『京王閣競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月19日

 東京オーヴァル京王閣競輪場を舞台に開設70周年記念「ゴールドカップレース(GIII)」が19日に開幕した。オープニングの一次予選から激しいバトルが繰り広げられた。メインの特選は郡司浩平の先行を平原康多が8番手から豪快にまくって1着。大会連覇へ好スタートを切った。2日目は二次予選A、Bの合わせて7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 2日目の20日も場内イベントは満載。ガーデンシアターでは早見優によるオールヒットステージ2019、長田真友子、木戸彩音のミニライブ、さらに後閑信一&加藤慎平&石井寛子、寺沼将彦、寺沼拓摩選手によるスペシャルトークショーが予定されています。ぜひ、この機会に東京オーヴァル京王閣競輪場でお楽しみください。

<1R>

伊原克彦選手
伊原克彦選手
 オープニングレースは単騎の古城英之がスタートを取り、2番手以下はけん制状態で大きく車間が空いてしまう。赤板前にようやく隊列が落ち着く。大石剣士が打鐘から主導権。この後位に飛び付いて番手を奪った伊原克彦(写真)が直線で鋭く追い込んだ。
 「隊列が整う前に踏んでいく感じだったのでキツかったですね。2周ハイピッチのような感じでしたけど、こういう削られて削られて泥仕合いのようなレースのほうが自分の持ち味を出せますね。脚は悪くなかったです」
 大石の踏み出しに遅れた加藤圭一は近畿コンビの後位で態勢を立て直してから追い込んで2着。
 「追いついて赤板からそのままレースが始まったので脚はまったくたまらなかった。ペースも上がっていたので、追い上げもできなかったですね。キツかったです。大石君に申しわけないことをしました」

<2R>

金澤竜二選手
金澤竜二選手
 打鐘で前に出た金澤竜二(写真)は一戸康宏を受けて最終ホームで絶好の3番手を確保。佐々木豪の巻き返しでかぶってしまったが、2センターから内に切り込むと最後は逃げる一戸も内から交わした。
 「一戸君のラインが2車だし、出させようと。2コーナーからまくりに行ければ良かったけど、気持ちに余裕がなかったですね。内は空いたのを確認しながら入りました。直線でも進んでいるので、脚には余裕がありますね。でも自力のレースはできていない」
 最終4コーナーを8番手で通過した山賀雅仁だったが、大外を強襲して2着に食い込んだ。
 「大事にいき過ぎました。後ろの佐藤(清之)君にはヒヤヒヤさせちゃった。1コーナーか1センターで行ければベストだけど、行けてないってことはその程度ってこと。前回(寬仁親王牌)の3日間のほうが動けていました」

<3R>

 赤板過ぎから皿屋豊と竹内翼で踏み合う。打鐘前に出た竹内の後位に皿屋が収まるが、三宅達也が内をすくって奪い返しにいく。これで外併走となった皿屋は無理やり踏み上げる。再度、空いた竹内の後位に入った皿屋が番手から追い込んだ。
 「竹内君がやる気でしたね。僕のほうが気持ちが弱かった。(竹内の番手が)空いてなかったら飛んでたレースでした。あそこで叩けなかったのが自分の弱さですね。そういうレースを周りにも見せてしまった。タマタマ勝てただけです」
 後方8番手からジワジワとまくり上げた上原龍は2着まで。
 「ああいう展開になって、こっちのもんだと思ったんですけどね。楽だったんですが、出だしがモコモコしました。そこから伸びていく感じはあったんですけど。もっとスコーンとまくりたかったです」

<4R>

 藤井昭吾が打鐘で先頭に立つと、飯野祐太は中団へ追い上げて鈴木謙太郎と併走に。鈴木はホームで岩本和也をすくって3番手をキープすると、2コーナーからすかさずまくる。逃げる藤井をとらえると、最後は番手の杉本正隆がきっちりと追い込んだ。
 「ただ付いていっただけ。全部前がやってくれました。最近は流れもいいし、しっかり差せている。本当に今日(初日)は前のおかげです。また2日目頑張ります」
 鈴木謙太郎は中団併走から1車内をすくう頭脳プレー。杉本に差されはしたが、ラインで上位独占を決めた。
 「内へ行くのは狙っていた。併走して勝負しても祐太は重いし、ムダに脚を使うよりは行けるところまで内へと。まくるタイミングはもう少し待っても良かったかな。もうちょっと車の出がいいといいんだけど。ライン3人で決まったし、それは良かった」

