『大宮競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:1月15日


 大宮競輪場で開催されている東日本発祥62周年記念「倉茂記念杯」は初日を終了。メインの特選からは坂本亮馬を除く4名のSS勢が勝ち上がり、優秀戦「昇竜賞」に駒を進めた。ほかに一次予選も1レースから激しい攻防の連続となった。検車場から選手たちの声をレポートします。
 なお、本場イベントは2日目も満載。16日(日)は倉茂記念杯オリジナルキャップやオリジナルクオカードの当たるスピードくじ配布(先着1,000名様)や、サイクルタイムトライアル、ほかにも第64代横綱・曙太郎らのトークショー、初日に続き「若者応援キャンペーン!」などが行われます。ぜひ大宮競輪場へご来場ください。


<1R>
 佐藤和也が先手をにぎった内山拓の番手にはまると、二角から番手まくり。すると佐藤和マークの近藤俊明が直線を猛然と追い込み1着を手にした。
 「自分は前に踏んだだけ。佐藤(和也)君が早く仕掛けてくれたお陰です。直線で森内(章之)さんが中を割ってきたのが分かったから、内を締めて前に踏むのに全力で彼を3着に残せなかった。それだけが残念です」
 3着には外コースを伸びた藤野義高が入線する。
 「佐藤(亙)君のまくりが来る前に踏もうとも考えたけど、さすがに厳しい。ただ脚には余裕があったから、内か外かを冷静に見極めてコースを選べました」


<2R>
山本佳嗣選手
山本佳嗣選手
   松田治之のバックまくりに乗った山本佳嗣(写真)が直線を突き抜けた。
 「松田君のスピードにうまく付いていけました。ただ、彼がまくれるかまくれないかの判断に迷ってしまい、先に目一杯踏んでしまった。それでも松田君が(4着で)二次予選に勝ち上がってくれたし、ひと安心です」
 近藤幸徳は山本マークから3着に流れ込む。
 「昨日、うちの三男坊(龍徳)が競輪学校に101回生で合格したんですよ。あれで気持ちが楽になってね、バンクも軽い軽い(笑)。胸のつかえが取れた途端、競走にも気持ちが乗るんだね。自分でもビックリしたよ」


<3R>
 古川功二の先行を藤田大輔が中団からまくると、藤田大マークの宮倉勇が巧みに抜け出して快勝した。
 「藤田(大輔)君が絶妙なタイミングで押さえてくれて、良いポイントからまくってくれた。彼とはいつもともに良い着が取れているし、呼吸を合わせて走れました。正月からがっちりと乗り込んで、踏める自信もあったから最後は外へ。伸びにも納得です」
 番手絶好の展開となった小林孝文は直線の長さに泣かされた。
 「古川君がフカしていたし、まくられるかな~って思っていたけど、とんでもない。しっかり踏んでいたし強かったですよ。でも三角から藤田(大輔)君が踏んだのが見えたから前へと。1着を取らなければいけない展開でしたけど、相手のスピードが違いました」
 各機動型は、藤田大輔は「バックで踏もうと思ったけど、後ろに藤田(真)さんがいたし遅めになった」、風を切った古川功二は「先行で感覚をつかみたかった。まだまだですが次の日も全力で」、藤田真は「中団の藤田(大輔)君が車間を空けていた分、きつかった」とそれぞれレースを振り返る。


<4R>
 ホームから先行体勢に入った引地正人が四角を先頭で通過すると、佐藤愼太郎が番手の利を生かした。
 「あれだけ引地君が頑張ってくれれば、それだけの競走はしたかった。伸びたというよりも今日は展開です。勝負は二次予選からですね。脚の感じは良いので楽しみです」
 地元の吉田裕全(3着)は「前の動きを見て、落ち着いて踏み込めた。脚が無い分を、勢いと勘で補った感じ。記念の勝ち上がりで確定板に挙がれて本当に嬉しい」と納得の表情を浮かべる。


