『前橋競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:6月1日

 前橋競輪場で令和6年能登半島地震復興支援競輪・大阪・関西万博協賛・開設74周年記念「三山王冠争奪戦(GIII)」が、6月1日に始まった。初日のメイン、特選は栃木ワンツー。眞杉匠のまくりを坂井洋が交わした。また、一次予選では小林泰正、佐々木悠葵、木暮安由の地元勢が白星発進。復帰戦となった新田祐大も1着で上々の滑り出しを見せた。シリーズ2日目の6月2日は、初日特選組も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 記念シリーズは開催中の毎日、前橋銘菓や場内食事補助券などの先着プレゼント、選手OBによる予想会、選手会群馬支部のブース、群馬・前橋物産展、マエバシガールズアクリルキーホルダーガチャなどが予定されています。また、6月2日の2日目には、「カミナリ」のお笑いライブ、青森競輪の出張ブースなどなどもあります。前橋競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

伊藤裕貴選手
伊藤裕貴選手
 村田祐樹が青板バックで大西貴晃を突っ張り、そのまま先行態勢を取る。赤板で大西貴が4番手に入り、鈴木浩太は車間が空いた6番手。レースを支配した村田が徐々にペースを上げて軽快に逃げる。最終ホームを通過しても別線の動きはない。鈴木が1センターからまくりを打ち、大西貴も合わせて出るが、村田の掛かりがいい。大西貴を振って万全の態勢の伊藤裕貴(写真)が、番手から追い込んだ。
 「ラインでワンツースリーが決まって良かった。村田君がいいピッチだったし強かった。(残り2周手前のところは)後ろもいたのでう回していきました。大西(貴)君に粘れたら勝負だと思ったけど、そういうタイプじゃないのかなと。村田君は突っ張り先行に慣れているなって思った。今期の後半から点数も上げてきたので、1班の点数を取りたい。前半は苦戦したけど、4カ月しっかり走ったらA級の感覚が抜けてきた」
 前受けから突っ張り先行策で別線を完封した村田祐樹は、ラインでの上位独占をメイクして2着。
 「車番がいいので前を取ろうと思っていた。相手の動きもあるけど、前へ前へと。(全プロ競技大会があって)カーボンフレームに乗り過ぎていて、鉄のフレームの感じに戻すのが先ですね。一本走ったので感覚を戻していきたい。疲れは思ったほどないです。(ドームは)スピード感が外のバンクと違うので、そこを対応していきたい」


<2R>

 寺沼伊織がスタートを出て、関東勢が前団に構える。篠田幸希が上昇した田村大を出させずに、そのまま先行策。田村が4番手に入り、ペースが落ち着いて打鐘を迎える。6番手になった簗田一輝が3コーナー過ぎから反撃に出て、篠田もペースアップ。最終ホーム手前で簗田は空いた4番手に収まり、篠田のペース。3コーナーから再度踏んだ簗田は一息で、番手の池田勇人が差し切った。
 「(篠田は)すごく緊張していたけど、リラックスして力を出し切ってくれればと。引いてくるかと思ったけど突っ張ったんで、自分はやれる仕事を全部やろうと思ってました。(最終)ホームで(簗田が)降りたのも確認できた。(篠田は)初めて付く選手なので、緊張感はありました。最後は(篠田に)合わせられて、そこは自分の予想を超えていました。もっとスッと(交わして)いけるかと思ったけど、うれしい誤算でした」
 特進した篠田幸希は、S級デビュー戦が地元記念。敢然と突っ張って別線を出させずに2着に粘り、一次予選をクリアした。
 「かなり緊張したけど、作戦通り冷静に走れたんで良かったです。(田村を)しっかりと合わせてっていう感じでした。出し切れたんで満足はしている。でも、1着ではなかったんでまた明日(2日目)ですね。前々日くらいに小林泰正さんと佐々木悠葵さんに9車立ての模擬レースみたいのを(練習で)やっていただいた。それで(9車立ての対する)耐性が多少はついたのかと」


