『被災地支援競輪宇都宮競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:5月28日
 平成28年度熊本地震被災地支援・宇都宮競輪場開設67周年記念「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦(G3)」が今日から開幕。500バンクを舞台に、一次予選から熱戦が繰り広げられた。メーンの特選3個レースは金子貴志、平原康多、渡邉晴智が勝ち名乗り。明日は優秀「みやかめ賞」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 明日2日目もU字工事お笑いライブに大道芸人パフォーマンス、スピーチーズライブなど場内イベントは満載。ぜひ宇都宮競輪場でお楽しみください。
<1R>
 オープニングレースは1番車を任された地元の金子幸央が最終ホームで叩いて主導権を握った。山形一気と及川裕奨の位置取り争いを尻目に金子がペースをつかむと、関東ラインで上位を独占。最後は番手の木村貴宏が鋭く追い込んで、チャンスをものにした。
 「金子君がかかっていました。僕も余裕はありましたね。ラインで決まったし、金子君を抜けてよかったです」
 ライン決着へ導いた金子幸央は「ホッとしました」と安どの表情。
 「緊張してない感じを装っていたけど、めちゃくちゃ緊張しました(笑)。ただ、タイミングよく行けたし、1周以上駆けて2着ならよかったです。去年よりも落ち着いて走れていたし、冷静でもありました」

<2R>
佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
 赤板1センターから上昇した伊藤裕貴が打鐘過ぎに先制。中団を巡って阿部力也と菅原裕太で取り合う。伊藤がペースで駆けていく中、中団外併走から最終1センターで阿部が仕掛けるが伊藤も抵抗。すると2センターから佐々木雄一(写真)が早めに踏み込んで1着をもぎ取った。
 「阿部も頑張ってくれたんですけどね。作戦的には一旦切って南関勢を出させてって言ってたんですけど、違う感じになってしまいました。最後は後ろに有坂さんもいると思ってたし、悪いけど踏まさせてもらいました。なので頑張って踏まなきゃ、踏まなきゃと思って。状態的には悪くないですね」
 深澤伸介が直線外を伸びて2着に食い込んだ。検車場に引き揚げてくると、ホッとした表情で話し始めた。
 「昨日の指定練習中に落車した。体もフワフワしてる感じだったけど取り合えずよかった。競輪は何が起こるか分からないですね(笑)。それでも久しぶりに記念の一次予選も通ったんで。バックで有坂さんに内から来られたときには終わったと思ったけど、前も掛かってる感じじゃなかったし、500(バンク)だしいけるかなと」

<3R>
杉本正隆選手
杉本正隆選手
 打鐘過ぎに斬った雨谷一樹が竹田慎一を受けて難なく3番手をキープ。車間を詰める勢いで3コーナーからまくると、これに乗った杉本正隆(写真)が鋭く差し切った。
 「雨谷君が落ち着いてましたね。ダッシュがいいから離れないように集中してました。最後はギリギリで差せた感じですね。ワンツーが決まって良かったです。調子も悪くないですね」
 雨谷一樹は強烈なダッシュで3番手からひとまくり。地元記念で好スタートを決めた。
 「地元はあんまり意識しないようにって思っていたんですが、やっぱり応援がすごくて、緊張しました。でも、冷静に走れたと思います。最後は差されたんですが、車が流れる感じはありました。明日はもっと頑張って準決勝に乗りたいですね」

<4R>
 後ろ攻めの村上直久が一度斬って先頭に立つと、堀兼壽と山田義彦で中団がもつれる。切り替えた藤原憲征も中団へと追い上げたが、この間に村上が徐々にピッチを上げ、マイペースに持ち込む。中団を取り切った堀がバックでまくるも車は進まず、村上の番手から川口直人が有利に抜け出した。
 「村上君は力があるし、中団ももつれていたのでね。村上君はペース駆けで、かかっていた。後ろを佐藤(明)さんが固めてくれて、ラインは自分達が一番しっかりしていると思ったので、ワンツースリーで何よりです。キツかったけど、抜けてよかった」
 逃げてレースを支配した村上直久は2着にも納得の表情。
 「後ろ攻めになってしまったので、まずは一度動かそうと。中団がもつれてラッキーって感じでした。あとはペースに入れて。最後までしっかり踏めたと思います」

