『西武園競輪ブルーウイングナイトレース(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月16日

 リレーGIIIのナイター開催として西武園競輪場で実施されてきた「ブルーウイングナイトレース」も3月15日に最終日を迎えた。注目の決勝は阿部将大が復活を印象付ける勝利。先手を奪った取鳥雄吾の動きを追って絶好の3番手を確保すると、後方からの岩本俊介のまくりに合わせて最終3コーナーから踏み出して単騎戦を制した。阿部のGIII優勝は24年7月別府記念以来で、通算5度目となる。並行開催されたガールズ戦の決勝は、児玉碧衣が貫禄の完全V。30連勝していた太田りゆらを退けて、自身の連勝を19に伸ばした。なお、児玉の優勝は通算188回目。

決勝戦 レース経過

 号砲と同時に最内枠の武藤龍生が飛び出して誘導員を追う。岩本俊介-武藤-柿澤大貴が前を固め、取鳥雄吾-小倉竜二の中四国勢が中団。飯野祐太-山崎芳仁-五日市誠の北日本勢が後ろ攻めで、単騎の阿部将大が最後方で周回を重ねる。
 上昇した飯野が赤板過ぎに岩本を押さえて先頭に立つ。すかさず取鳥が動いてバック手前で先頭を奪い、中四国勢を追った阿部が3番手を確保。飯野は4番手に下がり、岩本は7番手に置かれる。取鳥は徐々にペースを上げていき、隊列は一本棒のまま最終ホームを迎える。2コーナー手前でようやく7番手の岩本が仕掛けるも、3コーナーで阿部が合わせて踏み込む。阿部は2センターで小倉のけん制を乗り越えると、直線は鮮やかに抜け出して5度目のGIII制覇。阿部のまくりを追いかける形になった飯野が2着。先行した取鳥は3着に残った。


阿部将大選手
阿部将大選手

 「今回は勝ちに来ようと思って走ってきました。練習の感じが良かったので、(GIIIを)獲れるとしたら、ここだと思っていました」
 阿部将大(写真)はシリーズを迎える前から戦える手応えを感じていたが、見事に優勝という最高の結果を出した。
 決勝は初手で最後方にいたが、最初に動いた北日本勢にはついていかずに、取鳥雄吾-小倉竜二の動きを追走した。
 「周りの動きを見て、(取鳥)雄吾さんが行きそうだなと。飯野さんもペースを上げていたし、(中四国に)ついていこうと。そこから自分で仕掛けるしかないと思っていました」
 「岩本さん、飯野さんが仕掛けてくる前に行こうと思っていて、岩本さんが見えたので、仕掛けました。登りでいったので出は良くなかったけど、踏んだ感じは良かったです」とレースプラン通りに進めて、仕掛けるタイミングも完ぺき。単騎でも後手を踏まない組み立ては競輪力の高さがあるからこそできることだ。
 「これで(GIII優勝は)5回目ですね。GIIIが3回、記念が2回ですね。いまはGIしか見ていないです。九州を代表する選手になりたいですね。嘉永(泰斗)に続きたいと思います」
 今回の優勝で満足はしていない。いまはGIのタイトル獲得を目指しており、目標に向けて前進あるのみだ。

 飯野祐太は別線の先行争いを誘うか、中団を取ってから仕掛けるか、レースの流れに応じて走った。位置取りの部分で単騎の阿部を入れたことを悔やんだ。今後は、脚力アップを課題に挙げる。
 「初手は後ろからと決めていて、取鳥君と岩本君がモガき合ってくれたらと。ジャンの所は阿部君を入れるか迷った。最初は(中四国の)2人しか来ていなかったので。結果的に入れると阿部君頼みになってしまうし、たられば、ですけど(3番手を)取り合ってもよかったかなと思う。結果、ああなったら阿部君より先に仕掛けることはできない。でも(4番手に入ってからは)冷静に走れたと思う。岩本君が来た時に阿部君も踏むと思ったし、自分も岩本君の方に行って武藤君のコースはつぶせた。あとは思い切り(中コースを)突っ込めればよかったけど、恐る恐るでした。もっとトップスピードがあれば。阿部君も気にせずに行けるだろうけど、今の脚じゃ厳しい。力を付けていきたいですし、そのためにもしっかり練習します」

 4日間、主導権を握った取鳥雄吾。決勝も自らのレーススタイルである積極策で風を切った。阿部にはまくられたものの、今シリーズは久しぶりに戦える手応えを感じていた。
 「普通に流れで勝負しようと思っていた。出切ってあとは小倉さんと決まるようにペースで踏んだけど。ずっとアベマサ(阿部)が3番手にいるのはわかったし、嫌だった。これはアベマサの展開じゃんって。最後は踏みすぎて4コーナーから苦しかった。小倉さんがあそこまで(けん制を)やってくれたのに。(今シリーズの動きは良く)光は見えました。全体的に噛み合ってきた感じがある。(GIII優勝は)遠いみたいです。腐らずに頑張ります」







