『京王閣競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月24日

 京王閣競輪場開設71周年記念「ゴールドカップレース(GIII)」が10月24日に開幕した。オープニングの一次予選から激しいバトルが展開された。メインの特選は岩本俊介の先行を吉澤純平が3番手からまくって1着。高配当を演出した。2日目は二次予選7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。

<1R>

藤岡隆治選手
藤岡隆治選手
 赤板過ぎに切った三浦翔大を嶋津拓弥が打鐘で叩いて出る。前受けから後方7番手まで下げた伊藤裕貴がすかさず巻き返して最終ホームで主導権奪取。小原太樹が伊藤をけん制しようと振った内に三浦、藤岡隆治(写真)が進入し、嶋津の後位を藤岡が取る。これで5番手となった藤岡が直線で鋭く伸び切った。
 「1レース1番車の縁起のいい車番で緊張したけど期待に応えられたので良かったです。細切れ戦だったので内が空いたら少しでも進んで行けるところからと考えていました。自分に展開も向いてくれました。誰よりも先着できたし、調子はいいと思います」
 番手絶好展開の筒井裕哉は惜しくも2着に敗れた。
 「伊藤君のかかりが良かったので、誰も来れないだろうと思ったけど、3コーナーから急に詰まった。きっちり1着を取らないとダメですね。隙を突かれました。地区プロもあって練習もできなかったんですが、そこは気力でカバーします」


<2R>

岡田征陽選手
岡田征陽選手
 赤板の2コーナーで前に出ようとした坂本貴史を前受けの渡邉豪大が突っ張る。前団が少しもつれたところを河合佑弥が一気にスパート。打鐘の4コーナーで渡邉を叩いて主導権を握る。これで絶好となった岡田征陽(写真)が粘る河合をゴール前で逆転。地元記念で幸先の良いスタートを切った。
 「河合君は点数に関係なく強い先行屋なので、ペースをつかんでしまえば大丈夫だと思ってました。出切った後、かかっていったのでもう誰も来れないだろうと。地元で緊張しましたけど、1着が取れたし、脚は軽くなっていくと思います」
 タイミングを逃さず主導権を取った河合佑弥が2着。ラインを上位独占に導いた。
 「ゴチャゴチャして迷った部分はあったんですが、主導権を取りたかったんで、すかさず行けたのは良かったです。ここ最近では一番良かったです。80点くらい。前回とは全然違います。前回は準決でダメだったので、今回は決勝を目指して頑張ります」


<3R>

竹内雄作選手
竹内雄作選手
 畝木努の上昇を受けて前受けから7番手まで下げた竹内雄作(写真)は打鐘過ぎ2センターから一気にカマす。友定祐己のけん制を乗り越えて先頭まで出切ると、番手の渡辺十夢も振り切って快勝。通算300勝を決めた。
 「スタートでけん制が入ると思ったし、前を取りに行った。変に内に詰まるよりはと思って後ろに下げて勝負しました。(藤田大輔の)けん制もあったが緩んでいたので勝負した。思いっきり行きました。(友定のけん制が)思った以上に来ていて、越えられたが伊原(弘幸)さんを連れ込めず申し訳ない。前回(寬仁親王牌)は自力じゃなかったし、ドームで軽く感じたが、初日の朝練習で重く感じたし競走でもタレていた。修正したい。300勝を決められてホッとしました。ここで終わらないように頑張りたい」
 渡辺十夢は竹内のカマシにピタリと続いて2着をキープした。
 「伊原君は弟弟子だしワンツースリーまで決めたかった。(竹内)雄作が強い。踏み出しだけが勝負でしたね。雄作も余裕がありそうだったし、抜ける感じはなかった。疲れもあるのかいつもと感覚が違う。疲れを抜いて修正したい」