<5R>
 最終ホームで後ろ攻めの栗山俊介が前受けの田中勇二を叩いて主導権。7番手となった坂本健太郎が最終2コーナーからまくると、4番手をキープしていた田中が合わせる。好回転でまくった坂本は田中を乗り越えるも、鷲田佳史のけん制でスピードが鈍る。後続のもつれを尻目に栗山が押し切った。1着の栗山は「久しぶりに1着取れたんでうれしいですね」と笑顔で話し始めた。
 「ここのバンクは初めてだったんですけど、前検日に乗って走りやすいなと思ってました。状態的にも最後まで踏めてるんで良いと思います。(鷲田が)脚あるのを知ってるんで、信頼して自分のレースをしようと思ってました」
 仕事をして3着の鷲田佳史は近況の状態を良さを改めて示した。
 「もっと(坂本)健太郎さんを引き付けてからけん制すればよかったですね。それで6番(田中)に内をすくわれてしまいました。でも調子は良いです。今までだったら栗山の後輪だけを見ますって感じだったんですけど、佐川(翔吾)、中井(俊亮)、黒川(茂高)の後ろについて脚が上がった気がしますね。また一つ積み上げられました」

<6R>
山口貴弘選手
山口貴弘選手
 打鐘過ぎに斬った伊藤信を一ノ瀬匠が叩いて主導権奪取。合わせて踏み込んだ長島大介が重一徳をさばいて3番手を奪うと、2コーナーからすかさずまくる。これを追った山口貴弘(写真)が長島をゴール寸前で捕らえた。
 「長島君が上手でしたね。いつもはあんな競走しないのに、気持ちが入ってたんでしょう。2コーナーからすごい加速だったので、安心して付いてました。あとは抜くかどうかの勝負でしたね」
 長島大介は俊敏な立ち回りを披露。地元の声援を力に変えた。
 「気持ちが入っていたし、応援が力になりました。緊張はしたんですけど、3番手を取って脚にも余裕がありました。全プロとここを目標に練習していたので、仕上がりはいいですね。自分にとっては明日が一番の勝負。その壁を乗り越えれば、レベルアップできると思います」

<7R>
 正攻法に構えた中井太祐は一度7番手まで下げると、すかさずカマし返して主導権を握った。今度は五十嵐力がまくって中井の横まで迫ったが、懸命に踏み直した中井がこれを合わせ切り、堂々の白星スタート。
 「五十嵐さんが来ていたのはわかりました。横まで来られたけど、(スピードが)合った感じがしたし、踏み直して我慢できました。1着でよかったです」
 2、3着には関東の追い込み陣が強襲。直線で中を突いた安部達也が際どい2着争いを制した。
 「ユウゼン(吉田裕全)があれだけ前に行ってくれたので。コースを見る余裕があったし、突っ込んでいきました。怖かったですけどね(笑)」

<8R>
 高橋幸司が最終ホームで主導権を握るもペースを上げない。緩めているとみるや、2コーナーで山中秀将が仕掛ける。山中はバックで高橋をまくりきると、直線に入りギリギリまで待って踏み込んだ番手の和田健太郎がきっちりと差し切った。
 「差せたのは直線長いし、ホームも向かい風でしたから。あとは山中が前々いってくれてたから残さないとと思って。とりあえず俺と山中で売れてるのが分かってたんでワンツーでよかったです。けど、どこ走ってもやっぱり甘くはないですね」
 タイミングよくまくった山中秀将は2着にも納得の表情でレースを振り返る。
 「ああいう風に立ち回れば大丈夫だと思ってました。(高橋)幸司が復帰戦だし、もっといくと思ったけど緩めたから。出た瞬間は和田さんには抜かされてもしょうがないと思ったけど、永井さんにまくられることはないようにと。和田さん、柴田(功一郎)さんと3人で(勝ち上がりが)決まったのが一番良かったですね」

<9R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 吉田拓矢がハイパワーで他を圧倒。前受けから7番手まで車を下げると、打鐘過ぎから強引に巻き返す。最終1コーナーで下沖功児を叩いて豪快に逃げ切った。
 「踏み込んだ感触があんまり良くないですね。引っかかりがないというか、力が入らない感じでした。修正が必要ですね」
 吉田との連結を外してしまった神山拓弥(写真)だが、内に斬り込んで3番手で態勢を立て直す。最終2センターで下沖をすくって番手を奪い返し、2着をキープした。
 「打鐘の2センターで西本(直大)さんに持ってこられて、ヤバイと思って避けたら後輪がドリフトして離れてしまった。態勢を整えて、最後は空いたのを確認してから入りました」