<5R>

 後ろ攻めから動いて堀兼壽を受けた河村雅章だったが、堀が打鐘過ぎに蒔田英彦に叩かれたことで7番手に。それでも1センターから巻き返すと、大塚玲のけん制を乗り越えて鮮やかにまくり切った。
 「(地元で)プレッシャーがヤバかったですね。考えていた展開になったので、早めには仕掛けようと。大塚さんのけん制はバックで直線だったので外を踏んでいれば大丈夫だろうと。仕掛けたところが良かったですね。初日だけはちゃんとクリアしないとダメだと思ったし、絶対に二次予選Aにいこうと思って執念で仕掛けました」
 大塚玲は逃げた蒔田を車間を空けて援護するも、河村のまくりを止めることはできなかった。
 「調子は良かっただけに悔しいですね。見過ぎてしまった。(河村君が)一人で来たならもっとやりようがあったし、ライン3人で決められる方法があったはず。もったいないレースでした。ただ調子はいいので、反省は二次予選に生かしたい」

<6R>

坂本周作選手
坂本周作選手
 後ろ攻めから上昇した坂本周作(写真)が赤板の2コーナーで先頭に立つが、前受けの田中孝彦が番手イン粘りを敢行。もつれたところを岡崎智哉がすかさず叩いてペースで駆ける。4番手で態勢を整えた坂本が3コーナーから好回転でまくり切った。
 「スタートの位置取りも失敗して、そこで焦ってしまいました。(田中に)粘られるのも想定外でした。3コーナーをめがけて行きたかったけど、岡崎さんに上手く駆けられてしまって…。ちょっとガチガチでした。結果だけですね」
 番手を死守した伏見俊昭が2着に流れ込んだが、通算500勝はお預けとなった。
 「粘られるかなって思いました。あれで引いても南関は出番がないですからね。外併走で1周くらい。長かったです。とりあえずしのげた。それしか言いようがないですね。あれは抜けない。抜ければ格好いいんでしょうけど詰めたほうでしょう」

<7R>

 金ヶ江勇気が赤板の2コーナーで押さえて出る。前受けから7番手まで下げた河合佑弥は打鐘前からスパート。ホームで金ヶ江を叩き切るが、マークの高橋大作は離れて、酒井拳蔵が俊敏な動きで河合を追いかける。番手でしっかりためた酒井が早めの追い込み勝負で抜け出した。
 「展開ですね。かぶったら仕掛けていかないと切替えてからまくる脚が僕にはないので。かぶったら無理やりでも仕掛けて、合ったところでさばこうと。あの形で付け切ったら番手になるので、あとは前を抜いてラインで決めようと思いました。反応はできていたし、車の出も良かったです」
 酒井マークの笠松信幸がしっかり続いて中近ワンツーが決まった。
 「酒井君が上手かった。作戦にはなかったのでびっくりしたけど。あとは(高橋)大作さんの締め込みで少し脚を使ったけど、最後はゴール前勝負と。酒井君が思った以上に伸びていきましたね」

<8R>

渡辺十夢選手
渡辺十夢選手
 後ろ攻めから動いて赤板過ぎに切った徳永哲人を池田勇人がすかさず押さえて先頭に立つ。これで7番手となった山本伸一は打鐘から一気の反撃。最終1コーナーで池田を叩き切った山本の番手で絶好となった渡辺十夢(写真)がゴール前で逆転した。
 「やっと1着を取れました。展開的に恵まれましたね。4角で降りようかと思ったんですけど(山本)伸一だと思って付いていって。叩いてからはペースペースで踏んでいたので強かったです。ウィナーズカップに乗るために1着を量産しなければいけないので良かった」
 渡辺に交わされた山本伸一だが、ロングスパートで力を出し切って二次予選Aに進出した。
 「親王牌は新しいシューズを使っていたんですけど今回は戻していて、車の伸びはやっぱりこっちの方がいいですね。疲れがあるので体はイマイチですけど、しっかりダウンして疲れを抜いて、明日(2日目)以降に臨みたい」

