『西武園競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:8月28日
 西武園競輪場で開設75周年記念「ゴールド・ウイング賞(GIII)」が、8月28日に4日間のナイター開催でスタートする。眞杉匠、新山響平のS級S班2人に吉田拓矢、成田和也、佐藤慎太郎、新田祐大、佐々木龍、山口拳矢、南修二、岩津裕介ら各地区のトップ選手が熱戦を繰り広げる。地元勢は武藤龍生、森田優弥、宿口陽一、中田健太の1班を中心に森田一郎、山口多聞らの若手がシリーズを盛り上げる。前検日の8月27日も猛暑となったが、選手それぞれが翌日からの戦いに備えて入念な調整を行った。
 記念開催中は毎日、“推し勝”うちわを先着でプレゼント。キッチンカーの出店、未確定車券抽選会、平原康多展覧会「栄光の軌跡展」、SPEEDチャンネル専属解説者による予想会、“推し勝”ビューティートークライブ、選手会埼玉支部のチャリティーブース「チャリ氷」などが予定されています。また、8月28日のシリーズ初日には、JRAの矢作芳人調教師によるトークライブもあります。西武園競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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 前回のオールスターはオリオン賞からスタートした伊藤颯馬は、シリーズを62496着。準決までコマを進めた。
 「(5月の日本選手権と6月の高松宮記念杯で落車し)どちらも背中を痛めた。まだ痛みはありますね。でも、練習の感じは良くなっているので、レースでも良ければいいんですけど。西武園だし前々を意識していきます」
 5月の伊東FIで落車失格を喫した川越勇星は、そこから長期欠場を余儀なくされて、今シリーズが3カ月ぶりの復帰場所。
 「(伊東の落車で)右の肩鎖関節を痛めて、そこから感染症になってしまった。2カ月ぐらいはなにもできませんでした。練習は1カ月ぐらいやって、レースを走れる状態にはなった。平塚のいいメンバーとも練習もできるようになってきた。あとはレース勘だけですかね」


<2R>

 前回のオールスターでは息子の歩夢(125期)との親子出場も注目された山崎芳仁だったが、歩夢は3走目に落車。途中欠場に見舞われて、自身は2897着と2走目以降は大敗が続いた。
 「(前回のあとは)2日間くらい休んで、マッサージをしたり疲れを取ることを優先しました。自分(の状態)は普通ですかね。(一次予選で連係する佐々木)堅次は何回も連係しているし、1着も取らせてもらっています」
 近況は勝ち星こそないものの、FIシリーズで成績をまとめている柴崎俊光は、今年3度目となる久々のGIIIでの期待も膨らむ。
 「ここ最近は7番手でも、確定板に入れるくらいの余裕が出てきた。前に比べれば良くなっているんだと思います。もう1回、GIに出たいので、もう1回上げていきたい。GIIIは地元(四日市)と奈良しか走ってないので、久しぶりですね」


<3R>

 前々回の富山記念は3日目での途中欠場となった板垣昴は、続く前回の奈良FIを721着。アクシデントのあった初日予選はシンガリ負けも、2日目、最終日で結果を残した。
 「(前々回の富山は)体調不良で途中欠場した。いまは体調は大丈夫だったけど、前回はあまり調子が良くなかったですね。(今回は)中3日だけどしっかり練習もやってきたし、直前はケアもできた。今回から仕切り直して、またいい流れを取り戻せるように」
 林昌幸は、前回の名古屋FIを3連勝の完全V。単騎の決勝は、3番手からの先まくりを打ち、S級初優勝を飾った。
 「前回は初日からタイムが良かったし、決勝はデビューしてから初めての単騎戦だった。単騎だったので前々を意識して、完全優勝ができました。これからもやることは変わらず、先行で頑張っていきたいと思っています。(前回のあとは)結構、練習もできたし、調子も維持できていると思う」