<10R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 井上昌己が一度斬ると、この上を竹内雄作が叩いて先行態勢に入る。佐藤友和がホームから竹内を叩きに行くが、これを竹内が合わせ切り佐藤は不発に。和田真久留もロングまくりで前団に迫ったが、金子貴志(写真)のブロックもあって、まくり切れず。竹内をかばいながら抜け出した金子が首位発進を決めた。
 「竹内君が強かったです。和田君が良いスピードでまくってきたけど、竹内君が踏み直してくれたので。1着は前後のおかげです。疲れも思ったより取れてますね」
 金子に続いた北野武史が2着に入線。
 「ペースが上がったときにちょっと口が空いたけど、あとはしっかり付いて行けた。前が強かったです。準決が決まって本当に大きい」
 力強い先行策で魅せた竹内雄作は3着。ラインを上位独占に導いた。
 「今日は先行することしか考えてませんでした。ホームで踏み上げておいて良かったです。それがなかったら、(別線に)いかれていたと思う。金子さんも(まくりを)止めてくれたし、ラインのアシストのおかげです。疲れもないので、また明日から頑張ります」

<11R>
早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 最終的に打鐘の4コーナーで主導権を握った松岡健介に対して、早坂秀悟も仕掛ける。最終2コーナーでまくり切った早坂だが、5番手から平原康多がまくっていくとスピードの違いを発揮し、バック過ぎに早坂を飲み込む。そのまま1着で平原がゴール線を駆け抜けるが、直線強襲した橋本強がゴール後に平原と接触。両者とも落車してしまった。検車場には歩いて引き揚げてきた平原は、表情こそ明るいものの体は痛々しそう。
 「何が起こったのか分からなかったです。状態ですか? 今は大丈夫ですけど明日になってみないと正直分からないですね。自転車も今見てもらってて大丈夫だと思うんですけど。展開的には(早坂)秀悟がいったときにいったんで無理くりです。正直また落車かよって思いましたけど、走るからにはケアして頑張ります」
 平原にまくられた早坂秀悟(写真)だが2着に残り、検車場に引き揚げてきたあとは笑顔も交えながらレースを振り返った。
 「(平原は)すかさずくるんですね。凄かったです。出ないことには話にならないと思って出切ることをまずはと。そのあとのことは出切ってから考えようと思ってたんですけど、流すとかそういうのの前に来られました」
 落車した橋本強も怪我に関しては軽傷であることを示唆した。
 「体も大丈夫だし、自転車も大丈夫です。ゴール線は必死だったんで、まさか平原さんがあそこにいるとは思ってもなかったです。早坂があんなに詰めてるとは…」

<12R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 前受けの石井秀治が矢野昌彦を打鐘過ぎに突っ張って主導権を握る。これで渡邉晴智(写真)に絶好の流れ。単騎でまくってきた房州輝也を軽くけん制して止めると、直線で鋭く追い込んだ。
 「石井君が突っ張ってくれたおかげ。強かったです。残せなかったのは自分が悪い。申しわけないですね」
 内に降りてきた神山雄一郎との併走をしのいで3番手を確保した松浦悠士が最後は石井と渡邉の中を割って2着に入った。
 「石井さんの突っ張りはあるかなって思ってました。神山さんなんで簡単にはどかせなかったですね。でも、自分で動けているし、悪くないです。今年は記念3戦目なんですが、3回とも優秀に乗れています」
 中国ラインの3番手から友定祐己が大外を強襲。際どい3着争いを制した。
 「松浦君は頑張ってくれた。展開はしょうがないですね。あれで自分で仕掛けて行ければよかったけど。落車もあっての結果だから。内(の石井)がけっこう残っていたから4着かと思った。優秀に乗れたのはよかった」
 突っ張り先行の石井秀治は惜しくも4着で優秀戦進出を逃した。
 「(矢野を)行かせてもよかったんですけどね。あそこまで来なかったし、後ろが晴智さんのときに先行できてなかったので、駆けました。暑くて体力が奪われる感じできつかったです」
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