ガールズケイリン決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると石井貴子が誘導員を追い、2番手以降は、西脇美唯奈、柳原真緒、飯田風音、児玉碧衣、太田りゆ、高橋朋恵の順で隊列が落ち着く。
 赤板手前で太田が上昇し4番手に収まる。打鐘で誘導員が退避し、3番手の柳原、4番手の太田がそれぞれ車間を切る。これに対して児玉は2センター手前で動いて、5番手の外まで上昇。そのタイミングで石井がイエローライン付近まで上がって内から西脇が先頭に出る。最終ホーム手前から柳原も一気に踏み込んで、西脇、柳原が踏み合いとなる。児玉はホームで内の太田にかぶせるように仕掛けると、1センターで踏み勝った柳原のすぐ外まで迫り、2コーナーで先頭に立つ。柳原は児玉を懸命に追いかけるもその差は詰まらず、児玉が2車身差を付けて完全優勝を飾った。仕掛けが遅れた太田は、柳原を追いかけて2センターで外に持ち出すも、車の進みは鈍い。それでもゴール寸前で柳原を交わして2着。3着には柳原が入った。


児玉碧衣選手
児玉碧衣選手

 4日間、先行逃げ切りと児玉碧衣(写真)がシリーズを完全に支配して優勝を決めた。
 「(西武園は)オールスターでも優勝していたし、相性はいいのかなと思います。今回は最近のなかでも一番、内容をもって走ることができた」
 道中の位置取りが勝敗を左右するガールズケイリンにおいて、レース中にも的確に状況判断をしていた。
 「(初手は)取れた所からで、1周は行こうと思っていました。(太田)りゆさんが(先に)動いたのは想定外でしたね。りゆさんがどこかに収まる感じだったらタイミングをずらして行こうと思った。ジャンでペースが緩んで、2センターから外に持ち出したらヤナギ(柳原)とりゆさんがそれに気づいて踏んで行った。こうなるなら2コーナー勝負でもいいかなと思った」
 最終ホーム前に柳原が踏んで行ったところで「りゆさんが踏むのをやめたので、ここしかないと。ヤナギも本気で踏んでいたけど、外併走で無理をせずに、2コーナーで流しながら、バック線で踏み込む感じで行けた」と、勝負所を見極めた児玉は猛然とスパートしてバック線を先頭で通過した。
 「3日間、長い距離を行っていたのが生きたのかなって。1周行く準備はしていたので動けましたね。しっかり自力を出して、4日間、伸び切れました」
 初日から長い距離を踏んでいたことで、仕掛けることに迷いはなく、それが強敵相手にも優勝につながった。
 昨年のガールズグランプリから新フレームを投入し、セッティングや、乗車フォームなどの試行錯誤を重ねてきた。
 「最初は違和感があったけど慣れてきた。次の久留米からはシューズも換えようと思っています。フレームが堅いので、シューズも堅い方がいいと周りから言われているので。いろんな方からアドバイスをいただいている、自分の力というよりは周りの人の助言やサポートのおかげです」
 関わっている人への感謝の気持ちを常に持っている。
 「あとは自分の力をつけてフレームに対応できるようにしていきたい。力をつけることと頭を磨いていくことですね。今回みたいに1レース1レースでしっかり内容をもってやっていければ結果はついてくると思うので、大きな目標は立てずに、しっかりと目標を立ててやっていきたい」

 太田りゆは、昨年の女子オールスター競輪で落車して左鎖骨を骨折。本調子には戻っていなかったが、30連勝で決勝を迎えた。決勝で敗れてしまったものの、こちらも今後のGI戦線に向けて確かな手応えをつかんだ。
 「(初手で児玉の後ろになり)悩みました。そのままで、いいところかもと思っていました。でも今回やるべきことはそこではないと。すごく冷静に立ち回りました。碧衣ちゃんとヤナギが踏み合っていたのを見ていて、碧衣ちゃんが出渋っていたのか、そこをどっちか、見てしまいましたね。いまやるべきこと、しっかり自分で組み立てることはできた。たられば、ですけど、そのまま(児玉の)後ろについていたらどうだったのかなとは思います。悔しいです。いったん、一線から退いていたけど、このまましっかりやっていけば、心配はないのかなと思います。この気持ちでやっていければ。この4日間はトップ選手と戦っていい刺激になりました。大事なところで勝ち切れるようになりたいですね。しっかり戦う気持ちは見せられたと思います」

 柳原真緒はシリーズ初日に逃げ切った児玉に対してリスペクトするコメントも出していた。準決勝では、先に仕掛けられなかったが、決勝は真っ向勝負を挑んで、現在の力差を再確認した。ここからトップ選手と立ち向かうために、試行錯誤をしていく。
 「出し切るレースはできました。初手は取りたかったところにいけたので、想定通りでした。(児玉)碧衣さんがカマしてくるだろうと思っていたので合わせて出て、2段階目が来る時に、また合わせていきたかったけど、合わせ切る脚がなかったです。(児玉の後ろに入って)4コーナーから出たいと思ったけど、踏み直しもすごかったです。(その後ろから太田が来たが)勝ちに行った結果なのであれはしょうがないですね。先に切ってもう一回行く余裕があったので成長していると思います。脚力差があるのでまた練習するだけですね。得るものも大きかったです。(いわき平から)新しいシューズにしていて、出し切れているのであとは使いこなしていければ。ずっと使って馴染ませていきたいです」







次回のグレードレースは、「第10回ウィナーズカップ(GII)」が3月19日~22日、防府競輪場において開催されます。

出場選手の選考基準に「ヤンググランプリ2025出走者」「選考期間における1着回数上位30名」があるため、他のビッグレースとは一味違うメンバーで覇が競われるのが魅力です。舞台は今年も短走路であり、勝ち上がり戦からハイスピードバトルが繰り広げられそうです。また、最終日第9レースにて「第8回ガールズフレッシュクイーン」が126、128期生の7名により争われます。こちらも目が離せません!

3月11日時点の出場予定選手データを分析した、防府競輪「第10回ウィナーズカップ」GIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。


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