<4R>

渡邉雅也選手
渡邉雅也選手
 GI初出場だった前回のオールスターが44769着。落車明けでの1カ月ぶりの実戦というハンディもあった渡邉雅也(写真)だけに、順調であればまた結果も違っただろう。
 「(前回は)久々のレースだったけど、GIでもわりと走れた。怪我で結構、乗れなかったのもあったんで、それを考えると悪くなかった。(そのあとは)疲れがすごかったんで、休んで練習もやってきました。あの状態で準々決勝までいけたのは大きかった。予選あたりだと(GIでも)戦えるかなっていうのがあったけど、上だと力の差がすごいあった。でも、気持ちの面では、GIで自信になった」
 直近の5場所で7勝をマークしている南潤は、前回の取手FIでも、417着で決勝に進出。気負うことなく自分のペースで競輪と向き合っている。
 「良くもなく悪くもなく普通ですね。決勝に乗れているってことは、自分でもポジティブにとらえている。そうじゃないとメンタルももたないですから。そこまで結果に左右をされないようにはなった。相手も強くなっているし、自分が一番いい時に戻っても戦えるっていうわけではないと思う」


<5R>

 菊地圭尚は前回の小倉FIを131着で優勝。地元、函館オールスターには出られなかったが、一昨年の函館以来、約2年ぶりのV奪取で気を吐いた。
 「ラインに恵まれて、本当にうれしい優勝でした。(近況は)調子は良かったんですけど、展開とかもあって成績が出せていなかった。(決勝でも)大川(剛)君がいいレースをしてくれたのが勝因です。(優勝の)前回のいいイメージが残っています」
 現在、今期の競走得点は107点台。前々回の豊橋FIで失格を喫している堀江省吾は、こう口を開く。
 「(一次予選で連係する)杉本(正隆)さんとは連係も多いし、調子もしっかり上げられたと思う。戦える状態です。(豊橋で失格し)余裕をもって(S級)1班の点数を取れるようにならないと。今回は師匠(柿澤大貴)もいるので頑張ります」


<6R>

山口多聞選手
山口多聞選手
 山口多聞(写真)は、直近の初日予選を3連勝中。京王閣の3日制GIIIを含めて、3場所続けて決勝にコマを進めている。
 「(地元記念だけど)普通にいつも通り(練習を)やってきました。普段と変わらずですね。(近況は)それなりに成績も出ているんで悪くないと思います。(4日制のGIIIでも)決勝に乗りたいし、まずは勝ち上がりで自分のレースができるように」
 6月のレインボーカップでS級に返り咲いた川口雄太は、S級にステージを移してもコンスタントに勝ち星を挙げて、順調に白星を重ねている。
 「(7月の地元の小松島記念は2日目から良かったが)初日に飛んでしまった。一生懸命走ってはいたけど、A級のぬるま湯につかっていたんだと思った。2日目からは流れもつかんで、そこからは(S級の)感覚が戻ってきた。脚力では勝てないし、なんでもやるつもりで頑張ります」


<7R>

 伊藤旭は、前々回の富山記念では無傷の3連勝で優出。しかしながら、続くオールスターでは34754着で力の差を痛感した。
 「富山記念からフレームを換えたのもあって良かった。けど、オールスターはまだまだ力不足だったし、基礎をつくっていかないと。ここに向けては練習とケアをやってきた。西武園は前回(23年)のオールスター以来だけど、その時はまくりも決まったし、(仕掛ける)タイミングが重要なのかと」
 今期S級にカムバックした梁島邦友は、4場所を消化してまずまずの手ごたえをつかんでいる。
 「今期は前回S級に上がった時より戦えていると思う。脚力が上がったとかはないけど、少しずつかみ合ってきたのかなと。いまはなにがなんでも先行というわけではないけど、1回動いてレースをつくろうという気持ちで走っている」


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森田一郎選手
森田一郎選手
 森田一郎(写真)は、伊豆ベロドロームで行われた全日本選手権トラックの競技大会を経て、地元の西武園記念に臨む。
 「この地元記念に向けて、短い期間だけど合宿もしてきた。それで調子、コンディションを整えてきた。(前回の前橋FIは落車の怪我からの)復帰戦ってこともあって、積極的に駆けて得るもの得ようと。(怪我は)鎖骨と骨盤の骨折でした。あんまり良くなかったけど、自分のなかでは許容範囲内だった。(そのあとの競技も)1kmTTを走って、思ったよりも悪くなかった。脚もメンタルも徐々に戻ってきている」
 勝ち星のない近況だが、竹内翼は練習方法にも工夫を凝らして上昇カーブを描いてきている。
 「ちょっとずつ戻ってきている感じがある。10月くらいから(広島のバンクが)使えるみたいなので、もうちょっとの我慢ですね。それでもスピード練習ができるようになったのは大きいですね」