<4R>

 赤板の1コーナーで近藤俊明、大西健士の2名が落車。先頭に立った小嶋敬二がペースを上げないと見るや、中団の河村雅章は2センターからカマして出る。中団で立て直す小嶋やマークする岡光良の反撃を許さず押し切った。
 「(落車は)何があったかわからなかった。中団を取れたのはわかったけど、ラインで決めるためには小嶋さんが流しているうちにいった方が楽かなと。踏み直せたし状態はいいと思う。2レースで河合(佑弥)がいいレースしていたし下手な走りはできなかったですよ」
 番手絶好の岡光良だったが逆転はならず。
 「アクシデントがあったのに、(河村が)構えずに早めにいったから抜けると思ったけど、全然でしたね。脚がないです。河村君はここだと強いし仕方ないかな。今日(初日)は付いていっただけだけど、状態は変わらない」


<5R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 赤板過ぎに切った今野大輔を小堺浩二が押さえて出る。前受けから下げて5番手となった北津留翼(写真)は打鐘の3コーナーから一気に踏み込んで主導権を取る。そのまま後続を寄せ付けずに押し切った。
 「初手の狙いは3番手だったんですけど、後ろになりそうだったので、前を取りました。天田さんが切って、その上を行こうと思ったんですけど、切らなかったので、早めにカマしに行きました。ちょっと無理しました。状態はいつも通りで変わらないと思います」
 北津留の踏み出しに少し離れた小岩大介は何とか追いつく。この後位をキープしていた天田裕輝が直線勝負で2着に。
 「(小堺浩二のラインに)付いていこうか迷ったけど、緩んだところを一気に行こうと思ったので。そうしたら北津留君が先に行ってしまったので、キツかったですね。行けそうな感じはあったんですが、北津留君が強かったです」


<6R>

 打鐘前から先頭に立った眞杉匠はすかさず叩きに来た池野健太を出させない。合わされた池野が3番手に降りると、内田玄希が車体故障(池野は失格に)。3番手に野田源一が追い上げると、この動きに乗った山本直がそのまま2コーナーまくり。続いた池田憲昭が直線でとらえた。
 「組み立ては山本(直)君に全て任せていた。最終ホームで音がしたので落車があったのかと思ってオーバーに避け過ぎた。山本君に口が空きました。今回は新車でちょっと感じが分からなかったけど、2日目からは良くなると思う。疲れはないし、あとは身体との感覚を合わせたい」
 人気の関東勢をまくった山本直は久しぶりに初日をクリアした。
 「初手から予想していない展開だったが機転を利かせて冷静に走れた。久々にまくれたので9車の方がいいのかな。ずっと感じは良かったし、なんで勝てないのかと思っていた。冷静さを持ちつつ強気に攻めていきたい」


<7R>

 打鐘前から松岡篤哉にフタをされた高橋晋也だったが、松岡が4コーナーで前に出たところをすかさず仕掛けて最終1センターで先頭に。続いた成田和也がゴール寸前でとらえた。
 「(落車明けだったが)練習でいい感じもあったし、悪くはなかったので。高橋君の番手は初めてだったが、強いのはわかっていたので。変なタイミングでいったから大丈夫かなと思ったけどホームではスピードが違った。思ったよりいい勝負になったけど、直線で踏んだ感じも悪くなかったです」
 高橋晋也は別線の包囲網を力で打ち破った。
 「自分のなかで、今日(初日)は力が入っている感じがあったが、落ち着いていけました。赤板で堀内さんに内を来られて焦ったが松岡さんのヨコにいるのは作戦通りだった。切り替えて行くところを内に差してしまったのは失敗でした。(京王閣は)すごい走りやすいし、気持ちも上向いてきます」


<8R>

中村浩士選手
中村浩士選手
 中団から動いて先に切ろうとした上原龍を前受けの下岡優季が突っ張って出させない。7番手で様子を見ていた根田空史は2コーナーから一気に踏み込んで先行策に出る。ライン3車できっちり出切って完全に南関勢のペース。最後は番手の中村浩士(写真)が鋭く差し切った。
 「根田は1回タイミングを失ったんですが、気を取り直してすかさず駆けてくれました。もうこれなら誰も来れないだろうっていう感じで、おかげさまでワンツースリーを決められました。短いスパンの中で疲れというより練習不足なんですが、寬仁で刺激が入って、ここのバンクは軽く感じました」
 先行勝負の根田空史は3着。9月和歌山FIの準決勝から7走連続で最終バックを取っている。
 「作戦は後ろからの組み立てで。上原さんが落車しそうになっていて、避けながら見ていて、そこで脚を使ってしまった。そのあと落ち着いてすかさず行けたんですが、下岡さんに合わされそうになって、それで末を欠きました。地区プロのあとカーボンフレームに慣れてしまったので、自転車が流れない。感じはすごく悪いです。修正しないといけない」