<3R>

山田諒選手
山田諒選手
 真鍋智寛が橋本智昭を突っ張って主導権をキープする。浮いた橋本は4番手で山田諒(写真)との併走で赤板を迎える。再度、橋本が仕掛けて、打鐘では真鍋と橋本で叩き合う。真鍋が合わせ切るが、脚をためていた山田が、6番手から最終ホーム手前でスパート。山田がバック手前で前団をまくり切って1着。
 「一番(主導権を取りに)行くだろうなっていうラインの後ろからいこうと。真鍋君に突っ張ってもらえると、脚を使わずにいい位置を取れる。橋本さんも踏んだので、前が踏み合って行きやすくなった。車の出はとんでもなくいいです。上がりタイムが9秒2なんですけど、こんなタイムを出したことない。好タイムが出たので自信になった」
 山田の加速に抜かりなく続いた村田雅一は、半車身差の2着。
 「真鍋君の後ろのラインを車番的に取れるのでと。僕らとしてはいい展開になった。山田君はすごく掛かっていたし、コーナーのスピードもすごかった。ゴールに向かってすごく脚が回っていました。抜ける感じはなかったです。1月にコケてから落車もないので、ようやくいい状態というか余裕もありました。あとは点数を上げるだけです」


<4R>

園田匠選手
園田匠選手
 津村洸次郎が切ったところを、木村弘が赤板過ぎに出て主導権。津村は4番手に引いて、中釜章成がすかさず巻き返す。木村が中釜を合わせ切り、掛かり良く逃げる。浮いた近畿勢にかぶり津村は動けない。中釜が力尽きて、椎木尾拓哉は最終2コーナーから前に踏み込む。津村の余力を判断して、椎木尾の後ろに切り替えた園田匠(写真)は、2センターで外に持ち出して突き抜けた。
 「走る前から厳しいのはわかってたんで、あとはいかにどうするかでした。津村がレースをつくってくれた。ただ、木村君が強かった。中釜君が出切れるかと思ったけど、木村君が合わせていた。自分は椎木尾君の動きを見てからでした。1着が取れたし、レース勘とかも含めて、日に日に良くなっていくと思います」
 木村の先行を利した渡邉晴智が、好展開を追い込んで2着。
 「(木村は)33バンクでほぼ2周ですもんね。付きバテです。木村君の先行の強さですし、うまい。点数以上だと思う。自分は3番(中釜)が飛んだ時点で見えてないし、いっぱいいっぱい。ただ、(最終)4コーナー辺りのところは、冬場に比べたらいい方向にいっていると思います」


<5R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 青板4コーナーで島川将貴が下井竜を押さえて、そこを磯島康祐が叩く。が、橋本瑠偉が素早い反応で踏み込む。スピードに乗せた橋本瑠が、打鐘3コーナー過ぎに主導権を奪い、ラインの3人が出切る。最終ホームで6番手から島川が仕掛けて前団に迫る。逃げる橋本瑠の番手の木暮安由(写真)は、間合いを取って追い込んで四国勢を退けた。
 「1走目は一番緊張するので、ここでの1着は二次予選につながると思う。橋本(瑠)君が脚があって行ってくれた。気持ちが入っていたレースだと思う。練習ではだんだん感じ良く踏めてきた。いまのところはもう少しフレームを煮詰めればですね」
 最終ホームからロングまくりを打った島川将貴は、前団をとらえ切れずの2着も橋本強ともに勝ち上がった。
 「だいぶしんどかったですね。すぐに磯島さんが来るかと思ったけど、来なかった。そのあと来たので出しました。橋本(瑠)君がめっちゃ掛かっていました。脚の感じは悪くないので、今日(初日)気づいたところを微調整したい。1着までいけてないけど、感じは良かったです」


<6R>

阿部大樹選手
阿部大樹選手
 中嶋宣成が吉川希望を制して、赤板過ぎに主導権を握る。関東3車で出切り、4番手は山本奨がキープ。浮いた吉川が後退して、菅田壱道は6番手で最終ホームを通過する。泉慶輔は付け切れず、菅田の後ろに吉川。バックから山本がまくるが、番手で絶好の阿部大樹(写真)が直線で伸びて1着。
 「(吉川が)切って(中嶋が)すんなり切れると思ったけど、変な展開になった。それでも中嶋君が良く行ってくれた。中嶋君が掛かっているんで、コーナーがきれいに回れないくらいだった。(最終)2センターのところは1回、踏み込もうとして、中嶋君が戻ってきてちゅうちょしたところもありましたけど。自分の脚の感じは良かったし、平原(康多)さんにセッティングをみてもらって確実に良くなっていると思います」
 関東3番手の石川裕二は、中嶋と阿部の間を追い込んで2着。
 「あんなに(吉川に)押さえられると思わなくてソワソワしたけど、中嶋君、阿部君が頑張ってくれた。自分は(後ろの)気配とか状況(がわかって)で余裕はありました。疲れているかと思ったけど、走ったら感じが良かったです」