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渡部哲男選手
渡部哲男選手
 渡部哲男(写真)は、前々回の平FIを324着、前回の玉野FIを122着の準V。2班で予選スタートのハンディを抱えるなかで、結果を残している。
 「(前回から)中6日でちょっと疲れています。(近況は)前が頑張ってくれているし、流れに恵まれている。ただ、自分も去年のいまごろは本当に良くなかったんですけど、最近は余裕も出てきた。(FIは予選スタートで)準決もだいたい2着権利なので厳しいところもあるけど、なんとかやっています」
 前々回の高知FIを3連勝で優勝。前回のオールスターは41782着で2連対と上々の佐々木豪が、こう自己ジャッジを下す。
 「なかなか自力を出せない時期もあったんですけど、少しずつ上向いて動けているのかなと。(オールスターでも)日に日にちょっとずつ踏みごこちが良くなってきて、戦える状態になってきたかなって思います」


<10R>

森田優弥選手
森田優弥選手
 四日市、前橋とFIを連続優勝の森田優弥(写真)は、ラインに感謝しながらも自身の状態も悪くなさそうだ。
 「後ろをやってくれた先輩のおかげです。(前々回の)四日市があんまり良くなくて、それを前橋で修正できたかなって思います。体の面は前橋より(今回の方が)いいかなと。寸法とかをまったく変えてないけど、今回は新車にするつもりです」
 前回の奈良FIから投入した新車に好感触の稲垣裕之は、今回も継続してさらに上積みを求めていく。
 「前回からフレームは、新車を使っています。感触は良かったですね。追い込みがしやすい乗り方だったりに徐々に変えてきて、(フレームの特性も)ヨコの動きがだいぶしやすくなっている。(中3日で)ケアもしっかりとしてきたんで大丈夫です」


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新田祐大選手
新田祐大選手
 新田祐大(写真)は、平、岸和田とFIで2場所連続の完全V。その後の伊豆ベロドロームで行われた全日本選手権トラックの競技大会の1kmTTでは、1分1秒694のタイムを叩き出して中石湊に次ぐ2位。
 「(競技大会では)体は限界でした(笑)。21年に優勝した時は、オリンピックもあったんで、そこに向けてパフォーマンスが落ちてなかった。今回は練習がてら刺激を入れてって。1kmTTの練習もあんまりできてなくて、今回は狙えないなっていう感じだった。でも、限界近くまでやったことで、もっと手前のところでコントロールをしていたんじゃないかと。限界値をみたことによって、(競輪に関しても)もう少し幅を広げることができるんじゃないかって感じました」
 今期は佐世保FI、青森FIで連続優出と好スタートを切った福田滉は、その後も成績をまとめて今期初のGIIIを迎える。
 「今期の初めに決勝に乗れて、流れはいいですね。調子も維持できていると思います。(一次予選で連係する幸田望夢とは)同級生だしクセも知っている。過去に連係した時は1着も取らせてもらっています。強烈なメンバーだけど、なんとか勝ち上がれるように頑張ります」


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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 5月の日本選手権を制したあとも高いレベルで安定した戦績を残している吉田拓矢(写真)は、前回のオールスターでも1515着。今年4度目のビッグ決勝進出を果たした。
 「(前回は)体の感じは良かったんですけど、最後まで自転車を合わせられなかった。そこだけっていう感じですね。(そのあとは)1日だけ休んで、練習とリフレッシュを入れながらやってきた。あとはこっちで(自転車を)合わせる感じです」
 新山響平は、落車明けだった前回のオールスターが3777着。単騎だったドリームも3着には入ったものの、らしくない走りだった。
 「(前回は)全然、良くなかったんで、終わってからしっかり練習をしてきました。(オールスター前に)整体にいって、そこでは(体のバランスが)少し崩れているって言われたけど、自分のなかではそういうのも感じなかった。ただ、(オールスターで自転車が出てない)そういう感じがあった。(今回は)整体にいってバランスを整えてきたつもりです」
 前回のオールスターでは21333着。5走すべてで確定板に入った南修二は、今年2度目のGIファイナルで近畿上位独占の一翼を担った。
 「(オールスターでの)感触は良かったと思います。ただ、決勝はいっぱいだった。ラインのみんなが力を出せたのかなと。自分も以前より上がってきている感じはあります。(そのあとは)とくに変わらずいつも通りです」