<9R>

勝瀬卓也選手
勝瀬卓也選手
 中団から先に動いて切ろうとした篠原龍馬を前受けの堀内俊介は赤板過ぎに突っ張って出させない。中団までいったん下げた篠原は外併走の態勢から打鐘前に再度、踏み込んで先頭に出るが、中西大がホーム過ぎに叩いて最終主導権。マークの山内卓也は離れ、中西を追いかけた篠原も車間が空いてしまう。4番手となった堀内が2コーナーから力強くまくり切ると、続いた勝瀬卓也(写真)が鋭く差し切った。
 「(堀内)俊介がしっかり位置を取って、やってくれました。強かったです。中西君が行った時に山内さんが付いてきたら、そこは自分の仕事だなって思っていたんですけど、すんなりでしたね。京王閣はいつも流れがいいです。前回の(落車の)怪我も問題ないです」
 堀内俊介はしっかり動いて位置を取ってからまくった。
 「1回、突っ張ってからっていう作戦でした。そこから落ち着いていけたんですけど、巻き返していくのが重かったですね。前半に踏んだぶん、末が甘くなりました。前回からセッティングを換えたんですが、修正が必要ですね」

<10R>

 宇佐見裕輝が切ったうえを黒沢征治が打鐘で叩いてペース駆けの態勢に持ち込む。中団の位置を巡って取り合いになるが、追い上げた月森亮輔が最終ホームで3番手を取る。黒沢は緩急付けた走りで別線を翻弄。絶好展開を迎えた尾崎剛が差し切った。
 「あんなすんなりの展開なんて年に何回かあるかどうか。気持ち良く駆けてくれましたね。練習での強さは聞いていたけど、一緒にやっていたら発走前にもっとビビッていたと思う。ツキと流れがいいですね」
 黒沢征治は別線を完封する逃げで2着も反省を口にする。
 「体が鈍い感じがしますね。あそこから駆けたならもう少しかかっていても良かったかなと。きっかけが欲しいがもうちょっと。流してはいないけど、ホームでのスピードなら本来ならこられていると思う。もう少し楽に回したかったですね」
 柳谷崇は弟子の月森を目標に3着に食い込んだ。
 「(月森君は)いけないという見切りが早いよね。ポテンシャルがあるのにもったいない。自分は3着に入れたので悪くはないかなと思う」

<11R>

萩原孝之選手
萩原孝之選手
 打鐘で切った市橋司優人を根田空史がすかさず叩いて逃げる。3番手の望月永悟は離れてしまい、九州勢が3、4番手に入って最終ホームを通過。根田がハイピッチで飛ばして、5番手以降は大きく引き離される。絶好の番手回りとなった萩原孝之(写真)が最後はきっちり差し切った。
 「根田がすべてやってくれた。自分の調子どうこうじゃないですよ。根田は疲れているなかで良く普段通りの仕掛けをしてくれた。根田も疲れているだろうから、多少ゴール前でタレてくる感じはありました」
 2着の根田空史はレース後に終始、疲れた表情をのぞかせた。
 「さすがに疲れが出てきました。状態も下がってきているし、いっぱいいっぱい。疲れを抜くしかない。感じはいまいちです」

<12R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 後ろ攻めから赤板前に上昇して切ろうとした山崎芳仁を前受けの山田久徳は突っ張る。それでも打鐘で強引に押さえた山崎に対し、郡司浩平が7番手から襲いかかる。あっさり山崎を叩いた郡司が主導権を握り、南関ライン3車できっちり出切る。最終2コーナー、6番手からジワジワと踏み上げた山田を追いかけるような形になった平原康多がまくり追い込みで突き抜けた。
 「(山田)久徳が浮いてたら厳しかったと思います。粘り強く行ってくれたので、あれで行きやすくなりました。外に回して届く感じはありました。井上(昌己)さんには差されると思いましたけどね。自転車を戻して、もとの感触に戻りました」
 平原と即席タッグを組んだ井上昌己(写真)は好マークから詰め寄って2着。
 「あれでも平原は行っちゃうんだろうなと思って付いてました。最後、差せれば良かったけど、惜しかったですね。でも、あれだけ詰められているんで悪くないでしょう」
 タイミングを逃さずに主導権を奪った郡司浩平はゴール前で末を欠いて4着に敗れた。
 「山崎さんの動きにスイッチできなかったんですけど、絶対に緩むところはあると思ってました。しっかり仕掛けることはできました。2コーナーからバックにかけて、ちょっと踏みすぎましたね。1コーナーでスピードに乗せて、2コーナーで回せたら最後、もっと踏み直せたと思います」