<5R>
山中貴雄選手
山中貴雄選手
   中団まくりを決めた山中貴雄(写真)が快勝。決まり手は「差し」とはいえ、5レース目にして初めて自力選手がアタマを取る結果に。
 「位置を取り切るまでに相当脚を使ったし、かなりきつかったけど1着だったんで良いでしょう。ここは同じ500バンクでも、地元(高知)とはちょっと違いましたね。でも踏みやすいバンクなのは確かです。今日に関して言えば、風はまったく気にならなかった」
 2着の山崎充央は「止めには行ったけど残せなかった。阿部君と3着以内で決めたかった」と言葉少な。
 池田英樹は空いたインコースを鋭く踏み込み3着をキープする。
 「ここまでのレースではイエローラインの外側がやたら伸びていたから、周りはみんなあのコースを意識していたみたい。だから自分は逆に内を意識しておこうと。ゴチャつかずにバックを踏まないでスムーズに踏んだ分、伸びたんでしょう」


<6R>
 鈴木伸之があっさりとまくりを決めると、鈴木ライン三番手から中島義之が出色の伸びを見せて中コースを鮮やかに突き抜けた。
 「最近は脚が落ちたのを自覚していて、練習に力を入れ出したんです。そうしたら、左肩を痛めてしまってね(苦笑)。でも打鐘が鳴れば関係ないし、むしろ力が抜けて良い方向に傾いている感じ。踏めているし内容もいいですね」
 荻原尚人は「思うように車が進まなかった。展開も思い違いで…」と頭を掻く。


<7R>
笹川竜治選手
笹川竜治選手
   ホームから篠原忍が先手を奪取すると別線を翻弄。最後は笹川竜治(写真)―菊池崇訓が追い込んで、ズブズブ決着となった。
 「篠原君がどこから行くかと思ったら、早目に行ってくれましたね。(まくってきた)荒澤(貴史)君が来たのが分かったけど、中団で止まったようにも見えたから、落ち着いて仕事に専念できた」
 篠原忍との写真判定の末、家田真宏が3着に。
 「梅澤(謙芝)先輩が動いてくれたからこっちに展開が向いた。まだまだ慣れている最中ですけど、やっぱりS級のスピードが自分には合っていますね。踏んでいて流れる感じがする。それに大宮は2回走って2回とも決勝に乗っているし、走りやすいイメージがある」
 篠原忍は4着にも「逃げてラインで全員が勝ち上がれたわけだから良いんじゃないですか。とりわけ悪いってところも無いですし」とサバサバしている。


<8R>
池田勇人選手
池田勇人選手
   ここでは地元コンビが人気に応えてワンツー決着。池田勇人(写真)は冷静に戦況を見極めると、七番手から鮮やかにまくり切った。
 「重倉(高史)君がブンブン駆けていたし、先行だけとは決めていませんでした。七番手に置かれたけど、冷静でいられたし普段出さないまくりが決まったわけだから脚的には問題無いでしょう。初日は(一次予選だし)変に意地を張るレースでもなかった。内容と結果が噛み合えば、もっとやれそうです」
 尾崎剛は必死に食い下がった。
 「池田君は強いね。最後はがむしゃらに抜きに行ったけど、道中で色々とからまれていたし抜くだけの脚が残っていなかった。けれども二人で決まったわけだしお客さんには迷惑を掛けなかったと思う。プレッシャーからもだいぶ解放されました」
 鰐渕正利(3着)は「(任せた重倉高史は)地元勢をかなり意識していたのかな? だいぶフカしていたよね。あれでオレはヘロヘロ(苦笑)。最後は気持ちを振り絞って直線を踏みました。ただ、重倉君はS級初戦だったし仕方ない部分もある。ペース配分や流れさえ覚えればもっと強い良い選手になりそうだね」