<7R>

 前受けから誘導との車間を空けた岸田剛が、松本秀之介を突っ張りそのまま駆ける。単騎の平沼由充が4番手で、鈴木陸来が5番手。7番手に出戻った松本は、前との車間が大きく空いて打鐘を通過する。逃げる岸田との距離を取って三谷竜生が別線の反撃に備える。最終ホーム手前から仕掛けた鈴木のスピードを見極めて、三谷は番手発進。人気に応えて勝ち切った。
 「岸田君は思ったよりも踏んでいきましたね。強い気持ちが見えました。もうちょっと車間を空けられたら良かったけど、後ろの仕掛けを確認しながらでした。(最終)バックで詰まったので残すのは厳しいと思って踏ませてもらった。調子自体は悪くないです」
 内を締めていたこともあって、直線では三谷に遅れた伊代野貴照が2着。
 「3番手は難しいところもあったけど、しっかり追走していった。疲れはあるけど、感じは悪くなかったです」


<8R>

 青板バックで突っ張り気味に踏んでから村田瑞季を受けた新田祐大は、冷静に鷲田幸司の追い上げまで受けて3番手に入る。赤板1センターから仕掛けた山本修平に合わせて、新田が踏み上げて打鐘3コーナーで先頭に立つ。主導権の新田は、連結を外した大槻寛徳の追い上げを待って最終ホームを通過する。岡田征陽をキメた大槻が番手に続いて、新田が逃げる。別線に出番はなく、新田がそのまま押し切った。
 「前を取ってもらって、あとはほかのラインの動き次第かなと。追い上げてきた鷲田君を入れて、そのあとは8番(山本)の動き次第だった。ここで(山本に)出られてもっていうのがあった。ただ、(後ろを)確認したら岡田さんだった。大槻さんは連結を外していたけど、追い上げてくれるだろうと。ドッキングできると思ってました。しっかり踏み切れたし、要所、要所でも踏めていた。(復帰戦で)悪くないスタートを切れた。今日(初日)は申し訳ないなってくらいに声援をいただけたし、自分自身が選手で良かったって思いました。レースでしっかりと結果を残すっていうのが絶対条件ですけど、もっと頑張らないといけないって思いました」
 追い上げて新田後位に付き直した大槻だったがいっぱい。ライン3番手から山賀雅仁が伸びた。
 「(新田が)突っ張ったところは口が空きすぎてキツかった。大槻さんも相当、脚を使っていた。僕はたまたま脚がたまっていたんで2着になっただけ。緩んだりしたところもあったんで、それをああやって付いていけた。踏んだ感じは悪くない」


<9R>

 誘導が退避する青板バックでは内から佐々木悠葵、近藤夏樹、真鍋顕太の3人で踏んで、大外の真鍋顕太が出る。佐々木は巧みに中団を確保。8番手になった板垣昴は、赤板2コーナー手前から仕掛ける。渡辺正光は続けず、最終ホーム手前で出切った板垣を目標にするように佐々木が踏み上げる。スピードの違いでまくり切った佐々木が1着。
 「真鍋さんがすんなり先行だと厳しいかなと思ったので、初手の並びは理想的だった。イン切りって形からワンテンポ遅れて仕掛けていったけど、車の進みはあまり良くない。今回使ったフレームは1回落車しているヤツなので、最近使っていたのに戻そうかなと思います」
 踏み出しでは遅れかけていた小林大介がリカバリーして、地元ワンツーで決着した。
 「板垣君がカマしていった時に、渡辺君が離れて僕と接触して、(佐々木の仕掛けに)口が空いた。その分、差せなかったのかな。緊張すると思ったけど、冷静に走れています。期の始めに比べたら体はいいかなって思います」


