『取手競輪開設75周年記念（GIII）レポート』　3日目編

　8番手から上昇した松井宏佑（写真）が切って、木村皆斗が赤板2コーナー手前で押さえて先頭に立つ。しかしながら、藤井侑吾もすかさず仕掛けて、打鐘3コーナー過ぎに主導権を奪う。最終ホームを通過して木村が4番手に下げて、隊列は一本棒。6番手の松井が、バック手前からまくる。4コーナー手前で橋本強に振られた松井だったが、直線で外を伸びて1着。
　「苦手な後ろ攻めだったけど、持ち味を出せばいけるかなと。（木村を）ちょっと踏ませて出させて、最後に来る藤井君に脚を使わせようと。もうちょっと行くタイミング早ければ良かったけど、見ちゃいましたね。（結果として）行くタイミングは良くなかった。けど、（ラインの佐々木眞也と）ワンスリーだったし、最低限の走りはできた。自転車とのフィーリングは合っているけど、アップで背中を痛めてしまった。レースではそこまで問題なかったし、しっかりケアをしたい」
　渡邉一成目標の成田和也（写真）は、最終バックで9番手。4コーナー手前で渡邉があおりで外に膨れると、成田は中のコースをシャープに突っ込んだ。
　「（渡邉）一成が外を行ってくれたので、内を突いたらたまたま空いた。今日（3日目）は軽く感じた。（最終バック）9番手だったけど、余裕はあったのかも。連日、バンクコンディションが違いますね。自分は軽い方が好きで、今日はそのコンディションだった」
　松井のまくりに最終3コーナーの登りで車間が空いた佐々木眞也は、直線で外を踏んで3着。
　「（初手は）外枠だったし、後ろ攻めになるかなと。全体的にすごいスピードが上がっていてキツかった。（松井の踏み出しが）強烈でした。自分はとにかく連係を外さないようにと思っていた。松井さんに連れていってもらいました」

　5番手から動いた松本秀之介が先に切って、櫻井祐太郎が赤板2コーナー手前で飛び出す。3番手に松本が飛び付いて、佐々木悠葵は5番手。郡司浩平（写真）は、7番手で打鐘を迎える。3コーナーで佐々木が仕掛けて、関東勢を郡司が追いかける。最終ホーム手前で佐々木が叩き切り、わずかに遅れながら杉森輝大が続く。櫻井と併走にはなったものの、3番手でタイミングを取った郡司は2コーナー手前で踏み上げる。郡司が3コーナーで佐々木をとらえて、和田健太郎の追走。3番手以下は離れて、和田を寄せつけず郡司が完勝。
　「行こうと思ったタイミングで、佐々木君が行った。僕もしっかりタイミングを取って、ジャンから（最終）ホームでは行こうと思っていました。そのなかで前が行ったんで付いていった感じです。佐々木君もカマしていってスピードに乗っていたんですけど、2コーナーから行くしかないなって仕掛けました。もう少し出切ってから休めれば良かった。ちょっと力んでいるなっていう感じでしたね」
　和田健太郎（写真）が、関東勢の横をすんなり通過して2着に入った。
　「誰も抜いていないのに決勝に乗れるとは。今日（3日目）も1ミリも差せる感じはしなかったですね。とにかく追走に集中していた。（郡司に）離れないことに重きをおいていた。郡司君も回しながらタイミングを取っている感じだった。周りは踏んでいるのに、郡司君くらいの脚力があれば回せるんでしょうね」
　南関勢を追いかけた単騎の神田紘輔だけはさばいた杉森輝大が、後続の猛追を退けて地元記念優出。
　「ちょっと（佐々木に）口が空いちゃって、いっぱいになっちゃったんですけど。郡司君が真後ろから来る感じで、郡司君と和田さんには出られてしまった。8番（神田）だけはと思って、どかす形になりました。なんとかですね。今日（3日目）の感じが良くなかったので、修正して準備したい」

