『西武園競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:9月1日

 西武園競輪場でナイターシリーズで開催された開設75周年記念「ゴールド・ウイング賞(GIII)」は、8月31日に最終日が行われた。地元勢から4人が勝ち進んだ決勝は、先頭を務めた森田優弥が主導権。地元勢とは別線で単騎になった眞杉匠が、5番手からまくり優勝。昨年4月の西武園以来、通算5回目のGIII制覇で西武園記念連覇を果たした。

決勝戦 レース経過

 スタートは森田優弥、山口拳矢、南修二が勢いよく飛び出す。一旦は森田が誘導員の後ろを占めたが、2周目に新山響平を迎え入れた。新山-南の即席ラインが前を固め、その後ろに森田-武藤龍生-宿口陽一-久木原洋の地元カルテット。7番手が単騎の眞杉匠で、山口-塚本大樹が後攻めとなった。
 青板周回の1センターで早くも山口が上昇を開始。バックでは南の外に並びかけた。赤板を過ぎて誘導員が退避すると、新山、山口で踏み合うが、ダッシュを利かした山口が1センターで前に出た。3番手は下げた新山がイン、アウトは山口-塚本を追走していた森田で併走になったが、打鐘で森田が踏み込んで先頭に立った。山口はスンナリ地元カルテットと眞杉まで前に出し、最終ホームは森田-武藤-宿口-久木原、眞杉、山口-塚本、新山-南の一本棒で通過した。最終周回に入り、一段とペースを上げた森田に対し、しきりに後続の動向を窺っていた眞杉は、最終バックでスパート。眞杉がぐんぐん前団に迫ると、番手の武藤がけん制をいれるが、眞杉はこれを乗り越え、空いたインに宿口が進路を取って最後の直線へ。最短コースを進んだ宿口が一旦は先頭に立ったが、鋭く伸びた眞杉がゴール前で4分の1輪宿口を抜き去り1着。昨年に続き大会連覇を達成した。宿口が2着で、武藤が3着。眞杉の仕掛けに乗っていった山口は意外に伸びず4着に終わった。


眞杉匠選手
眞杉匠選手

 昨年4月の西武園記念では、5車で結束した地元勢とは別線。後方からのまくりで深谷知広をのみ込んでの優勝だった。
 「(西武園記念連覇で)マグレって続くものですね」と、振り返った。
 今年も4車の地元とは別で単騎になった眞杉匠(写真)にとっては、いつもの仲間が相手だけに戦いづらさはあっても、気楽な立場だったのかもしれない。
 「地元が相手だったのでやりづらさはあったけど、走りながら(組み立てを)考えていました」
 赤板過ぎに山口拳矢が、新山響平の突っ張りを許さずに先頭に立つ。森田優弥は3番手で新山を内に閉じ込めて、眞杉はじっと最後方で我慢。森田が踏み込んで主導権を握ると、地元勢に続いた眞杉は山口より1車前の5番手に入って最終ホームを通過した。
 「(山口)拳矢さんが後ろ攻めになった時点で、新山さんと前で踏み合いになると思った。けど、(新山が)出させた。森田も切り替えていったので、その流れにうまく乗っていけた」
 真後ろの山口、8番手に新山を置いて、眞杉がロングラインの地元勢を射程圏に入れた。
 「みんなが脚を使ったところで、僕だけサラ脚だった。(まくりに行って)前さえ乗り越えられればと」
 バック手前からまくりを打った眞杉が、好スピードでコーナーに突入。2センター過ぎに武藤龍生のけん制を受けて、今度は3番手の宿口陽一が森田の内を突っ込んだ。眞杉がピタリと宿口をとらえたところがゴールだった。
 「(宿口が)内にいたのは見えていたけど、なんとか最後、伸びた。記念が弱すぎだけど、積極的に走って次につながるように走れば、記念も獲れるようになるかと」
 眞杉がこう言うように、記念は昨年4月の西武園以来のV。その間にサマーナイトフェスティバルを2度、そして共同通信社杯とビッグでは3回の優勝があるだけに無理はない。
 「このあとは(9月はあっ旋がないので)1カ月ぐらい空くし、合宿の予定もある。(10月の)寬仁親王牌に向けてやっていきたい」
 今年の獲得賞金は1億を優に超えて3位。獲得賞金でのグランプリ出場を確かなものにしているだけに、焦りこそないだろう。が、「SSになる前となったあとのダイジェストを見て比べている」と、シリーズ中に言っていたように、まだまだ自身が満足できる状態にはない。一昨年後半、2度のタイトルを獲得したあの感覚を求めて、9月はトレーニングに明け暮れる。

 4車ラインを厚みを生かして森田が先行策。地元3番手の宿口陽一は、最終4コーナー手前から森田のインを突いてイチかバチかのコース取りも2着。
 「(森田が)すごいいいレースをしてくれた。自分もやれることをと思ったけど、あれで外をいっても優勝はない。内を突いたことが、正解かどうかわからない。けど、優勝するにはシビアにいかないと。難しいところではあった」

 逃げた森田の番手の武藤龍生は、眞杉のまくりを阻めずに厳しい表情で振り返る。
 「(森田は)出る時も(山口)拳矢が、新山を後ろに置こうとして出させてくれた。自分たちにはいいかたちになった。自分は森田の踏み出しに集中していて、誰か飛んできたら止めようと。(自分たちが)4車いるので眞杉も飛んでくるのに時間が掛かっていたし、後ろに先輩もいるので早めに踏ませてはもらった。けど、悔しいです。(地元から)誰かしら優勝を出さないといけなかった」







次回のグレードレースは岐阜競輪「長良川鵜飼カップ」が9月4日~7日の日程で開催されます。

今シリーズは犬伏湧也、清水裕友のSS班2名をはじめとして、菅田壱道、佐藤慎太郎、松井宏佑、嘉永泰斗、小倉竜二、坂井洋ら様々なタイプの健脚が参戦。地元勢は志田龍星、志智俊夫、公太朗、聖二の川口兄弟らが一丸となって強豪を迎え撃ちます。4日間の熾烈なバトルから目が離せません!

9月1日時点の出場予定選手データを分析した、岐阜競輪「長良川鵜飼カップ」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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