<10R>

 先行態勢を取った竹内雄作を川口雄太が叩きに出るが、赤板過ぎに竹内がペースを上げて突っ張る。浮いた川口雄太は3番手に入り、そこを小林泰正と併走していた八谷誠賢が仕掛ける。山口貴嗣が付け切れず、打鐘過ぎに小林がスパート。八谷は不発で、その上を小林がまくって最終1センターでとらえる。鈴木庸之が続き、3番手以下は離れる。小林が鈴木の追い込みを振り切った。
 「先行基本でいきたかったんで、前は取りたくなかったんですけど。(スタートで別線が)出なければ(前から)って思ってました。前からだとさすがに(先行の)順番が回ってこないと思って、早めに引いたんですけど意外な展開になった。赤板で切っていれば、ラインで決められたかなっていうのはありますね。そのあとはジャンでバックを踏んで良くない展開にしてしまった。ラスト1周はたまたま力で勝った。展開としては最悪だった。今日(初日)で8、9割は疲れが取れているんで、日に日に良くなる感じがあります。地元っていうのもあるし、前回よりは全然(いいです)」
 1輪差で2着の鈴木庸之は、小林の成長に脱帽する。
 「八谷さんが(小林の外に)へばりついていて、結局もう1回行ってくれた。山口さんが離れていて1車だったんで(小林が)行ってくれるだろうと。(小林の)掛かりが尋常じゃなかった。(最終)1、2コーナーはここ最近にない遠心力だった。(小林には)過去何回か付いているけど、一番強かった。自分は選手紹介で絶望的に重かったけど、レースが始まってみたら軽かった」


<11R>

森田優弥選手
森田優弥選手
 青板バック過ぎに先に切って出た森田優弥(写真)は、福岡コンビ、さらに近畿勢を送り出して5番手で赤板を迎える。後方の佐藤博紀を警戒した森田は、打鐘2センターから踏み込む。森田があっさり出切るが、続いた恩田淳平は小森と接触してともに車体故障。まくりで迫った佐藤を退けて、森田がロングまくりで勝ち切った。
 「(組み立てで)ちょっと迷ったけど、(先に切って)そっちの方が堅いかなと。仕掛けどころを逃していたので修正したい。レースの流れを殺したというか…。僕は良かったけど、後ろが事故したので申し訳ない。体調は悪くないけど、疲れがあるかなって感じです」
 恩田は車体故障で北日本勢が2、3着。まくりを打った佐藤博紀がこう振り返る。
 「森田君が強かったです。スピード的には行きたかったけど、そのまま併走になってしまって…。森田君が前にいたので、焦って踏むよりは見てから行こうって感じでした。2人で決められれば良かったけど。とりあえず明日(二次予選)につながって良かったです」


<12R>

坂井洋選手
坂井洋選手
 前受けの眞杉匠も突っ張りを試みるが、松井宏佑が青板の2センターで強引に出て、その上を窓場千加頼が叩く。さらに町田太我も仕掛けるが、佐藤慎太郎は付け切れない。1人になった町田が打鐘4コーナーで主導権を奪う。しかしながら、窓場の抵抗もあっていっぱい。外に浮いていた眞杉は、あおりを受けながらまくって出る。佐藤に割り込まれて遅れた坂井洋(写真)が、必死に追いかける。眞杉は最終2コーナー過ぎにまくり切って、坂井が追いつく。ゴール前で坂井が差し切った。
 「(眞杉と)連係を外しちゃったんで申し訳なかったです。(町田が仕掛けたあとに佐藤)慎太郎さんを待って(眞杉が)スイッチする形だと思ったんですけど、待った瞬間に行ってしまった。後ろ(に平原康多)が付いていますし、自分も(追い上げに)行くしかなかった。追いかけて追いつきそうだったし、なんとかでした」
 思惑通り運べなかった眞杉匠は反省も、まくりのスピードは悪くなかった。
 「刺激を入れる意味でも突っ張ってって思ったけど、完全に脚負けです。(松井は4番手からっていうのも)見えていての突っ張りだったので…。そのあとは1周以上併走していたのでキツかった。(初日に走って)体に刺激が入ったけど、セッティングはいじろうかなと思っています」
 窓場マークの浅井康太は、最終バック手前から切り替えて平原の内を突いた3着に入った。その前の関東勢をけん制する動きを含めて上々だった。
 「眞杉君の動き、町田君の動きで早い展開だったけど、窓場君らしいレースだった。眞杉君を止め切れなくて、坂井君も遠かった。ただ、最後はしっかりと3着まで入れたのでボチボチです。前回の感触から比べると、背中の痛みがなくなって、力みがなくなって良くなった」