　赤板1コーナーで先頭に立った河端朋之が、ペースをつくる。2コーナー手前から叩きに出た三谷竜生を、河端が突っ張ってそのまま風を切る。打鐘2センターから三谷が後退して、中団に降りかける。そこを最終ホーム手前で7番手の眞杉匠がスパート。眞杉のスピードも上々だか、逃げる河端の掛かりがいい。番手で空けた車間を詰めながら岩津裕介が、眞杉ともつれながらバックを通過。2センターで岩津が、眞杉をさばく。眞杉の余力をギリギリまで見極めた吉田拓矢（写真）が大外を踏んで、ゴール前で前団をとらえて1着。
　「（周回中は）理想の並びではあった。河端さんが（三谷を）突っ張って、眞杉もいいところで（仕掛けて）行った。けど、河端さんの掛かりも良かった。（最終）2コーナーで（眞杉が前団を）のみ込んでしまうかと思った。そしたら河端さんも結構、前にいたし、岩津さんも車間を空けていた。眞杉にもいつもの伸びがなかったですね。自分は最後まで眞杉を見てから踏んだ。眞杉も頑張っていたんで、2人で勝ち上がりたかった。今日（3日目）は、その前の2日間より良かった。でも、もうちょっと欲しいですね」
　積極策に出た河端の奮闘に応えるべく岩津裕介（写真）が、眞杉をブロック。吉田には屈したが2着に追い込んだ。
　「河端の掛かりがすごいですね。ジャン前からスピードを上げていって、駆けた感じだった。（三谷）竜生が来ても、さすがに無理なんじゃないかと。（最終）ホームで眞杉が仕掛けてきているのが見えた。河端も残らないかと思ったら、そこからすごい加速していった。自分も危うく昨日（2日目）みたいに先行になりかけたんで追いかけた。4コーナーでは河端と決まりそうだなっていうのがあった。けど、ヨシタク（吉田）は違いますね。あれで後ろをもう一人（内藤宣彦）連れてくるんだから。自分は日に日に良くなっている」
　栃茨コンビの3番手を回った内藤宣彦は、前の2人の動きに集中。最終2センターでは大外を踏んだ吉田に対して、中のコースを踏んだ内藤が巧みなコース取りで追い込んだ。
　「自分は前の2人に付いていけるかどうか。それであとは眞杉がシンプルにいくのかどうかだった。前がどうなっているかっていうより、僕は眞杉とヨシタクのモーションしか見てない。どこかで仕掛けるだろうし、たぶん（最終）ホームで行くだろうと。自分は後輪が飛んじゃって、（前団の）あおりで追いついた。だけど、（眞杉が）止まっていたし、ヨシタクは踏むポイントを待っている感じだった。無意識にヨシタクの内にいったけど、ヨシタクに付いていったらどうだったか。（コースは）あそこで正解だったかなと。思ったよりも踏めていると思います」

　昨年のデビューからここまでチャレンジで12回の優勝を遂げている船山真生（写真）は、この1年を振り返り、自身をジャッジする。
　「特班ができてないけど、自分のなかではこんなに優勝ができるとは思ってなかった。先行主体でやって、どうしても逃げられなかった時にまくりにしたいけど。（決まり手は）逃げとまくりが一緒くらいになっている。前回（佐世保123着）は相手も強かったんで仕方ないところもありますね。そこから日にちがあんまりなかったけど、練習はしっかりやってきました」
　貝原涼太は、東日本から唯一の参戦。すでに当所も2度経験していて、バンクのアドバンテージもありそうだ。前回の立川では優出を逃したが、2勝をマークした。
　「自分は全然ダッシュがないんで、地脚で戦っている。冬場はダッシュが利かないので、しっかりと戦えた。けど、この時期になると自分の弱い部分が出ているので、そこを練習中です。最近は調子を落としていたけど、全プロ競技大会で調子も上がって、自信もつけて来られたと思います」
　前回の立川を3連勝の完全優勝。決勝は角宗哉の番手奪取から追い込みで僅差のVを遂げた梅澤忠秀は、遅まきながら今年初優勝でここに弾みをつけた。
　「（立川では）自分がやってきたことが優勝につながった。3連勝ができたんで、すごくうれしかった。（そのあと）練習もしっかりとやってきました。前回と同じ、いまのところ一番落ち着いているフレームでやります」