『宇都宮競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:5月20日

 開設73周年宇都宮記念「宇都宮ワンダーランドカップ」は5月20日にシリーズ2日目を開催。メインの二次予選は熱戦の連続で一筋縄ではいかず好配当連発となったが、S班の宿口陽一が脱落した以外は、松浦悠志、古性優作、吉田拓矢ら主力は順当に準決へと駒を進めた。また、地元の眞杉匠、坂井洋はそろって1着で二次予選をクリアして期待に応えた。3日目の21日はファイナル進出をかけた準決が行なわれる。
 なお、宇都宮競輪場では、U字工事お笑いライブや大道芸人じんごろうによる大道芸パフォーマンスショー、毎日先着500人様に日替わり餃子のプレゼントなどのイベント、ファンサービスをご用意してお客様のご来場をお待ちしています。ただし、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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小倉竜二選手
小倉竜二選手
 打鍾で阿部将大が切った上を森田優弥が押えるも、さらに阿部拓真が最終ホーム手前で切る。そこを阿部将が叩いてペースアップするが、九州勢の動きに乗った取鳥雄吾が1センターからまくりで襲い掛かる。取鳥が阿部将を力でねじ伏せて、最終バック過ぎには小倉竜二(写真)と2車で出切る。最後は小倉が計ったようにゴール寸前で取鳥を差し切った。
 「4分戦だったので、後ろから押えたら後方になると思って前を取った。取鳥君の脚質的にも、一発脚というか、前を取って引いて一発の方がいいと思った。みんな切って切ってで、一本棒にはならないと思ってたので前を取って正解でしたね。取鳥君のタイミングで、一番スピードの出るタイミングでいってくれた。そこまでタレなかったし、逆に踏み直されたね。(新車は)流れが前よりもあるので悪くない」
 初日の5着で状態が不安視された取鳥雄吾だったが、ここは持ち味のスピードを発揮。ラインワンツーで勝ち上がりを決めた。
 「今日(2日目)はもう、小倉さんが取ってくれたところから精一杯頑張るってだけでした。昨日(初日)は弱すぎてA級が見えるくらい。脚的には90点くらいしかなかったと思う。でも今日は小倉さんのおかげで2着で、心が回復しました。まだ最低のラインだと思うし、松浦さんと話しながらもっと自転車に乗れるようにしていきたい。今日は好きな宇都宮の感じだったし、このバンクコンディションが続いてくれると嬉しい」


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坂井洋選手
坂井洋選手
 村上竜馬、伊藤旭の順で切り、最終ホーム手前で内山雅貴が叩く。前受けからすんなりと車を下げていた坂井洋(写真)は、すかさずカマして1センター過ぎに内山を叩き切る。坂井は巧みなペースでそのままゴール前まで失速することなく、地元記念で連勝のゴールを駆け抜けた。
 「スタートは前か、前中団からでした。あとは順番が来たらいこうと。自分の所だけが3車だったので。仕掛けるときの反応も悪くなかった。早めに踏み上げていればラインで決まったかもしれないが、余裕がなかった。決していいとは言えない状態ですね。気持ちと脚に余裕が欲しい」
 坂井ラインのカマシを追った伊藤旭は、追い上げた勢いのままに最終バック過ぎに内に切り込んで磯田旭と絡む。伊藤マークの中本匠栄は4コーナーから外を踏んで2着に食い込んだ。
 「伊藤君はスピードがあって自在に走れるので、前々で勝負すると思っていた。坂井君が早めに巻き返してきて、考えていた中で最悪のパターンだった。それでも内をキメながら踏んでくれてチャンスが出た。伊藤君の動きはすごかった。目の前からいなくなりましたからね。伊藤君と磯田君の勝負を見てから踏んだので(1着に)届かなかった」


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山口拳矢選手
山口拳矢選手
 打鍾で望月一成が上昇し、単騎の松村友和が南関ラインを追う。隅田洋介は打鍾過ぎ3コーナーで佐藤愼太郎の内に差し込んでしまって立ち遅れ、前受けから4車を受けた山口拳矢(写真)がすんなりと5番手を確保する。山口は隅田を警戒しつつ、前と車間を切って仕掛けのタイミングをうかがうと、最終バック付近から車間を詰めていく。圧巻のスピードで前団を飲み込んだ山口が、上がり13秒4の好タイムで1着を手にした。ゴール後の接触で落車してしまった山口だが、共同会見場に姿を現してインタビューに応えた。
 「色々とパターンは考えたけど、スタートは前か、中団からでしたね。隊列が早めに整えば、いこうと思っていた。でも隅田さんがフタされていて、内から来られるかなと思って、そこも警戒しながらでした。思ったよりも車間が空いたけど、いけるなって感じはあった。(ゴール後の)落車はまさかでした。フレームは大丈夫です」
 山口マークの皿屋豊が、ゴール前で迫って2着。
 「山口君を全部信頼して、後輪だけ見て付いていきました。脚の感じはすごい、いいですね。最後は迫れているし、抜いたかなと思ったくらいだったので。あんなにすんなり中団を取れるとは思わなかった。隅田君と中団争いになることも考えていたし、ヨコの動きも覚悟していたんですけどね。今日(2日目)はタテ脚だけの勝負だったので楽でした」