<9R>
山田敦也選手
山田敦也選手
   ここからは特選3個レースがスタート。水谷好宏のカマシを佐藤友和が中団まくりで軽々と抜き去った。
 「藤田(竜矢)さんの動きが気になったし、落ち着いた位置取りと判断で走ろうと心掛けました。バンクの重さが気にはなったけど、うまく乗り切れましたね。一年の初めに1着が取れるとホッとしますよ」
 山田敦也(写真)は佐藤を懸命に抜きに行ったが、抜ける気配無く2着に。
 「バック辺りから余裕があって抜ける手応えもあったんだけど、自分の錯覚でしたね。それでも外を踏んでからの伸びも良かったし、今回は脚に余裕がありますね」
 伊勢崎彰大は「北勢追走」のジャッジがピタリ。嗅覚が冴えそのまま食い下がって3着に流れ込んだ。
 「踏み出しはそうでも無かったけど、友和君のカカリ方が凄くて。離れないようにもう必死。何とか食らい付けたし、良い感じで優秀戦に臨めそうです」
 藤田竜矢は「今日は半分以上は先行で頑張りたい気持ちだった。ただ押さえ方が中途半端でしたね。友和君に突っ張られた時点で焦ってしまってもうダメだった」と天を仰ぐ。
 水谷好宏は「体調が悪いのかなかなかカカらない。スピードを乗せられないまま終わってしまった。力不足ですね」と唇を噛む。


<10R>
園田匠選手
園田匠選手
   巧みに中団をキープした伏見俊昭が、後方の坂本亮馬を引き付けてからスパート。駆けた永井清史を直線で捕らえて新春初白星を挙げた。
 「亮馬に中団はやれないし、自分も抵抗するしかなかった。突っ張ってどうにか位置取りは確保できたけど、脚が溜まるのに時間がかかって。その割には車が良い感じで出たし、日に日に調子は上がっていくと思う。やっぱ新年を1着スタートだと気持ちも楽になりますよ。この安心感は何年やっていても変わらない」
 2着には園田匠(写真)が。2センターで坂本亮馬が内に斬り込むと、とっさの判断で外へ踏み、最後は直線大外を強襲した。
 「亮馬が内へ行った時点で、もうこれは外しか無いなと。あれで躊躇していたら3着以内に届いてはいなかったですよ。落車の影響はあるけれど、今日みたく勢いさえ貰えればまだまだ勝負圏にいられそうです」
 伏見マークの小橋秀幸は「黙って赤パンツを追いかけるだけでした。自分が前でやっていたら展開に負けていたでしょう。そう思うとゾッとする。落車後でも思いのほか付いていけたし、次につながりそうです」と伏見サマサマと言った感じだ。
 先行した永井清史は「伏見さんが亮馬を警戒しながら踏んでいたし、自然と駆ける展開に持ち込めた。ただ、踏み上げた感じは重かったですね。カカリも自分の中ではちょっと…。修正? 二次予選までにどうにかします」と状態を戻すことに専念する。
 坂本亮馬は後方で何もできずに終わった。
 「やっぱり中団は簡単に取らせては貰えませんね。伏見さんの踏み出しが凄くて、前に踏める気がしなかった。それに道中で何回も当たられてしまってはもうダメ。最後はヤケクソで内へ踏んだけどもう脚は残っていませんでした」


<11R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   レースは守谷陽介が先行すると、平原康多が中団をキープして3角過ぎからまくり追い込み。そこで、神山雄一郎(写真)が直線で抜け出し勝機をものにした。
 「あのタイミングから目一杯踏んだ康多を外から抜くのは相当きつい。ただ抜けているわけだから、自分の状態は悪くは無いでしょう。優秀に進めて安心したし、このまま勢いに乗っていければ良いね」
 平原康多は神山に交わされても幾分、納得ずくと言った表情だ。
 「仕掛けのタイミングとしても悪くなかったし、新車の出も良かった。距離的な部分も含めて、あと少し噛み合えばもっと良くなるはず。優秀でもしっかり自分の競走をするだけです」
 池田良は好位も伸びを欠き着外に。
 「2センターで平原さんを止められれば良かったけど、勢いがあったし止められなかった。技術不足です。ただ、脚には余裕があったし直線は伸びたと思ったんですけど」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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