めに踏んでいけてるし、(状態は)悪くないと思います」 |
![]() 谷口明正選手 |
吉田拓矢が力強い走りで人気に応えた。番手の手島志誠が離れて、番手に谷口明正に入られるピンチも関係なく、力勝負でレースを掌握した。 「(残り2周は突っ張るか)迷いどころだったけど、重注をつけるのもイヤだし、力で勝てればと思った。流れを見て行けたんでよかったです。(張りが)抜けてる分、あんまりアタリがなかったけど、また明日いい感じで踏めれば。(前のレース取鳥雄吾が勝って)同期の走りは刺激になるし、自分も負けないようにと思ってました」 吉田の番手に飛びついた谷口明正(写真)が2着に食い込んだ。 「キツかったです。(ギアを3.)85に落とした分、最後伸びを欠きましたね。合わせてやろうと思って踏んでたから、車間を空けずに飛びつけなくて脚もたまらなかった。前回の別府は不甲斐なかったんで、今回は自分で動かしてと思ってた。差せなかったのは悔しいけど、動きは悪くなかったんで」 谷口マークの伊藤正樹が3着に流れ込んだ。 「打鐘で斬って飛びついての作戦だったけど、そのとおりになりましたね。感じはあまりよくなかったけど、とりあえず初日が大事だと思ってたのでよかったです」 |
---|
![]() 山崎芳仁選手 |
赤板で早坂秀悟がジワジワと上昇し、打鐘で一気に踏み込んで前受けの河村雅章を叩く。出切ってから一旦緩めた早坂だったが、最終ホームで松浦悠士がカマしてくると、すかさずペースを上げて合わせきる。最終3コーナー付近から河村雅章がまくり上げてくるが、早坂マークの山崎芳仁(写真)が余裕を持って抜け出して河村を振り切った。 「松浦君がホームで仕掛けてくるのが分かったし、張りながら余裕を持って走れた。河村君のまくりも止まっているように見えたけど、最後は迫ってきていましたね。今日は車もすんなり出たし、早坂君が頑張ってくれました」 まくり上げた河村雅章は2着となり初の特選で優秀競走へと駒を進めた。 「本当は早坂君を出すつもりはなかったけど、勢い良く来られてしまった。松浦君が仕掛けてくれたから良かったけど、行ってくれなかったら厳しかったかも。脚を使っていたけど、外へ持ち出してからの感じは悪くなかったです。初の特選スタートで優秀戦へいけて嬉しいですね」 3着には北勢を追走していた武井大介が食い込んだ。 「早坂君も後ろが離れることが多いし、今日は後ろを引き連れるレースをしてくれた。一回バックで松浦君に降りて来られて脚を使ったけど、しのげたしレースも見えている」 逃げた早坂秀悟だったが、最後は末を欠いた。 「松浦君が動くのが想定外でした。山崎さんをフリーにするために思い切り踏んでいたので、最後は一杯でした」 |
---|
![]() 渡邉晴智選手 |
川村晃司が青板の3コーナーから動く。根田空史を警戒しながら上昇すると、赤板の2コーナーから一気に踏み込み打鐘で主導権を握る。根田は車を7番手まで下げて最終ホームを迎えるが、そこから反撃を開始。圧巻のスピードで前団をひとまくりすると、最後は番手の渡邉晴智(写真)が直線で追い込んでアタマ。43歳の誕生日を白星で飾った。 「(根田のスピードが)良かったですね。びっくりしました。番手を回った勝利です。ラインがあって、3人いて。誕生日に1着は初めてですね。前半戦は地元(5月静岡の日本選手権)しか良いところがなかったので、後半戦は活躍したいです」 浅井康太はまくってきた根田をブロックするも届かず。それでも南関3番手の勝瀬卓也を飛ばすと、そのままタテに踏んで2着に入る。 「あれだけ外をいかれているので。全然(ブロックが)届かなかったです。1着を目指したんですけど、さばいてからだったので。優秀は単騎で良い位置を取って。流れで自力を出せれば」 まくった根田空史は3着。前回とは違うフレームを使い、好感触を得た。 「(フレームを換えて)良いですね。立ち上げるのが楽。ここってところで反応してくれます。ダメ元で仕掛けたらいっちゃって。自分がびっくりしていますよ。体は前から良かったので、自転車とかみ合ってきましたね。このままこれでいこうかなと。3日間次第ではオールスターでも使います」 |
---|
![]() 成田和也選手 |
後ろ攻めの高橋陽介が中団の松岡篤哉にフタをすると、赤板ホームで松岡は車を下げる。松岡をけん制しながら高橋が打鐘過ぎに先頭に立つと、松岡もホームから叩きにいき両者で主導権争いに。これで平原康多のまくり頃になったかに見えたが、平原は下がってきた松岡とバックで接触して車体故障。高橋に乗った成田和也(写真)が直線抜け出した。 「(記念特選の1着は)久々ですね。キツい展開だと思ってたけど、陽介がいい競走をしてくれた。最終バックをいい位置で回れたんでよかったです。1着取れてるんで、流れはいいですね。でもまだ初日なので」 バックで目標を失うアクシデントがあった諸橋愛だが、中団で立て直すと直線内に切り込んで2着に。 「バックはびっくりしました。でも、そのあとは冷静でしたね。椎木尾(拓哉)がいなければ外にいけたけど、それでも直線が長いので前の一人を抜けば3着だと思ってた。脚は問題ないと思います」 北日本3番手を回った小野大介が3着で「伊夜日子賞」進出を決めた。 「陽介さんの頑張りのおかげですね。成田さんが仕事するだろうし、自分は内だけ締めてと思ってた。余裕はあったので、椎木尾君にも対応できました。平原さんが車体故障してると思わなくて、いつ来るんだろうと外を踏んだら内を空けてしまった。ちょっと焦っちゃいましたね」 バックで接触し、まくり不発に終わった平原康多は悔しさを隠せない。 「くそー、最悪。松岡も外にやめてくると思ったから…。全てのタイミングが最悪でした」 |
---|