『宇都宮競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月21日

 開設74周年宇都宮記念「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦(GIII)」は5月21日に最終日が行われた。好天の下で実施された決勝戦は、地元の若きエース眞杉匠が優勝。地元からは眞杉だけしかファイナルにたどり着けなかったが、関東勢は3人が勝ち上がって完璧な連係を見せた。ラインの先陣を受け持った山田雄大が突っ張り先行でレースを支配。勝負所で眞杉が番手まくりに出て敵を全く寄せ付けなかった。なお、眞杉の記念優勝は22年7月の小松島以来で通算3度目。地元栃木勢による宇都宮記念優勝は平成21年の神山雄一郎から14年ぶりで、眞杉はもちろん、初優勝となる。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると最内枠を活かして眞杉匠が誘導員の後ろを占めた。山田雄大-眞杉-佐々木悠葵の関東勢が前を固め、中団は浅井康太-内藤秀久-佐々木雄一の即席ライン。久田裕也-松浦悠士-岩津裕介の中四国勢が後攻めとなった。
 赤板を過ぎると山田は徐々に誘導員との車間を空け始めた。2コーナーを立ち直ったところから久田がスパート。これを見た山田も全力ダッシュで応戦する。久田はじわじわと前団に迫るが、2センターで眞杉のブロックを受けて失速した。最終ホームは山田-眞杉-佐々木悠の関東勢が主導権を握る。浅井-内藤-佐々木雄が続き、松浦は佐々木雄にスイッチ。ハイペースでブンブン飛ばす山田に対し、4番手の浅井、7番手の松浦は仕掛けられない。最終バック線で眞杉が番手まくりを敢行。松浦は3コーナーから仕掛けるが前は遠い。絶好の展開をきっちりものにした眞杉が地元記念初Vを達成した。後続の様子を窺いながら佐々木悠が続いて関東ワンツー。浅井は4コーナーから早めに踏み込むも前には届かず3着まで。

眞杉匠選手
眞杉匠選手

 地元からの優勝者は開設60周年記念のレジェンド神山雄一郎以来、14年ぶり。眞杉匠(写真)の優勝に、駆け付けたファンの歓声が雷神バンクに鳴り響いた。
 「地元優勝は全然違いますね。うれしい。昨年、決勝を走って後ろ(3番手の吉田拓矢)から優勝者を出して、自分が優勝できるのは、いつになるんだろうって思っていた」。地元記念優勝の難しさを感じていただけに、何度も「うれしい」と言葉に出して笑顔を見せた。
 普段は、関東ラインの先頭としてGIの最前線でも戦っている眞杉。今回は山田雄大という頼もしい目標がいてラインのありがたみを感じた。
 「山田君のおかげ。ラインのおかげです。すごい強かったです。(久田裕也と)先行争いにはなると思って、(久田が)どこまで来るかなと。1回張って、止まったのがわかった。(山田は)2コーナーでタレてくるかなと思ったけど、本当に強かった。余裕があれば良かったんですけど、焦って(番手から)踏んだ」
 「余裕はなかったし、(優勝は)すごいギリギリでした。普段のFIの時の番手は何回かあるけど、地元記念の決勝の番手は緊張感が違いました」と結果を残せたことに、ホッとしたような表情も見せた。
 次の目標はGIの優勝だ。神山雄一郎が初めてタイトルを獲得した年齢は25歳。「いま、24歳なので、あと1年ですね。(山口)拳矢さんが(日本選手権競輪を)優勝して相当刺激になったし、自分も優勝したいなって。現場で見ていて、焦りと悔しさがあった。全プロで成績を残して、宮杯にいい流れで行けるように」。

 佐々木悠葵にとって眞杉との連係は特別な感情がある。「(昨年の)高松記念で優勝をさせてもらったし、(2年前の)競輪祭ではGIの初勝利もさせてもらっている。眞杉君が優勝して、ワンツーが決められたし最高の結果」と納得の表情。
 「山田君が気持ち入っていて、眞杉君が仕事をしたので、そこはキツかった。緩めて踏まないと、(眞杉がけん制して)戻ってくるので。そこで落車する人もいるので。あのパターンだと番手が一番キツいので、浅井(康太)さんと松浦(悠士)さんは自分がと思っていた。来たらどうにかしないといけないなと」

 浅井康太はいつでもレースの流れが見えている。ここでも先行した関東勢の後ろを確保し、直線は関東勢を脅かす鋭い伸びを見せた。
 「スタートはどっちかが前を取るだろうし、後ろじゃなければと。後ろから切ってだと厳しいので。眞杉君が前を取ってあの展開になると、あれがセオリー。3、4番手を死守してから直線勝負しました。初日、昨日、今日と踏み込んだレースができていた。(決勝は)南関の内藤(秀久)さん、北日本の佐々木(雄一)さんと、一流の追い込み屋が付いてくれて気持ちを入れてもらえた。(山口)拳矢がGIを獲って、それに続きたい。今日は他地区に(気持ちを)入れてもらった」




次回のグレードレースは、全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪が5月27日、28日の2日間に渡って富山競輪場で開催されます。
グレードはFIIながら脇本雄太を筆頭にSS班7名が参戦。更にダービー王・山口拳矢をはじめ深谷知広、眞杉匠、犬伏湧也ら超ド級の自力型が集結します。
輪界のトップレーサーたちによる2日間の短期決戦をお見逃しなく!

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