『施設整備等協賛競輪in前橋(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月30日

 前橋競輪場で開催された第12回施設整備等協賛競輪in前橋「桜花爛漫!まえばし春風賞(GIII)」は、3月30日に最終日が行われた。地元の篠田幸希も優出した決勝は、高橋晋也が先行策に出てレースを支配した。番手まくりを打った山崎芳仁が優勝。20年1月の平以来、18度目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 号砲でいち早く高橋晋也が出て正攻法の位置を確保。並びは前から高橋-山崎芳仁、佐々木豪-小倉竜二、篠田幸希-佐藤礼文-阿部大樹、和田真久留-伊代野貴照で落ち着いた。
 青板1コーナーから和田が上げていくが、高橋がバックで誘導を切って突っ張る構えを見せると、無理せず元の位置に戻っていく。この後は動きがないままレースは流れて打鐘を通過。3コーナーで和田が前に踏んでいき、浮き気味の篠田-佐藤の内をすくう。和田に並ばれた篠田は最終ホームで仕掛けていくが不発。今度は前との車間を切っていた佐々木が詰めて2コーナーからまくるも、合わせて山崎が番手まくり。佐々木は改めて山崎を追う形になったが、動かない佐々木を見切った小倉が3コーナー入り口で佐々木の内を突く。さらに和田が小倉を追う態勢で直線へ。だが、3者の差は詰まらないまま山崎が押し切ってのV。小倉、和田はそれぞれ2、3着に終わった。


山崎芳仁選手
山崎芳仁選手

 思いのほか、単調な流れだった。それだけに山崎芳仁(写真)は、難しい判断を迫られた。
 「(高橋晋也は最初に)来たラインだけ突っ張ってでした。そしたらあとは誰も来なくて。あまりにも(高橋が)ペース過ぎた」
 青板3コーナーで誘導を降ろした高橋晋也が、和田真久留の上昇を阻んでペースを握る。和田は結局、8番手に出戻って、そのままレースは流れる。3番手で車間を空ける佐々木豪、5番手の篠田幸希ともにアクションはなく、同県の後輩、高橋は先行の腹を固めてそのままペースを上げる。が、ラインは2車。山崎の後ろには、四国勢が虎視眈々とタイミングをうかがっていた。
 「(佐々木が仕掛けてきて)あれで自分が出ないと、小倉(竜二)さんに入られる。佐々木が強いのはわかっているんで。踏んだ瞬間、ググって合わせて、そのまま前に踏んだ感じです」
 3番手まくりの佐々木に合わせた山崎は、最終2コーナー過ぎから番手発進。33バンクの半周の勝負なら、後続に脅かされることもなくゴールを先頭で駆け抜けた。
 「今回は前に助けられた。自分の力じゃなくて、ラインに助けられた。もう年齢的に強くなるって言えないので、こういう時が来た時に(チャンスをモノにできるように)しっかりと練習したい」
 今年最初のGI、2月の全日本選抜では盟友、成田和也とのタッグでラインの先頭で奮闘。それだけに、まだまだグレード戦線でも通用する機動力は持ち合わせている。しかしながら、ビッグも含めたグレードレースの優勝は、20年1月の平記念以来、5年以上ぶりだった。前橋は08年に寬仁親王牌、12年にオールスターを制し、山崎にとってはゲンのいいバンクでもある。
 「あの時も後輩(渡邉一成、新田祐大)の番手だった。今回もそうだし、後輩に助けられてきた人生ですね」
 9度のGI優勝をこう振り返った山崎は、グランドスラムがかかる日本選手権が4月29日から待っている。
 「(26年に平でのグランプリ開催が決まった)そういうのはありますね。時代がタイムスリップしてくれればいいのに(笑)。でも、GIにも出られるし、あきらめてはいない」
 終わってみれば、小倉竜二とタイトルホルダー2人のワンツー。修羅の道をくぐりぬけてきた男たちが、格の違いを見せたGIIIだった。

 佐々木のまくりが山崎に合わされ、小倉竜二は最終バック手前で和田の進路を阻んで内に降りる。さすがの立ち回りも、山崎との差は思うように縮まらず2着まで。
 「(佐々木は)ジャンからホームにかけて行くタイミングはあったけど、うまくペースにハメられたね。(最終バック付近では)和田が内に来ていたし、(佐々木も)出ていない感じだったので割り切った。それにしても(山崎が)強かった。ゴール前が一番、掛かり切っている感じだった。スローから一気に上がっていったね。(落車明けの今シリーズは)全部2着以内だし、まとめた方、上デキです」

 和田真久留は周回中、8番手。高橋に突っ張られて再度、後方待機も、別線に動きがなく内を押し上げての3着が精いっぱい。
 「突っ張られるのはある程度、想定していた。そこから引いて、あとはほかのラインが仕掛けるんじゃないかと。自分が3番手か5番手だったら、(仕掛けて)行くところは腐るほどあったんですけど…。あとは(内を行けるところまでいって)エックスっぽく入っていったんですけど、佐々木君のところまでいけたらおもしろかった。各々の自力がハイスピードで勝負して、もう少しスッキリしたレースがしたかった」







次回のグレードレースは、「高知競輪開設75周年記念GIIIよさこい賞争覇戦」が、4月3日~6日の日程で開催されます。

今シリーズは古性優作、脇本雄太、眞杉匠、平原康多、清水裕友、犬伏湧也のSS班6名が参戦する超豪華メンバー。他にもグランドスラマー・新田祐大、昨年はSS班を張った山口拳矢、世界選ケイリン金の山崎賢人ら健脚がそろい大会を盛り上げます。ハイレベルな優勝争いを制するのは果たして誰でしょうか。

3月26日時点の出場予定選手データを分析した、高知競輪「よさこい賞争覇戦」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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