<9R>

 前受けから久木原洋を突っ張った山田久徳は、九州勢を受けて中団を確保。最終2コーナーから仕掛けた山田は、松岡孔明のけん制を力ずくで乗り越えて1着を手にした。
 「誘導を追って、(久木原を)突っ張って脚を使ったし、脚がたまってなかったです。踏み込んだけどあまり車が出なかったです。地区プロもあったし、疲れがないと言えばウソになる。できる限りのことはしてきたので、一戦一戦決勝を目指して頑張ります」
 好マークの山口富生がきっちり2着に流れ込み、中近ワンツーが決まった。
 「110点以上持っている自力に付いていけたので悪くない。(松岡)孔明と塚本(大樹)君の飛び付きも警戒していたし、抜ける感じではなかった。焦って練習したわりに疲れは残っていない」

<10R>

 太田竜馬が打鐘から一気にスパート。前受けの岸澤賢太を叩いて主導権を取る。番手の柏野智典を連れて2車で出切ると、別線は手も足も出ない。最後は柏野が懸命に踏み直す太田をゴール寸前でとらえた。
 「3コーナーの上りで太田君が仕掛けたから、これは小川(巧)さんは付いていくのキツいなと。自分は付け切れたのでレースができました。太田君のかかりは今まで連係した中で一番だった。バックまでは誰も来れないだろうなというペース。最後はタレたけど強かったです。自分は疲れがあるけどいい状態です」
 太田竜馬は力強い先行策で2着に粘った。
 「踏んだ感じは悪くなかったけど、詰まって上りで仕掛けたので、タイミングは反省です。京王閣は初めてみたいですけど、普通の400バンクという感じでクセはなかったです。ずっと踏めている感じはあったけど、しんどかったので柏野さんに差されるのは仕方ない。サンサンが続いたので感覚のズレがあるのを修正したい」


<11R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手
 後ろ攻めから早めに動いて切った菅田壱道(写真)は今岡徹二のラインを出して、すんなり4番手に収まる。今岡が後続を1本棒にして軽快に駆けるが、菅田が最終2コーナーから鮮やかにまくって圧勝した。
 「このメンバーだったら駆けるのは、ほぼ今岡君なので、その後ろから組み立てようと思ってました。初日は自分から動いて位置を取ろうと。最低でも6番手を取って先に仕掛けるつもりでした。4番手が取れて思いのほか展開が良かったです。初日はハンドルを試して感触が良くなかったので、明日(2日目)以降は元に戻します」
 菅田マークの小野大介は堤洋にからまれて離れてしまう。北日本コンビを追いかける形から東矢昇太がしぶとく伸びて2着に入った。
 「作戦の中のひとつで、落ち着いて走れました。しっかり堪えて、2着まで来ているし、悪くないと思います。自在に動くには細切れがやりやすい。9車のほうがいいですね」


<12R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 古性優作を押さえた関東勢の上を岩本俊介がすかさず叩いて打鐘から逃げる。吉澤純平(写真)が3番手を確保するが、古性は関東勢の番手で粘ってラインを分断。吉澤の番手には追い上げた松浦悠士が入る。最終2コーナーからまくった吉澤が松浦の追撃を振り切り、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「とりあえず一回押さえて、岩本さんがすぐ来て3番手に入れたけど、後ろの状況は分からなかった。中団を取ってもすぐに仕掛けようと思っていた。2コーナー過ぎで行けなくても行ってみようと。そうすれば後ろにもチャンスがあると思った。脚を使って3番手でもまくれたし、(松浦に差されず)粘れたので良かった」
 吉澤の後位に追い上げる形になった松浦悠士は吉澤をとらえることができず2着。
 「岩本さんが行くと思い、スイッチして叩きたかったけど、あおりがあって見てしまった。自力で動いていないのに抜けなかったし、やりたいレースができなかった。2日目はしっかり自分で動くことを意識して走りたい」