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松浦悠士選手
松浦悠士選手
 打鍾で切った松浦悠士(写真)を、小畑勝広が叩く。高橋晋也が2センターで早目に巻き返すと、小畑が突っ張ってレースは一気にペースアップ。高橋が小畑を叩き切るが、小畑マークの金子幸央は最終2コーナーで伏見俊昭をさばいて高橋の番手に切り替える。金子は松浦のまくりに合わせて番手から出ようとするが、スピードに乗った松浦がその上を飲み込んで1着でゴールした。
 「スタートは前よりも後ろが良いなと。高橋君も、小畑君も、どちらも先行態勢に入る意欲のあるタイプ。踏んで(打鍾過ぎ)2センターで出させて勝負しようと。伏見さんが金子君にさばかれて、落ち着く前に仕掛けないと金子君の二段駆けもあるからその前に乗り越えたかった。今日(2日目)はかなりよかった。金子君に引っかけてバランスを崩したけど、自転車と体がマッチしているから踏み切れた」
 金子幸央は松浦には上をいかれたものの、外の堤洋と、内の渡部幸訓の強襲を体を当ててしのいで2着に入った。
 「小畑君の気持ちに応えられるように頑張った。松浦さんも、高橋君も、強い自力なのでかなりドキドキしていた。何が何だかわからない感じで、小畑君が逃げてくれてがむしゃらでした。体の状態は非常によい。気持ちだけですね。脚よりも気持ちで頑張っている感じ」


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眞杉匠選手
眞杉匠選手
 後ろ攻めの酒井雄多は、中団の眞杉匠(写真)にフタをしてから打鍾過ぎ2センターで踏み上げて前に出る。外が開けた眞杉は、すかさず巻き返して最終ホーム過ぎに酒井を叩く。が、酒井は宿口陽一の内で車を下げずにイン粘り。内で競り勝った酒井が番手を取り切ったが、お構いなしに眞杉はそのまま逃げ切った。
 「いつも通りのスタイルでいこうと思ってました。すかさずいったんですけど、粘られちゃって。昨日(初日)よりも全然いいですね。最後まで踏み抜けたと思います。原口(昌平)さんが来たと思って踏み上げたけど、もう少し待ってもよかったかな。でも、それで叩かれたら終わりだし、難しいですね」
 気迫のレースで眞杉の番手を奪った酒井雄多が、2着で勝ち上がりを決めた。
 「車番通りの並びになるかと思ったけど(初周で)原口さんをしゃくったら、そのまま原口さんが前を取ったので想定外でした。あの並びになって、フタをしてから駆けて眞杉君を合わせる脚はないので、全開で踏んでスピードが合ったところで勝負だなと。1コーナーで流してくれたので宿口さんのところで勝負しました。風は切ってないけど、昨日(初日)よりも今日(2日目)の方が(状態は)よかった」


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松坂洋平選手
松坂洋平選手
 5番手から上野雅彦が先に動いてインを切り、その上を藤井栄二が叩いて先行態勢。近畿勢に乗った幸田望夢が最終ホーム手前から間髪入れずにカマすと、藤井も全開で突っ張る。両者の踏み合いを見た松坂洋平(写真)は、2コーナーから好回転でまくり上げる。外の幸田をどかした古性優作だが、対応が遅れてしまい松坂のまくりは止めきれず。まくった松坂が近畿勢を粉砕した。
 「スタートは前か、前中団を考えていた。上野君と藤井君がモガき合うのかなと思っていたけど、その展開にならず。みんないきっぷりいい選手だから、みんなどこかで駆けるから一発狙えればと。古性君も番手から出るような感じではなかったですね。初日よりいいです。体が軽い。踏んだ感じがよかった」
 3着の古性優作は村上義弘との2車単が断然の人気を背負っていただけに、レース後は反省に終始した。
 「スタートは後ろからが作戦でした。ただ、ただ、下手でした。ホームで自分の技術不足でタイミングも遅れて、あの態勢になって技術不足でラインに迷惑をかけた。初日が終わってからも言ったけど、一体感がなくて。今日(2日目)に関しては技術不足。体と自転車を調整してマシにはなったけど、今日はお客さんに迷惑をかけてしまった。明日(3日目)取り返せるように頑張る」


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坂本健太郎選手
坂本健太郎選手
 切った近藤隆司を脇本勇希が叩くが、松本貴治がすぐさま巻き返して最終ホームで主導権を奪う。前受けから7番手に下げていた吉田拓矢は、松本ラインの動きは追わずに、1コーナーから反撃を開始。だが、村田雅一のけん制のあおりもあって本来のスピードには乗せられない。なんとかあおりを乗り越えた吉田は、4番手の脇本を内からすくって2センターで車を外に持ち出すが、逃げる松本と車間を切っていた坂本健太郎(写真)も詰める勢いのままに抜け出しを図る。直線で伸び勝った坂本が1着で、最終レースは波乱の決着となった。
 「奇跡ですね(笑)。初手は外枠の人たちが前を取ったら後ろになっちゃうし、後ろになったら押えても隊列が一周しちゃうと思った。それよりも前の方がいいと思ったので、スタートは出てみて、2番目の位置を選んだ。(松本は)一周くらい(駆けること)は用意していたんだと思う。もうちょっと遅め(の仕掛け)ならうまく決まったと思う。掛かりもよかったし、自分も後ろはよく見えていた。吉田君が後ろにいるのも分かったし、ヤバいなと思っていました。踏み勝てるとは思わなかったですよ。(松本)貴治の頑張りと、自分の調子も上がっているんだと思う」
 2センターで長島大介の内をすくった恩田淳平が外から強襲して2着に入り、吉田拓矢は3着。レース後は組み立ての反省を述べた。
 「前を取って力勝負しようと思っていたんですけど、いくところが悪かったです。(最終ホームで)見ちゃった。仕掛けたところも、近藤さんに合わされながらいってしまったし、後ろに迷惑をかけた。守りに入ってしまいました。力み過ぎてフォームが崩れちゃったので修正したい。感覚的には問題はないんですけど、組み立てが悪い」